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トップページモバマス > 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season 3 第二十八夜



44 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:28:06.51 ID:DcuLRvTYo



第二十八夜 神域


ほたる「では、そろそろ……。本日もアイドル百物語のお時間、です……」
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茄子「今日はどんなお話なのでしょう?」
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小梅「うーん……。民間信仰……のお話とも言えるし……。なんだか違う気も……する」
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ほたる「複雑な話なんですか?」

小梅「複雑では……ないと思う。実害も……ないお話」

茄子「奇妙なお話ということでしょうか?」

小梅「うん……。でも、怪談としては、あんまり聞いたことがない類……かも」

ほたる「……ふむふむ」

茄子「それで、今日はどなたなのでしょう?」

小梅「伊集院惠、さん。惠さんの……旅行先での体験談」

茄子「なるほど。どこかを訪れたときの」

小梅「そ、そう」

ほたる「どんなお話なのでしょうか。では、伊集院惠さんのお話です。どうぞ」




前スレ
小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season 3 第二十七夜
シリーズスレ
白坂小梅のラジオ百物語


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45 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:28:42.90 ID:DcuLRvTYo



伊集院惠(21)
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○一言質問
小梅「これまで旅行して……一番怖かった場所は?」
惠「怖い場所は怖いなりに対処するけれど……。それでも、やっぱり外で銃撃の音が聞こえると身がすくむわよね」




46 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:32:22.72 ID:DcuLRvTYo



 今日はよろしくお願いするわね。

 それにしても、アイドルというのは楽しいものね。
 怪談話を披露するなんてこれまでもしたことなかったけれど、まさかアイドルのお仕事として経験するなんて。

 ええ、貴重な体験をさせてもらえてありがたいと思っているわ。
 あまり、こういうことを話す機会もないものだしね。

 さて……始めましょうか。

 私は一人旅が趣味なのだけれど、これは旅先での体験談。
 旅はいいものよね。
 新しい土地に行き、見たことない物や新鮮な景色を見ると、なんだか自分が自分じゃないみたいに思えるものよ。

 さっきも言ったように、いまから話すのはそうした経験の一つなのだけれど……。
 あなたなら知っていると思うけれど、それぞれの土地、地方で、様々な信仰の場所ってあるものよね?




47 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:35:12.38 ID:DcuLRvTYo



 海外だと組織宗教が発達しているせいか寺院や教会以外のそういった信仰の地は少ないけれど、国内はそうじゃない。

 神社仏閣は当然として、山自体が神域だったり、巨石信仰といったものもある。
 道ばたの地蔵や稲荷堂なども目にするわね。

 それに、町中や自然の景色の中に、ふっと清らかな場所があったりもする。
 谷底に、色んな人が拝んでいたらしき場所が見えたり……。
 森の奥にある滝の脇に、社が建ってたりといったようにね。

 古い時代のものもあれば、いまでも綺麗に手入れされているものもある。
 あるいは、最近、誰かが新しく作った祭壇みたいなところもあったりする。

 そう、急になにかを感じ取って、新しい聖域を作り上げてしまう人というものはいるものなのよ。

 私はそれはそれでいいのだと思うわ。
 だって、古くからあるものだけがいいってわけじゃないでしょう?

 当然ながら、カルト宗教などに利用されるのは困りものだけれどね。




48 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:37:27.85 ID:DcuLRvTYo



 前置きが長くなったけれど、具体的な話に行きましょうか。

 今回は、そんな『新しい場所』に出会ったお話。

 とある地方の中心都市から、少し外れたあたり。
 そんなところをぶらぶら歩いてた時のこと。
 観光客相手に開けた場所に飽きたりすると、そうしたところを歩いたりするの。

 一人旅のいいところは、自分の好きなように動いても他人に迷惑をかけないですむことよね。
 まあ、コースを外れることが必ずしも良い結果になるとは限らないのだけれど……。

 ともあれ、そうして歩いていたら、ふと派手なのぼりが目に入ったの。
 真っ赤な地に白抜きで、とある名前が書いてあるもの。
 最後は洞窟の洞という字で……。
 要するに、そこにある洞窟が信仰の場所となっているらしいのね。

 興味を惹かれて、近づいていったわ。
 特にあてもなく歩いていたから。

 近くまで寄ってみると洞窟の中に、おばあさんの姿があったわ。
 入り口から遠くないところに椅子を置いて、腰掛けていたの。




49 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:39:20.60 ID:DcuLRvTYo



 にこにこと、実に福々しい笑顔をしてね。

『ここはどんな場所なんですか?』

 私がそう尋ねたら、おばあさんは待ってましたとばかりに話し始めたわ。

『ここは、あたしがお世話してる神さんがおられる場所なんです』

 おばあさんは楽しそうに私に語り出した。

 四十数年前にこの土地に住みはじめ、二十年ほど前に連れ合いを亡くした事。
 どうやって生きていこうかと考えて歩いていたら、この洞窟を見つけた事。

『最初見たときはね、昼間だから、なんだこんな場所もあるんだってくらいだったんですけどね』

 おばあさんはそこに至って声を潜めたわ。

『ところが、夜中に気晴らしに散歩に来てみたら……。きらっきらしとったんですわ』

 きらっきら。
 本当に目をきらきらさせながら、嬉しそうに繰り返すの。




50 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:41:02.06 ID:DcuLRvTYo



 よくよく聞いてみると、この洞窟は、夜になると光を放つというの。

 毎晩というわけでもないし、見える人も限られているけれど。
 でも、見えるときは、それはもう美しいと、彼女は主張していたわ。

『あたしゃ、それでわかったんですよ。ここの神さんのお世話をせにゃならんって』

 彼女は、寡婦で親戚も近くにいないことを身軽さに転じて、働きに働いたんですって。

 そうして、お金を貯め、洞窟を含む一帯の土地を手に入れた。
 それから、『お世話』を始めた……という経緯らしかったわ。

『お世話って言ってもね。ただ、汚れを掃き出して、たまに水をかけてやるくらいなんですけどね』

 どうやら、おばあさんは洞窟そのものをご神体のように考えているらしくて、下手に触らずに、ただ維持しようとしていたみたい。
 そうしていると、夜中、洞窟の中を舞う光たちが嬉しそうにしている、と彼女は言うの。




51 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:42:39.71 ID:DcuLRvTYo



『光はいくつもあるんですか?』
『ええ、ええ。楽しそうに踊ってますよ。ほら……蛍みたいにねえ』

 おばあさんは嬉しそうに……そう、まるではしゃぐように言っていた。

『あんたも夜中に、また来てくださいよう。きっと見えますよ』

 そう誘ってくる声も、本当に楽しそうだった。

 それから、しばらくおしゃべりをして、おばあさんの手製のパンフレットを買って、私はその場を離れたわ。
 パンフレットは大したものではなかったし、別に欲しかったわけでもないんだけど、話を聞かせてもらったお礼にね。




52 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:46:08.10 ID:DcuLRvTYo



 そうして、そのまま近くの店に入ったの。
 すると、店の人が妙な目で見てきたのよね。

『あんた、あのばあさんの洞窟に行ったんかい?』

 パンフレットをしまうところを見たのか、お店の人はそう尋ねてきた。
 だから、素直にそうだと答えたわ。

『夜中に来いと言われなかったかい?』

 それにも肯定の返事をすると、店の人は、ぱたぱたと手を振りながら、それはやめといたほうがいいと言うの。

 私は不審に思って、なぜかと尋ねたわ。
 おばあさんは、いい人そうに見えたけれど、と付け加えて。

『ああ、あのばあさんは悪くねえ。でも、ありゃあ、人がたくさん死んだ場所だから』

 思わず、え? って聞き返してしまったわ。
 そうしたら、店の人は、しかたないというように苦笑して、こう言ったっけ。

『あれは、防空壕だったの。ところが、すぐ近くに爆弾が落ちて……中の人は蒸し焼きだったってさ』




53 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:46:36.62 ID:DcuLRvTYo



 夜?

 ええ、いかなかったわ。
 申し訳ないけれど、ね。




54 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:47:22.67 ID:DcuLRvTYo




ほたる「人魂……でしょうか」

小梅「そうかもしれないし……。別のものかもしれない」

茄子「惠さんは見に行ってないようですからね」

小梅「実際は……そのおばあさんだけが見える……ってこともよくある」

ほたる「……幻、ですか?」

小梅「ううん。そういうことじゃなくて……。その場所で起きてることに波長の合う人は、おばあさん一人かもしれない……から」

茄子「防空壕で亡くなった方がおられるということとはまるで無関係になにかがあるかもしれませんしね」

小梅「そう……。それに……」

ほたる「それに?」




55 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:48:14.18 ID:DcuLRvTYo




小梅「人が住んでいる土地の近くで……人が死んでない場所なんて、ほとんど、ない、から……」

ほたる「そう言われると……」

茄子「本当に神様がおわすのかもしれません。少なくとも、おばあさんにとってはそこは紛れもない神域なのでしょうしね」

小梅「うん」

ほたる「ふうむ……」

茄子「ともあれ、なかなか味わい深いお話でした。では、次のコーナーでは、あまり広くは知られていない土着の信仰について……」


 第二十八夜 終




56 ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/29(木) 22:48:46.12 ID:DcuLRvTYo


 今日はパッションの人を出そうかと思っていたのですが、急に伊集院さんが来たので順番を変えてみました。
 ああ、それにしてもドイツ行きたい。




57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/08/29(木) 23:08:10.40 ID:sSjuldwSO


乙です
なんだか寂し…っていうのも違うな、珍しい類の読後感でした



転載元:小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377432933/

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コメント

コメント一覧

    • 1 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 02:37
    • おばあさんの世話のお陰でその光達が嬉しそうに輝いているというのなら、それは良い事なんだと受け取るべきだろうな。
      行くか行かないかは別にして。
    • 2 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 03:37
    • 何度見ても伊集院さんアンチエイジングしたようにしか見えない
    • 3 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 06:13
    • QIK(急に伊集院さんが来たので)
    • 4 名無しのプロデューサー
    • 2013年08月30日 17:43
    • 恐怖とは違う、なんか、こう…寂しさというか…
      お婆ちゃんはこれからどうなるんだろうなぁ
    • 5 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 18:18
    • 防空壕かあ… 実家の田舎にもあったな確か
      ただ、実際に空襲された事は無かったらしいので、
      俺のところだと何も起きないんだろうな
    • 6 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 20:59
    • イイハナシカナー?ってなるちょっと物悲しいお話でしたね
    • 7 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 22:14
    • 地元の人達は戦時中の史跡として残してて、
      惨劇の防空壕と知らないお婆さんが『光』と出会って、
      崇めてるけど、中までは入ろうとせず・・・
      『光』達にとってはどうなんだろうねコレ。
      本当は地元民の話でゾッと持ってかれる筈なのに、
      判断材料が足りないし、下手に補われても困るしなぁ
    • 8 名無し春香さん
    • 2013年08月30日 22:55
    • 触らぬ神に祟り無しとはいうものの、日本は奉れば神様になるからなぁ
    • 9
    • 2013年09月08日 21:12
    • こわすぎワロエナイ
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