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トップページCo > 神谷奈緒「…分かった」

1: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:35:13.34 ID:8VCA+pRD0

神谷奈緒「…もういい、好きにしろよ」

諦めと言うよりも、憐憫に近いその言葉が誰に向かって発せられたのか、
そしてその言葉が何を意味するのか、突如発せられたその言葉に混乱した頭では
理解するのに時間が必要だった。

モバP(以下P)「へっ…?」

情けない声を出してしまった。





2: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:36:11.31 ID:8VCA+pRD0

奈緒「だーかーら!!好きにしろって言ったの!!」

しかしその情けない一言のおかげで混乱した思考回路が繋がった。

奈緒の言葉が許可の言葉だったと理解したが、
その言葉は本当に自分に向けれらた言葉であったのか、
これは不味い一手になることも考えられたのに、口にしてしまった。


P「だ、だってあんなに嫌がってただろ!?」

奈緒「…もういいよ。あたしが折れないとプロデューサーさん、
ずーっとそうしてるんだろ?たまの休日だってのに」

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3: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:37:11.13 ID:8VCA+pRD0

P「ま、まあそう…なるな。で、でもだな!」

奈緒「じゃあこの話は無しってことでいいか?」


ま、不味い!!何としても、奈緒の気持ちが変わる前に!!


P「いや!!!是非にお願いしたい!!!!」

奈緒「はぁ…やるなら早くしてよ。課題やんなきゃいけないんだから」

P「ああ!!」

奈緒「…約束、忘れるなよ?」

P「勿論!もう、いくらでも、どんだけでも言え!!」

奈緒「ふぅ…………じゃあ……その…どうぞ…」

………………

…………

……


4: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:38:10.63 ID:8VCA+pRD0

温暖化が問題視されてから随分と年月が経つが、
この日本もその影響を感じざるを得ない今日この頃のこの暑さ。

吹く風も熱気を孕み、湿度の高さを実感する。

アスファルトの大地、ビル群、室外機の熱風が更にその温度を高くし、
対策をしなくては安全に過ごすことが出来ないそんな季節。


でも、その全てに私は感謝をする。


5: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:38:59.96 ID:8VCA+pRD0

太陽よありがとう。
アスファルトよ、ビル群よ、室外機の温風よ、
考えられうる全ての気温上昇の原因に私は感謝を。

神と人が与えたもうその恵みを、私は今、一つ、そしてまた一つと受け取るのだ。


意識が遠くへ行く感覚が、一つ、また一つ受け取る度に強くなる。

深く、より深く、深淵を覗き込もうとしてまた一つ、私は受け取る。

決してその深淵の底に辿り着けるはずもないのに、
求道者のように、私はただ感謝と享受を繰り返し、
ひたすらにその深淵の底を目指して進み続ける。


6: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:39:48.51 ID:8VCA+pRD0

無意識のうちに私は腕に力を籠めてしまっていた。

強く、きつく、壊れてしまうくらいに激しく、そして何より愛を籠めて。

全てが満たされていく。

明日がたまの休日で、同僚と飲みに行き、いつもより長く睡眠をとり、
優雅な読書時間、夏服を買いに行くのもよかったなどと、
他の欲求を満たすことが出来たかもしれない。


しかし、そんな選択肢を全て捨て去ったとしても、有り余るほどの喜びが私を満たしていく。


7: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:40:35.55 ID:8VCA+pRD0

昨晩の18時から21時まで、今日の9時から12時まで、
ただひたすらに土下座をし続けた甲斐があった。

いや、そんなもので良いのであれば、私はいくらでも土下座をし続ける。


ここは地上の楽園。それ以上の言葉が私には思いつかない。


8: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:41:12.70 ID:8VCA+pRD0


奈緒「な…なあ、もうそろそr…」

P「まっだああらあふぁ!!!」

奈緒「ひぃ!!」

P「す、sまふぁああい…。もうしぃうおgこぎこおまうぇあで!!」

奈緒「あ、はい」


9: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:41:56.99 ID:8VCA+pRD0

私はまた一つ、大きく深呼吸をする。

傍から見たらただの変質者だろう。

それで構わない。構わないさ!!

夏の暑さで蒸れた奈緒の髪の中に頭を突っ込み、私はその恵みをふんだんに享受する。

芳しくも甘く、太陽と奈緒の匂いが混ざった、至高の香りがここにはある。

そしてまた一つ、大きく深呼吸をする。

意識が遠くなる感覚が更に深まる。


10: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:42:51.37 ID:8VCA+pRD0

膝には奈緒の重みを感じるし、
無意識のうちに抱きしめた小さな体からは彼女の熱を感じ、
一呼吸一呼吸、奈緒の香りに包まれる。


気づけば涙を流している自分がいる。

しかし、それは当たり前だ。

これほどの至高を知り、涙しない者がいるだろうか。

これを至高と言わずして何を至高と言うのだろうか。


11: ◆LV1QS555XE 2016/07/14(木) 00:43:54.13 ID:8VCA+pRD0

流れる涙を止めようとせず、私はひたすらに深呼吸を続ける。

この幸せがどこまでも続けばいいのに、そう思う気持ちが口をついてしまう。


P「結婚しよう」

奈緒「へ…っはぁぁぁぁbんそいうrなえあえあれあgbfvr?!!!」



膝の上で暴れる奈緒を強く抱きしめ、そしてまた一つ深呼吸をする。

ああ、幸せだ。

意識は深い底へ沈んでいく。

神谷奈緒という深淵へ。




転載元:神谷奈緒「…分かった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468424113/



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