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トップページモバマス > 南条光「アタシが悪役! ……そっ、それは本当か!?」

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:43:46.83 ID:miC0JGUC0


モバP「監督さんが、どうしても光の悪役を撮ってみたいらしくってな。すまな……光?」

光「…………」

モバP「嫌ならちゃんと交渉をするが」

光「……ふふふふふふふ……」

モバP「光?」

光「……悪役、キターーッ!」

モバP「なに!?」



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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:51:36.11 ID:miC0JGUC0


光「悪役は演技力を試されるんだ。こんなに燃えることはない……やらせてよ、P!」

モバP「いや、もう引き受けてる。事後承諾になったのは申し訳ない」

光「なら良かった。Pなら外したりしないからな! スケジュールは?」

モバP「このように」

光「ふんふん。了解!」メモメモ

モバP「それにしても意外だ。悪役をそんなに喜ぶなんて」

光「前に心さんが言ってたんだけどさ、ヒーローのカッコいい活躍には、悪役が必要なんだ」

モバP「みんなが正義の心を持てばいい、は?」

光「それはそれ。いい画にするためには、ライバルが必要なんだよ!」

モバP「確かに、ヒールのいないプロレスは味気ないだろうな」

光「うん。強い悪役がヒーローを引き立てるから、より応援したくなるんだ」

モバP「ライバルの重要性というわけだな。必要な資料があったら早めに連絡をくれ」

光「『そんなもの必要ない。私は私の力で演じる』」キリッ

モバP「おお、もう役作りか」

光「早いに越したことはないからな。もっと、もっと急がなきゃなんだ、それじゃっ!」ダッ

モバP「気をつけてなー」

バタン

モバP「まったく。足下が見えてないんだから、光は……」


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:58:08.60 ID:miC0JGUC0


中庭

光(……飛び出したはいいけど、悪役に必要な物ってなんなんだろう)

光(ライバルなんだから、カッコよくないとダメだよね。あと、たいてい独りで行動してた。誰にも頼らない強さかぁ)

光(……あれ、それってヒーローと同じなんじゃないか? ヒーローはたとえ独りでも戦うものなんだし)

光(じゃあ、悪役とヒーローのどこに差があるんだろう。人を愛する心があるかどうか? いや仲間を大事するライバルはいる。知らない誰かを守る心? うーん……)

ビュオッ

ヒラリヒラリ

光「うおっ。……いい桜なのに、もう散っちゃうんだなぁ」

??「万物流転の理に従って、ね。散りゆくカタチを嘆いても、この世は無常なりと……」

光「飛鳥か?」クルッ


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:06:31.36 ID:miC0JGUC0


飛鳥「ごきげんよう。どうかしたのかい?」

光「どうしてそう思うんだ?」

飛鳥「顔を見れば一瞬で理解るよ」

光「たは……なんか超能力みたいだな」

飛鳥「滅相もないよ。キミに似合わない顔をしていればね」

光「そうなのか?」

飛鳥「そうさ。ボクが聞いてもいい話なら、聞かせて欲しいな」

光(……一人で考えたって、ドツボにはまるだけだよな。よし!)

光「うん。実はさー」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:14:04.57 ID:miC0JGUC0


………………
…………
……

飛鳥「何が善悪の差を感じさせるか、か」

光「見たら一目でわかるのにな。モヤモヤしてるんじゃダメな仕事になるし、きっちり言葉にしたいんだ」

飛鳥「言葉に出来ないフィーリングのままに、とは思わないのかい?」

光「言葉にすると、すっきり目標が見えるだろ? 言葉にはそういう力があるから」

飛鳥「正しい理屈だね。けど、それだけが正しいと思うかい」

光「思わない。正義だって沢山あるし」

飛鳥「セイギに関して、一日の長があるみたいだね。……でも、これで一つゴールに近づいた」

光「近づいたのか?」

飛鳥「両者が正義を表題してるにも関わらず、どうして『神の視点』から善悪の区別がつくのか。ヒーローが『神の視点』の味方である以上の理由とは何か、とね」

光「おお……わかりやすくなったような、そうじゃないような!」

飛鳥「キミが言ったことを要約しただけだよ」

光「してくれたのが嬉しいんだよ。わかりやすくなったし」

飛鳥「その誉め方は、こそばゆくなるね」

光「へへー」

飛鳥「誉めてない」

光「……そうなのか?」ショボーン

飛鳥「落ち込まないで欲しいな……」


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:22:50.09 ID:miC0JGUC0


飛鳥「まぁつまり。キミは、正しさが正しさである為に必要なものは何、と求めているんだね」

光「そう……かも!」

飛鳥「明文化されたようで何よりだよ」

光「サンキュッ! 簡単には見つからないけど、探してみる!」

飛鳥「行くのかい?」

光「うん。走ってる時、一番頭が回るんだっ!」

飛鳥「キミが立ち向かうのは、芸と孤独の深淵だ。それを理解して、進むのかと聞いているんだ」

光「当たり前だろ。もっと強くなって、皆を笑顔にしたいから!」

飛鳥「皆じゃなく、キミだけに聞いてるんだ」

光「皆の笑顔は、アタシのエネルギー源なんだよ!」

飛鳥「……ならボクはキミに、yellを送らせて貰うよ」

光「あ、それ最近習った。応援だったよね?」

飛鳥「…………」

光「……どうして黙るんだ?」

飛鳥「応援しようか、考え直そうかな……」プイッ

光「何でーっ!?」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:27:59.17 ID:miC0JGUC0


飛鳥「冗談さ。ただ、ボクなりにヒントを送りたくてね」

光「聞かせて聞かせて!」

飛鳥「聞き上手は長生きするよ、長生きすればね。……桜は散るから風情がある、ってことかな」

光「風情って?」

飛鳥「年中通して桜が咲いていたとすれば、桜は春のシンボルでは無くなるだろう?」

光「確かに、特別って感じが無くなるよな」

飛鳥「そう。散ること自体に意味があるとしたら?」

光「……滅びの美学!」

飛鳥「イグザクトリィ」パチン


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:33:56.15 ID:miC0JGUC0


光「そっか、それを意識して演じてみる!」

飛鳥「グッドラック。迷っても動き続けるなら、どこかで描いてた理想と希望が出会うはずだから……」

光「そういうものだろ?」

飛鳥「む、不要だったみたいだね。彼方に見えるセカイを、彩ってみせてくれ」

光「任せろ。アタシは、立ち止まったりしないから! ……ところでさ」

飛鳥「ン?」



光「そろそろ降りたら?」

飛鳥(樹の上)「……この場所が懐かしくなるような、予感がしてるんだ。もう少し……」プルプル

光「大丈夫、飛鳥なら降りられるって! こい!」バッチコーイ!

飛鳥「こわい」

光「自分を信じろ! 飛鳥は本当に強いんだから!」

ワーギャー!……


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:38:27.40 ID:miC0JGUC0


………………
…………
……


数日後


撮影所

監督「プロデューサー、南条の雰囲気が変わったな?」

モバP「三日会わずんば刮目せよって、誉めてあげてください。仕事のたびに伸びる子ですよ、ウチの南条光は」

監督「こんな時にまで売り込みかい」

モバP「そりゃしますよ。何卒よろしくお願いしますね」

監督「言われるまでもない。打てば響くようで、撮っていて面白いのだよ……じゃ、そろそろ」

モバP「はい」

監督「本番五秒前! 四! 三! 二! 一! ーーアクションッ!」カチンッ

『ーー戦え。私で正義を証明しろ!』


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:44:55.53 ID:miC0JGUC0


撮影後:控え室

モバP「お疲れさま。ゾクゾクする名演だった」

光「ホント?」

モバP「ホント。良く練り込んであった」

光「っしゃあ! 特訓の甲斐があったぜっ!」

モバP「いつもそれだな」

光「それ以外の何があるんだ? ……あのさ、ちょっといい?」

モバP「何が?」

光「特訓中、色々考えてみたんだ。ヒーローと悪役の違いをさ」

モバP「人を傷つけるとか、どうとか?」

光「それはヒーローも同じなんだ。だから、結局、後になってみないとわかんないんだ……だから!」

光「P! ずっと、カッコいいPでいてくれるか?」

モバP「善処しよう。それだけか?」

光「うんっ、それだけ!」

モバP「そうか」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:52:23.40 ID:miC0JGUC0


光(たった独りでも戦うヒーローと、孤高を貫くライバルの違いがやっとわかった。自分を信じるのがヒーローで、自分しか信じられないのが悪役なんだ)

光(そして、自分しか信じていなかったら、アタシだって道を踏み外す……自分は正義を貫いてると、信じたまんまにだ)

光(でも。自分以上に信じられるものがあれば、きっと道を間違えない。正しさが正しさである為に必要なのは、自分の運命すら任せられるくらいに信じられる人なんだ!)

光「Pには、飛鳥には、皆には、そんな人であり続けて欲しい!」

モバP「どうした?」

光「決意を決めたんだ。さぁ、そろそろ行くぞっ!」

モバP「別にいいが、今日はもうあがりだろう?」

光「飛鳥にさ、特訓のお礼をしたいんだ。だから、急ぎたいんだよ!」

モバP「飛鳥は別の現場だが……」

光「だから急ぐんだろ?」

モバP「いや、今日は飛鳥に用事は無い予定だったから、一昨日くらいに言ってくれれば調整したのに」

光「……ホント?」ヒヤッ

モバP「ホント。電話かけるから、先に車に向かってくれ」

光「おうっ! すぐに来てくれよーーっ!」タッタッタッタ

モバP「はーい」ピポパポ

バタン

モバP「……三日も離れてないのに、刮目させられたな。もしもし俺だ、いや詐欺じゃない。待って切らないでーー」

おわり


転載元:南条光「アタシが悪役! ……そっ、それは本当か!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428752626/

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