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2: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:05:23 ID:lS4

【双葉杏のだらだら飯】


3: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:09:15 ID:lS4

中までじっくり火が通るような蒸し暑さの中で、双葉杏は目を覚ました。

昨晩は風が涼しく冷房も勿体無いと思われたが、東京の陽射しはやはり侮れない。

寝巻きも下着が肌にはりついて心地がわるい。

それ以上に髪が顔にへばりつくし、まつげが汗で重い。

杏は窓とカーテンを閉め切って、エアコンのスイッチを入れた。

はじめは24℃で部屋を冷やして、それから29℃に上げるつもりである。

キンキンに冷やしておきたいのが本音であるが、それでは外に出たとき体調を崩しかねない。


4: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:10:10 ID:lS4

みるみる汗が引いていき、代わりに空腹がこみ上げてくる。

そう言えば、昨晩はろくなものを食べていない。

面倒だ面倒だと言って、最近生きることさえおろそかにしている。

倒れて病院だの点滴だのの厄介になるのは、もっと面倒。

杏は台所に向かった。

棚にはレトルトカレーやカップ麺があるけれども、お湯を沸かすのすら億劫。

ため息をつきながら、冷蔵庫の中を見る。

家事不精なものだから、やはりろくなものはない。

大袋の飴、エナジーゼリー、栄養ドリンク、いつ買ったのか忘れた牛乳…。


5: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:11:35 ID:lS4

今は朝6時。

プロダクションに足を運んだところで、朝食にはありつけない。

コンビニが近くにあるが、また戻ってくるのが苦痛。

しょうがなく、杏は冷蔵庫をばたばたとひっくり返して、

朝食をひねりだした。

缶コーヒーのような大きさ。

ラベルにはトウモロコシと、とろりとしたポタージュの写真。

コーンポタージュ。

なぜ冷蔵庫に入っているのかというと、

杏の工夫ではなくて、そういうものだからだ。

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6: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:14:56 ID:lS4

ポッカサッポロ 『じっくりコトコト シャキシャキコーンの冷たいポタージュ』。

どっちだよとツッコミをいれるのすらだるく、杏はキャップをひねった。

賞味期限は切れていないが一応、鼻を近づけてみる。。

むっとするような、いわゆるコーンポタージュ嫌いが敬遠するような

においはしない。

口をつけて飲んでみると、案の定あっさりめ。

胃袋にどっしりとくるような濃厚さはない。

しかし真夏の朝食であれば、これくらいの軽妙さがかえって気持ちよい。


7: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:15:57 ID:lS4

それでいて、コーンの粒も風味もしっかりしているから物足りないという印象はない。

むしろ、一寸不思議なコクがある。

気になって材料を見てみると、コーン以外に数種類の野菜が使われていた。

冷製ポタージュ侮りがたし。

杏は心地よい満足感に、背をのばした。

やはり朝食はとらないと。

1日のモチベーションが変わるからね…。

そんなことを考えながら、彼女は冷房の効いた部屋で、

もう一眠りすることにした。


8: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)01:16:05 ID:lS4

おしまい


18: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:36:38 ID:5Kl

【ちょっとした晩酌】


「奈緒ー、おつまみ作って」

はぁ? 今テレビ見てるから忙しいし無理

「そこを何とかさ、頼むよ」

ちょっと……そんなに頭下げないでよ、断れないじゃんか

「この通りだ、頼む!」

はぁ……わかったよ、ちょっと待ってて


19: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:39:58 ID:5Kl

おつまみって言ったって、冷蔵庫の中になにが入ってるんだって話だよ

この人は自分で料理しないって言ってたし、期待できないよなぁ……

ため息を吐きながら冷蔵庫を開けると、思いのほか食材があってびっくりした

きゅうりとお豆腐、それに香辛料、あれ? 本当に料理しないのかな

「奈緒が来るって言うから、ちょっと買っておいたんだ」

……それなら一緒に買い物に……なんでもない、こ、こら! にやにやするな!!


20: 訂正します 2017/08/09(水)20:40:54 ID:5Kl

おつまみって言ったって、冷蔵庫の中になにが入ってるんだって話だよ

この人は自分で料理しないって言ってたし、期待できないよなぁ……

ため息を吐きながら冷蔵庫を開けると、思いのほか食材があってびっくりした

お野菜とお肉、それに香辛料、あれ? 本当に料理しないのかな

「奈緒が来るって言うから、ちょっと買っておいたんだ」

……それなら一緒に買い物に……なんでもない、こ、こら! にやにやするな!!


21: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:43:26 ID:5Kl

これなら色々と作れそうだけど……できればコンロは使いたくないかな

それに、冷たいおつまみなら今の時期にぴったりだと思うし

よし! それじゃ、お料理開始といこう

あ、髪はちょっと邪魔だから一つにまとめておこうかな

「ああ、女の子がエプロンつけて髪をまとめるとか最高だよな」

そういうのよくわからないから、ちょっと黙ってて


22: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:50:52 ID:5Kl

まずはっと、お野菜はきゅうりでいいかな

包丁の腹でぐっとつぶしてから一口より大きなサイズに切る

それから、出汁の元と、梅干を細かくたたいたものとあえて……

一品目は完成、他のおつまみができるまで味をなじませておこう

お次は……海苔にとろけるチーズをおいて、その上にチューブのワサビを広げる

そこにまた海苔でサンドイッチする、最後に食べやすい大きさにカットすれば二品目の完成


23: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:54:13 ID:5Kl

最後は……うーん、お豆腐かなぁ

冷たいものばかりだとお腹によくなさそうだから

キッチンペーパーでよく水気をきってから耐熱皿に乗せてレンチンする

ほどよくあたたまったら、ネギとしょうが、それにポン酢

お好みで色々な薬味を乗せて、温やっこの完成っと

うわっ! 後ろに立つの止めろよな、び、びっくりするだろ!


24: 名無しさん@おーぷん 2017/08/09(水)20:58:06 ID:5Kl

なっ……恥ずかしいこと言うなっ!

そんなの後でいいからさっさと食べて寝るよ

ち、違うっ! 深い意味とかないんだからなっ!?

だからにやにやするなっていってるだろ、ばかっ!

あーもう! わかったから、ほら……

今日もお疲れ様でした、はいどうぞ



おしまい


30: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:26:54 ID:K6A

【杏とこずえの今日のお昼、輝子編】



杏「あーーー……」

杏だよー、今事務所でだらだらしてるよー。

今、仕事の合間でお昼休憩中なのだ。

次の仕事まで時間があるからこうして事務所でたむろしてるわけなんだけど……

こずえ「ふわぁー……」

事務所にいる間だけ、子守を任されてしまったんだよね、だりぃー。

まあ、こずえは目を離せない危うさはあるけど、基本手間がかからない子だからね。杏はこのままだらだらさせてもらうよ。

こずえ「あんずー……」

だらだらさせて……

こずえ「おなかすいたー……」

…………

こずえ「ごはん、つくってー……」

どうしたこずえ、今日はえらく手間がかかる子になってるじゃないか。

確かに今はお昼時だ、そりゃあ腹は減るだろうね。

かくいう私も腹減った。


31: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:28:44 ID:K6A

杏「んーー……」

だけどここは子守を任されてるわけだし、少しはお姉さんらしくしてやろうかな。

いいか、今日だけだぞ、今日だけなんだからな!

と、誰にともなくツンデレたところで……さてどうするかな。

給湯室にカップ麺の備蓄くらいはあるんじゃないの。

杏「カップ麺でいい?」

こずえ「かっぷめんかー……しょーがないなー」

お前は何様だ。カップ麺の何が不服だと言うのだ。

まあいいや、給湯室に行ってカップ麺探してこよう。

ちなみに外出する選択肢は鼻っから無い。だって外暑いじゃん。


32: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:30:38 ID:K6A

杏「ん?」

給湯室のドアを開けると、香ばしい香りと何かを炒めてる音が聞こえてきた。

どうやら誰かがご飯を作ってるらしい。

これはしめた、ついでに私達のお昼も作ってもらおう、そうしよう。

杏「おっすおっすー」

輝子「ん? おー、杏ちゃん、おっすー……」

ふむ、ご飯を作ってたのは輝子か。

見た感じ……

杏「きのこチャーハン?」

輝子「うん、そうだよ」

まな板の上には使用済みの包丁が置かれており、フライパンでみじん切りにしたエリンギとピーマンを炒めている。

すぐ側には溶き卵とご飯もスタンバイ済みだ。

しかし……よくもまあみじん切りなんて面倒なことできるね。しかもきのこだけでいいと思うのにピーマンまで準備しちゃって。

ご飯はレンチンするやつだ。流石に一から炊飯器で炊くわけないよね。

まあそれはいいや、早速本題に入ろう。

杏「杏にも作ってー」

輝子「うん、じゃあカップ麺持ってきて」

杏「なんでだよ」

輝子「フヒヒ、冗談……いいよ」

さすが輝子さん、お優しい。

でもちょっぴり渋い顔をしてるのが気になる。


33: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:31:58 ID:K6A

杏「じゃあ二人分の追加、頼むぜぃ」

輝子「二人分?」

こずえ「おぉー……きのこー」

輝子「あぁ……」

こずえが私の後ろからひょっこり顔を出した。

こいつ、いつの間に私の背後に……

こずえ「ちょーだいー」

輝子「うん、待ってて」

おい、こずえの顔を見た途端に乗り気な感じになったのはなんなんだ。

こずえにはご飯作るけど杏にはあまり作りたくないってか。

いやまあ分からなくもないけどね……


34: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:33:51 ID:K6A

輝子「ご飯、あと二つレンチンしといて」

杏「あいよ」

作ってもらう以上、これくらいの手伝いはしないとね。

棚からレンチンするご飯パックを取り出してー、レンジに突っ込んでと。

輝子「具材は……まあ、卵を多めにすればいいかな」

うわ、この人炒めたエリンギとピーマンを別の皿に分けてるぞ。

そんな面倒なこと、杏にはできないなあ。そこまでせんでもチャーハンはできるよね。

輝子「卵取って、二つ」

杏「ほいほい」

スタンバイしてた溶き卵の容器に渡した卵二つを割り入れる。

すげえ、わざわざカラザ取るんだ。私は絶対そんなことしないよ。


35: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:35:34 ID:K6A

と、輝子が卵を溶いているうちに、レンチンが終了。

杏「……あちち、あっち」

レンジからご飯を取り出して、蓋を剥がしてスタンバイ完了。

輝子「皿、出しといて」

杏「はいはーい」

フライパンに再び油を引き、温まったところで卵を投入。

こずえ「じゅわーー」

フライパンの高温により、卵が一気に固まってくる。

適度に混ぜた後、卵が半熟のうちにご飯を投入。

木ベラでご飯を切りながら、手早く混ぜていく。

輝子「よっ、ほっ」

卵と油によるコーティングで、ご飯がみるみるうちにパラパラになっていく。

小さい体で器用に混ぜるよね、腕疲れないのかな。いやまあ身体のことは人のこと言えないけど……


36: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:37:25 ID:K6A

輝子「それっ」

先ほど炒めたエリンギとピーマンも投入し、シャカシャカと混ぜ合わせていく。

味付けは塩コショウと……ふむ、味覇か。輝子は味覇派なんだな。

調味料が全体に混ざったら、最後に醤油を香り付けに垂らして、また混ぜて。

輝子「はい、出来上がり」

杏「おぉー」

こずえ「おぉー……」

最後に皿によそったら、きのこチャーハンの出来上がり。

これは美味そうだ、ヨダレが出そうだね。出さないけど。

こずえ「うまそー」グゥー

こずえはヨダレの代わりに腹の音を出してるし。

輝子「スプーン出してきて」

こずえ「わかったー……」トテトテ

かくして、我々は昼食にありつけたのであった。長い旅だったぜ、キリッ。


37: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:39:01 ID:K6A

こずえ「もってきたー……」

輝子「ありがと」

こずえが輝子にスプーンを手渡す。

杏「うぃ」

こずえ「?」

杏「ん?」

私もスプーンを貰おうと手を伸ばしたんだけど、こずえはくれなかった。

ていうかスプーンあと一人分しか持ってないぞ。

杏「……んん???」

あれ、よく見たら……

杏「チャーハン、二人分……?」

つまりアレか。

私の分は無いとでも言うつもりか!

輝子「ああ……杏ちゃんのは、こっち」

そう言いながら私の前にポンと置いたのはカレーメシであった。

輝子「お湯、沸かしてあるから」

杏「なんでだよ!!」


38: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)00:41:21 ID:K6A

輝子「フヒヒ、冗談、冗談……杏ちゃんの分もあるから」

カレーメシをよせて、きのこチャーハンが目の前に置かれる。ふう、ビックリさせやがって。

杏「スプーンは?」

輝子「自分で取って」

杏「へーい……」

私がスプーンを取ってきて座るまで、二人は律儀にも待っていてくれたらしい。先に食べててもよかったのに。

それでは。

「「「いただきまーす」」」



おしまい


41: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:54:31 ID:shy

【五十嵐響子の炊き出し記録】


夜中に仕事が終わって、やれ、遅い夕餉だというとき。

独り身のサラリーマンであれば、もちろん、そこから料理をする体力など残っていまい。

ファミレスなどで食事を取るか。

はたまた、コンビニなどで弁当を買うか。

それとも買いだめしておいたレトルトやカップ麺のお世話になるか。

彼らには選択の自由がある。


42: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:56:13 ID:shy

では一方、アイドルは?

夜中に収録がたて込むアイドルは、深夜のアングラ番組などをのぞいては、

そこそこの収入があるし、プライドもある。

ファミレスコンビニなどは外聞も悪い。

カップ麺はたまになら良いが、続くと事務所が軽く咳払いをする。


43: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:56:48 ID:shy

かといって、やはり自分たちで料理をする余裕などはない。

プロダクションの食堂はとっくに閉まっている。

そこで夜番のアイドル達は、秘密裏に“炊き出し組”なる組織を作った。

構成員は夜の収録が比較的少ない、かつ料理に長じた女の子達……。


44: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:57:55 ID:shy

10時。

八月、涼しい風がゆらりと吹く夜。

川島瑞樹、片桐早苗、高垣楓の3人はそれぞれの収録を終えた。

空腹である。

しかし明日も収録があるから、居酒屋で一杯と言うわけにもいかない。

そんな彼女達が向かったのは、後輩アイドル、五十嵐響子の部屋。

ドアを3回ノックすると玄関が開いた。

「お待ちしてました!」

彼女は3人を部屋に招き入れるのではなく、

カレーの入ったお鍋と副菜の詰まったタッパーを手渡した。

いかんせん15歳。

伸び盛りのアイドルであるので、

先輩アイドルが居座るというわけにもいかないのだ。


45: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:59:03 ID:shy

響子に礼とおやすみなさいを言って、瑞樹は2人を自室に連れていった。

「今日はお酒はなしよ」

彼女がそう言うと、楓が子犬のような声を出した。

カレー鍋をコンロに置いて、弱火にかける。

炊飯器には予約がかけてあって、少し前に炊き上がったところ。

量は一合。若干さびしい量であるが、遅い夕餉ゆえの自重である。

それを平皿に盛って、カレーが温まるまでの間に、3人は副菜に手をつけることにした。


46: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)11:59:58 ID:shy

一品目は豆サラダ。

五色の豆に、揚げたレンコンとレタスが添えられている。

瑞樹は豆…紫の斑点の、ハナマメがふっくらと甘いことに驚いた。

缶詰ではない。

響子はわざわざ乾豆を水で戻して、調理したのだ。

ドレッシングは青しそ風味であるが、かえってそれが無粋に感じられるほど、

この豆の味は奥深い。

早苗は、レンコンの食感を楽しんだ。

少々時間がたっているはずだが、どのような魔法を使ったのだろう。

楓は楓でレタスのシャキシャキ感と、その青臭さがまったくないことを

無邪気に喜んでいた。


47: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)12:01:19 ID:shy

人は肉料理の華やかさに目を奪われがちであるが、

実際、野菜をうまく調理することは稀有な才能である。

響子のその才能は、二品目でも遺憾なく発揮された。

小松菜とほうれん草のおひたし。

葉物嫌いからは蛇蝎のごとく嫌われるこれらの野菜は、

響子の手にかかるとご馳走になる。

塩分制限のために、醤油はひかえめ。

白ゴマとカツオ節もつつましい。

けれども、少し炒められた菜の香ばしさのおかげで、

物足りないということはない。

下処理が丁寧にされているので、こちらもレタスと同様

青臭さが一切ない。

3人は白米に手をつけたくなるのをこらえて、おひたしを完食した。


48: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)12:02:21 ID:shy

そうしているうちに鍋蓋が、湯気によって揺さぶられる。

早苗は待っていましたと言わんばかりに飛びついて、それぞれの皿にカレーをよそった。

具だくさん野菜カレー。

その名にたがわず、はちきれんばかりの野菜が入っている。

玉ねぎ、白カブ。かぼちゃ、茄子。

パプリカ、舞茸、ブロッコリー、それからキャベツ。

肉は入ってない。

3人はそのことを残念に思ったが、カレーを口にした途端、

そんな気持ちは吹き飛んでしまった。


49: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)12:03:30 ID:shy

野菜って、こんなジューシーなものだったっけ?

具をいっぱい入れて煮込めば、それなりに美味しいカレーはできる。

しかし通常、“ジューシー”にはならない。

1つの鍋で複数の野菜を調理すると、それらの味は混交し、

美味、たしかに美味であるが、正体はつかめなくなる。

煮崩れなどすれば、野菜本来の個性は薄まって、具自体の味はわびしい。

響子はその愚を犯さなかった。

鍋で炒めたのは玉ねぎのみ。

残りの具材は160℃のオーブンでじっくり焼いた後、すでにルウの溶けた鍋に入れた。

そこからはあえて煮込まない。


50: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)12:04:33 ID:shy

実際、カレールウ自体にかなりの旨味があることを響子は知っているからだ。

3人は一言も話さず、無心でカレーを半分まで食べた。

半分まで食べたところで、どうしても、堪え切れなくなった。

「ビール」

早苗がぽつりとそう漏らしたときには、楓は得心した顔で、

冷えたハイネンケン瓶を人数分持ち出していた。

「びびーるくらい美味しいカレー。ふふっ♪」

「わかったわ…」

瑞樹はため息をついて、心中で響子に詫びた。

このようにして、響子が考え抜いた栄養バランスはいつも崩壊するのであった…。


51: 名無しさん@おーぷん 2017/08/10(木)12:04:39 ID:shy

おしまい


57: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:20:57 ID:yfx

【夏野菜のご飯】


むむむ……こうしてみるとすごい量ですね

近所の方からもらった夏野菜の数々

ナスにトマトにきゅうりにみょうが

どれも瑞々しい色をしていて、とても美味しそうです

これだけあると何を作ろうかと悩んでしまいますね


58: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:25:10 ID:yfx

んーっと、みょうがは天ぷらにしてみましょうか

いつもは薬味としてのポジションですが、天ぷらにするとあら不思議!

シンデレラを張れるほどにメルヘンチェンジできるんです☆

衣をゼロから作るのも良いのですが、暑いし、ぱぱっと作りたいので

ここはコツのいらない例の天ぷら粉に頑張ってもらいます

家事を兼任する主婦は、時間を上手く使わないといけないのです!


59: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:29:35 ID:yfx

さてさて、みょうがを揚げている間にトマトを調理しましょう

まずはしょうがをみじん切りにしましてー、お次にトマトも一口より大きくカットしましてー

あ、トマトの皮は気にならないならそのままで大丈夫でしてー

芳乃ちゃん、カワイイですよねぇ……あの不思議パワーがあれば私も……

はっ! いけないいけない

最後のトマトとショウガを塩で和えて完成です

そのままでもいいですし、ご飯にかけてもいいですね

素麺や冷や麦、うどんにかけてもさっぱりと頂けますよっ


60: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:35:12 ID:yfx

あ、みょうがが良い具合に揚がりましたね

油を切ってる間に、1つ味見をば……

お塩に軽くつけて、一口で頂きまーす♪

さっくりとした歯触りと、みょうがの風味が口に広がる

ああ、これです……お野菜の天ぷらは数あれど、ナナはみょうがの天ぷらが一番好き化もしれません

これに冷酒なんてあわせた日には……


61: 訂正します 2017/08/11(金)19:36:51 ID:yfx

あ、みょうがが良い具合に揚がりましたね

油を切ってる間に、1つ味見をば……

お塩に軽くつけて、一口で頂きまーす♪

……んー! 美味しい

さっくりとした歯触りと、みょうがの風味が口に広がる

ああ、これです……お野菜の天ぷらは数あれど、ナナはみょうがの天ぷらが一番好きかもしれません

これに冷酒なんてあわせた日には……

ごくり、と喉が鳴りました


62: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:39:24 ID:yfx

あー、なんということでしょうー

おナスを入れた鍋が噴きこぼれてしまいましたー

ナナは急いでお味噌を入れないといけません

ナナは美味しいお水があればそれでいいんです……


63: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:42:06 ID:yfx

最後にきゅうりもやっつけちゃいましょうか

豚肉を茹でている間に、ピーラーで薄ーくしておきます

豚肉を火から上げたら、こう、くるくるーっときゅうりを丸めて

その上に豚肉をのせてポン酢で頂きましょう

ブタミンパワーってCMで見たことありますけど、ウサミンとちょっと被ってませんか?

……いえ、美味しいから許します、ウサミンは寛容なのですから


64: 名無しさん@おーぷん 2017/08/11(金)19:48:40 ID:yfx

さーて、これで今夜のお夕飯は完成しましたね

後はあの人が帰ってくるのを待つだけです

今日は早く帰れるって言っていたので、きっとそろそろ……

丁度いいタイミングで来客を告げるチャイムの音

急いで玄関へと向かうと、待ち人の声が聞こえます

「ナナさん、ただいま」

おかえりなさいっ☆

自然と笑顔になってあの人を出迎えるのでした




おしまい








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