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トップページCu > 緒方智絵里「ユーフォリア」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 21:58:05.47 ID:t7kGj39d0

―事務所―



ガチャッ

P「おはようございま~す」スタスタ

智絵里「おはようございます、プロデューサーさん」

P「おはよう智絵里。ええと、今日のスケジュールは…」


…プロデューサーさんが好き。どうしようもないくらい…好き。

プロデューサーさんに話しかけられる度、嬉しさで胸がいっぱいになる。

いつからかは分からいけど、私を拾ってくれて、私を理解してくれて…

こんな気持ちになったのはプロデューサーさんが初めてだ。

私の目に映るプロデューサーさんはいつも優しくて、かっこいいけど…

プロデューサーさんの目には、私はどう映ってるんだろう。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:00:21.88 ID:t7kGj39d0

P「…今日はこんな感じかな。今日もよろしく、智絵里」

智絵里「はい!よろしくお願いします…」


…でも、私はアイドルで、Pさんはプロデューサーだから、この恋は叶わないんだなって。

私のわがままでプロデューサーさんを困らせたくないから…。

これは叶わない恋なんだと自分に言い聞かせて、胸の内にしまい込む。

でも、その思いは日に日に膨らんでいくばかりで――


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:02:30.74 ID:t7kGj39d0

―別の日の事務所―



美穂「智絵里ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」


美穂ちゃん…急に深刻そうな顔してどうしたんだろう…


美穂「智絵里ちゃんは、自分のプロデューサーさんのこと…どう思ってるの?」

智絵里「…ええっ!?プ、プロデューサーさんのこと!?」ビクッ

美穂「わわっ…ご、ごめんね、急に変なこと聞いて…」


…私がプロデューサーさんをどう思ってるかなんて決まってる。

好きだ、好きでたまらない。

でも…

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5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:06:34.15 ID:t7kGj39d0

智絵里「…プロデューサーさんはいい人だよ。優しいし…」


この思いは胸の内にしまい込むって決めたから、ちょっとありきたりな返事をしてしまう。


美穂「そうなんだ…そっか、そうだよね…。
……実は私ね、プロデューサーさんのこと…好きなんだ」

智絵里「!!!」

美穂「でも…この間、プロデューサーとアイドルのスキャンダルがあった時、『アイドルとプロデューサーが恋愛なんてな~…ダメですよねぇ』
みたいな話をちひろさんとしてるのを偶然聞いちゃって…。
そしたら私、どうしていいか分からなくなっちゃって…智絵里ちゃんになら相談してもいいかなって」


そうだったんだ…美穂ちゃんも、私と同じような悩みを…


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:09:10.86 ID:t7kGj39d0

智絵里「…美穂ちゃんは、自分のプロデューサーさんのこと、どれぐらい好き?」


私もどうしたらいいか分からなくなって、ありきたりな返事をしてしまう。

だって私だって…プロデューサーさんのこと…


美穂「うーん…どれくらい…。
やっぱり一緒にいる時間が長いからかな?段々惹かれてったというか。
でも、一度好きって気づいちゃったら止められなくなって…いつプロデューサーさんに気づかれるのか怖くて…」


…私と同じ、私もプロデューサーさんに思いを気づかれるのが怖い。

もし気づかれたら、この日常が壊れていくような気がして…


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:11:57.56 ID:t7kGj39d0

???「…気づかれてもいいんじゃないですか?」

みほちえり「ち、ちひろさん!?」

ちひろ「お二人がしてたお話…ちょっと盗み聞きしちゃいました!」


ちひろさん…相変わらずまた…


ちひろ「美穂ちゃん、どうして気づかれるのが怖いんですか?」

美穂「私はアイドルで、Pさんはプロデューサーだから…。
プロデューサーさんにもし思いを伝えたとしても、Pさんは優しいから…どう断るか悩んじゃいます」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:13:40.64 ID:t7kGj39d0


ちひろ「なんで断られるって思ってるんですか?」

美穂「…この前プロデューサーさんが、アイドルとプロデューサーのスキャンダルは~…って」

ちひろ「あら、あの時の話を…」

ちひろ「大丈夫ですよ、美穂ちゃん。あれはプロデューサーさんの本心じゃないと思います。…なんとなくですけど」

ちひろ「それに、もしバレたら無理矢理黙らせればいいんですから!」

智絵里「む、無理矢理…」

美穂「ちひろさん…笑顔が怖いですよ…」ビクビク


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:15:14.15 ID:t7kGj39d0


ガチャッ


美穂P「お疲れ様で~すっと…美穂、そろそろ次の仕事の時間が」

美穂「あっ!もうそんな時間…すぐいきます~!
ごめんね智絵里ちゃん、また…」スタスタ

智絵里「頑張ってね!美穂ちゃん!」フリフリ



智絵里「……」



……


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:20:08.86 ID:t7kGj39d0


プロデューサーさんが、私を受け入れてくれるという可能性。

今まで、届かない恋なんだって思ってきたのに、ずっと胸の中にしまい込んできたのに。

一度考えだしたら止められない。

頭の中が、心の中が、プロデューサーさんでいっぱいになる。

…期待しちゃダメ。

期待すればする程、受け入れてくれなかった時の悲しみが大きくなるから…

でもそれは、単なるやせ我慢で――


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:23:23.18 ID:t7kGj39d0


―しばらく経ったある日―



P「…智絵里、久しぶりに仕事早く終わったし、送ってこうか?」

智絵里「は、はい!お願いします」

P「送ってく途中、ちょっと寄りたい所があるんだけど…」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:25:21.83 ID:t7kGj39d0


―日が暮れた人気のない公園―



P「……」

智絵里「……」


…久しぶりにプロデューサーさんと二人きりになる。

事務所に入った頃はもっとプロデューサーさんと一緒にいる時間が多かったのに。

最近はプロデューサーさんも私も忙しくなって…

アイドルとして売れてきたのは嬉しい。

でも、昔の事を思い出すとちょっぴり悲しくなる。


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:30:00.80 ID:t7kGj39d0


事務所に入ったばかりの時、まだおどおどしてた私に優しく接してくれたプロデューサーさん。

失敗した時も、落ち込んだ時も、まだ子供の私を励ましてくれて、見捨てないでくれて…

プロデューサーさんと過ごした日々を思い出してたら、心臓が飛び出そうなくらいドキドキしてくる。

こんなにドキドキするのは初めてかも知れない。

美穂ちゃんと事務所でお互いのプロデューサーさんのことを話してから、さらに抑えきれなくなった気持ちが溢れそうだ。

こんなにドキドキしてるのに気づかれたら…

気持ちが溢れそうになってるのに気づかれたら…

……気づいて欲しい……


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:33:43.88 ID:t7kGj39d0


P「…なあ、智絵里」

智絵里「ひゃっ!?ひゃい!?!?」

P「おわ…ど、どうした智絵里、どんなに驚いて」

智絵里「すっ、すみません!考え事してて…」

P「さっきちひろさんに言われたんだ、『智絵里ちゃん、最近なんだか上の空みたいで…』って。
だから、智絵里とちょっと話したいと思ってさ」


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:38:42.75 ID:t7kGj39d0


ちひろさん、やっぱり薄々気づいてたのかな。

プロデューサーさん、私のために時間を作ってくれて…

なるべくプロデューサーさんには心配かけさせたくないのに、私は…

でも、我儘なのは分かってるけど、プロデューサーさんと話せるという喜びのほうが大きかった。


P「何か最近困ったことでもあったのか?溜め込むのも良くないし、話せることならはn「プロデューサーさんはっ!」」


気持ちが高ぶって押さえられない。

食って掛かるように声を荒げてしまう。


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:41:58.33 ID:t7kGj39d0


智絵里「…プロデューサーさんは、なんでこんな私に優しくしてくれるんですか…?」

智絵里「お仕事とかレッスンがうまくいかなかった時も怒らないで…」


…そんな事は分かってるのに。

プロデューサーさんは優しいって…


P「…智絵里は、いつも仕事とかレッスンで失敗した時、ちゃんと何がいかないか考えて反省してるだろ?
物事を真剣にやって、それでも失敗しても、ちゃんと反省してる人間に怒れるほど俺は偉い人間じゃないよ」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:45:16.41 ID:t7kGj39d0



ああ…そっか…プロデューサーさんは

優しいだけじゃなくて、私のことも考えて…


P「誰にだって失敗はある。智絵里はいつも頑張ってるって、俺はちゃんと見てるぞ」

智絵里「…プロデューサーさん…私っ…私は…っ…」


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:48:30.80 ID:t7kGj39d0


プロデューサーさんへの思いが、ずっとしまってた思いがとうとう溢れだしてしまった。

溢れた思いが、涙にって止めどなく流れる。

手で顔を覆っても涙は止まらない。

歯を食いしばっても声が漏れる。

頭の中がぐるぐるして、自分がどこで何をしているかすらあやふやになる。

分かったのは、プロデューサーさんが私の頭を撫でている事だけで―


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 22:52:06.00 ID:t7kGj39d0


P「…泣きたいときは思いっきり泣けばいいさ。
泣きたいときは思いっきり泣いて、笑いたいときは思いっきり笑って…。
自分に素直になるのも大事だぞ?」


自分に……素直に……


智絵里「…っく…うぅっ……き……っ…で……」

P「……智絵里?」


ダメ…ダメなのに……


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:02:08.01 ID:t7kGj39d0


智絵里「……です……好きです……Pさん……好きです………」

P「……」


とうとう言ってしまった。

いままでずっと溜めて、我慢してきた想いをうわ言のように繰り返す。


智絵里「好き…っ…です……大好き……です……。
でもっ……好きだから……っ…迷惑になると……」


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:07:51.16 ID:t7kGj39d0


ギュッ


智絵里「……!!」

P「…全然、迷惑なんかじゃない。
ごめん、智絵里。こんなに悩んでるのに、今まで気づいてやれなくて…」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:10:19.61 ID:t7kGj39d0



P「智絵里、俺も好きだ…大好きだ」

智絵里「……ぁああぁあああぁ…っ!うぅうぅっっっ………!」


23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:18:45.52 ID:t7kGj39d0


涙が枯れるほど泣いた。

声が枯れるほど泣いた。

プロデューサーさんの体温が、思いが肌を通して伝わってくる。

それはとても温かくて、優しくて…

今まで溜め込み続けた思いを、プロデューサーさんへの思いを吐き出し続ける。

もう悲しくならないように、後悔しないように。

かけがえのないこの思いは、いつまでも、きっと変わらないから。


24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:23:13.49 ID:t7kGj39d0


P「…今はまだ公にはできないけど、もしその時が来たら…よろしくな」

智絵理「はいっ……はい……っ…」


私は今日、プロデューサーさんから、幸せを貰った。


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:29:00.80 ID:t7kGj39d0


―数日後の事務所―



美穂「智絵里ちゃん、なんだか最近いつもニコニコしてるね!」キラキラ

智絵里「そ、そうかな…えへへ…」ツヤツヤ

美穂「…何か楽しいことでもあったの?」

智絵里「うーん……毎日楽しくて、幸せな気持ち…だからかな?」

美穂「…えっ」キョトン


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:30:31.65 ID:t7kGj39d0


ガチャッ


P「智絵里ー、そろそろいくぞー!」

智絵里「分かりましたっ!ぷろd……Pさんっ!」スタスタ

美穂「……私も頑張って見ようかなあ…」



……


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/18(月) 23:36:22.75 ID:t7kGj39d0


Pさんと心が繋がって、世界が…今までより明るく見える気がした。

Pさんから優しさを、幸せ路貰って、輝きが広がった気がした。

私も、Pさんに優しさをあげたいから…

Pさんと巡り会えた奇跡を感じながら、

いつまでも一緒に歩いて行こう。

ねっ、Pさんっ!



―終―





転載元:緒方智絵里「ユーフォリア」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468846516/



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