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トップページモバマス > シンデレラガールズ×ポケモンクロス クロノスライトストーリー

1: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:49:07 ID:9GJ

完全オリジナル地方でのアイドル達の冒険です。長丁場なシリーズになるでしょうが、完走を目指します。

では、第1話、よろしくおねがいします。



2: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:49:51 ID:9GJ

第1話 『Girl who can not make it.』


3: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:50:08 ID:9GJ

これから始まる物語は、いつかの時代、もしもの世界。

アイドルと呼ばれ、一世を風靡した少女達が、もしアイドルにならず、ポケモントレーナーとして旅に出たらという、全く未知の物語である。

主人公が暮らすのは、あらゆる地方のポケモンが集うと言う、夢の地方【グリモ地方】。

今、この地方の首都であるマギアシティでは、メインストリートの街頭ビジョンで、大々的にポケモンリーグのエキシビジョンマッチが映し出されていた……。


4: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:50:21 ID:9GJ


美波『みなみ、いきますっ! パルシェン、つららばり!』
nttamnm25

パルシェン『パルルッ!』ドシュンドシュンドシュン!

司会『あーっと美波選手守りから一転激しい攻勢に打って出たァ!』

美波『まだまだ……終わりませんッ!』

司会『パルシェンのとくせい、スキルリンクの効果で連射数が上がっている!これは果たして凌ぎきれるのかぁ~!』

ポツリ ポツリ ザアアアアア……


5: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:50:34 ID:9GJ


加蓮「…ん………雨、か。……空、晴れてるのに、変なの……」
hjkrn30

司会『ここで試合終了~!! 美波選手、惜しくも勝利に一歩及ばず……!』

加蓮「あ、終わってる……ついてないな……」

加蓮(いつも、そうなんだ)テクテク

加蓮(肝心な時に、間に合わない。肝心な時に限って、何かが邪魔をして。)

加蓮(いつだって、必死に頑張っても。周りから見られるのは、同情と、憐れみと……)

加蓮(だから、これから先もきっとアタシは……ずっと一人なんだと、思ってた。)

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6: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:50:58 ID:9GJ

Side 加蓮

~マギアシティ・加蓮私室~

加蓮「多い……」

加蓮母「それ、ちゃんと食べないとダメよ。お薬もあるんだから」

加蓮「わかってるけどさ……やっぱりちょっと多い……」

加蓮母「少しずつでも体力を付けなさいって、先生にも言われたでしょ。よく食べ、よく寝てよく動く。どう、今日はお散歩、行ってきた?」

加蓮「…アイス買いにね」

加蓮母「ま、それじゃ入らないわけだわ…」

加蓮「いいでしょ、病院じゃなかなか食べられなかったんだし……しかもヒウンアイスだよ、イッシュ地方からの限定販売カーが来てたの、それで…」

加蓮母「ご飯が食べられなくなっちゃった、と……仕方ないわね。せめてお薬はちゃんと飲んで……加蓮?」

コンコン コンコン

加蓮母「あらやだ、窓から音が」

加蓮「…アンタ、また来ちゃったの?」

チルット「チルッ」プルプルプル

加蓮「わぷ、水が……」

加蓮母「あらぁ、病院にいた時からずっとこっそり餌付けしてた子じゃない。名前はえーと」

加蓮「チルットだよ。この地方じゃ珍しいみたい」

チルット「チルル」モグモグモグ

加蓮「あ……もう、勝手に……」


7: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:51:24 ID:9GJ

加蓮母「どうせ残すつもりだったんでしょ。素直になりなさいな」

加蓮「この季節までここにいるって事は、渡りを失敗したか…食べ物に目がくらんだか、方向音痴なのか………もしかして全部だったりして」

チルット「チルゥー」ケフー

加蓮「アンタはいいね、悩みとかなさそうで、お気楽でさ…」モフモフ

チルット「チル? チル!」パタパタパタ

加蓮「……お腹パンパンで飛べてないし」

チルット「チルゥ」

加蓮母「まぁまぁ、良いじゃないの、今晩くらい泊めてあげなさいな、外は雨なんだし」

加蓮「はぁ……ま、ご飯残した分無駄にならないからアタシは楽だけどね」

チルット「チルル♪」

加蓮母「加蓮のご飯はちゃんと作ります、その子とは別にちゃーんと。だから残さず食べるのよ」

加蓮「ええ……ダメぇ…?」

チルット「チルル♪」トテトテトテ ピョン

加蓮「あ、ベッド汚さないでよ。えとタオルタオル……」

加蓮母「ふふ……」

加蓮「何笑ってんの?」

加蓮母「いえね、まるでそうしてると、ポケモン連れて旅に出てって…普通の女の子みたいだなって」

加蓮「……普通、ね。」

チルット「チル?」

加蓮「出てって、電気、消すから」

加蓮母「ちゃんと歯磨きしなさいね」

加蓮「もう、わかったから」グイグイ パタン

加蓮「……はぁ」


8: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:51:40 ID:9GJ

チルット「チルル…? チル チルル」

加蓮「間に合わなかったんだよね、結局。ヒウンアイス……売り切れてて」

チルット「チル…」

加蓮「何やってもそう。努力すれば夢は叶うとか、願い続ければ何とかなるとかさ、バカみたいって思うじゃん」

加蓮「……なのに何でか……身体、いきなり良くなっちゃうんだもん」ボフッ

※加蓮は枕を抱きしめた……。

加蓮「諦めるにはまだ早いって事なのかな……神様ってのはワガママだね…」

チルット「チル……」スリスリ

加蓮「…アンタも、アタシが可哀想な子だって思う?」

チルット「チル?」

加蓮「……何て、わかんないか、そゆの」ヒョイッ

チルット「チール!」ニパッ

加蓮「……アタシも、飛べたらいいのに」


窓の外は、雨。
まるでいつまでも出られない、鳥籠の格子の目みたいに、ずうっと。

ずうっと降り続いてたんだ。


9: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:51:53 ID:9GJ

Side 未央



小さい頃から、兄ちゃんのお下がりでって、男の子の服ばっかり着せられてた。

別に嫌じゃなかったけど、たまには女の子女の子した格好もしてみたかったなって。

でも、毎日泥だらけの擦り傷だらけで遊ぶような子だったから、もしかしたらそんな格好させても1日でダメにしちゃってたかもしんない。

ハッ、まさかそれを見越してお母さんは…?
やるな、マイマザー…!


10: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:52:06 ID:9GJ

幼未央「はっはっは!しっぽ巻いて帰るかい、おとうとよー!」

未央弟「ねーちゃんずりー!マントは交代で付けるって言っただろー!」

幼未央「そう、わたしはポケモンリーグのチャンピオンなのだー!!!」

未央弟「ねーちゃん!!」


懐かしいなぁ……って、流石に今はやり過ぎだったってわかってるし、弟にも優しくしてるよ?……たぶん。きっと。おそらく……。


11: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:52:19 ID:9GJ

話は変わるけど、私が育った町……ステラタウンは、中央のマギアシティから少し外れにあって、ビミョーに田舎なんだ。

私が生まれる頃にはもう廃れちゃってたみたいだけど、昔は土地神様をたたえるお祭りみたいな事もやってたりして。

若い人、皆マギアシティみたいなおっきな街に旅に出ちゃうから、それも仕方ないのかなあ……なんて。

でも私は、一人で儀式の祭壇がある広場に、よく来てたんだ。

理由は………えっと、笑わないでくれると、嬉しいんだけど……絶対笑うよね、うん……。

ええい、ままよ!
そう、この場所なら誰にも見られずに堂々とマントをはためかせて、あのカントー・ジョウト地方のチャンピオン、ドラゴンつかいのワタル師匠(せんせー)の真似ができるからなのだよ!!


12: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:52:37 ID:9GJ


未央「いっくよー!りゅーすけ、はかいこうせんっ!」ボンッ
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でんじはを繰り出すミニリュウ「ウリュー!」バリバリバリ

未央「続けて……必殺、ドラゴンダーイブ!」

小ジャンプしてのしかかるミニリュウ「リュー!」ピョンコ

未央「おわぁ、こっちじゃないよりゅーすけ、うひゃあ!」ドサッ

ミニリュウ「リュー♪」

未央「んもー……服汚して、またお母さんに怒られるよー」

未央「……ぷっ、りゅーすけ、顔に土はねてるっ」

ミニリュウ「リュー? リュー」フキフキ

未央「あ、こら、私の服で拭くんじゃなーい!」

【うるさいなぁ……せっかくいい気持ちで寝てたのに……】

未央「へっ?……何、この声」

ミニリュウ「リュ?」


13: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:52:57 ID:9GJ

【ふぁ………千年ぶり……くらいになるのかな……最近はお祭りもしなくなってたし……静かに眠れると思ったんだけどなー……】

未央「千年の眠り……お祭り……?」

未央「もっ、ももももも、もしかして星神様!?ご、ごめんなさい、ここなら誰にも見られないからつい調子に乗って……!!」

【んー……べつにそれはいいよ……お祭りの方がよっぽどやかましいし、いまさらだしね…】

未央「星神様、お祭り嫌いなんですか……?」

ミニリュウ「リュー?」

【嫌いじゃないけど……皆で願いを書いてお祈りしたりするでしょ? それ、叶わなかったらボクのせいなんだよ…?】

【やってらんないよ、ニンゲンは勝手なんだから……】

未央「ありゃあ………星神様、結構な人間不信っぽいなぁ……」

ミニリュウ「リュー…」

未央「ねえ星神様、ここで遊んでたのは許してもらえたけど……人間にはいい人もいっぱいいるんだよ!」

【そうかなあ、ワガママで自分勝手なのがニンゲンだと思うんだけど】

未央「……じゃ、じゃあさ……!」

未央「星神様、私と……一緒に旅をしてみませんかっ!?」

ミニリュウ「リュー!?」


14: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:53:24 ID:9GJ

【旅?】

未央「そう、この世界を……グリモ地方を一回りするの! 私、いつか旅に出て、有名なポケモンチャンピオンみたいな、凄いトレーナーになるのが夢なんだ!」

未央「きっと色んな人と出逢うだろうし……どうかな、一緒に行かないかな?」

【行かない】

未央「うわ即答……行きましょうよー」

ミニリュウ「リュー」

【自分で行かなくても、ボク、念力でここから全部見えるから、わざわざ行く必要がないんだよね】

未央「うわあ、便利だけど横着だ……」

【そんなに言うならさ、キミの冒険、ボクが見ててあげるよ】

未央「……ホントに?」

【うん。今の時代のニンゲンがどんな感じなのかとか、キョーミ湧いてきちゃったし、何だか眠気も覚めてきたし】

未央「な、なら!是非見守っていていただけると……!!」

ミニリュウ「リュー!」

【いいけど、堅苦しいなぁ……肩がこるよ…】

未央「えと……?」

【キミは…トモダチにあだ名を付けるニンゲンみたいだね、ならボクにもあだ名で、軽く接してほしいなぁ】

未央「うおっ、そんな事までご存知とは……もしかして心を読まれたのかっ!?」

ミニリュウ「リュー……」

【カミサマだからこれくらいはねー】

未央「カミサマ……星神様……ね、ねえ!」

【んー?】

未央「星神様の、ホントの名前って……聞いてもいい?」

【んー、そっか、あだ名だもんね】

【ボクの名前は………】


15: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:53:47 ID:9GJ

~~~~~


未央「よ~っし、旅の準備、よしっ!」グググ……

未央弟「ねーちゃん、そのバカでかいリュック……何」

未央「何って、トレーナー修行の必需品だよ……まずポスターでしょ、ヌイグルミ、ゲーム機一式にソフトたくさんと、それからバットにボールと漫画の本と……」

未央弟「勝手に弟のゲーム機持っていくなよ!ってか、詰めすぎだろっ!」

ミニリュウ「リュー…」

【幸先悪いなぁ……大丈夫なの、ミオ】

未央「へーきへーきっ! りゅーすけもジラちんも心配しないで大丈夫だから!」

未央「よし、これでどうだっ。ウェストポーチに飲み物とお財布とガイドブック、あと超圧縮の携帯寝袋!」

未央弟「いいんじゃない?ポケモン、捕まえないつもりならだけど」

未央「うわ、モンスターボール入れてなかった!!」バタバタバタ

【ミオって、一人でお祭り並みにやかましいね】

ミニリュウ「リュー」

未央「よーし、今度こそ!!冒険に、出発だー!」

ミニリュウ「リュー!」

未央弟「風邪ひいたりすんなよ~」

未央「大丈夫ー!!」フリフリ スベッ ドテッ

未央「大丈夫ー!」フリフリ ムクリ タタタタッ

未央弟「はぁ、ホント大丈夫かな……何か、声が聴こえるとかも言ってたし……」

未央弟「無事で帰ってこいよ、ねーちゃん」


16: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:53:58 ID:9GJ

かくして、一人の少女、未央は旅に出た。

相棒のミニリュウ、そして姿なき神様の声とともに、今、グリモ地方をめぐる彼女の冒険が幕を開けるのであった!!

……なんてね? 


17: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:54:11 ID:9GJ

~それから数日後・マギアシティ~

未央「ついた~!! いやぁ、思えば長い道のりでした……よよよ……」

ジラーチ【隣町でしょ、ここ】

未央「ジラちんつめたーい。こういうのはね、すべからく雰囲気が大事なんだよ、ノリだよノリ!」

ジラーチ【ふーん…? それにしても、広そうなところだね、適当に歩くと迷子になりそうだ】

未央「大丈夫だよ、同じ人が住む街なんだし、わかんなければ聞いてみればいいんだって♪ それゆけゴーゴー♪」

ジラーチ【……ま、いいけどさ】


18: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:54:31 ID:9GJ

~2時間後~

未央「迷子じゃ~……」

ジラーチ【ほらみたことか】

未央「うう、だってガイドブックもあるし、人に聞いたりもしたんだよ、見てたでしょ?」

ジラーチ【赤い屋根の建物だっけ、あちこちにあるけど】

未央「そう!ポケモンセンターなんて1つの街に1つが普通でしょ? ポケモンセンターを右に行けばジム、って言われたけどさ……この街ポケモンセンターだけで6、7軒くらいあるんだよ!!」

ジラーチ【だから迷うって言ったのに】

未央「うー……今もどこ歩いてるのかよくわかんないし……建物多過ぎて地図がわかんない……」ムムム

未央「よし、もう一回!もう一回チャレンジしよう!」

ジラーチ【ま、好きにすればいいんじゃない? 休む建物は6、7軒あるんでしょ】

未央「うう……確かにポケモンセンターだけは困りそうもないね……」

未央「よし、あそこにいる女の子に聞いてくるよ。あのー!」

加蓮「……ん、アタシ?」

チルット「チル?」


19: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:54:51 ID:9GJ

未央(わ、なんか都会って感じの娘……)

加蓮「……なんか用? そこに立たれると邪魔なんだけど」

ジラーチ【ほら、道】

未央「あ、そうだそうだ……あのですね、マギアシティのポケモンジムって言うのはどちらに……」

ジラーチ【何で敬語……】

未央「うるさいな、何か大人っぽいし雰囲気あるんだもんこの子」

加蓮「………? 誰かと話してる?」

未央「あ、ううん、別にこっちの話、こっちの…」

加蓮「ふーん……ジムだっけ。 あの真ん中の一番大きな建物、見える?」

未央「ほうほう、あのいわゆる高層ビルみたいな……?」

加蓮「正確には時計塔なんだけど、改築してビルにしちゃったんだよね。まぁいいや、散歩のついでだし、来て」

未央「え」

加蓮「アタシ、あそこの街頭ビジョンで試合観に行くの。ついでだから」

未央「街頭ビジョン………と、都会だ………」


20: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:55:04 ID:9GJ

ジラーチ【とりあえず、何とかなりそうみたいだね。あの子、顔付きちょっと怖そうだけどけっこう優しいじゃん】

未央「しっ、聞かれたら怒られちゃうよジラちん!」

ジラーチ【ミオにしか聞こえないんだってば】

未央「あ。そうだった」ポンッ

加蓮「……来るの、来ないの?」

未央「わわ、はいはい、今行きますー!」

未央(って言うか、建物があんな目立つなら迷う必要なかったのに……うう、都会の洗礼だぁ……)


21: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:55:26 ID:9GJ

~ジム前~

※街頭ビジョンは今日も試合の様子を映し出している……。

美世『エンジン全開!いっけええ!フレアドラーイブ!!』

司会『美世選手のゴウカザル渾身の一撃だぁ!これは立っていられないーっ!』

未央「すご……この美世って人がジムリーダーなのかな…」

加蓮「この映像は、ここ何年かのポケモンリーグのエキシビジョンマッチ。公式戦の映像だけど、ここのじゃないよ」

未央「そ、そうなんだ……よかった…あんな強そうな人といきなりは無理だって……」

加蓮「とりあえず、ジムの場所はわかったでしょ? じゃあアタシ行くから」

未央「え、うん、ありがと………って、えっ」

加蓮「何?」

未央「試合、見ていくんじゃないのー?」

加蓮「いいよ、この試合の映像なら、何回も見たし、結果も何もわかってるから」スタスタ

未央「そ、そうなんだ……えと、ありがとー!」

加蓮「………」フリフリ

チルット「チル」パタパタ

ジラーチ【……見かけによらず、親切なんだね】

未央「都会の子って感じだなあ……何か、凄いなあ……」

ジラーチ【…それはそうと、試合だか何だかに出るんじゃないの?】

未央「わ、そうだったそうだった! 受付は……あっちか! もー迷わないぞー!」

ジラーチ【前に見えてればそれはね】

未央「たのもーっ!!」


22: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:57:06 ID:9GJ

Side 加蓮


加蓮「……ガラにもないおせっかい、焼いちゃったかな」

チルット「チル?」パタパタ

加蓮「まぁでも、そんな簡単にジムリーダーに勝てたら何の苦労もないんだけどさ…」ハァ

チルット「チール」ポスポス

加蓮「もー、頭、叩かないでよ。髪乱れるから…」

ポツリ

加蓮「げ………やばっ」

ポツリ ポツリ…… 

ザアアアアア

加蓮「また雨ぇ……!? 何で最近こんなに降るの~!」スタタタ

チルット「チルル チルル」パタパタ パタパタ

加蓮「もう、アンタ羽根濡れると乾かすの大変なんだからボールに入りなってば!」

チルット「チルル!」プイッ

加蓮「ちゃんとアタシの手持ちになったわけでもないのに毎日毎日ご飯だけは食べるんだから……もー……」

チルット「チル……!」ペシャ

加蓮「ほら、羽根が水吸って飛べなくなってんじゃん、ポケモンセンターポケモンセンター……」

加蓮「一番近いのさっき行ったジムの向こうだし!」スタタタ


23: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:57:32 ID:9GJ

チルット「チルー……」ムー

加蓮「あーもう、すぐにドライヤーしてあげるから!もー、ビミョーに重いのよアンタは……」スタタタ ……ピタッ

チルット「チル?」

加蓮「……あの子、大丈夫かな……」

チルット「チル……」

加蓮「……確か、こっちの路地裏だった…でも流石に避難してるよ……ね」

加蓮「……まだ小さかったし……無理……?」

チルット「チル……」

加蓮「………っ!」ダッ!

チルット「チルル!」


24: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:58:10 ID:9GJ

Side 未央

~ジム前~

未央「ええーっ!? ゆ、ユニット制……?」

受付「はい、グリモ地方ではジムに挑む際、トレーナー2人もしくは3人と、ポケモン3体でユニットを組んでいただいてるのですが…ご存じなかったですか?」

未央「う……それは……私、ジム戦ってばカントーとかジョウト地方のルールしかしらなくて……」アハハ

受付「当地方の8つのジムは、いずれもこのユニット制を採用しています。メンバーが足りないのであれば、参加は……」

未央「う~、そっかあ………そうなんだ……」

ジラーチ【今は引き下がったほうがいいよ、受付の人、困ってるし】

未央「はーい……うう……何ならさっきの綺麗な子にユニットのお願いしておくんだったなあ」

ジラーチ【前もって調べなかったミオが悪いね】

未央「調べてたよ~、カントーとジョウトのは……」

ジラーチ【…はぁ、まぁいいけど……それより、帰るにしても雨みたいだよ】

未央「わー、傘持ってない……」

ジラーチ【あれだけ荷物纏めてたのに!?】

未央「傘も一緒に、置いてきちゃった、かな?」テヘッ

ジラーチ【呆れを通り越して笑いに変わるね】フッ

未央「すげー冷めた笑いが聞こえたぞジラちん」

加蓮「ハァ、ハァ………」スタタタ

未央「あれ、あの子はさっきの……」

ジラーチ【お仲間だね、傘持ってないじゃん】

未央「……ううん、傘なら手に持ってるよ、させないんだ、あの子…」

加蓮「もう少しでポケモンセンターだからね……頑張れ……!」

びしょ濡れのヒノアラシ「ヒノ……ヒノ…」フー…フー…


25: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:58:32 ID:9GJ

チルット「チル……」ベショッ

加蓮「まろ!ちょっと、しっかりして!」

まろと呼ばれたチルット「チルー……」グッタリ

加蓮「……っ……行かなきゃ……あっ」フラッ

加蓮「やば……アタシまで……」クラッ……

未央「わわ、お姉さん!」ダキッ

加蓮「……アンタは……」

未央「ポケモンセンター、だよね、あっち!あ、傘とこの子、私が」

まろ「チルー……」

加蓮「……ゴメン、ありがと……肩、借りていい……?」ハァ…ハァ…

未央(顔色が……?)

未央「う、うん! よし、ポケモンセンター、急がなくちゃ!」

ザアアアアア………


26: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:58:48 ID:9GJ

Side 加蓮

~数日前、マギアシティ・昼~

加蓮「ん……美味し」サクサク

チルット「チルー」パタパタ

加蓮「ダメダメ、これはアタシが少ないお小遣いでやっと買ったんだもん。アンタは朝ご飯のデザートまで食べちゃったでしょ」

チルット「チルー」ムー

加蓮「……一本だけだよ、ほら」

チルット「チル!」サクサク

加蓮「……フライドポテトってこんな美味しかったんだね。TVで見た感じ、ただの揚げた芋なのにさ」

チルット「チル」クイクイ

加蓮「なに、もう残り少ないんだから……」

チルット「チルー チルル!」

加蓮「向こう? こんな路地裏に、何かあるの…?」


27: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:59:07 ID:9GJ

~路地裏~

ヒノアラシ「ヒノ……」キュルル

加蓮「捨てポケモン……か…ダンボールも何もないけど…」

ヒノアラシ「ヒノ……?」

加蓮「この街大きいから、わりとよくある光景だけど……流石に…」

加蓮「ほら、『おいしいみず』とポテト」

ヒノアラシ「ヒノ!」ハグハグゴキュゴキュ

チルット「チルー」シュン

加蓮「…ポテト食べたいんだろけど、アタシのもなくなったんだからワガママ言わないの」

ヒノアラシ「ヒノー」ケフー

加蓮「冷たい様だけど……アタシ達、行くね」

ヒノアラシ「ヒノ」

加蓮「アタシ、正式なポケモントレーナーとかじゃないし、このチルットもボールに入ってない、ただの知り合いみたいなものだから」 

加蓮「……いい人に拾われなよ、アンタ、見るからに強そうだしさ」ヨシヨシ


28: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:59:25 ID:9GJ

加蓮「……いくよ、まろ」

まろと呼ばれたチルット「チル…」

加蓮「……早く」

まろ「チル」パタパタ

加蓮(キリ、ないもん……迷子や捨て子を拾ったって、アタシの取り分が減るだけ、損するだけ……)ギリッ…

加蓮(……これで良かったのかなんて……迷う必要、ないでしょ)スタタタ……

まろ「チルー」パタパタパタパタ

~~~~~


29: ◆6RLd267PvQ 19/07/03(水)23:59:40 ID:9GJ

~そして、雨の日の今日~

びしょ濡れヒノアラシ「ヒノ……ヒノ…」ゼー ゼー

加蓮「……っ!」ダキッ

ヒノアラシ「ヒノ?」

加蓮「アタシさ……いつも間に合わないんだよね…」

加蓮「ずっと燻ってた。どうしたら良かったか、悩んで……」

加蓮「こないだアンタ見た日からわかってたのにね、バカみたい」ギュッ

ヒノアラシ「ヒノォ」ニコッ

加蓮「まろ、少し詰めて」

まろ「チルー」

加蓮「これは濡れて行くしかないよね……アタシの身体、もってよ……」

タタタタタ……


30: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:00:02 ID:gU7

Side 未央

~現在・ポケモンセンター~

まろ「チルル♪」フワフワ

未央「あはは、すっかり羽根も元通りだね。」

胸を叩くまろ「チール♪」ポフ

未央「でも……あのお姉さんと、ヒノアラシ……大丈夫なのかな」

※『治療中』のライトが赤々と点灯している…。

楓「物凄い雨ですね……そのままだと、かぜを引いていかんぜい、ですよ」ハイッ
tkgkked27

未央「え、わわっ、タオル?」

楓「私も雨宿りに来たんですけど、タクシーで帰宅しようにも、どうやら予約がいっぱいみたいで……」

未央「あ、そうなんですか……私はいいけど、あのお姉さん、どうしよかな……」


31: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:00:30 ID:gU7

楓「あの子……加蓮ちゃんの事ですか?」

未央「え、お姉さん、あの子のこと…?」

楓「ええ、小さい頃からよく知っています。同じ街に住む……幼馴染、と言うのかはわかりませんが」

楓「私はしばらく旅に出ていた時期もありますし。でも……」

楓「彼女、本当ならこうやって街を歩けるような身体じゃなかったんです」

未央「え……」

楓「私からあまり多くは話せませんけれど……仲良くしてあげてください、お願いします」ペコリ

未央「あ、お姉さん、名前は……」

楓「楓と言います。名乗るほどの者ではありませんけれど、ふふっ」

未央「楓さん……えと、あの、私、未央って言います!タオル、ありがとうございます」

楓「未央ちゃん、ですか。未央ちゃん、もしかして旅の途中……なのかしら」

未央「え、あ、はい、始めたばかりですけど……」

楓「旅……そうですね、折角ですし」

楓「……未央ちゃんが、加蓮ちゃんを連れ出してくれませんか? この街から」

未央「連れ出してって………ええっ!?」


32: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:00:52 ID:gU7

加蓮「…楓さん、何勝手言ってんの」

まろ「チル!」パタパタ

未央「あ、身体…大丈夫?」

加蓮「うん、平気。軽い貧血だから……ってか、楓さん…話したでしょ、アタシの事」

楓「すみません、心配そうにしてる未央ちゃんを放っておけなかったので」

未央「あ、聞いちゃまずかったかな……」

加蓮「いいよ、別に。さっきので身体弱いのバレてるだろうし……この街じゃアタシ、わりと有名人だし」

未央「有名人…?」

加蓮「不治の病からある日突然治っちゃって原因もよくわかんない、奇跡の子とかってニュース報道までされたんだよね、大袈裟に」

未央「……ジラちん何かしたんじゃないの?」

ジラーチ【叶えた願いまでいちいち覚えてないから知らないよ。したかもだし、してないかもだし】

未央「……まぁ、それはいいか。って言うか、じゃあ…話聞いてた?」

加蓮「旅に出ろって話でしょ? ……で、言った本人はもう消えてるし」

未央「え、あれ、ホントだ」

加蓮「昔から、神出鬼没と言うか、ふらふらっとどこかに行っては何かしでかして帰ってくる……あの人のほうがよっぽど有名人だよ、このマギアシティじゃね」

未央「そ、そうなんだ……凄い綺麗なひとって感じだったけど」

加蓮「見た目はね。真面目な顔して、今日の洗濯物の事とかで頭の中いっぱいだったりするよ、あの人。……さっきも買い物袋提げてたし」

未央「せ、洗濯物……」


33: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:01:14 ID:gU7

加蓮「この雨じゃ、ポケモンセンターに泊まるにも部屋はいっぱいだし……助けてくれたお礼もしなきゃだし……それと」

受付「はい、こちらお預かりしたポケモンのモンスターボールになります。」

加蓮「……何か、間に合っちゃったみたいだし、さ」

未央「それ、さっきのヒノアラシの…?」

加蓮「うん、今日からは、アタシのうちの子。決めたの」

加蓮「……助けて貰えてさ、おかげで、色々踏ん切り付けられた。ありがと」

未央「え……あ、ううん、こっちも、どういたしましてだよ、道案内とか、他にも色々…」

加蓮「じゃ、いこっか」

未央「え、行くって…?」

加蓮「タクシー、止まってる。たぶん楓さんがタクシー屋さんに無理言ったんだろけど」

未央「か、かえ姉様、強いんだね……」

加蓮「ぷっ、何その呼び方。……ほら、まろも行くよ」ヒョイッ

未央「あ、でも、て言うか私ホテルとか泊まるお金は……」

加蓮「アタシのうちに帰るの。お礼くらいさせてよ、未央」

未央「……!」

未央「う、うんっ!じゃあお言葉に甘えちゃう!よろしくね、かれん!」

まろ「チルルー」

ジラーチ【運が良いのか、悪いのか。……多分天然で良いんだろうね。まぁ、何よりだけど】


34: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:01:45 ID:gU7

※こうして、加蓮の家に厄介になることになった、旅人・未央。

彼女達の行く末が、果たしてどうなるのか。

まだ見ぬ旅の仲間達、まだ見ぬポケモン達を夢見て。



彼女達の旅は、次回へ続く!



第1話 了


35: ◆6RLd267PvQ 19/07/04(木)00:03:12 ID:gU7

と、こんな感じでプロローグ、お届けしました。

雨降る時計の大都会、マギアシティ。
果たしてどんな出逢いが待っているのやら。

では、今回はこの辺で。

お目汚し、失礼をば。


転載元:シンデレラガールズ×ポケモンクロス クロノスライトストーリー
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1562165347/

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