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トップページモバマス > 白菊ほたる「しあわせ警報発令中」

1: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:26:25 ID:8IN

○某年4月18日/某芸能事務所

白菊ほたる「き、今日からこの事務所でお世話になる、白菊ほたるです! よろしくお願いします!」
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関裕美「あ、プロデューサーさんが言ってた新人さんだね」
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ほたる「は、はい」

裕美「私は裕美。関裕美。まだデビュー前の研修生だよ」

ほたる「関さん……よ、よろしくお願いします」

裕美「裕美でいいよ」

ほたる「……あ、ありがとうございます、裕美、さん」

裕美「今の間はなあに?」

ほたる「きっ、気にしないでください」

裕美(じっ)

ほたる「ほ、本当になんでもない、ので……」

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2: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:26:50 ID:8IN


裕美「それならいいんだけど……でも、うれしいな。白菊さんが来てくれて」

ほたる「えっ?」

裕美「うちの事務所っておねえさんばっかりなんだもん。ずっと、同じくらいの歳の子が居てくれたらなあって思っていたの」

ほたる「そうだったんですか……」

裕美「ね、私、貴女とお友達になりたいな……ほたるちゃんって呼んでもいい?」

ほたる「は、はい、私も……カハアッ!?」

裕美「ほ、ほたるちゃんが、ほたるちゃんが血を吐いたー!?」

P「(だだだだだ、ばたーん!)裕美、白菊さんと話すのは少し待つ……しまった、遅かったか!!」

ほたる(ぴくぴく)

裕美「ぷ、プロデューサーさん、これは一体どういうことなの? 白菊さんは大丈夫なの?」

P「うむ、実はな……(ほわんほわんほわん)」


3: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:27:14 ID:8IN

(以下回想始め)



プロデューサー「……よし、ではこれで手続きは終わりだ。改めて我が事務所にようこそ、白菊さん」

白菊ほたる「は、はい! よろしくおねがいします」

P「しばらくは研修生としてレッスンを積んでもらう事になると思う。うちの事務所はそのへん厳しいから覚悟するように」

ほたる「はい。どんな困難があってもやり通す覚悟です」

P「うん、いい顔だ……ところで、ひとつ聞いておきたいことがあるんだが」

ほたる「何でしょう」

P「白菊さんは女子寮に入るわけだけど、アレルギーとか健康上の注意事項とかあるかい?」

ほたる「あっ、すみません。あります」

P「いや、気にしないで。知らずに食べられない物とか出しちゃったら大変だからな……それで何かな? アレルギーとか?」

ほたる「はい。私、幸せだと死にます」

P「なるほど幸せだと死にま、死ぬう!?」


4: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:27:39 ID:8IN


ほたる「ご、ごめんなさい、死ぬは大げさでした」

P「ああよかった。そうだろうね。そりゃそうだよね」

ほたる「正確には過度に幸せだと命に危険が」

P「そんなことってある!?」

ほたる「?」

P「いやなんでキョトンとした顔してるんだい。幸せだと死ぬって何事だい。普通逆じゃないのかい」

ほたる「プロデューサーさん、落ち着いて。おちついてください」

P「俺の落ち着きを奪ってるのは君だからね?」

ほたる「まあ聞いてください。これには深い事情があるんです」

P「聞こう」

ほたる「私、不幸体質で。私の周りでは不幸せなことばかりが起きて……」

P「うん、知ってる。スカウトするにあたって親御さんにじっくり話を聞いたから」

ほたる「不幸なことばかり起きる。それはつまり、幸せなことが周囲に無かったということです」

P「同じ事だよな」

ほたる「ところで、淡水に棲む魚を急に海に入れると浸透圧の関係で死んじゃうってご存じですか」

P「さあ嫌な予感がしてきたぞ」

ほたる「それと同じことで、長年幸せ無しで生きてきた私は、突然予想外の幸せに晒されると体質上生命に危険が及ぶのです」

P「そんな体質ってあり?」

ほたる「最初から私も両親も不幸『体質』とお伝えしていたとおもいますが……」

P「言ってたわ。確かに言ってた」


5: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:27:56 ID:8IN


ほたる「実際、なにもかも諦めて訪れた北海道でひょっこりプロデューサーさんにスカウトしていただいた後は三日間生死の境をさまよったぐらいで」

P「うわあ知りたくなかったなあその話」

ほたる「ただ、私だってアイドルを目指す女の子。いつまでもこのままではまずいと思っています」

P「全くだよ。アイドル活動に重大な支障ありだよ」

ほたる「そういうわけで、あの。徐々に慣らして行きたいのでいい知らせや幸せはできるだけ私から遠ざけていただければ」

P「そんな要望を出してくるアイドルは白菊さんが初めてだよ」

ほたる「私をアイドルと言ってくれるんですか?」

P「もちろんだ。君には才能がある。道のりは平坦じゃないだろうが、必ずすごいアイドルになれると信じているよ」

ほたる「うれしいですカハアッ!?」

P「白菊さんが血を吐いた!?」

ほたる「そ、そういう嬉しいことはもっとこう遠回しに、小出しに」

P「す、すまん。しかしこれ大丈夫なのか? 君うちの事務所でやってけるの?」

ほたる「が、がんばります。毎日少しずつ幸せを摂取して体を慣らしていけば、きっと……」

P「毎日毒を呑んでるとそのうち効かなくなるってあれデマだからね?」

ほたる「がんばります! がんばりますから!!」

P「うーん、確かに君ほどの金の卵をみすみす手放すのは惜しいしなあ」

ほたる「嬉しコフッ!?」

P「白菊さんの顔が真っ白に! いやもともと透き通るように色が白いけど!!」

ほたる「小出しで、小出しでお願いします! アイドルになる前に死んじゃうから!」

P「す、すまん、わかった!!」


(以上回想終わり)


6: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:28:25 ID:8IN


P「……というわけなんだ」

裕美「そんな大事なこと伝え忘れるなんてあり!?」

P「す、すまん裕美!」

裕美「ふんだ、プロデューサーさんなんか大嫌い!!」

P(ガーン!!)

ほたる「ぷ、プロデューサーさんを責めないでください。待ちきれずに出てきた私が悪いんです」

裕美「ほたるちゃん、もう大丈夫なの?」

ほたる「はい、辛うじて致命傷で済みました」

P「だめじゃん!?」

裕美「あんなに血を吐いたのに大丈夫なんて、ほんとう?」

ほたる「はい。長年不幸な目に逢い続けてきてタフネスと回復力には自信があるんです。即死さえ免れればあとはなんとか」

P「その耐久力を幸福への耐性に役立ててほしかったなあ」

裕美「でも、幸せなのがダメなんて、どうしたらいいんだろう。私友達になりたいのに」

ほたる「コフッ」

裕美「わああごめん、ごめんねっ!?」


7: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:28:38 ID:8IN


ほたる「ひ、裕美さんの提案はうれしいのですが、私が慣れるまではこう、路傍の石程度に扱っていただければ」

裕美「私そういうのできない!?」

ほたる「お願いです!! 私の命を助けると思って!!」

P「そうだぞ裕美。かわいい女の子に冷たい目で見られるのは一部の人にとってはご褒美なんだぞ」

裕美「プロデューサーさんは黙ってて」

P「ごめんなさい」

鷹富士茄子「(ドアガチャー)こんにちは。今日から新人の子が来るって聞いてたんですが」
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ほたる「ガフウッ!?」

茄子「なにごと!?」

P「茄子さんの顔を見ただけで!?」

裕美「ほ、ほたるちゃんがなんか痙攣してるー!?」

P「た、担架、担架ー!!」


8: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:28:55 ID:8IN


○その夜/女子寮・鷹富士茄子個室

裕美「……というわけだったの」

茄子「なるほど、そういう訳だったんですね」

裕美「茄子さん、あんまり驚いてない?」

茄子「目の前で吐血された時はさすがに驚きましたが」

裕美「私も!心臓止まるかと思った……」

茄子「ほたるちゃんは、大丈夫なんでしょうかね」

裕美「うん、さっきプロデューサーさんから電話があって、すっかり回復してるって」

茄子「それはそれですごいなあ……」

裕美「……でも、どうしよう」

茄子「どうしよう、って?」

裕美「仲良くしたいし、一緒に楽しいことしたいのに。ほたるちゃんがああだと、やっぱり距離を取ったほうがいいのかな」

茄子「ふふふ」

裕美「? 茄子さん、どうして笑うの?」


9: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:29:19 ID:8IN


茄子「はい。裕美ちゃんもほたるちゃんも可愛いなあ、って」

裕美「もう。まじめな話なんだよ」

茄子「ごめんなさい。でも本当にそう思うんです……ほたるちゃんの事を考えてあげる裕美ちゃんも可愛いし、体調崩しちゃうほたるちゃんも可愛いなって」

裕美「そこだけ聞くと、すごくどうかと思うんだけど」

茄子「だって、裕美ちゃんが友達になりたいって言ってくれたのが、とっても嬉しかったって事でしょう?」

裕美「……ああ」

茄子「喀血したのはともかくとして……ううん、違うかな」

裕美「?」

茄子「吐血したり苦しい思いをするとわかってて、それでも裕美ちゃんの言葉を素直に嬉しいと思えるって、素敵な事だと思いませんか」

裕美「……思う、けど」

茄子「はい」

裕美「思うけど、どうしてあんな風なのかな。幸せになると苦しむなんて、どうしてなんだろう」

茄子「……世の中にはね、裕美ちゃん。幸せを怖いと言う人がいるんですよ」

裕美「茄子さん……?」


10: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:29:32 ID:8IN


茄子「自分に幸せが来るはずないと思ってるから。幸せが明日にも失われるかも知れないと不安だから。降って湧いた幸せが、むしろ悪い事につながるんじゃないかと心配で……怖い。そう思う人が、いるんです」

裕美「……」

茄子「ほたるちゃんも、もしかしたらそうなのかもしれませんね。幸せになるのが、不安だから。失われるのが怖いから。だから心が辛くて、調子が悪くなっちゃうのかも」

裕美「……だったら、どうしたらいいの?」

茄子「幸せは怖くないんだって、知ってもらうことだと思いますよ。裕美ちゃんの思いやりは、なくなったりしないんだって。ずっと、少しずつ……」

裕美「できるかな」

茄子「大変かも知れませんよ。すごく、色々な不幸に見舞われた子だという話のようですし」

裕美「でも……解ってほしいな。友達に、なりたいな」

茄子「裕美ちゃんは、いい子ですね」

裕美「もう。そういうの、なし(///)」

茄子「ふふふ、ごめんなさい……じゃあお詫びに、いい事教えてあげますね」

裕美「いい事?」

茄子「はい。事務所の『所属タレント紹介』が更新されてたんですけれど、明日は、ほたるちゃんの……」


11: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:29:47 ID:8IN

○翌4月19日/女子寮・白菊ほたる自室

ほたる(……その朝、ドアのところでコトリと軽い音がして、私は目をさましました)

ほたる(ぼんやりした足取りでドアを開けても、誰もいません)

ほたる(かわりに、ドアノブには可愛らしい紙袋がかけてありました)

ほたる(紙袋には、『ほたるちゃんへ』と書かれていました)

ほたる(袋の中には、きらきら光るビーズのブレスレット。そして、一通の手紙)

ほたる(差出人は……関裕美さん)

ほたる(私はあわてて、便箋を開きました。そこには、柔らかい文字で私宛のメッセージがつづられていました)

裕美『お揃いで作りました。着けてくれたら嬉しいです……お誕生日、おめでとう』

ほたる(私は、手紙をぎゅっと胸に抱きました)

ほたる(暖かい気持ちが、幸せな気持ちが。その時だけは、何故かちっとも怖く感じられなくて)

ほたる(私はずっと、手紙を抱いて、あたたかな気持ちをかみしめていました……)

(おしまい)


12: ◆cgcCmk1QIM 20/04/19(日)10:31:06 ID:8IN

最後まで読んでくださってありがとうございました。


転載元:白菊ほたる「しあわせ警報発令中」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1587259585/

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