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トップページCo > 二宮飛鳥「あの頃のボクは痛いヤツだった」

1: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 22:44:48.66 ID:m7W8Tygc0


二宮飛鳥(16)「あの頃のボクは痛いヤツだった」

飛鳥「なにせ自己紹介からこれだ。『ボクはアスカ。二宮飛鳥。ボクはキミのことを知らないけど、キミはボクを知っているのかい?』」

飛鳥「なんだこれは」

P「まあ痛いな」

飛鳥「そうだろう。今のボクならもっと違った挨拶をする」

P「へえ。どんな感じだ」

飛鳥「はじめまして、二宮飛鳥です」

P「ほう」

飛鳥「Though I don’t “know” you, do you “know” me?」

P「英訳しても痛いことにかわりはないぞ」

飛鳥「独訳は現在勉強中だ」

P「国際派なのは結構だが根本的な部分が変わってない」

P「knowを強調してるのが最高にcoolだな」

飛鳥「フッ、よさないかP」

P「やっぱり変わってないじゃないか」



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3: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 22:48:26.12 ID:m7W8Tygc0

二宮飛鳥(18)「あの頃のボクは痛いヤツだった」

飛鳥「複雑な己の心の内を、難解な言葉を並べて表現した気になっていたからね」

結城晴(16)「ふーん」


栗原ネネ(19)「それでですね。おかげさまで、妹も最近はすっかり元気になって……今は私のライブは全部見に行くんだーなんて張り切っちゃって」

的場梨沙(16)「よかったわね、病気治って。ついでにアタシのライブも見に来るよう言っといてよ」

堀裕子(20)「私もサイキックおまじないしたかいがありました! ……それにしても、ここのみんなでオーストラリアに行ったのも4年前なんですねー」

飛鳥「季節は移ろい、時は無情に過ぎ去っていく。そこに畏敬や感動を覚える間もなく、全てが変わりゆく」

飛鳥「けれどもその中で、こうして今もボクらは同じ空間にいる」

飛鳥「それもまた、ひとつの奇跡の軌跡――なのかもしれないね」

晴「……あんなこと言った割に、あんまり言葉の使い方変わってなくないか?」


4: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 22:52:25.78 ID:m7W8Tygc0

裕子「なるほど! つまり全部まとめてサイキックパワーってことですね!」

飛鳥「裕子は昔と変わらないな。何もかもが変わりゆく中、変わらないモノがひとつくらいあってもいいとボクは思う」

梨沙「心配しなくても、アンタも昔と変わってないわよ」

ネネ「ふふっ……久しぶりにみんなで集まったから、なんだか懐かしくなっちゃいました」

晴「まあ、オレ達も言うほど変わってないっていうか」

梨沙「何言ってんの。アタシと晴は背も伸びてナイスバディーになったじゃない」

梨沙「その点飛鳥は胸元がほとんどなーんにも」

飛鳥「そうだ梨沙。キミがオーストラリアの空の下でパパに会えなくて泣き叫んだ話のことだが」

梨沙「わーっ! わーっ!! やめなさいその話!」

晴「……変わってねーな。やっぱ」


6: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 22:57:58.80 ID:m7W8Tygc0

二宮飛鳥(20)「あの頃のボクは痛いヤツだった」

飛鳥「高いところが大好きで、冬だろうが雪が降っていようがビルの屋上に行くのが趣味だった」

飛鳥「アイドルは身体が資本だというのに、まったく子どもだったよ」

P「そうか」

P「ところで、今も休憩時間にフラっといなくなる時があるみたいだけど」

飛鳥「あぁ、あれは隣のビルに行っているんだ」

P「?」

飛鳥「毛皮のコート2枚とホットココアと手袋とホッカイロを完備して、景色を満喫するのさ」

飛鳥「これで風邪をひくリスクもなく、屋上の空気を味わえる」

P「高いところに行く癖は変わってないのな」

飛鳥「防寒に気を払っている部分は成長したと思わないかい」

P「根本的なところが変わってないと思う」


8: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:04:49.51 ID:m7W8Tygc0

二宮飛鳥(22)「あの頃のボクは痛いヤツだった」

飛鳥「苦いものが苦手なくせに、たまにむきになってコーヒーに挑戦していた」

飛鳥「そのたび砂糖とミルクを大量に投入して、コーヒーと呼べない代物を飲む羽目になったものさ」

神崎蘭子(22)「でも今はコーヒー飲めるんだよね?」

飛鳥「あぁ、常識的な砂糖の量でね。どうやら舌がオトナになったらしい」ゴクゴク

蘭子「私達がデビューしてから8年経つもんね。いろいろ成長したってことだね」

飛鳥「そうだね。……ところで蘭子」

蘭子「うん?」

飛鳥「キミはコーヒーに何も入れていないようだけど」

蘭子「あー、うん。私朝弱いから、しゃきっと目覚めるためにブラック飲むようになって……今はその味に慣れちゃったの」

飛鳥「そ、そうか……そうか。キミはブラックなのか、そうか」

森久保乃々(22)「(めっちゃくちゃ動揺しているように見えるんですけど……もりくぼはあえて触れません。めんどうなので)」


10: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:11:50.15 ID:m7W8Tygc0

飛鳥「………」チラッ

乃々「………」

飛鳥「………」チラッチラッ

乃々「………」

乃々「……わ、わたしはお砂糖3つ入れる派です」

飛鳥「……そうか。奇遇だな、ボクもそのくらいさ」フッ

乃々「(同レベルの仲間が見つかって安心している顔ですね……)」


11: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:15:03.73 ID:m7W8Tygc0

二宮飛鳥(24)「あの頃のボクは痛いヤツだった」

飛鳥「未知のセカイを渇望し、何かに抵抗し続ける日々を送っていた」

飛鳥「それは間違いなく、思春期特有の背伸び。天へ手を伸ばそうとするアレさ」

飛鳥「けれど同時に、そういった感情がボクをアイドルのセカイへ没頭させた。なぜならそこが新たな彩りに満ちた空間だったから」

飛鳥「だから……その渇望が色あせた瞬間が、ボクがこの道を降りる時になるだろうね」

P「……そうか」

P「ところで飛鳥。次のライブは空中ギミックを取り入れたパフォーマンスを検討中なんだが」

飛鳥「聞こう」ズイッ

P「その目の輝きが消えないうちは、引退もまだまだ先になりそうだな」ハハッ


13: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:17:29.04 ID:m7W8Tygc0



二宮飛鳥(26)「あの頃のボクは痛いヤツだった」



二宮飛鳥(28)「あの頃のボクは痛いヤツだった」


………
……


14: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:19:40.73 ID:m7W8Tygc0

「ねえねえ」

飛鳥「ん?」

「どうしてうちは、毎年ここにお花見にくるの?」

飛鳥「いやだったかい?」

「ううん、いやじゃないよ。ここの桜、とってもきれいだもん!」

飛鳥「そうか。それはよかった」

飛鳥「……昔、ここでパパと約束したんだ。また一緒に春を巡ろう、と」

飛鳥「それ以来、ボクらは毎年ここの桜を拝みに来ているというワケさ。そしてそのたびに、また同じ約束を結び直すんだ」

「へえ、そうなんだ!」


16: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:22:49.25 ID:m7W8Tygc0

P「おまたせ、飲み物買ってきたぞ」

「あたしコーヒー牛乳がいい!」

P「ああ、もちろんあるぞ。ほら」

「ありがとう、パパ!」

P「はい。お母さんにはブラックコーヒー」

飛鳥「ありがとう。お礼に今月のパパのおこづかいは3割カットしておくよ」

P「冗談です。ほんとは普通のお茶を買ってきました」

飛鳥「まったく」

「わー、めおとまんざいだー」

飛鳥「……どこでそんな言葉を覚えてきたんだい、マイドーター」

「梨沙おねーさんからです、マイマザー!」

飛鳥「そうか。今度電話して一言言っておこう」

P「……なあ。そのマイドーターとマイマザーって呼び方、いつまで続けるんだ?」

飛鳥「何か問題でも?」

P「いや、問題はないけどさ。いくらママって呼ばれるのが気恥ずかしいからって」

「そうなの、マイマザー?」

飛鳥「……ボクはただ、幼い頃から娘には英語に触れてもらおうと思っただけだ」

P「はいはい。相変わらず国際派だな、お母さんは」


17: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:25:39.06 ID:m7W8Tygc0

「あいかわらず?」

飛鳥「あぁ、それでいいよ」

飛鳥「あの頃のボクは痛いヤツだった」

「いまもでしょー?」

飛鳥「……はは、手厳しいね」

飛鳥「訂正しよう……あの頃のボクも、痛いヤツだった」

P「でも、それでいいんだろう?」

飛鳥「あぁ」

飛鳥「何もかもが変わりゆく中、変わらないモノがあってもいい。ボクはそう思うから」


18: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:29:46.51 ID:m7W8Tygc0

「あたしねー、大きくなったらアイドルになるの!」

P「いつもお母さんのアイドル時代の映像、一生懸命見てるもんな」

「うん! マイマザー、かわいくてかっこいい!」

飛鳥「娘にそんなこと言われる日が来るとはね……キミと出会った時は、想像もしなかった光景だ」

P「はは、だろうな」

「アイドルになったらね、ステージでこう言うの!」

P「なんて?」

「やみにのまれよ!」

飛鳥「」ガーン

P「こらこら、そこはお母さんの真似をしてあげなさい」

「?」

飛鳥「いいんだ。現役時代に印象的な言葉を残さなかったボクの責任だ……」

飛鳥「しかし、子どもの純粋な言葉の刃は深く突き刺さるものだね……」

P「ほら、お母さんすねちゃったぞ。こうなったら長いんだから」

「マイマザー、すねたらながーい」

飛鳥「ふふふ……」ドンヨリ

P「ああ、もう……」



P「やっぱりなんにも変わってないなあ」ハハハ


おしまい


19: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:33:57.37 ID:m7W8Tygc0

おまけ


「マイマザーの卵焼きだいすきー!」

飛鳥「………」

「からあげもすきー!」

飛鳥「………」

飛鳥「そ、そうかい?」ニヘラ


P「訂正。昔よりデレやすくなった」


23: ◆C2VTzcV58A 2015/12/30(水) 23:40:28.84 ID:m7W8Tygc0

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
飛鳥Pとして一年の締めは飛鳥のSSで終わらせたかった

今年は春のSRから音沙汰なし(アニメにはチラっといたけど)でやきもきしていましたが、最後の最後にどでかい花火を打ち上げてくれたので大満足です
来年は多分CD買うところから始まるのでしょう





転載元:二宮飛鳥「あの頃のボクは痛いヤツだった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451483088/
SS速報VIPのSS紹介です。

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コメント

コメント一覧

    • 1 名無し春香さん
    • 2015年12月31日 01:56
    • さりげなく結婚後も梨沙と親交続いてますね
    • 2
    • 2015年12月31日 05:34
    • 飛鳥のCD楽しみだ
    • 3
    • 2015年12月31日 07:41
    • ユッコは成人してもあんな感じなのか…(困惑)
      飛鳥君にはいつまでも自分のセカイを大切にしててほしいよね。いいSSでした!
    • 4 ななし
    • 2016年09月13日 06:11
    • 成長しても変わらねぇww
    • 5 名無し春香さん
    • 2016年11月20日 20:45
    • 唐突な闇のまに草
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