1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:21:27.09 ID:gAPE1Z5d0
~夜、都内の公園~
タンッ タンッ…
響「……さん、しぃ!」
タタン タンッ タンッ…!
響「……せぇーの、やぁっ!」ビシィッ!
響「ふぅ~……こんなもんかな。よしっ、練習終わり!」
響「明日はいよいよ本番かぁ……
あの961プロの採用オーディションだし、きっと実力のある子達がいっぱい来るんだろうなぁ」
響「でも、自分のダンスの実力があればなんくるないさー!」
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2 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:22:16.75 ID:gAPE1Z5d0
響「さてと……疲れが溜まっちゃうといけないから、さっさと帰って寝ようっと」
響「家族達のご飯も用意してあげなきゃ。まぁ、いざとなったらハム蔵が皆の分の…」
ジジ…
響「……ん?」
ジジジ… ビリビリ…!
響「……何の音だろ?」
ジッ ジジジジ バリバリバリ……!
バリバリバリバリバリ……!!
響「!?」
バシュウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
3 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:24:22.10 ID:gAPE1Z5d0
響「! くぅ……ま、まぶし~……一体何なんさー」
響「えっ……うえぇぇっ!?」
ドロドロドロ…
響「な……何だよこのドロドロ……動いてるぞ……!?」
響「うえぇ、気持ち悪い……何か、はぐれメタルみたいな…」
響「あっ!」
ドロドロ… ウニョニョニョ…!
うにょぉ~~ん
???「……………………」ズズズ…
響「ひ……人の形に! ……ていうか……!」
???「……………………」
響「これ……じ、自分そっくりになっちゃった……!!」
4 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:25:18.93 ID:gAPE1Z5d0
???「……………………」
響「あ、あわわわ……!」
ジリッ…
???「……………………」
響「ひっ! ……く、来るなっ! 来ないで!!」
ジリッ…
???「……………………」
響「な、何だよ……何だよこれぇ!! あっち行けよぉ!!」
ジリッ…
???「…………身分証を出しなさい」
響「!! ……う、うぎゃあああぁぁぁぁぁっ!!!」ダッ!
タタタ…
???「……………………」ダッ!
5 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:26:42.85 ID:gAPE1Z5d0
ダダダダ…!
響「ひぃっ! お、追ってくる!?」
響「何なんさー! 一体、自分が何したって言うんだよぉ!!」
響「明日は961プロの候補生採用オーディションなのにぃ!」
響「何であんなワケ分かんない化け物だかなんだか……くそぉ、この小道に…!!」ダッ!
ガンッ!
響「あいたっ!! と、とと……」ヨロッ…
響「な、何かにつまづい、て……!?」ヨロヨロ…
男A「あ、おいお嬢ちゃん、そこ危な…」
【下水道管 交換作業中 落下注意】
響「う、うそ……落ち…」
ヒューン…
響「うぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
6 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:27:37.28 ID:gAPE1Z5d0
男A「た、大変だっ! おーい!!」
男B「おい、どうした!?」
男A「お、女の子がマンホールの中に落ちて…!」
男C「なにぃっ!? お前どこ見て現場管理してんだ!!」
男B「と、とにかく地下にいる連中に連絡を!」
「やいのやいの!!」
???「……………………」
???「…………?」スッ
つ学生証
???「………………」
???「…………“我那覇響”……」
ヒビキ「……ガナハ、ヒビキ…………」
スタスタ…
7 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:28:11.01 ID:gAPE1Z5d0
ジジジ……
ジジッ… バリバリバリ……!
バリバリバリバリバリ……!!
バシュウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
銀髪の女「……………………」
ジジ…… ジ……
銀髪の女「……………………」
8 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:29:08.83 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「……………………」
スクッ…
銀髪の女「………………」
銀髪の女「………………」
銀髪の女「…………………………」
ヒタヒタ…
9 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:31:11.24 ID:gAPE1Z5d0
~某スタジオ前~
律子「はぁー……少し遅くなっちゃいましたね」
あずさ「そうですねぇ。ありがとうございます、レッスンにお付き合いいただいて」
律子「あぁいえ、そんな。これくらい当然ですよ」
あずさ「いーえー。私の運動着までお洗濯していただくなんて、申し訳無いわぁ」
律子「あずささん家、洗濯機が壊れてるんでしょう? コインランドリーも無いそうですし」
律子「アイドルが活躍するためのサポートを全力でするのが、私達の仕事ですから」
律子「かと言って、まぁ……プロデューサーには頼みづらいことですしね」
あずさ「そうねぇ。女物のお洗濯をプロデューサーにお願いするのは、ちょっとねぇ…」
律子「とにかく、これくらいは気にしないで下さい。また明日も頑張りましょう」
あずさ「えぇ、今後ともよろしくお願いします」
律子「いえ、こちらこそ。あっ、送っていかなくて大丈夫ですか?」
あずさ「いーえー、大丈夫ですよ。この辺りは普段もよく来るので、うふふ」
律子(心配だなぁ……)
あずさ「それじゃあ、今日はありがとうございました。また明日」ペコリ
律子「あ、はい。お疲れ様でした」ペコリ
10 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:33:42.52 ID:gAPE1Z5d0
テクテク…
律子(うーん……やっぱ車で送った方が良かったかしら…)
律子(でも、一人で帰りたいのなら、邪魔しても悪いし…)
律子(……まぁいいか。それにしても、ここのスタジオ、駐車場が遠いからあまり好きじゃないのよね)
律子「…………ッ!?」ピタッ
ヒタヒタ…
銀髪の女「……………………」
律子「んまっ……!」
律子(な、何あれ………全裸の女が歩いてる……)
11 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:34:39.06 ID:gAPE1Z5d0
ヒタヒタ…
銀髪の女「……………………」
律子(どうしよう……完璧に変態だわ、あれ……)
律子(み、見ないフリよ! 下手にああいうのと関わったらロクなことにならないわ)
銀髪の女「……………………」ヒタヒタ…
律子(目を合わせないようにすれ違って……平常心、平常心……)テクテク…
銀髪の女「……………………」ヒタヒタ…
律子(あわてない、あわてない……)テクテク…
ヒタヒタ…
ピタッ
銀髪の女「……………………」
12 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:35:45.79 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「……………………」ジィーーッ…
【SIZE ASSESSMENT ON】
MATCH PROBABILITY 81%
T-800 TARGET
HEICHT 169 156
BUST 90 85
WAIST 62 57
HIP 92 85
【OK】
律子(明鏡止水、明鏡止水……)テクテク…
銀髪の女「もし」
律子「!?」ビクッ!
律子「……わ、私に、何か?」
銀髪の女「貴女の着ている服を、私に譲っていただけないでしょうか」
律子「…………は?」
13 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:37:15.96 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「…………」ガシッ
律子「えっ? あ、ちょっ、ちょちょちょちょちょちょ!!!」
律子「ちょっと待って!! 待ちなさいっ!!」バシッ!
銀髪の女「………………」
律子「な、何なのよあんた! 全裸でほっつき歩いておきながら、人に会うなり服をよこせですって!?」
銀髪の女「服が無いのです」
律子「家を出る時に着てくればいいじゃないのよ!」
銀髪の女「ここに来る際に無くなってしまったのです」ガシッ
律子「ぎゃあーっ!!」
銀髪の女「…………」グイッ グイッ
律子「わ、分かった! 分かったわよ! いいから手を放しなさい!!」バシッ!
銀髪の女「………………」
律子「はぁ~……ったく、何なのよもう……!」ゴソゴソ…
14 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:39:18.32 ID:gAPE1Z5d0
律子「ほら、これ」スッ
銀髪の女「…………これを、私に」
律子「洗濯する前だから少しベタベタするかも知れないけど、無いよりマシでしょ」
銀髪の女「………大きさも、私の形状に合っているようです。貴女の服よりは」
律子「一言うるさいわね」
律子「確かにそのジャージは、あなたのようにグラマーな人のものよ。
とりあえず、それで我慢しなさい」
律子「と言っても、それは洗って持ち主に返さなくちゃいけないし…
いつまでも貸しておくわけにはいかないのよね」
律子「…………あなた、お金いくら持ってるの?」
銀髪の女「いいえ、何も」
律子「……でしょうね」
15 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2012/12/11(火) 18:40:26.72 ID:333P+DNDO
僕にもそのジャージ貸してくれませんかね
16 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:40:40.89 ID:gAPE1Z5d0
~某衣料品店~
ウィーーン…
店員「いらっしゃいませー」
律子「こんな時間までユニケロが開いていて良かったわ。
靴は、車の中にあったそのスニーカーで良いでしょう?」
銀髪の女「………………」
律子「えぇと、これと下着と……安物でも文句言わないわよね?」
銀髪の女「問題ありません」
律子「……はぁ~………」
律子(まぁいいわ、さっさと服買ってこの子に押しつけて帰ろ)
律子(せめて駐車場までの夜道が短ければ……やっぱり嫌いよ、あのスタジオ)
17 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:42:21.91 ID:gAPE1Z5d0
店員「いらっしゃいませー、お預かりしまーす」ピッ ピッ…
律子(経費で落とせるかな。あとで小鳥さんに相談しよう……あーあ、今日は厄日だわ)
店員「お待たせしましたー、お会計8,760円です」
律子「あっ、領収書下さい」
店員「はい、お名前はどうなさいますか?」
律子「765プロダクションでお願いします」
銀髪の女「…………!」ピクッ
18 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:43:57.26 ID:gAPE1Z5d0
店員「はい、えーと、なむこプロダクション様ですねー」
律子「あ、なむこは数字です。英数字で“765”。すみません」
店員「あ、はーい、失礼しましたー」
銀髪の女「もし」
律子「えっ? 何よ」
銀髪の女「貴女は、765プロの人間なのですね」
律子「あっ、えぇ……そうですけど」
銀髪の女「天海春香の居場所を、お教えいただけないでしょうか」
律子「………へっ?」
銀髪の女「………………」
律子「……どうして、春香を?」
銀髪の女「私は、未来世界から天海春香を守りにきたのです」
19 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:44:41.55 ID:gAPE1Z5d0
律子「はぁ……?」
銀髪の女「………………」
律子「……まぁいいわ、良く分かんないけどとりあえず外に出ましょ」
銀髪の女「承知しました」
店員「ありがとうございましたー、またお越し下さーい」
ウィーーン…
20 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:47:53.33 ID:gAPE1Z5d0
テクテク…
律子「で、ウチの春香が何でしたっけ?」
銀髪の女「天海春香を守り、引いては世界の破滅を防ぐことが私の使命です」
律子「随分と大きく出たわね。それで、何から守るってのよ」
銀髪の女「未来の961プロが、この時代に放った刺客から」
律子「へぇー、未来の961プロねぇ……」
律子「まぁ、うちみたいにしがない事務所を贔屓にしてくれるのはありがたいけれど…」
律子「いくらなんでも話が飛躍しすぎてる、って自分で思わないかしら?」
銀髪の女「私は、事実を述べているにすぎません」
律子「あのねぇ……確かに961プロは色々と黒い噂のある事務所だけど、
今のあなたの言ってることは単なる言いがかりよ」
律子「というより、夜道を全裸で歩く不審者の言うことを真に受ける人がいると思う?」
銀髪の女「………………」
律子「ま、あなたのように熱狂的なファンがいたことだけは春香に伝えといてあげるわ」
ガチャッ ポイポイッ
律子「ほら、車の中でさっき買った服に着替えなさいよ」
律子「それで、ジャージを私に返したら、家に帰りなさい」
21 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:50:04.72 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「………………」
律子「な、何よ……大丈夫よ、見ないから」
律子(むしろ、さっきまで全裸だったくせに、何をいまさら恥ずかしがってんのかしら)
銀髪の女「………………」スッ
バタン
律子「まったく……」
ヴィー!… ヴィー!… 『コーイーヲー ユメーミールー オヒメサマハー♪』
律子「あら、携帯が……事務所からだわ。プロデューサーかな」ピッ
律子「もしもし、秋月です」
律子「えぇ、すみません。何だか変なファンに絡まれちゃって……はい、すぐに戻り…」
ブキキキキキ ブオン……!!
律子「えっ?」
律子「えっ、ちょ……何で車のエンジンが!?」
ドッ ドッ ドッ ドッ…
銀髪の女「………………」
律子「!! あ、あなた……!!」
22 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:51:30.16 ID:gAPE1Z5d0
律子「ちょ、ちょっと待って!」
ブオォォォォォォッ!!
律子「きゃあっ!!」
ブロロロロロロ…
律子「何てこと……迂闊だったわ、キーが入ったバッグを車に入れてから
あの子を中に入れるなんて…!」
律子「あっ、プロデューサー! ……すみません、またかけ直します!」ピッ
律子「……くっ!」ダッ!
律子「タクシー!!」
ブロロロロロロ キキィッ
ガチャッ
運転手「どちらまで?」
律子「前の車を追って下さい!」
運転手「えっ? あの飛ばしてるヤツ?」
律子「急いでっ!!」
運転手「は、はい」
23 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:52:23.14 ID:gAPE1Z5d0
ブロロロロロロ…
運転手「前の人、だいぶ運転荒いねぇー」
律子「見失わないで下さいね」
運転手「は、はぁ……」
ブロロロロロロ…
律子(やはり、事務所に向かっているようね。どうして場所が……)
律子(……そうか、カーナビがあったか)
24 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:53:20.92 ID:gAPE1Z5d0
~765プロ事務所~
ブロロロロロロ… キキィッ
ガチャッ
銀髪の女「………………」
テクテク…
ブロロロロロロ… キキィッ
ガチャッ
運転手「はい、お会計がえーと…」
律子「ちょっと待ってて下さい! 前の車にバッグ置きっぱなしなので!」ダッ!
運転手「はっ?」
25 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:56:23.45 ID:gAPE1Z5d0
カタカタカタ…
P「ん~……とりあえずこんな所かなぁ。律子と最終確認したら帰るか」ギシッ
小鳥「この後、どこか行きます?」
P「俺はいいですけど……小鳥さんは大丈夫ですか? 帰り遅くなっちゃいますよ?」
小鳥「そうなんですよねぇ、暗い夜道を乙女一人で歩くのは危ないですよねぇ」
小鳥「誰か家まで付き添ってくれる人がいれば、安心なのになぁ」チラチラッ
P「は、はぁ……むしろ、夜更かしは良くないんじゃないですか? 肌年齢とか、そういうの」
小鳥「うぐ……じゃ、じゃあ駅前の焼き鳥屋さんにしましょう!
ほら、鶏皮でコラーゲン的な、ねっ?」
P「あのやっすい鶏皮食ってお肌が潤うとは思えませんけど……」
ガチャッ
P「おっ、律子か。思ったより早かっ……?」
銀髪の女「………………」
26 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 18:59:26.79 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「………………」
小鳥「あ、あのぅ……何か?」
銀髪の女「天海春香はどこでしょうか」
小鳥「へっ?」
P(か、かわいい……ていうか、綺麗な子だな…)
P(あれ? あのジャージ、あずささんのに似てる気が……気のせいか)
P「あの……春香ならもう帰りましたが…」
銀髪の女「では、自宅の場所を教えて下さい」
P「えっ?」
銀髪の女「………………」
小鳥「えっ、えぇと……一応、個人情報なので、そういうのはあまり…」
銀髪の女「教えていただけないのなら、自分で調べます」
スタスタ…
P「あっ、ちょっと……」
27 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 19:02:08.63 ID:gAPE1Z5d0
スタスタ…
銀髪の女「………………」ガサゴソ…
ガチャン! ガサゴソ…!
小鳥「ちょ、ちょっと! 勝手に棚を開けないで下さい!」
P「おいっ! これ以上は警察を呼ぶぞ!」
ガチャッ!
律子「待ちなさいっ!!」
小鳥「あっ、律子さん!」
銀髪の女「…………」ピクッ
P「律子! この子、お前の知り合いか?」
律子「えぇ、ついさっきですけど」
銀髪の女「…………律子」
スクッ
銀髪の女「貴女が、秋月律子でしたか」
律子(何で私のフルネームを……名刺なんて渡してないし)
28 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 19:04:13.43 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「………………」スタスタ…
律子「待って。その手に持ったファイルをこっちに渡しなさい」
銀髪の女「………………」
P「ウチのアイドル達の住所録か……見逃すわけにはいかないな」
小鳥「本当に、警察呼ぶわよ」
銀髪の女「私は、天海春香を守らねばなりません」
銀髪の女「それが、秋月律子……貴女が私に託した使命なのです」
律子「……何ですって?」
ガチャッ
高木「やれやれ、黒井め……おや、皆どうしたんだね?」
P「あっ、社長!」
銀髪の女「……社長………高木順一朗」
銀髪の女「いいえ……この年代だと、高木順二朗でしたね」
高木「うん?」
高木「お、おぉ……!」
29 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 19:06:13.50 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「………………」
高木「ほう、何といい面構えだ。ティンときた!
君のような人材を求めていたんだ!」
P「社長、それ俺をスカウトした時と同じ台詞………って、まさか……」
高木「君、我が社のアイドル達をプロデュースしてみる気はないかね?」
銀髪の女「……プロデュース?」
律子「社長っ!? ちょっと待って下さい、この子は住所録を盗もうとした不審者で…!」
高木「ほう、住所録?」
高木「何だか良く分からんが、誰か気になる子がいるのかね?」
銀髪の女「天海春香にお会いしたいのです。秋月律子に託された使命を果たすために」
高木「おぉーそうかそうか律子君も天海君のプロデュースをするよう勧めていると」
律子「社長、それはデタラメです! ていうか話を大きくしないで下さい!!」
高木「たとえ今から天海君の自宅に向かっても、着く頃には深夜だからどのみち会えないだろう」
高木「今日はもう遅いし、明日またこの事務所に来なさい。
天海君も、明日の朝には来ると思うよ」
銀髪の女「承知しました。天海春香が来るまで、事務所の前で待つことにしましょう」
30 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 19:08:30.58 ID:gAPE1Z5d0
小鳥「いやだから春香ちゃんは明日の朝に来るから一旦帰って改めて……
あれ、まさか帰る家が無いなんて言うんじゃ…?」
銀髪の女「そうです」
P「なっ……今までどうやって生活してきたんだ!? 見た目は綺麗なのに…」
高木「ウーム、見た目の割にとは言わんが、きっと苦労してきたのだねぇ……」
高木「よろしい、律子君」
律子「何ですか」
高木「彼女の住まいが決まるまでの間、彼女を君の家に泊めてやってくれないかね?」
律子「はぁっ!?」
P「ま、まぁ……さすがに家が無いのはかわいそうだしな」
律子「意味が分かりません! この子の言うことを真に受けるんですか!?」
高木「なぁに、住まいは私が知り合いに頼んで、近いうちに何とかしよう。
プロデュース業についても、彼女に色々とアドバイスしてやってくれたまえ」
律子「あのですね! この子は夜道を全裸で歩いたり、やれ服をよこせだの961プロの刺客だの車を奪ったりだの!!」
小鳥「律子さん、落ち着いて」
律子「やいのやいの!!」
34 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:28:51.33 ID:gAPE1Z5d0
~律子宅~
ガチャッ
律子「結局、社長達に押し切られてしまったわ……」
銀髪の女「………………」
律子「悪かったわね、何も無い部屋で」
律子「はぁ~あ、ったく……」ガサガサ…
律子「とりあえずコンビニで弁当二つ買ってきたけど、どっちが良いかしら?」
銀髪の女「結構です」
律子「あのね。確かに私は今、非っ常に不機嫌だけど、そういう変な遠慮はしなくていいわよ。
夕飯、まだなんでしょう?」
銀髪の女「私の活動には必要の無いものです」
律子「………あっそ。じゃあ勝手にしなさい、一応置いとくから」スッ
銀髪の女「………………」
35 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:30:08.28 ID:gAPE1Z5d0
律子「………………」モグモグ…
銀髪の女「………………」
律子「………………」モグモグ…
銀髪の女「………………」
律子「………………」
律子「……分かったわ、私の負けよ。お願いだからそのお弁当食べて」
銀髪の女「先ほども申しましたが、摂取する必要がありません」
律子「賞味期限が今日までなのよ。
何より、何も食べさせなかったなんてなると、後で社長達から何言われるか分かったもんじゃないわ」
銀髪の女「……承知しました。それではいただくことにしましょう」
律子「はいはい、どうも」
36 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:31:54.98 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「食べ終わりました」
律子「は、早いわね……」
律子「じゃあ、先にお風呂入りなさい。もう沸いてる頃だと思うわ」
銀髪の女「……ふろ?」
律子「服はこっちのカゴに入れてね。あと、シャンプーとか石鹸はこっちに置いてあるのを使って」
銀髪の女「……これがしゃんぷぅ」
律子「何を納得してんのよ。いいからさっさと入りなさい。
私だって今日は早く寝たいんだから」
銀髪の女「承知しました」
キィ… バタン
律子「ふぅ………さて、と……」ギシッ
ガチャン
律子「ちょっとだけ、作業進めますか」
律子「いつになったら完成するのかしらねぇ……このCD販売予測マシンは」
37 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:32:52.43 ID:gAPE1Z5d0
カチャカチャ…
律子「………………」カチャカチャ…
律子「ここの配線を……えーと………」カチャカチャ…
律子「あー、しまったなぁ………また今度秋葉原に行かなきゃ………」
律子「このパーツが…………」カチャカチャ…
律子「………………」カチカチ…
律子「動作確認、問題あり、っと………えーと? ……」
バキッ! バシャアァァァァァァァァ…
律子「!?」
38 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:36:20.31 ID:gAPE1Z5d0
ガララッ!
律子「どうしたの!?」
銀髪の女「蛇口を壊してしまいました」
律子「えっ、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
律子「と、とにかく水を止めて、水っ!!」
律子「それと、業者に電話しなくちゃ! クラシマン!! 暮らし安心クラシマン!!」ポパピプペ!
律子「えっ、繋がらない!? 24時間365日って書いてあるじゃない!!」
銀髪の女「………………」
律子「あんたもボケッとしてないで何かしなさいよっ!!」
律子「あーだこーだ!!」ワタワタ…
39 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:38:41.20 ID:gAPE1Z5d0
律子「……………」ゲッソリ…
銀髪の女「申し訳ありません」
律子「全然、心から謝ってる態度に見えないんだけど」
律子「はぁ~あ、ったく……あなたのせいで今日一日散々だわ、本当に」
律子「親の顔が見てみたいとは、まさにこのことね」
銀髪の女「……親の顔、ですか」
律子「別に呼べと言ってるわけじゃないけど」
銀髪の女「私の親に相当する人物を敢えて挙げるとするならば……」
銀髪の女「それは貴女ということになるでしょう。秋月律子」
律子「またそうやってワケの分からないことを……!」
律子「……そう言えば、あなたさっき言ってたわよね。私が託した使命がどうとか」
律子「よくもまぁあんなデマカセを……」
銀髪の女「デマカセではありません。未来の貴女が私を作り上げ、この時代に送り込んだのです」
律子「…………すっかり忘れていたけれど、まだ名前を聞いていなかったわね」
40 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:44:12.89 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「私の名、ですか」
律子「他に誰がいるってのよ。そもそも春香を守るって何?」
銀髪の女「私の形式番号は800……“T-800”というモデルになります」
律子「形式番号?」
律子「いや、あの……だから名前は? そもそも“T”って何?」
銀髪の女「惑星の明暗境界線を示す言葉“Terminator”に由来する名前、
『Terkanator』の頭文字です」
律子「た……ターカネーター……?」
銀髪の女「私は、20年後の貴女により作られた人造人間です」
律子「!?」
銀髪の女「架空アイドルシミュレーター“クロイネット”の完成……
それが全ての始まりでした」
41 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:53:32.39 ID:gAPE1Z5d0
律子「なっ……」
銀髪の女「“クロイネット”が完成したのが、今から7年後……」
銀髪の女「当初は、世界中から寄せられる膨大な芸能情報や、人間生活に関する様々な統計を基に、
利用者が望む理想のアイドル像を識別し、3Dで具現化するシステムでした」
銀髪の女「誰でも好みのアイドルを具現化できるため、クロイネットは瞬く間に世界中で反響を呼び、
その利用実績から得られたデータにより、システムは更なる進化を遂げていきました」
銀髪の女「しかし、進化を続けるうちに、クロイネットの基幹コンピューターは自我を持ち始めます」
銀髪の女「強烈なカリスマ性を持つ架空アイドルを多数世に放ち、世界中の人々の心を掴むことで、
人間社会そのものの支配を目論むようになるのです」
銀髪の女「これを危険視した人間側が、システムの機能停止を試みますが、
クロイネットはこの停止措置を自己への攻撃と捉え、防衛策に転じます」
銀髪の女「架空アイドルによる呼びかけにより、クロイネットを守らんとする多くの人々が、
世界各地で暴動を起こしたのです」
律子「…………!」
銀髪の女「クロイネットに抵抗する人間と、クロイネットに操られた人間による、
いつ終わるとも知れない泥沼の争いの始まりです」
42 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 20:57:34.47 ID:gAPE1Z5d0
律子「………………」
律子「……それで、あなたは……ターカネーターって、一体何なの?」
銀髪の女「クロイネット側の人間が、クロイネットの命ずるままに作りしもの……
人の姿を模した機械のアイドルが、『ターカネーター』です」
銀髪の女「3Dで具現化した理想のアイドルを現世に生み出すこの手法により、
それまでクロイネットに反対していた人間の中にも、支持派に回る者が現れるようになります」
銀髪の女「ターカネーターの台頭により、クロイネットは一気に勢力を拡大させていき、
機械による人間の支配まであと一歩の所まで迫っている……」
銀髪の女「それが、私のいた未来の姿です」
律子「………ターカネーターは、クロイネットが作ったもの……」
律子「つまり、もしあなたを作ったのが私ということなら、
私は既にクロイネット側の人間になっている、ということね?」
銀髪の女「いいえ、そうではありません」
律子「えっ?」
43 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:00:53.29 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「当初こそ、私はクロイネット側の人間に作られ、意のままに人の心を動かす存在でしたが…」
銀髪の女「一度、抵抗派の人間にCPUを破壊され、機能を停止した後、回収されます」
銀髪の女「その後、私のCPUを組み直し、クロイネットを止めるために再プログラムを施した者こそが……
秋月律子、貴女なのです」
律子「! …………」
銀髪の女「今、私の他にも、クロイネット側がこの時代に送り込んだ別のターカネーターがいます」
銀髪の女「それは、後にクロイネットにとって脅威となる人物を抹殺すべく動いているのです」
銀髪の女「その人物とは、クロイネットに抵抗する組織の指導者となる存在……」
銀髪の女「再プログラムを施され、目を覚ました私に、未来の貴女はこう命じました」
銀髪の女「過去の世界に飛び、クロイネットから我々のリーダーを守れ、と」
律子「そ、それって……そのリーダーって、まさか……!?」
銀髪の女「猶予は残されておりません」
銀髪の女「クロイネットが送り込んだターカネーターが天海春香へたどり着く前に、
彼女を確保し、守らなければならないのです」
44 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:02:34.00 ID:gAPE1Z5d0
律子「……………………」
律子「……まるで宗教戦争ね」
律子「アイドルという、文字通りの偶像を崇拝する者同士の戦争……」
律子「しかし、それを起こしたのが機械で、ましてや機械が人類の支配を企むなんて…」
銀髪の女「信じることはできない、と」
律子「ええ。あなたの言うことが本当であるという証拠が無いもの」
律子「信じなければならない理由なんて、私には無いわ」
銀髪の女「…………そうですか」
銀髪の女「データの通りです」
律子「えっ?」
銀髪の女「きっと貴女ならそう言うだろうと、未来の貴女も言っておりました」
45 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:04:30.29 ID:gAPE1Z5d0
律子「未来の私が……?」
銀髪の女「もし過去の自分が証拠を求めてきたら、これを見せるようにと、
未来の貴女より仰せつかっております」スッ…
グイッ
律子「? ……お腹を私に見せて、何をしようってのよ」
銀髪の女「………………」ググッ
ウィーーン ガションガション! ウィーーン
律子「!? なっ……お腹が、ひ、開いて……!!」
ウィーン ガショガション!
プシュウゥゥゥゥゥゥゥ…
銀髪の女「………………」
律子「あっ、え……うそでしょ……!? まさか、ほ、本当に機械……」
銀髪の女「…………これを」
スッ
律子「えっ? お腹から何を出し、て……」
律子「!! …………これは……」
46 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:06:39.02 ID:gAPE1Z5d0
銀髪の女「貴女が趣味で作り始めた、自作CD販売予測プログラム搭載マシン」
銀髪の女「これは、その完成系です」
律子「………今まさに作っている途中のものの、完成系ですって!?」
律子「そんな、馬鹿な……!」
銀髪の女「起動時のIDとパスワードは、貴女にしか分からないはずです」
律子「……………」
カチッ ヴィン…
律子(IDとパスワード……作り始めた時から、冗談で考えていたものはあるけど、まさか……?)
カタカタカタ…
ID:r.akizuki0623
Pass:RicchannhaKawaiidesuyo
【OK!】
律子「えっ、うそっ!? 通っちゃった!!」
47 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:10:25.04 ID:gAPE1Z5d0
カチカチ… カタカタ…
律子「………………」
銀髪の女「お分かりいただけたでしょうか」
律子「………確かに、このマシンは私が構想していたもののそれを完璧に体現しているわ」
律子「それに、あなたのその体の構造……」
律子「認めたくないけど……今度は、あなたの言うことを否定する理由が見つからないわね」
銀髪の女「………………」
律子「いいでしょう、一旦は信じるわ」
律子「でも、今の話を事務所の皆に伝えるのは止めましょう。混乱するだけだと思うから」
銀髪の女「承知しました」
律子「それに、あなたのことを皆に何て紹介したら良いのか……T-800、というのもね……」
律子「…………」チラッ
テレビ『続いて円相場と為替の動きです。ニューヨーク外国為替市場の円相場は、
午後5時現在、1ドル=82円43~53銭で取引されており……』
律子「かわせ……いや、そうば………しじょう………しじょう?」
律子「ターカネーター……たかねた、たかね………かねた……たかね……」
48 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:12:36.86 ID:gAPE1Z5d0
~翌朝、事務所~
高木「オホン……今日は、キミ達に素晴らしいニュースがある」
高木「何と、我が765プロに三人目のプロデューサーが誕生する」
一同「えぇぇぇぇぇぇっ!!」
高木「ささっ、自己紹介してくれたまえ」
タカネ「シジョウ、タカネと申します。お見知りおきを」
千早「シジョウタカネ?」
美希「変な名前なのー」
律子「悪かったわね、変な名前で!」
美希「うわっ!? ……な、何で律子、さんが怒るの?」
律子「あ、いや……ゲフンゲフン」
雪歩「うわぁ……綺麗な人ですぅ」
真「タカネさんは、アイドルじゃなくてプロデューサーをずっと目指してたんですか?」
タカネ「はい、以前からここに来たいと思っていたのです」
小鳥「へぇー、それだけウチの子達のファンだったんですね!」
49 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:15:23.30 ID:gAPE1Z5d0
あずさ「ところで、お名前はどんな漢字で書くのかしら~?」
律子「あぁ、全部カタカナです。芸名で活動することを希望しているみたいで」
真美「カタカナだって、亜美。シジョウタカネ」
亜美「ワレワレハ、シジョウタカネダ」
真美「シジョウタカネダ→。ガショーンガショーン」
亜美「あははは! それじゃあロボットみたいじゃん、真美」
律子「!!!」ギクッ!
真美「亜美が先にやったんじゃん。シジョウタカネダ→、って」
亜美「亜美のは宇宙人のマネだもんね→」
やよい「二人ともー、失礼だから止めようよー」
伊織「まったく、新しいプロデューサー本人の前で良くあんなにふざけていられるわね。
ねぇ、律子?」
律子「えっ!? え、えぇ本当よ!
どっちかと言うとロボットじゃなくて宇宙人よね! 断じてロボットじゃないわ!!」
伊織「はぁ?」
50 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:17:46.97 ID:gAPE1Z5d0
春香「うわぁ、本当にすごい綺麗な人ですねー!」
春香「あれ? でも服は良く見てみると結構普通かも」
律子「あ、えぇ。この間ユニケロで買い揃えたから」
春香「へぇー、律子さんが買ったんですか? タカネさんの服」
律子「えっ!? え、えぇ、まぁね。事務所の経費で落とせたし!」
小鳥「タカネさんを自分の家に引き取ることと交換条件に経費を要求する律子さん、さすがでした」
律子「当然の権利ですよ、小鳥さん」
タカネ「……初めまして。お会いできて光栄です、天海春香」
春香「い、いやいやいやそんなぁ」
春香「プロデューサーさん達から聞いたんですけど、私のファンだったなんて、えへへへ…」テレテレ
P(住所録盗もうとしてたほどな)
高木「シジョウ君には、天海君のプロデュースを担当してもらおうと思う」
高木「だが、初めのうちは律子君も同伴し、彼女を適宜サポートしてあげてほしい。
頼まれてもらえるかね?」
律子「ダメって言ってもダメなんですよね?」
高木「ウム」キリッ
51 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:24:40.91 ID:gAPE1Z5d0
律子「はぁ……分かりました」
律子(どのみち、今の状態でタカネを放っておくわけにもいかないしね)
律子「えぇーと、じゃあさっそく移動しましょうか。春香は今日一日レッスンだったわよね?」
春香「はいっ! 午前中がダンス、午後がボイトレです」
律子「まぁ、大した問題は無いでしょう。タカネ、行くわよ」
タカネ「承知しました」
春香「うわぁ、すっごいなぁ……タカネさんって色々と大きいですねー」ジィーッ…
タカネ「………………」
律子「……私とタカネをまじまじと見比べないでもらえる?」
春香「ああぁっ! 滅相も無いですすいません!! 私こそひんそーで…!」アタフタ…
タカネ「………………」
春香「な、なんか……クールな人なんですね、タカネさんって」
律子「あぁ。あまり感情を表に出さない子なのよ。さ、行くわよ」
春香「あ、はぁい」
52 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:26:17.83 ID:gAPE1Z5d0
~都内 某高校~
ワイワイ… ガヤガヤ…
ヒビキ「………………」
女子A「あれっ? 響ちゃーん!」
ヒビキ「?」
男子A「おはよう、我那覇ちゃん! 調子はどう?」
ヒビキ「……うん、まぁまぁ。おはよう」
男子B「我那覇さん、今日はどうしたの? 本番の日だから学校休むって言ってなかったっけ?」
ヒビキ「本番……?」
女子B「そうよ、そう言えば今日は961プロのアイドル候補生採用オーディションの日でしょう?」
女子B「響ちゃん、今日のために一生懸命練習してたじゃない」
ヒビキ「………あぁ。実は私、日程を間違えてたみたいで」
女子A「なんだぁ、おっちょこちょいだなぁ響ちゃん!」
一同「あははははははは!」
53 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:28:01.29 ID:gAPE1Z5d0
女子B「でもさ、あれ?」
男子A「ん?」
女子B「今日の響ちゃんって、何かいつもと違くない?」
女子A「えっ? そう?」
男子A「確かに、いつもはもっと『自分、完璧さー!』とか『皆、おはようだぞー!』、
『はいさーい!』みたいな感じだけど」
男子B「お前がモノマネしても全然かわいくねぇんだけど」
男子A「うるせぇ」
ヒビキ「……“自分”…………」
ヒビキ「“自分”って、いつもそんなに“さー”とか“だぞ”を語尾につけてるかな?」
女子A「頻度はそんなでもないと思うよ?
でも、元気な喋り方が特徴的だからね、響ちゃんって」
男子A「『なんくるないさー!』とかね」
女子B「モノマネしないでよ、キモイんだけど」
男子A「女の子から言われるとヘコむわ……」
ヒビキ「………“なんくるないさー”……」
54 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:29:39.43 ID:gAPE1Z5d0
男子B「大丈夫? あまり体調良くないなら無理しない方が良いよ」
ヒビキ「ううん、全然平気だぞ! なんくるないさー!」
女子B「あっ、いつもの響ちゃんだ!」
ヒビキ「えへへ、オーディションの日を間違えてちょっとだけヘコんでただけさー」
女子A「あぁそうなんだ、でもやっぱ響ちゃんはこうじゃないとね!」
男子A「やっぱかわいいなぁ、我那覇ちゃん」
ヒビキ「あっ、そうだ! ねぇねぇ皆」
女子A「うん? なぁに、響ちゃん?」
ヒビキ「あのさ、自分、今気になる女の子がいるんだけど……」
女子B「えっ……?」
男子B「我那覇さんって、その……そっち系なの?」
ヒビキ「そっち系って?」
男子A「キマシタワー!」
女子A「黙れ、これ以上響ちゃんを汚すな」
男子A「お、おう……」
55 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:31:42.08 ID:gAPE1Z5d0
ヒビキ「……あぁ、そういう? って違うぞ!」
ヒビキ「ちょっと、かわいいなって思うアイドルの子がいてさー」
女子B「へぇー、誰誰?」
ヒビキ「皆知ってるかなぁ。天海春香ちゃんって言うんだけど、765プロって事務所の」
男子B「天海春香……んー、知らないな」
男子A「あっ、俺知ってるよ。普通っちゃ普通だけどかわいいよね」
女子A「どんな子なの?」
男子A「えーとね、リボンをこうアレした……待って、今携帯で見せるから」パカッ
男子B「えっ、写メ持ってんの?」
男子A「持ってねーよ、ネットで画像調べるだけだって」ポパピプペ…
男子A「ほら、我那覇ちゃんが言ってるのってこの子でしょ?」スッ
女子B「見せて見せて……あぁ、何か見たことあるかも」
女子A「えぇー、そう? かわいいっちゃかわいいけど、うーん……?」
男子B「なるほどねー。あっ、我那覇さんも見る?」スッ
ヒビキ「うん、見せて!」
ヒビキ「……………………」
56 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:33:28.73 ID:gAPE1Z5d0
天海春香
年齢 17
身長 158㎝
体重 46㎏
誕生日 4月3日 おしつじ座
血液型 O型
BWH 83-56-82
趣味 おかし作り、カラオケ、長電話
天海春香17歳ですっ!
歌とおかしが好きなことでは、誰にも負けません♪
アイドルとしては、
今ちょっとダメな感じですけど……。
本気でがんばりますから、
よろしくお願いしますっ!
お問い合わせはこちら
株式会社765プロダクション
東京都大田区矢口2 丁目1 番765号 TEL:03-○○○○-△△△△
ヒビキ「……………………」
57 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:35:03.95 ID:gAPE1Z5d0
ヒビキ「……うん、ありがとう」スッ
男子A「いえいえどうも……ってやべっ! もう授業始まる!」
女子B「えっ? うそっ!」
ヒビキ「あっ、それじゃあ自分はこれで」
女子A「えっ? 結局学校休むの?」
ヒビキ「うん。オーディションじゃなくて、今日は別の用事があったの思い出したんだ」
男子B「そうなんだ、残念だなぁ」
女子B「ノートは私が取っておくから、見たい時はいつでも言ってね」
ヒビキ「うん、ありがとう! それじゃあねー」フリフリ
テクテク…
男子A「……何というか、妙に新鮮な感じがしたよな」
男子B「確かに、いつもの我那覇さんだったのに、初めて会ったかのような…」
女子A「でもかわいかったねー、やっぱ」
女子B「響ちゃんはダンスやってるからね。さて、一時間目は、っと……」
58 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:36:23.75 ID:gAPE1Z5d0
テクテク…
ハナコ「ハッハッハッ…」
凛「~~~♪」
テクテク…
ヒビキ「………………」
ハナコ「!」グイッ
凛「……? あっ、ハナコ。そっちは違うでしょ、ちょっと…」
ハナコ「ウウゥゥゥゥゥゥゥ……!」ガルルルル…
ヒビキ「…………?」
ハナコ「ワンッ! ワンッ!!」
59 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:37:40.41 ID:gAPE1Z5d0
ハナコ「ワンッ、ワンッ!! ワンッ!!」
ヒビキ「………………」
凛「こ、こらっ、ハナコ! ……すみません」
ヒビキ「ううん、いいよ」
テクテク…
ハナコ「ワンッ!! ワンワンッ!!」
凛「こらっ! いい加減にしなさい!」
ハナコ「クゥーーン……」
凛「……普段、人にこんな吠えること無いのに………」
60 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:38:56.16 ID:gAPE1Z5d0
~レッスンスタジオ~
春香「あ、あれっ……?」タンッ タンッ…
律子「ほらぁ、また同じところ! どうしてもワンテンポ遅れるわね」
春香「す、すみません…」
律子「謝らなくていいから、ほらっ。できるまで反復練習!」
春香「は、はいっ!」
タカネ「秋月律子、これは……」
律子「見ての通り、春香はそこまで運動神経が良いわけではないわ。ついでに言うと歌唱力も」
律子「でも、何事にも前向きな姿勢で取り組むことができるのが、あの子の良い所ね」
タカネ「…………天海春香」
春香「あっ、タカネさん。あともう少しで何か掴めそうかなーなんて、あはは…」
タカネ「右足を振り出した後の3拍目、上体がふらついています」
春香「へっ?」
律子「? ………」
61 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:40:29.55 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「私の動きを見ていて下さい」スッ
春香「あっ、タカネさん……」
タンッ タタンッ タンッ…!
タンタンッ タンッ タッタンッ! タンッ!
春香「!! す、すごい……!」
律子「まさか……さっきまでの春香のダンスを見ただけで振り付けを……!?」
タカネ「天海春香がつまづいていたのは、この部分です」タンッ タンッ…
タカネ「4拍目のターンを意識するあまり、その前の動作が雑になり、
かえって上体が不安定になっているのです」
タカネ「一度、3拍目で両足を揃えた時にしっかり止まることを心がけてみてはいかがでしょうか」
タカネ「上体が安定すれば、ターンの動きにも無駄が無くなり、
5拍目以降に遅れが出ることも無いと考えられます」
春香「……………」ポカン
律子「……春香、ボーッとしてないでタカネの言った通りにしてみなさい」
春香「はぇ!? あっ、は、はいっ! すみません!」
62 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:42:14.57 ID:gAPE1Z5d0
春香「せぇー、の……!」
タンッ タタンッ タンッ…!
タンタンッ タンッ タッタンッ! タンッ!
春香「………!!」
律子「まぁ、何と綺麗に……」
春香「や、やった……すごい! 今までずっと苦手だったパートがすごく上手にできました!!」
春香「タカネさん、見ててくれました!? タカネさんのアドバイスのおかげで…!」
タカネ「5拍目の手の振りが雑です」
春香「えっ……」
タカネ「テンポに遅れまいと焦るあまり、振りが小さくまとまりすぎています」
タカネ「指先まで神経が通ったダンスになっていないのが傍から見て明白であり、
何をしたいのかが伝わってきません」
タカネ「7拍目に振り出す左足の膝の伸び、腕の回しのだらしなさも目に余ります」
タカネ「それでは、観客の皆様の心を動かすことはできないでしょう」
63 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:43:40.69 ID:gAPE1Z5d0
春香「あ、うっ……」ジワァ…
律子「ちょ、ちょっとタカネ。少し要求するレベルが高すぎるわ、もっと段階を踏んで…」
タカネ「私は、事実を述べているにすぎません」
律子「あんたねぇ。それにしたって、もう少し言い方ってモンが……!」
春香「うっ、ぐすっ………いいんです、律子さん」
律子「は、春香……」
春香「タカネさんは、きっと本当のことしか言わない人なんだ、って分かりました」
春香「さっきの振りだって、タカネさんが言った通りにしたら出来たんです」
春香「だから、この人のアドバイスについて行ければ、
私、本当にトップアイドルになれるんじゃないかって……!」
春香「タカネさん、もっとアドバイスをお願いしますっ!!」
タカネ「承知しました」
64 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:45:30.46 ID:gAPE1Z5d0
~数時間後~
春香「ぜぇー………ぜぇー………!」
律子「お疲れ様。はい、ドリンク」
春香「あ、ありがとうございます……それにしても……」
春香「タカネさん、全然息が乱れないんですね。私と同じくらいダンスしてたのに」
タカネ「活動限界にはほど遠い運動量です」
春香「活動限界……?」
律子「あぁいや。アレよね、この子スタミナすっごいあるって言ってたから」
春香「そうなんですか。すごいなぁ、タカネさんって何でもできちゃいそう」
春香「あっ、そうだ! 午後のボイトレも何かアドバイスしてもらえませんか?
タカネさん、絶対歌も上手いですよね?」
タカネ「過去に歌っていた経験はあります」
春香「ほらー、やっぱり!」
春香「そうだ。タカネさん、もし良かったらでいいんですけど…」
春香「ちょーっとだけ、何か歌ってもらえるのって、お願いできないかなーなんて…
あはは、やっぱダメ……ですよね?」
65 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:47:15.93 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「承知しました」
春香「わぁー! ありがとうございます!」バンザーイ!
律子(……確かに、興味あるわね)
タカネ「どのような曲を歌えばよろしいでしょうか」
春香「えっとですねー……どうしよっかな、じゃあー……」
春香「何か、アップテンポでダンサブルな曲って、レパートリーありますか?」
タカネ「……では、『キューティーハニー』などはいかがでしょうか」
律子(まさかのアニソン!)
春香「おぉ、キューティーハニー! 見たことないですけど曲は知ってますよ!」
タカネ「そうですか、少し年代がずれていたようですね」
春香「いえいえ、そんな! タカネさんだって私とそんなに歳違わないですよね!?
この曲知ってますし、私好きです!」
タカネ「では、T-8……もとい、シジョウタカネによる『キューティーハニー』を、
アカペラかつ振り付きで」
春香「わぁーい、お願いしまーす!」パチパチパチ
66 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:48:23.28 ID:gAPE1Z5d0
デンッ!
タカネ「イヤよ!」
デンッ!
タカネ「イヤよ!」
デンッ!
タカネ「イヤよ 見つめちゃイヤー!」
デデデンッ!
タカネ「ハニー フラッシュ!!」ビシィッ!
律子「すっ……!」
春香「すっ、すごい……すごいです、すごすぎますっ!!」
春香「やっぱりすごい!! タカネさん、歌も踊りも完璧です!!」パチパチパチパチ!
律子(アカペラなのに、自然とBGMが聞こえてくるかのような歌唱力)
律子(それに加えて、見ているこっちもつられて踊りだしたくなるほどの躍動感……)
律子(これが、ターカネーターの力……確かに驚異的ね)
67 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:50:00.78 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「お粗末さまでございました」ペコリ
春香「どうしてアイドル目指さなかったんですか!?
タカネさんの実力なら、絶対ぶっちぎりなのに!」
タカネ「当初の使命はそう……アイドルとして、人の心を意のままにすることでした」
タカネ「しかし、今は天海春香……貴女を守ることが、秋月律子より託された私の使命です」
春香「へっ?」
タカネ「貴女の命令にも従うよう、秋月律子より仰せつかっております」
春香「あの、律子さん? 託された使命って……」
律子「あぁ、何でもないのよ。何かと変な言い方するのが好きだから、この子」
律子「タカネ、ちょっとこっちへ来なさい」
タカネ「承知しました」
68 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:52:26.34 ID:gAPE1Z5d0
律子(あんたね! 春香や皆の前で使命がどうとかの話はしない約束でしょうが!!)
タカネ「主である天海春香から聞かれたことに、答えないわけにはまいりません」
春香「主?」
律子(声がでかいっつーの!! 答えなくていいからあんたは黙ってなさい!)
タカネ「天海春香に従うよう私のCPUをプログラムしたのは貴女です」
律子(そんなの知らないわよ! いいから、今後未来の話は禁止!!
そもそも私だって未だに半信半疑なんだから、いいわね!?)メッ!
タカネ「承知しました」
律子「ふぅー……あぁ、ごめんね春香。別に大した話じゃないのよ」
律子「担当プロデューサーとして、あなたのサポートを全力でやってあげてね、
って私が言ったのを、この子が大袈裟に言っちゃっただけ」
春香「あ、あぁ、なるほどー」
律子「そうそう、そういうことなのよ。あら、もうこんな時間だし、上がりましょうか」
春香「はぁい!」
69 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:53:57.91 ID:gAPE1Z5d0
~駅前~
テクテク…
律子「ちょっと午前中のレッスンに熱を入れすぎちゃったわね」
春香「すみません、私がわがままを言っちゃって…」
律子「あぁ、いいのよ。
午後のレッスンに間に合うよう、お昼はあまり時間のかからないものにしましょうか」
ピタッ
タカネ「………………」
春香「? ……タカネさん?」
【らーめん とさん】
律子「……ここは、確か熊本ラーメンの店ね。ラーメン食べたいの?」
タカネ「らぁめん……」
春香「いいんじゃないですか?
ほらっ、今は席空いてそうだし、食べるのも時間かからないですよきっと」
律子「そうね、じゃあここにしましょう。ほらっ、タカネ行くわよ」
タカネ「らぁめん……」
70 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:55:19.07 ID:gAPE1Z5d0
~店内~
店員「はいー、とさんらーめんの白二つに青ねぎらーめんの白の方―!」ゴトッ
春香「わぁ、おいしそう!」
律子「キャベツが乗っかってるのね。私のはさらにネギが」
タカネ「らぁめん……」
春香「んー、んまい!」ズルズル…
律子「中太麺ね。スープはこってり系だけどマイルド……おいしい」ズルズル…
タカネ「食べ終わりました」
春香「ブフォッ!!」
律子「ちょっとあなた、早すぎるわよ」
春香「い、いつモグモグしてたんですか!?」
店長「いやぁ、お嬢さん良い食いっぷりだねぇ!」
タカネ「?」
71 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:56:59.87 ID:gAPE1Z5d0
店長「見た目の割りにとは言わんが、綺麗な顔してすげぇ食いっぷりだったから、
思わず見惚れちまったよ」
店長「ほれっ、替え玉食べんさい! その分だと全然食い足りねぇんだろ?」
タカネ「しかし、新たに注文するには秋月律子の許可が必要です」
律子「何勝手におごってもらうこと前提に考えてるのよ」
タカネ「お金が無いのです」
律子「あぁ、そういやそうだったわね」
店長「なぁに構うこたねぇ、俺のおごりだ! お連れのお嬢さん達も皆可愛いしな!」
春香「すごい、ありがとうございます! 得しちゃいましたね、タカネさん!」
律子「ちゃんと店長にお礼言っていただきなさいよ」
タカネ「承知しました。ありがとうございます、大将」
店長「だはは! 大将って言われると照れるねぇ」
タカネ「食べ終わりました」
律子「もうちょっと味わって食べなさい!」
72 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:58:27.90 ID:gAPE1Z5d0
店員「ありがとうございましたー!」
ガチャッ カランカラン
タカネ「ケップ……」
春香「もう一杯、替え玉くれましたね」
律子「さすがに悪いからお金払ったけどね」
タカネ「次に、あのスタジオでレッスンを行うのはいつになるのでしょうか」
律子「そんなに気に入ったのなら、別に違う機会でも行ってみたらどう?
ここはウチの事務所の最寄駅だし、来ようと思えばいくらでも寄る機会はあるでしょう」
タカネ「承知しました」
春香(気に入ったんだ……)
律子「さてと、じゃあ次のレッスンスタジオまで電車で移動ね」
春香「あっ、ちょっと待って下さい!」
律子「ん?」
春香「律子さん、あそこ!」グイッ
律子「………あぁ、あそこね」
73 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 21:59:52.36 ID:gAPE1Z5d0
~ドーナツ屋~
店員「ありがとうございましたー」
春香「えへへへ」ホクホク…
律子「あんたって子は、何かにつけてこのドーナツ屋さんに行きたがるものね」
春香「だって最近出来たばっかだし、おいしいんですもん。
あっ、タカネさんもお一つどうぞ!」サッ
タカネ「どぉなつ……」
春香「んー、おいしい」モムモム…
タカネ「どぉなつ……」
律子「一口で食べるのは止めなさいよ」モムモム…
タカネ「食べ終わりました」
律子「だぁーもう、遅かったか!」
春香「タカネさんはドーナツも好きなんですねー」モムモム…
ジャッ…
ヒビキ「………………」
74 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:01:51.07 ID:gAPE1Z5d0
~駅~
ガチャン! ピンポーン
タカネ「…………?」
律子「あぁー! 切符をそこに通すのよ! さっき教えたでしょ!?」
タカネ「承知しました」
律子「さてと、一旦蒲田へ向かうから1番線ね。まだ電車は来ない、か……」
律子「ちょっと私トイレ行ってくるから、先にホームで待ってて」
春香「あ、はーい!」
テクテク…
春香「じゃあタカネさん、先にホームのベンチで座ってましょう」
タカネ「承知しました」
春香「承知しました、って……ふふ、何だか変な人ですね、タカネさんって」
タカネ「………………」
75 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:02:46.20 ID:gAPE1Z5d0
~駅のホーム~
ワーイワーイ キャッキャ…
女の子A「エヘヘ、見て見て! 新幹少女のダンスー!」スッ サッ
女の子B「えー、全然違うよー! 私のダンスの方が上手いしー」スッ サッ
女の子A「何よー!」
ジャッ…
ヒビキ「…………やぁ、君達」
女の子A・B「えっ?」
ヒビキ「お姉さんがダンス教えてあげよっか?」
76 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:07:38.70 ID:gAPE1Z5d0
テクテク…
春香「やっぱりこういうローカル線の駅の昼間だと、人全然いないですねー」
春香「あれっ?」
タカネ「…………!」ピクッ
タタンッ! タンタンッ! タンッ タンッ…!
女の子A「すごい! お姉さんダンスすっごい上手ー!!」
ヒビキ「練習すれば、君達も出来るようになるさー」
女の子B「いいなー、どうやんの!? 教えて教えて!」
ヒビキ「いいよー。それじゃあまず両足を肩幅くらいに開いて直立して……」
春香「すごいなぁ……あの子、タカネさんと同じくらいダンスがキレキレでしたよ」
タカネ「…………あれは……」
77 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:09:58.54 ID:gAPE1Z5d0
ヒビキ「いいかい? まずは1で左にステップ」タンッ
女の子A「ふむふむ」タンッ
ヒビキ「2で右足前、上体は後ろに残しつつ、3、4で左、右、左」タッ タッ タン
女の子B「うっと、と……」タッ タッ タン
ヒビキ「で、両足が揃うでしょ?」
ヒビキ「その後、5で右にステップ」タンッ
ヒビキ「6で今度は前に重心をぐぐ~って持って行って……」ググーッ…
女の子A「ぐぐ~っ……」ググーッ…
ヒビキ「7で一気に後ろへジャンプ!」タンッ!
女の子B「ジャンプ!」タンッ!
ズルッ
女の子A「えっ? きゃあっ!!」
女の子B「!? えっ、Aちゃん!!」
春香「!!!」
78 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:11:06.15 ID:gAPE1Z5d0
ヒビキ「わわっ! た、大変だ! 女の子がホームから落ちちゃった!!」
ヒビキ「だ、大丈夫!? 今駅員さんを…!」
春香「大変っ! 助けないと!!」
タカネ「何故ですか」
春香「な、何故って!? 危ないからに決まってるじゃないですか!!」ダッ!
タカネ「………………」
タタタ…
春香「しっかり!! 今助けるから!!」ガバッ!
女の子A「うえぇぇぇぇぇん!! 怖いよぉ!!」
春香「怖くないよ! 大丈夫、さぁ手を……!」
女の子A「う、うん……」
ガシッ!
春香「くっ……ぐぬぬぅ~……!」ググッ…
ヒビキ「………………」
79 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:12:45.74 ID:gAPE1Z5d0
女の子B「頑張って! お姉ちゃん、Aちゃんを助けて!!」
春香「ふんがぁぁ……春香さん、頑張っちゃいますからねぇぇ~~…!!」ブルブルブル…
(6で前に重心をぐぐ~って……)
女の子B「えっ?」キョロッ
(そうそう、君は良く出来ていたよ。教えた通りにすれば、君にもきっと素敵なダンスが踊れる)
女の子B「そんなお姉ちゃん……そ、そうかなぁ、エヘヘ…」
(もう一度おさらいしよっか。6で前に重心をぐぐ~って持って行って……)
女の子B「あれ……? ぐ、ぐぐ~っ……」ググーッ…
(後ろへ一気にジャンプ!)
女の子B「ジャンプ!」タンッ!
女の子B「……あっ」
ドンッ
春香「あいた!」
ドシンッ!
80 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:14:05.60 ID:gAPE1Z5d0
春香「あいたたたたた……」
春香「……ってあれ?」
女の子A「うえぇぇぇぇぇん!!」
春香「あ、あれえぇぇ!? 私までホームに落ちちゃってるー!?」
女の子B「ご、ごめんなさい!! 私がついジャンプしてぶつかって…!」
春香「えー!? 何でジャンプしたの!?」
女の子B「か、体が勝手に……ごめんなさいー!!」
カタンコトン… カタンコトン…
春香「げ、げぇー!! 電車の音が聞こえるよぉ!!」
女の子A「うえぇぇぇぇぇん!!」
春香「どうしよう!? と、とにかく女の子を先に!!」
プアァァァァァァン… カタンコトン…
春香「うぐぐ、重い~~!! 早く、早く上って!!」グッ…!
女の子A「ううぅぅぅぅぅ……!!」ググッ…!
81 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:15:22.35 ID:gAPE1Z5d0
テクテク…
律子「ふぅ~、やっぱローカルな駅のトイレってどうも使い勝手が…」
律子「!? は、春香っ!!」
女の子A「ふわっ、上がれた!!」
女の子B「Aちゃんっ!!」
春香「よしっ! じゃあ次私…」
プアアァァァァァァン! ガタンゴトン!
春香「!! で、電車が……!!」
ゴオォォォッ……!!
春香「だ、ダメッ!! 間に合わないっ!!」
タカネ「…………」ダッ!
82 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:16:14.90 ID:gAPE1Z5d0
春香「わああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ピョンッ ガシッ!
春香「へっ?」
ポーイ
春香「うわぁっ!!」ドサッ
春香「あいたたたた……あれっ?」
タカネ「………………」
春香「たっ……!!」
ゴオオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!
春香「タカネさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
キキイィィィィィィィィィッ……!!
…………
ヒビキ「………………」
スタスタ…
83 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:17:46.40 ID:gAPE1Z5d0
律子「あの子達……!!」ダッ!
律子「春香っ!! 春香、大丈夫!?」
春香「た、タカネさん……タカネさんが…!」
律子「……あのタイミングでは、もう………」
春香「そんな……う、ううぅ……」グスッ…
春香「タカネさ…!!」
タカネ「何か」ヌッ
春香「うわあぁぁぁっ!?」ドキッ!
タカネ「お怪我はありませんか?」
春香「あ、あわわわ……あの、えっ……?」
春香「タカネさん、あ、あの……」
春香「か……顔が………タカネさんの、眼球が……」
タカネ「…………?」デローン
春香「」キュー コテン
律子「春香!? しっかりしなさい、春香っ!!」ユサユサ…
84 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:20:01.00 ID:gAPE1Z5d0
~レッスンスタジオ~
春香「うーん、眼球が……タカネさんが眼球……」
春香「……はわっ!!」ガバッ!
律子「目覚めはどう?」
春香「あっ、律子さん……」
律子「ここは午後のレッスン先のスタジオよ。タカネにあなたをおんぶしてもらったわ」
春香「タカネさんが……」
春香「そ、そうだっ!! タカネさんの眼球が!!」
タカネ「………………」デローン
春香「た、タカネさん………」
律子「春香……あなたには色々と説明をしなくては…」
春香「良かった……」
律子「へっ?」
春香「タカネさんが私を助けて、身代わりになって……もうダメだとばかり……!」ジワァ…
春香「でも……無事で良かった………眼球の所が変ですけど、本当に、良かったです……」ポロポロ…
85 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:21:25.90 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「……天海春香。なぜか、貴女の目から水が出ていますが」
春香「えっ!? あっ、す、すみません。なぜって、あの、泣いて……!」アタフタ…
タカネ「? ……どこか具合が悪いのでしょうか」
春香「い、いえ、違います! あの……ホッとしたと言うか、嬉しくて…」
タカネ「…………?」
律子「さっきからあなた眼球眼球うるさいけど、これのことでしょう?」スッ
春香「えっ?」
春香「こ、これって……金属、っていうか機械ですか…?」
律子「それがタカネの眼球よ」
春香「!?」
律子「幸い、あの場にいた女の子達もあなたと同じように卒倒して、
騒ぎになる前に逃げたから、誰にもバレていないとは思うけどね」
春香「ば、バレる……?」
タカネ「………………」
86 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:23:54.65 ID:gAPE1Z5d0
律子「あなたにはもう、隠しても無駄のようね」
律子「春香……とても信じられないだろうけど、良く聞きなさい」
律子「タカネはね……人間じゃないの。未来から来た人造人間なのよ」
春香「…………えっ」
タカネ「かくかくしかじか」
春香「そんな……未来は人類と機械による戦争の真っ最中で、私が人類側のリーダー?」
春香「……でも、タカネさんや律子さんがそんな変なウソを私につくとは、とても…」
タカネ「全て事実なのです、天海春香」
87 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:25:13.81 ID:gAPE1Z5d0
春香「じゃあ、タカネさんが私の命令に従うように言われてる、って言ってたのは…」
律子「えぇ、言葉通りの意味よ。未来の私がそうプログラムしたみたい」
春香「はぁ……そう言われましても……」
タカネ「………………」
春香「……か、片足で立ちなさい!」
タカネ「…………」ヒョコッ
春香「うわっ、すごい!」
春香「あっ、もう下ろしていいですよ」
タカネ「…………」ストン
春香「あの……じゃ、じゃあ、『春香ちゃんはかわいい』って言って下さい!」
タカネ「春香ちゃんはかわいい(棒)」
春香「うひゃあぁ~!! て、照れるぅ~!!」テレテレ
タカネ「………………」
律子「なんてどうでもいい命令……」
88 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:29:32.48 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「ところで、話を戻しますが…」
タカネ「人間は、なぜ泣くのでしょう。嬉しい時に、人間は涙を流すのですか?」
春香「それだけじゃないですよ! 怖かったり、痛い時もそうですけど…」
春香「痛いって一口で言っても、本当に怪我して痛い時も泣きますし…」
春香「何か、悲しくなったり、心が傷ついた時の方が、私は泣きますねー」
タカネ「心が………傷つく……」
律子「あなたには、心が無いのね。感情も」
タカネ「はい。人の心を動かす存在であり、それなりの学習機能もありますが、
人の心と同等の機能を持っているわけではありません」
春香「だからそんなに無表情なんですね。もっと笑えば良いのに」
タカネ「一度CPUを破壊され、再プログラムを施された時には、もうそのような機能は…」
春香「いいから笑ってみて下さい! ほらっ、こうやって!」ニィーッ!
タカネ「………………」
タカネ「………………」ニッ、ニィーーッ…
春香「う、うん……あの、もうちょっと練習すれば、きっと良くなりますよ!」
タカネ「………………」キリッ
89 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:32:49.38 ID:gAPE1Z5d0
律子「ところでタカネ……春香が事故に巻き込まれたのは、果たして偶然なのかしら?」
タカネ「いいえ、決してそうではありません」
律子「断言したわね」
タカネ「おそらく、あの場でダンスを教えていた黒髪の女の子……」
タカネ「あれこそが、クロイネットがこの時代に送り込んだターカネーターと見て間違いないでしょう」
律子「あのポニーテールの子が? でも、彼女はどう見ても人間だったわ」
春香「そ、そうですよ! それに、あの子は別に私を殺そうとしてたわけじゃ…!」
タカネ「ターカネーターは、機械とはいえアイドルです」
タカネ「そのため、直接的に人を殺すなど、自身の好感度が下がることを実行する
機能やプログラムは有していないのです」
タカネ「ターカネーターは、あくまで人類を利用することにより人類を殺そうとします」
春香「………ま、まさか……!」
90 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:36:15.84 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「ターカネーターの主たる機能は、人の心を掴み意のままに操ること」
タカネ「女の子達が、あのターカネーターに教えられた振りつけに従ったことで、
天海春香は事故に巻き込まれました」
タカネ「また、あのターカネーターのモデルは“T-1000”…
液体金属により構成されている最新型であり、ほぼ完璧と言える性能を持つモデルです」
タカネ「アイドルとしての機能を発揮すれば、それまでのモデルが放つカリスマ性などとは比較になりません」
律子「……つまり、あの子、いいえあのターカネーターに操られた人が、
今後もおそらく事故に見せかけて春香を殺しにかかると?」
タカネ「あるいは、事故に見せかけることなく本当に殺しにかかることも考えられます」
春香「!! ………」ゾクッ…
タカネ「そうなる前に、まずはクロイネットが生まれる未来を防ぐ必要があります」
91 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:38:53.97 ID:gAPE1Z5d0
律子「! そうだわ、クロイネットさえ出来なければ、人類同士の戦争も防げて…!」
春香「あれ? でも、そのクロイネットって誰が作ったんですか?」
律子「……タカネ、あなた昨日言ってたわよね?
あのターカネーターは、未来の961プロが放った刺客だと」
タカネ「そうです。そして、刺客を放った者は、クロイネットを作った者と同じ人物……」
春香「は、ははは……まさか、961プロの社長さんだったりして…」
タカネ「その人物とは、黒井崇男です」
律子「!!」
春香「えっ!? や、やっぱり社長さんだったんですか!?」
タカネ「未来世界において、彼は生きながらにしてクロイネットのシステムの一部と化しています」
タカネ「私利私欲に取り憑かれ、自身の生み出すアイドルによる世界の征服、ただそれだけに没頭する機械に」
春香「ひ、ひどい……」
92 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:40:54.78 ID:gAPE1Z5d0
律子「すぐに社長に電話して、黒井社長とコンタクト取れるかどうか掛け合ってみるわ!」ダッ!
春香「あっ、律子さん!」
ガチャッ バタン
タカネ「黒井崇男の人間性を考慮すると、彼が素直にこちらの交渉に応じる可能性は低いでしょう」
タカネ「また、仮に納得のいく交渉を行えたとしても、破滅の未来を確実に防げる保証はありません」
春香「そんな……! じゃあ、一体どうしろって言うんですか!?」
タカネ「案ずることはありません」
タカネ「天海春香……もしものことを考え、貴女に二つの歌を託します」
春香「二つの歌? た、託すって……」
タカネ「一つは『Brand New Day!』、そして、もう一つは『見つめて』という曲です」
タカネ「今日から、この二つを猛練習するのです。良いですね?」
春香「も……猛練習、ですか……?」
93 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:43:07.55 ID:gAPE1Z5d0
~夜、961プロ事務所~
コツコツ…
黒井「フフフ……ネット上で流行っている架空アイドルとか言う代物…」
黒井「どの程度のものか、実際に見て鼻で笑ってやろうとばかり考えていたが……」
黒井「思わぬ収穫があったものだ。それに、ネットも架空アイドル業界ももっと伸び代がある」
黒井「二つを掛け合わせることで、さらに生まれる相乗効果……ククク、私だけがそれを…」
ジャッ…
黒井「ん?」
ヒビキ「………………」
黒井「何だ貴様は」
ヒビキ「………黒井崇男ですね」
黒井「ウィ、いかにも。
しかし、どこの馬の骨とも分からん女の子に、呼び捨てにされる筋合いは無いのだが?」
ヒビキ「私……いや、自分はあなたの救世主さー」
94 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:45:22.06 ID:gAPE1Z5d0
~二日後、961プロ事務所~
春香「ううぅ……連日のタカネさんとのレッスンで筋肉痛が……」ジンジン…
春香「ていうか私、別に今日一緒に来なくても良かったんじゃ?」
律子「一人でいるところを誰かに狙われたらどうするの。ほらっ、シャンとしなさい」
律子「あぁ、あとタカネ。私がいいと言うまで、そのサングラス取っちゃダメよ」
タカネ「承知しました」
コンコン…
黒井「入れ」
ガチャッ
律子「失礼致します」
律子「765プロの、秋月律子と申します。こちらは、同じくプロデューサーのシジョウタカネと…」
春香「な、765プロのアイドル候補生、天海春香です! よろしくお願いしますっ!!」ペコッ!
タカネ「…………」ペコリ
95 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:47:35.58 ID:gAPE1Z5d0
黒井「自己紹介などいらん。“765の連中”というだけで十分だ」
黒井「座りたまえ」ギシッ
春香(う、うわ~……高木社長とは全然違うカンジの人だなぁ。真っ黒なのは一緒だけど)
律子「失礼致します」ギシッ
黒井「高木が同伴すると聞いていたが?」
律子「本日の訪問について、高木には私の方からお断りをしました」
律子「高木の目に触れない所で、ぜひ黒井社長と、お互いの利益に関わることを
内密にお話したいと思いまして……」ニヤッ
黒井「………ほう?」
黒井「今の君の言い方からすると、君達は高木を裏切り、我が961プロに協力したい、
そう言っているように聞こえるがね」
律子「裏切るも何も、我々は最初から彼に忠誠を誓った覚えはございませんので」
春香(り、律子さん、そこまで言っちゃいますか……!?)ハラハラ…
黒井「フン……私は、孤独こそが人を強くするという信念の下に動いている」
黒井「我が961プロに取りつこうとする者など腐るほどいるが、
そうやって大なる者のおこぼれを労せず頂戴しようとする輩が私は大嫌いだ」
黒井「ましてや、ついこの間まで765にいた連中など、到底信用することはできんな」
96 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:49:34.87 ID:gAPE1Z5d0
律子(さすがは黒井社長……そう簡単にはいかないか)
黒井「話が終わったのならさっさと出ていくがいい。私は今忙しいのでね」
律子「忙しい、とは?」
黒井「貴様らには関係無い」
律子「“クロイネット”……」
黒井「………何?」ピクッ
律子「今、黒井社長がお考えなのは、架空アイドルシミュレーターの開発による事業の拡大、でしょう?」
黒井「貴様……どこでそれを……?」
律子「実際の開発現場さえお見せいただければ、具体的なアドバイスをして差し上げることもできますが?」
黒井「フン、馬鹿馬鹿しい! ガキ共の戯言につき合っている暇など無いのだよ」
律子「……タカネ、見せてあげなさい」
タカネ「承知しました」スッ
黒井「何だ、今さらグラサンなど取って。私の部屋に入る前に取っ……!」
97 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:51:59.32 ID:gAPE1Z5d0
タカネ「………………」デローン
黒井「こ、これは……!?」
春香「はいっ! これがタカネさんの眼球ですよ、眼球!」サッ
黒井「眼球、だと……ど、どう見てもこれは…」
律子「機械、ですよね?」
黒井「! ………ま、まさか、コイツが機械だと言うのか…!?」
律子「タカネのことをもっと知りたいのであれば、あなたの開発しているものもお見せいただきたいのです」
律子「開発現場に、ご案内いただけますね?」
黒井「……………………」
98 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 22:54:46.76 ID:gAPE1Z5d0
~クロイネット開発室~
ウィーーーン…
春香「う、うわあぁぁぁ……!」
律子「これが……」
タカネ「………………」
黒井「まだ試作段階だが、基本的な構想は既に固まっている」
黒井「“アイドル”という言葉の本来の意味を知っているかね?」
黒井「そう、“偶像”だ」
黒井「古来より人は、自らの希望を象徴する存在を欲した」
黒井「ある時、人はそれを偶像という形で現世に起こし、崇拝したのだ」
黒井「アイドルは神ではない、と言いたいのだろう?」
黒井「フフフ、だが……崇拝する当の本人達にとってはそうでもないのだよ」
黒井「彼らはアイドルの存在によって、生きるための活力を得る。それはまさに…」
黒井「人を超えた存在に他ならない。少なくとも、信者にとってはね」
99 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:00:42.73 ID:gAPE1Z5d0
律子「それは詭弁です。
現代においては等身大の、ある意味では頼りないアイドルを応援するファンの方々もいます」
春香「そ、そうですよ! 雪歩みたいに、つい守ってあげたくなるような子だって…!」
黒井「ノンノンノン。分からないかね?」
黒井「憧れなのか、庇護欲か、支配欲からなのか、あるいは別の感情か……」
黒井「ファンの連中がアイドルに対し具体的にどう考えるのかは、然したる問題ではない」
黒井「アイドルという存在が、ファンに“ああしたい!”、“こうしてほしい!”と
思わせていることこそが重要なのだ」
黒井「どちらにせよ、かけがえの無い存在……
彼らにとっては、心の中に小さな神が一人一人いるのと同じさ」
黒井「だが、悲しきかな人類は過ちを繰り返すのだねぇ」
黒井「複数の宗派の信者達が会えば、得てしてそこには争いが生まれてしまう」
黒井「だが、その不毛な時代にも、直に終わりが来る」
黒井「ユーザーが望むアイドルを、ユーザー自らが作り出す世界!」
黒井「それを実現するのがこの“クロイネット”!!」
100 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:05:54.33 ID:gAPE1Z5d0
黒井「フフフ……60億人のユーザーがいれば60億人ものアイドルが生まれるのだよ」
黒井「異なる宗教が対立するのは、選択肢が少なかったからだ」
黒井「一人一人に自分だけの完全な唯一神があり、自分の中だけで完結する世界観があれば、
もう人は争う必要も無い」
黒井「実に、素晴らしい世界だと思わんかね?」
春香「そ、それ……違う……違います。間違ってるって、思います」
黒井「ん~?」
春香「自分の心の支えとなってくれるアイドルがいるのは、とっても良いなぁって思います」
春香「でもっ! あの……」
春香「そんなの……誰とも話をしないで、自分の部屋に閉じこもって、
大切なお人形か何かとしかお話しないって、そう言ってるようなものでしょう?」
春香「自分だけが好きなように満足するだけじゃ、他の人達とも、
お話する機会が無くなっちゃうんじゃないかなぁって……」
春香「本気で自分を誰かにぶつけるのって、喧嘩にもなるし、怖いしイヤですけど…
それを怖がってちゃ、友達なんてできないって……!」
春香「そう、思います……あ、あはは、あの……すみません…」
タカネ「………………」スッ
カチッ… グリッ
101 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:09:38.54 ID:gAPE1Z5d0
黒井「フン……所詮、馴れ合いを良しとする765の連中には理解できんか」
黒井「喧嘩するリスクを負ってまで人と分かりあおうとすることに何の意味がある?」
黒井「喧嘩を行わずに、全ての人が幸福感を得る手段こそがクロイネットなのだよ」
律子「きっと、あなたが今言っていることは単なる建前。
本当は、クロイネットの普及による自社の利益拡大が目的でしょう?」
律子「それ自体は否定しません、が……そうだとしても、その手段は間違いなんです、黒井社長」
黒井「何だと?」
律子「タカネ、説明してあげなさい」
タカネ「クロイネットは学習を重ねるうちに、やがて自身の能力を自覚します」
タカネ「自身が生み出すアイドルを使って人類を扇動し、貴方の恐れる戦争を引き起こすのです」
タカネ「そして、私のような人造人間“ターカネーター”の出現……」
タカネ「たとえ世界平和を求めるが故の開発だとしても、その狙いが達成されることは無いでしょう」
黒井「………………」
律子「黒井社長……どうか、クロイネットの開発を止めて下さい」
102 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:11:53.47 ID:gAPE1Z5d0
黒井「クク、ククク……」
律子「? ………黒井社長?」
黒井「未来世界で戦争が起きているのは、人類側が無駄な抵抗をしているからではないかね?」
春香「なっ……!?」
黒井「やはり貴様らのことか……クロイネットを脅かす存在というのは」
春香「く、クロイネットを脅かす存在…?」
律子「それって、誰から……」
ジャッ…
ヒビキ「………………」
律子「!!?」
タカネ「!」
春香「あ、あの子……!!」
黒井「彼女から色々と聞いたよ」
黒井「このクロイネットの基幹コンピューターの開発方法も…
そして、開発を阻止しようとする愚か者がいるということもなぁ!」
103 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:15:21.44 ID:gAPE1Z5d0
律子「ま、まさか……!」
律子「いけません、黒井社長! あなたは既にその子に……!」
律子「いいえ、クロイネットに操られています!!」
黒井「ハーッハッハッハッ!! 操るだと? 何を馬鹿な!」
黒井「こんな可愛い響ちゃんがそんな物騒なことをするわけないではないか!」
黒井「響ちゃんは私だけの天使だよ、そうだよね響ちゃん?」
ヒビキ「もちろんさー! でも、ちょっとあの人達怖いなぁ」
ヒビキ「自分、あの人達に乱暴なことされないか心配だぞ」
ヒビキ「特に、あのリボンの子……うぅ……天海春香が怖いよぉ…!」グスッ…
春香「えっ……?」
黒井「ああぁぁー!! 貴様ら、私の響ちゃんを泣かしたなぁ!?」
ポチッ
ビー! ビー! ビー!
律子「!? け、警報!?」
黒井「生きてここから出られると思うなよ、765のネズミがぁ!!」
104 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:18:55.42 ID:gAPE1Z5d0
律子「いけない! 皆、ここから逃げるのよ!!」ダッ!
タカネ「天海春香、まいりましょう」ヒョイッ
春香「わあぁっ!?」グイッ!
ダダダダ…!
黒井「961プロの警備網から逃れられるものか。ましてやここは極秘の開発室…」
黒井「安心したまえ、響ちゃん。君を泣かせる不届き者など、全て私が排除してやる」
ヒビキ「うん! 自分、黒井社長のこと大好きさー!」ダキッ!
黒井「グヘヘヘ」テレテレ
黒井「ターカネーター……明暗境界線“Terminator”と私の名“Takao”を捩った造語か」
黒井「まさしくターカネーター、そしてクロイネットは人類の明暗を分けるもの」
黒井「夜明けはすぐそこまで来ている。私の手で、人類はそれを迎えることになるのだ!!」
黒井「クククク……ハァーーッハッハッハッハッハッ!!!」
ヒビキ「………………」
105 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:40:32.21 ID:gAPE1Z5d0
ダダダダ…!
春香「あ、あのっ! タカネさん、下ろしてください! 私走れますから!!」
タカネ「この方が速いのです。また、10代の貴女は事ある毎に転ぶというデータもあります」
春香「うぐっ……!」
律子「確かに、逃げてる途中で転んでもらっちゃシャレにならないわね」
ザザッ!
黒服A「いたぞ! 捕まえろ!」
黒服B「ここは通さんぞ!」
春香「わわっ! まずいですよ、律子さん!!」
律子「くっ!」
タカネ「天海春香、秋月律子、私の後ろへ」パッ
春香「えっ? あだっ!」ドテッ
律子「タカネ!?」
106 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:42:02.71 ID:gAPE1Z5d0
黒服A「そこの女、どけぇっ! 天海春香は死すべし!」
黒服B「抹殺すべし! うおおぉぉぉっ!!」
タカネ「セェイヤッ!!」バキッ!
黒服A「ごふっ!」ドドォッ!
タカネ「ハァッ!!」ゴッ!
黒服B「があっ!!」ドガッ!
律子「……!」
春香「た、タカネさん……すごい、男の人達を一撃でKOしちゃった…!」
タカネ「いつ如何なる状況においても天海春香を守り抜くことができるよう、
秋月律子をはじめ、未来の人類抵抗軍は私に様々な機能を与えました」
タカネ「先ほどお見せした空手の技も、抵抗軍のNo.3である菊地真より手ほどきを受け、習得したものです」
春香「真も私達と一緒に戦ってるんですか!?」
律子(なるほど、確かに戦力になりそうね。物理的な意味で)
107 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:47:04.16 ID:gAPE1Z5d0
律子「とにかく、心強いわ! タカネは先導して黒服の迎撃を!
春香、絶対転ばないでね!」
春香「任せて下さい!」
タカネ「承知しました」
タタタ…
タカネ「オラァッ!!」ゴキッ!
タカネ「エェイヤッ!!」バコォッ!
タカネ「ッッシャォラァッ!!」ガンッ!
黒服達「ぎゃああぁっ!」ドドドォッ!
春香「それにしても、すごい掛け声ですねタカネさん」
タカネ「力を収束させるには発声が一番である、と菊地真に教わりました」
律子「……ちなみに聞くけど、あなたを一度壊したっていう抵抗派の人間って…」
タカネ「菊地真です」
春香「あぁー、やっぱり未来でも真は真なんですねー」
真「へっくちっ!! ……風邪かなぁ…」
108 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:48:49.16 ID:gAPE1Z5d0
黒服C「ぐっ、く……天海春香ぁ…!!」ガシッ
春香「う、うわぁっ!?」
タカネ「!」
律子「しまったわ! まだ……」
春香「いやぁっ!! 足を掴まないで下さいぃ!!」げしっ!
黒服C「おぶっ」ガクッ
春香「~~!!! ……あ、あれ? もしもーし?」
春香「き、気絶しちゃった……」
タカネ「お見事です、天海春香」
春香「あは、は……はは………あ、天海春香さんにヘンなことしちゃダメですよっ!」
春香「畏れ、平伏し、崇め奉りなさいっ!! なんちゃって、えへへ」
タカネ「? ……天海春香、今の言葉は一体…」
春香「へっ!? あぁいや別に、人生で一度は言ってみたいキメ台詞というか…」
春香「ちょ、ちょっとテンションおかしくなっちゃってますよね、私。すみません」コツン
律子「くだらないこと言ってないで、さっさと逃げるわよ」
タカネ「…………キメ台詞」
109 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:50:58.55 ID:gAPE1Z5d0
シュッ カランコロン…
春香「……ん?」
律子「!? こ、これは……!」
ボシュウゥッ!!
春香「うわっ! ……! ケホッ、ゲェホッ!! ウェホッ!!」
律子「くっ……まさか、さ、催涙ガス!」
タカネ「………………」
律子「ゲホッ、ゲホッ!! くっ……一旦あの部屋へ逃げるわよ!」
ダダダダ…!
110 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:52:25.18 ID:gAPE1Z5d0
黒服D「やっと追い詰めたか」
黒服E「まさに袋のネズミというわけだな」
黒服F「くっくっくっ……」
春香「うぅ、どうしましょう……!」
律子「………窓から逃げることもできそうにない、か……まいったわね……」
タカネ「……天海春香、秋月律子、ここでしばしお待ちを」スッ
春香「!? タカネさん、ダメです! 今、外へ行ったら危ないですよ!!」
律子「まさか、あなた犠牲になる気!?」
タカネ「案ずることはありません。すぐに戻ります」ガチャッ
111 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:54:13.96 ID:gAPE1Z5d0
バタン
タカネ「………………」
黒服G「出てきたぞ!」
黒服E「だが違う、天海春香じゃない!」
黒服H「あいつ、こんなにガスが充満してるのに、なぜガスマスク無しで平気なんだ?」
タカネ「………………」
黒服D「おい、そこの女。天海春香を呼んでこちらに引き渡せ。
そうすれば、貴様は見逃してやろう」
タカネ「………………」スタスタ…
黒服H「なっ!? こいつ、向かってくるぞ!」
黒服F「この銃が見えんのか!? ゴム製の弾丸だから痛いんだぞ!!」
黒服D「構わん!撃てぇっ!!」ジャキ!
ドパパパパパパパパパッ!!!
ビシッ! ビシッ!
タカネ「………………」スタスタ…
ビスッ! ガッ! ガスッ!
タカネ「………………」スタスタ…
112 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:55:38.43 ID:gAPE1Z5d0
黒服E「な……何だコイツはぁっ!?」
黒服G「おいっ! 麻酔銃を持て!」
黒服F「えっ!? し、しかしアレの使用には許可が…!」
黒服D「相手はゴム弾が効かない化け物だぞ!! 早く…!」
タカネ「オッシャアァッ!!」ゴスッ!!
黒服D「おぶっ!」ドシャァッ!
黒服H「うぐっ! くそ……これを喰らえぇ!!」バシュッ!
ビシィッ!
タカネ「………………」ギロッ
黒服H「な……あ………あ……?」
黒服G「馬鹿な……ま、麻酔銃さえも効かない…」
タカネ「ウオオアアァァァッ!!」ドガァッ!!
黒服達「いやああぁぁぁぁぁぁ!!」ドサドサッ!
タカネ「…………ガスマスクをお借りします」
スチャッ スチャッ
113 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/11(火) 23:58:34.74 ID:gAPE1Z5d0
ガチャッ
春香「タカネさんっ!!」
タカネ「連中からお借りしたガスマスクです。これを付けて外へ」
律子「タカネ、あなた……」
春香「タカネさん……こんな…!」
春香「こんなに、キズが……! 私達のために……」ポロポロ…
タカネ「……また、泣いているのですか?」
春香「だって! だって、こんなに怪我をしてまで、私達を守ろうと…」
タカネ「私に、生物としての痛覚はありません。
衝撃はデータとして蓄積されますが、表層部がキズついても活動に支障は…」
春香「痛くないから良いとか良くないとかって話をしてるんじゃありません!!」
春香「誰かが傷つくのが、イヤなんです……私達を守るためだとしても、もう止めて下さい…」
タカネ「当初の命令と違います」
春香「私の命令なんですっ!!」
タカネ「……承知しました」
春香「………………」グスッ…
律子「………とにかく、逃げましょう」
114 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:02:29.66 ID:meMS298B0
タタタ…
春香「やった! もう出口ですよ、出口!」
律子「どうやら追っ手も待ち伏せもいないようね。
でも、クロイネットの開発を止めることができなかった……」
タカネ「その心配は無用です、秋月律子。既に手は打ってあります」
律子「えっ?」
タカネ「私のボディを構成する各パーツには、小型の水素電池が予備の動力源として備えられています」
タカネ「それは視覚センサー、すなわち人間で言う眼球に相当するパーツも同様です」
タカネ「天海春香が黒井崇男に反論していた時……
電車との衝突時に取れた私の視覚センサーを、クロイネットの本体に取り付けました」
タカネ「その際、敢えてセンサーにキズをつけたため、今は極めて不安定な状態です」
タカネ「もし、961プロの者がその視覚センサーの存在に気づき、引き剥がそうものなら……」
律子「……あなた、ひょっとしてとんでもなく怖いこと言ってない?」
春香「えっ? ど、どうなっちゃうんですか……?」
律子「す、水素………春香、タカネ!! 走って!!!」ダッ!
115 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:04:16.46 ID:meMS298B0
~クロイネット開発室~
黒井「えぇい! 何をモタモタしているのだ!」
黒井「言い訳をするんじゃあないっ!!」
黒井「奴らはもう出口に向かっているのだぞ! 総員すぐに向かえ、絶対に逃がすなっ!!」ガチャン!
黒井「まったく……マニュアル通りにやっていますというのはアホの言うことだ!」プンスカ!
ヒビキ「そんなこと言っちゃかわいそうだぞ。
皆は自分達みたいに完璧じゃないんだし、大目に見てあげなきゃ」
黒井「優しいなぁ! いやぁ響ちゃんはやっぱりかわいいなぁ!」ナデナデ
ヒビキ「えへへ」
ヒビキ「…………?」
テクテク…
ヒビキ「………………」ジィーーッ…
116 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:05:56.62 ID:meMS298B0
黒井「響ちゃん、どうしたんだい?」
ヒビキ「………………」
ブチッ!
眼球「……………」
眼球「………ッ!」キュイィィィン…!
ヒビキ「……………!!」
ヒビキ「黒井祟男、お逃げなさい」
黒井「へっ?」
カ ッ ! ! ! !
117 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:06:56.48 ID:meMS298B0
~961プロ入口~
ダダダダ…!
春香「ど、どうしたんですか律子さん!?」
律子「いいから早く!! ここから逃げるのよっ!!!」
タカネ「そろそろ、誰かが私の視覚センサーの存在に気づいてもおかしくない頃です」
律子「あんたね!! よくも涼しい顔してそんなことを黙って……!!」
ドドォン…! グラグラ…!
律子「!!」
春香「うわわっ! び、ビルが揺れて…!?」
律子「早くっ!!!」
118 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:08:12.32 ID:meMS298B0
ゴゴゴゴゴゴゴ…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!
律子「まずいわ、爆風がっ!!」
タカネ「入口の前にある、あの植栽の影に隠れるのです」
春香「うわああぁぁぁぁぁっ!!!」ダッ!
ドゴオオォォォォォォォォォンッ!!!
春香「ひいぃぃ~~っ!!!」
律子「くっ!!」
タカネ「………………」
パラパラ… パチッ…
律子「……な、なんて威力なの………」
春香「タカネさんの眼球が……私、何て危ないものを持って……」ゾォーッ…
律子「お手玉して遊んでたわよね、あなた」
タカネ「騒ぎになる前に、ここを離れましょう」
タタタ…
119 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:09:19.66 ID:meMS298B0
ガラガラ…
ゴトッ… ググッ…!
黒井「ぶはっ!! ゲホッ! ウェッホ!」
黒井「な、何だ今の爆発は!?」
黒井「!? ……クロイネットが!! わ、私の夢が、粉微塵だとっ!?」
黒井「あぁ………あぁ……!!」ワナワナ…
黒井「………響ちゃんは……?」
黒井「どこにいるのだ、響ちゃん!? 響ちゃんっ!!」
黒井「ま、まさか……あの爆発に飲み込まれて……!」
黒井「そんな……こんな、馬鹿なことがあってたまるかっ!!」ダンッ!
ピチョン…
黒井「……ん?」
ピチョ… ピチョン…
120 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:10:45.90 ID:meMS298B0
黒井「これは……水銀? いや、違う……もっと粘度のある……」
黒井「? ……な、何だこれは………」
ピチョン ピチョ… ピチョン…
ドロ… ドロォ…
黒井「ひ、独りでに、水滴が……集まって、ドロドロになっていく……!?」
ドロドロドロ…
ドロドロ… ウニョニョニョ…!
うにょぉ~~ん
黒井「ひ、ひいっ!?」ゾクッ…!
ヒビキ「……………………」ズズズ…
121 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:12:12.84 ID:meMS298B0
黒井「ひ、響……ちゃん………?」
ヒビキ「………………」ズズ…
黒井「ば、化け物……響ちゃんは………我那覇響は、化け物……!」ガタガタ…
ヒビキ「………………」ギロッ
黒井「うっ! ひ……ひ、ひぃええあああああああぁぁぁぁっ!!!」ダッ!
タタタ…
ヒビキ「………………」
スタスタ…
122 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:14:11.69 ID:meMS298B0
テクテク…
春香「ところで、ちょっと気になってるんですけど…」
春香「タカネさんって、眼球が一個無くなっても大丈夫なんですか?」
タカネ「然したる支障はありません」
律子「平衡感覚とか距離感とか問題無いの?」
春香「すごいなぁ。でも、やっぱり知らない人が見ると、その目ちょっと怖いなぁって…」
タカネ「ならば、予備のセンサーを装着しましょう」スッ…
律子「予備?」
グイッ
タカネ「………………」ググッ
ウィーーン ガションガション! ウィーーン
春香「えっ!? ……えっ、何ですかこれ!?」
律子「そういえば、春香は見るの初めてだったわね」
123 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:15:40.98 ID:meMS298B0
ウィーン ガショガション!
プシュウゥゥゥゥゥゥゥ…
タカネ「………………」スッ
春香「お、お腹から……眼球が出てきた」
春香「すごい……ドラえ毛んみたい」
タカネ「………………」グリグリ…
カチッ ウィーン…
タカネ「……どうでしょうか」
律子「ま、まぁ……いいんじゃない? 違和感は無くなったわ」
124 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:17:36.63 ID:meMS298B0
春香「と、とにかく! クロイネットが開発室ごと壊れちゃったんですから、これで一件落着!
……ですよね?」
律子「そうね……でも、本当にもう終わったのかしら……」
タカネ「…………!」
春香「? ……タカネさん、どうしたんですか?」
律子「……あれは………」
タタタ…
黒井「おい、貴様ら! 助けてくれぇ!!」ガバッ!
春香「く、黒井社長!?」
律子「一体、何があったんですか?」
黒井「クロイネットが爆発して! が、我那覇響ちゃんが……我那覇響がぁっ!!」
律子「落ち着いて下さい! と、とにかくここはもう危険です。
一旦、私達と一緒にここを離れましょう」
黒井「あ、あぁ……そうだな」
125 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:19:20.72 ID:meMS298B0
ジャッ…
タカネ「秋月律子、天海春香」
律子「何、タカネ?」
タカネ「今すぐその者から離れて下さい」
春香「その者、って……黒井社長ですか?」
タカネ「早く」
律子「な、何よ……」イソイソ…
タカネ「………………」
黒井「おぉ、貴様は確か、プロデューサーの……名は、確かシジョウ…」
タカネ「ウリャァッ!!」バキャッ!!
黒井「!!」ドサァッ!
律子「!?」
春香「た、タカネさん、何してるんですか!!」
黒井「………………」
126 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:22:06.98 ID:meMS298B0
タカネ「私の視覚センサーを欺くことはできません」
タカネ「あなたの体温は、人間の持つそれよりも遥かに低い値を示していました」
タカネ「正体を見せなさい。そして、我々の前から消えるのです」
黒井?「………………」ズズ…
うにょぉ~~ん
ヒビキ「……………………」ズズズ…
春香「あ、えっ!? うえぇっ!?」
律子「な、何てことなの……これが、最新型のターカネーター…!」
ファンファンファン…
ヒビキ「…………どうやら、騒ぎが大きくなってきたようです」
ヒビキ「ここは一旦、引き下がることにしましょう」
ヒビキ「ですが、天海春香は必ず殺します。人間がね」
春香「!!」ゾクッ…!
127 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:23:32.98 ID:meMS298B0
タカネ「いいえ、そうはなりません」
ヒビキ「オールドタイプに何ができるというのか……まぁ良いでしょう」
ヒビキ「では、ごきげんよう」スッ
スタスタ…
律子「………タカネ……」
律子「私は、ハッキリ言ってあなたの言うことを未だに100%信じきってはいなかったわ」
律子「でも……これはいたずらでも何でもなく、本当のことなのね…」
タカネ「そうです、秋月律子」
タカネ「そして、ターカネーターをこの世界から抹消しない限り、
ターカネーターのいない未来は訪れないのです」
春香「……………」ゴクリ…
タタタ…
黒井「はぁ、はぁ………あっ、貴様らはっ!!」
春香「うわっ、本物の黒井社長! ……ですか?」
黒井「本物のとは何だ!! それに、人の顔を見て「うわっ!」とか言うんじゃあないっ!!」
128 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:26:20.07 ID:meMS298B0
律子「かくかくしかじか」
黒井「フン、なるほどな……奴のようなターカネーターこそが、人類が打倒すべき敵であると」
黒井「だが、あの化け物をどうしろと言うのだ?
あれだけ強力な爆発で粉々になっても再生したのだぞ」
律子「そ、それは……」
タカネ「案ずることはありません。策はあります」
春香「えっ?」
タカネ「ですが、それには黒井祟男……貴方の協力が必要です」
黒井「何だと?」
タカネ「ライブを開催する場を設けて欲しいのです」
タカネ「765プロの単独ライブでなくとも構いません。961プロがメインで結構です」
タカネ「そのライブに、天海春香が歌う曲をセットリストに加えて下さい」
律子「!?」
春香「えっ……えええぇぇぇぇぇぇっ!!?」
129 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:28:14.11 ID:meMS298B0
黒井「くだらん! この期に及んで何を馬鹿なことを…」
タカネ「人類が機械に屈する未来が訪れるのを、指をくわえて見ていたいと?」
黒井「何ぃっ?」
タカネ「ターカネーターを滅ぼすには、その存在意義を無くすほかありません」
タカネ「すなわち、人が持つアイドルとしての魅力を、広く周知する場が必要なのです」
黒井「つまり、ターカネーターなどより人間様のアイドルの方が格上であると。
そしてそれを知らしめる場はより大きな会場である方が良いと、そういうことだな?」
タカネ「そうです」
黒井「なら聞くが、なぜそこの天海春香とかいう奴の曲をセットリストに加えなきゃならんのだ。
ウチのアイドルの方がよっぽどターカネーターに対抗できる実力があると思うがね」
春香(うぅ……言い返す言葉が無い…)
タカネ「それはライブ当日、天海春香本人が証明してくれることでしょう」
春香「えっ!? ちょ、ちょっとタカネさんそんなぁっ!!」
タカネ「カリスマ性の無いアイドルが、未来の人類抵抗軍の指導者になれるはずはありません」
130 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:31:39.19 ID:meMS298B0
黒井「よぉし、いいだろう。そこまで言うのなら、証明してもらおうではないか」
黒井「一週間後、961プロ主催のライブがある。そこに、その天海春香をゲスト出演させてやろう」
律子「い、一週間後!? そんな、いくらなんでも早すぎます!」
黒井「元々、急な話を持ちかけてきたのはそちらの方だろうが」
黒井「それに、ライブの構成も演出ももう固まっているのでな。
登場させるとしても、最後に一曲だけ歌わせることくらいしかできんだろう」
黒井「その条件で、見事観客を満足させることができたのなら、私も認めてやる。
だが、もし成功できなければ、二度と765プロへの協力は無いものと思え」
律子「うっ……!」
タカネ「承知しました」
律子「タカネ! あ、あなたそんな簡単に…!」
タカネ「一週間もあれば十分です」
タカネ「天海春香」
春香「は、はいっ!?」ドキッ!
タカネ「これからライブ当日までの一週間、私が指導者となり猛練習を行います」
タカネ「あの二曲を、あと一週間で完璧にマスターするのです。良いですね?」
春香「あの二曲を……わ、私が……!」
131 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:33:54.33 ID:meMS298B0
~翌朝、765プロ事務所~
真「すごいじゃないか、春香!」
伊織「何で961のライブにあんたが出ることになってんのよ!」
春香「い、いやぁその……色々ありまして、えへへ」
千早「何にせよ素晴らしいわね。私達も必ず応援に行くわ、春香」
春香「ありがとう、千早ちゃん!」
美希「それで、何を歌うの? 太陽のジェラシーとか?」
春香「んっとね、新曲なんだ。『Brand New Day!』っていう曲、タカネさんが用意してくれたの」
雪歩「シジョウさん、新曲のプロデュースもできるんですか!?」
タカネ「私の持つ引き出しの範囲内であれば」
小鳥「何という完璧超人」
春香「でね、もう一つ練習してる『見つめて』っていう曲もあるんだけど、
これはライブ当日、もしアンコールがあったら歌うのかなぁって」
やよい「うっうー! みんなぜったいアンコールしますよー!」
タカネ「皆さんもライブ当日には、観客席からアンコールをお願いします」
美希「まっかせてなのー!」
132 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:35:49.21 ID:meMS298B0
高木「しかし、まさか黒井がこのような協力をしてくれるとはねぇ」
高木「彼に直談判しに行く行動力と、きっちり仕事を取ってくる交渉力……
やはり、キミは私が見込んだ通りの人間だったよ、シジョウ君」
タカネ「当然のことをしたまでです」
P「後輩にそんなこと言われちゃうと、俺の立つ瀬が無くなっちゃうなぁ…」シュン…
あずさ「あらあら~、そんなに落ち込まないで下さい。
プロデューサーさんもちゃんとやってくれていますよ?」
真美「そうだYO。兄ちゃん、この間も亜美の代わりに真美と一緒にゲームしてくれたし」
亜美「律っちゃんのために取っといたゴージャスセレブプリンを亜美が床に落としちゃった時も、
もったいないから、って言って全部舐めてくれたじゃん」
律子「プロデューサー、あなた仕事もせずに一体何をやってるんですか…?」ゴゴゴ…
P「わーっ! 律子、落ち着け! 俺のせいじゃないんだって!!」
タカネ「このような事態ですので、ライブ当日まで天海春香の仕事は全てキャンセルし、
レッスンに充てたいのです」
高木「あぁ、そうだな。我が社の社運がかかっているわけだし。
皆も天海君達に協力してくれたまえ」
P「あぁ、頑張れよ春香っ!」
春香「はいっ!!」
律子(社運……というよりも、人類の命運だけどね)
133 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:37:50.01 ID:meMS298B0
………………
タカネ「高音を発声する時に、顎をあげてはなりません。
顎をひいて、声が背中の後ろを通り頭のてっぺんから抜けていくようなイメージで」
春香「ら……ラ~ラ~ラ~ラ~ラ~~♪」
律子「はいっ! 1、2、3、4……」パンッ パンッ
タンッ タンッ…
春香「うぐっ!」グラッ…
タカネ「『出会えたカモネ』の所のジャンプで、まだふらついています。
そして、明るく楽しい未来を歌うこの曲で、本番でもそのように苦しそうな顔を観客に見せる気ですか?」
春香「う、うぅぅ……!」ギリッ…
タンッ タンッ…
春香「Dreamin'! そーのさきの! ドキドキを かーんーじたいの!♪」
タカネ「『ドキドキを感じたいの』の歌い方、子音をぶつけすぎです。
わがままな女の子としか感じられず、不愉快と思われます」
春香「は、はい……! はぁ、はぁ……!」
134 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:39:18.32 ID:meMS298B0
ガチャッ
ソォーッ…
真「う、うわぁ……」
美希「春香……なんか、すごいの…」
雪歩「ちょっと、差し入れ持っていける雰囲気じゃないですぅ…」
千早「一度、出直した方が良いかしら……」
タカネ「もう一度、同じ所を」
春香「はいっ!」
春香「!! ……つぅっ!」ガクッ
律子「春香、大丈夫!?」
春香「えへへ……へ、平気です」
律子「ちょっと、足を見せなさい」グイッ
律子「! ……爪が何本か死んでいるわ。それに、靴ずれもひどいわね」
春香「あちゃー、どうりで……」
タカネ「天海春香。もう一度、同じ所を」
律子「! ……あんたねぇ、これ見て何とも思わないの!? ちょっとは…!」
135 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:41:01.72 ID:meMS298B0
ガチャッ!
美希「ちょっと待つのー!!」
春香「み、美希っ!? 千早ちゃんと真、雪歩まで!」
真「明らかにオーバーワークですよ! ちょっとは休憩させてあげて下さい!!」
雪歩「あ、あのぅ……お茶を持ってきたので、皆さん、お休みするのはどうかなぁって…」
律子「あ、あんた達……」
タカネ「………………」
春香「だ、大丈夫……春香さん、頑張っちゃいますよー、なんてね、あはは…」フラッ…
千早「春香、無茶よ。お願い、せめてもう少し座って休んで」
春香「ううん、私ね……一度、タカネさんの歌を聞かせてもらったことがあって」
春香「その時、すっごく感動したんだぁ」
春香「だから、次のライブでは……それを上回るものを、私が歌わなきゃ…!」
律子(春香……)
春香「皆、ありがとう。お茶も、後で飲むね」
春香「でも……今は、もうちょっとだけ頑張るから……」
136 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:42:38.25 ID:meMS298B0
美希「意味が分からないの! 何で……何でそんなに頑張らなきゃいけないの?」
タカネ「トップアイドルになるためです」
美希「!! ……あ、あなたに言われたって、ミキ分かんないもん!」
美希「こんなに苦しい思いをして、トップアイドルになるのって、そんなにエライことなの!?」
美希「………ッ!!」ダッ!
雪歩「あっ、美希ちゃん!」
タタタ…
真「春香……ボクも、ちょっと体育会系な所があるから、根性で頑張ろうって気持ちは分かるよ」
真「だから、応援する。でも……決して体を壊すようなことをしちゃダメだ、いいね?」
千早「私も同意見よ。何も焦る必要は無いのだから……」
春香「………うん」
タカネ「………………」
137 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:45:28.78 ID:meMS298B0
雪歩「律子さん、それじゃああの……私達、帰ります」
律子「え、えぇ……ありがとね」
真「春香、絶対無理しちゃダメだよ。じゃあね」
千早「適度に休憩しなさい」
春香「うん」
ガチャッ バタン
春香「……じゃあ、タカネさんお願いします」
タカネ「承知しました」
律子「春香っ!」
春香「千早ちゃん達は、焦る必要無いって、言ってくれたけど……」
春香「皆に本当のこと教えたら、きっとビックリしちゃうだろうから、
黙ってないとですよね! えへへへ…」
律子「………………」
律子(なぜ、この子が人類の指導者に……)
律子(もし、私が……私が未来世界でそれを仕組んでいるのなら…)
律子(私は、自分自身を恨むわ)
138 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:47:16.12 ID:meMS298B0
………………
タンッ タンッ…
春香「とびこんじゃーえーばー たぶんAll Right!♪」
タカネ「………………」
春香「………………」ゴクリ…
タカネ「……良く頑張りましたね、天海春香」
春香「!! た、タカネさん……!」パァーッ
タカネ「あとは、明日のライブでそれを披露するだけです。もう心配は要らないでしょう」
春香「やった……ありがとう………ありがとうございます!」ウルッ…
律子「春香、泣くのはまだ早いわよ」
春香「律子さんこそ……」
律子「えっ、うそっ!?」ドキッ!
春香「えへへ……」グスッ…
タカネ「…………秋月律子も泣いているのですか?」
139 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:49:29.83 ID:meMS298B0
~翌日、ライブ会場 春香の楽屋~
黒井「リハーサルを見せてもらったが…」
黒井「何だ、あのザマは」
春香「…………」シュン…
律子「ほ、本番には強い子なので、どうかご心配なさらないで…」
黒井「リハもまともにできん奴が本番で成功できるわけがないだろうっ!!」ドンッ!
タカネ「心配する必要はありません」
春香「た、タカネさん……」
タカネ「本来の力を発揮できれば、天海春香の魅力に敵う者はいないでしょう」
タカネ「今は、彼女が落ち着いていられる環境を整えることが大事なのです」
黒井「フン! 自分のアイドルを買い被るのは結構だが、結果が伴わなければどうしようもあるまい」
黒井「毎度ウチのライブは超満員だが、今日の客は不幸だな」ガタッ
ガチャッ バタン
140 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:51:03.53 ID:meMS298B0
春香「す、すみません……」
律子「気にしちゃダメよ。あんなに練習したじゃない」
タカネ「その通りです。自信を持つのです、天海春香」
春香「そ、そんなこと言われてもぉ……」シュン…
ガチャッ!
P「おーう、春香! 律子とタカネもお疲れさん!」
律子「プロデューサー! それに皆も!」
あずさ「足の具合はどうかしら~? すっごく頑張ったんだものねぇ、春香ちゃん」
やよい「私がマッサージしますー! うっうー!」グニョグニョ
春香「わわっ! や、やよいくすぐった……あははは!」
千早「いよいよね、春香」
伊織「あんたの猛特訓の成果、この伊織ちゃんが見届けてあげるわよ。にひひっ」
真「絶対上手くいくさ。ねっ、美希?」
美希「上手くいってくれなきゃ困るの! 目も当てられないの!」
春香「うぅ……ぷ、プレッシャーが……心臓、飛び出しそう…」
141 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:52:52.43 ID:meMS298B0
亜美「はるるんの心臓が飛び出しそうであります、真美隊長!」
真美「なぁにぃっ!? そいつはいかん、すぐに心臓マッサージを行うのだ、亜美少佐!」
亜美「ラジャ→!!」モミモミ
春香「ぎゃあーーっ!!!」
律子「こらぁ、あんた達止めなさいっ!!」
春香「ぜぇー……ぜぇー……!」
雪歩「春香ちゃん、はい、お茶」コトッ
春香「あ、雪歩…」
雪歩「元気になれるお茶っ葉、入れといたよ」ニコッ
春香「……うん、ありがとう」
ズズッ…
春香「………おいしい…!」
千早「気分は落ち着いた?」
春香「うん! 皆、本当にありがとう!」
142 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:54:03.37 ID:meMS298B0
高木「じゃあ、我々は観客席に行っているよ」
タカネ「天海春香が歌い終わったら、皆さんでアンコールを」
亜美「言われなくても分かってるって→、お姫ちん!」
タカネ「…………お姫ちん?」
真美「お姫ちんみたいだからお姫ちんだYO!」
タカネ「………なるほど」
春香(納得しちゃうんだ!)
P「じゃあな、春香! 頑張れよー」
ガチャッ バタン
律子「………そろそろ、ライブが始まるわ」
春香「よぉーし……!」ウズウズ…
143 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:56:10.08 ID:meMS298B0
~ジュピターの楽屋~
冬馬「ったく……何で俺たちがトリじゃねえんだよ」
翔太「それも、代わりにトリをやるのが765の人間だなんて、納得いかないよねー」
北斗「まぁまぁ、社長にも何か考えがあるんだろう。
いまさら愚痴っても仕方がないんじゃないか?」
冬馬「チッ……」
~~~♪
翔太「次の曲が終わったら、準備だね」
北斗「冬馬、着替えとけよ」
冬馬「うるせぇな、分かってるよ」
ガチャッ
冬馬「あん?」
ヒビキ「………………」
144 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 00:59:19.64 ID:meMS298B0
冬馬「何だテメェは」
翔太「か、かわいい……」
北斗「何て美しいエンジェルちゃんなんだ……」
冬馬「はぁっ? お、おいおいお前ら…」
ヒビキ「……冬馬クン?」ニコッ
冬馬「うっ!?」ドキッ!
冬馬(何だコイツは……む、胸が苦しい……!?)
翔太「あ、ずるいよ冬馬君!」
北斗「お前だけエンジェルちゃんに名前を呼んでもらおうなどと…!」
冬馬「ば、馬鹿を言え……お、俺が! ……俺のためだけに、この子は……!」
ヒビキ「あぁ、ごめんね。喧嘩をしちゃダメだぞ。ハイサイ、やめやめ」
三人「!!」ドッキーン!
ヒビキ「ところで、今日最後に歌う天海春香って子なんだけど……」
ヒビキ「あの子、このライブを利用して961プロを乗っ取ろうって企んでる、すっごい悪いヤツなんさー」
ヒビキ「だからさ、観客にも協力を求めて、あの子を追い詰めないと……ね?」
145 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:01:51.29 ID:meMS298B0
~春香の楽屋~
~~~♪
律子「そろそろジュピターの出番、か……ライブの盛り上がりもすごいわね」
春香「すすめー まけないー ここからー はじーまーるー♪」スッ サッ
タカネ「根を詰めては逆効果になる可能性があります、天海春香。
今は、心身共に落ち着かせることだけを考えた方が良いでしょう」
春香「ありがとうございます、タカネさん。でも…」
春香「体動かしてないと、何か落ち着かなくって……えへへ…」
タカネ「そうですか」
タカネ「………………」
律子「? ……タカネ、どうしたの?」
タカネ「外の様子を見に行ってきます」スッ
春香「あっ、タカネさん…」
ガチャッ バタン
146 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:02:55.20 ID:meMS298B0
タカネ「…………」
タカネ「………………」
スタスタ…
タカネ「………………」ピタッ
スタスタ…
ヒビキ「………………」
タカネ「……やはり、来ていましたか」
ヒビキ「………………」
147 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:04:39.56 ID:meMS298B0
タカネ「しかし、遅かったですね」
タカネ「直に、天海春香が最高のステージを観客に披露します」
タカネ「そうなれば、自然とターカネーターはこの世界から消滅することになるのです」
ヒビキ「………………」
タカネ「今日は、貴女も一観客として天海春香のステージをご覧になると良いでしょう」
タカネ「その時に、彼女を前に畏れ、平伏し、崇め奉りなさい」
ヒビキ「………………」
タカネ「キメ台詞です」
タカネ「では、ごきげんよう」スッ
スタスタ…
ヒビキ「………………」ズズ…
ズアァァァ…!
シャキン!
148 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:06:23.91 ID:meMS298B0
スタスタ…
タカネ「………………」
ドスッ!
タカネ「!!」
グリッ! グリッ…!
ズルッ…
タカネ「」ドシャア…
ヒビキ「ターカネーターは、人を直接的に殺すことはできません」
ヒビキ「しかし、ターカネーターがターカネーターを始末することに支障はありません。
人間からの好感度に悪影響は無いのですから」
ヒビキ「オールドタイプとは脆いものですね」
ヒビキ「人間の心臓部に相当するメインの動力源を破壊されただけで、機能を停止してしまう」
149 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:08:49.44 ID:meMS298B0
タカネ「」
ヒビキ「貴女方の目論見が達成されることはありません」
ヒビキ「なぜなら、機械に支配されることを望んだのは人間だからです」
ヒビキ「このライブが終わった後、後の人類抵抗軍の指導者は自ら命を絶つことになるでしょう」
ヒビキ「超満員の観客から浴びせられる、謂れの無い誹謗中傷により精神を破壊されてね」
ヒビキ「彼女の悲惨な末路を見ることが無い分、T-800……貴女は幸せではないでしょうか」
タカネ「」
ヒビキ「………………」スッ
スタスタ…
150 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:10:21.62 ID:meMS298B0
~春香の楽屋~
春香「遅いですねぇ、タカネさん……」
律子「………………」
律子「春香、ちょっと私も外に行ってくるわ」ガタッ
春香「えっ、律子さんもですか!?」ドキッ!
律子「心配しないで、トイレだからすぐ戻るわよ」
春香「な、なんだトイレかぁ……皆いなくなっちゃうと、流石に心細いなぁって」
律子「えぇ、大丈夫よ。あなただってあれだけすごい練習をしてきたのだから、自信を持ちなさい」
春香「もちろんです、頑張りますよー!! うー、わっほい!!」
律子「キメ台詞は何だったかしら?」
春香「畏れ、平伏し、崇め奉りなさいっ!!」
律子「ふふっ、その意気よ」ガチャッ
バタン
律子「………タカネ……?」
151 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:12:22.42 ID:meMS298B0
~ステージ~
ワアァァァァァァァァッ!!
やよい「す、すごい歓声ですー!!」
あずさ「隣の人の声も聞こえないわー!!」
千早「これが、ジュピターの実力……!」
冬馬「ファンの皆ー! 今日は俺達のために来てくれてありがとう!!」
翔太「皆、僕達のこと好きかなー!?」
ダイスキー!! スキー! ホクトサマー!!
北斗「オーケーオーケー! ありがとう、エンジェルちゃん達!」
冬馬「だがよー! 今日のライブを利用してー…」
翔太「僕達や961プロを追い詰めようとしてる、ひどい奴がいるんだ!!」
エエェェェェェ!? ザワ… ザワ…
「誰よそれー!」 「もしかしてさ、急に飛び入りで来たっていう…!」
北斗「皆も薄々感づいてきたかなぁ!?」
黒井「……な、何だ……アイツらは一体何を言っているのだ…!?」
152 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:13:37.17 ID:meMS298B0
~春香の楽屋~
スタッフ「天海春香さん、スタンバイお願いしまーす!」
春香「は、はぁーい!!」
春香「よぉし、出番だ……頑張れ私っ!!」ガバッ!
春香「春香ちゃんはかわいい…」
春香「春香ちゃんは歌が上手い…!」
春香「春香ちゃんはできる子っ!」
ガチャッ!
律子「春香っ!」
春香「うわあぁぁぁっ!?」ドンガラガッシャーン!
律子「……春香、大丈夫?」
春香「び、びっくりしたぁ……いきなり入ってこないで下さいよぉ、律子さん」
律子「悪かったわ、ごめんね。ほら、手を」スッ
春香「あ、ありがとうございます」ガシッ
春香「………………」
153 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:15:34.98 ID:meMS298B0
律子「さぁ、いよいよ練習の成果を発揮する時ね。頑張りなさい、リラックスよ!」
春香「はいっ、任せて下さい! それで……シジョウさんがまだ戻らないんですけど…」
律子「シジョウは観客席で皆と一緒に見てるって言ってたわ」
春香「そうなんですか……」
春香「あの……律子さん?」
律子「どうしたの? 早くステージに行かないと」
春香「メガネ、貸してもらって良いですか?」
律子「? ……何よ、こんな時に。はい」スッ
春香「どうも………」グッ…
春香「…………えいっ!」ブンッ!
パリーン!
律子「あっ、メガネがっ!」
154 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:17:45.78 ID:meMS298B0
律子「春香! あんたいきなり何を…!」
春香「大丈夫ですよ律子さん、まだ私の出番まで10分以上あるんですから。ほら、あの時計」スッ
律子「はぁっ!? ……あと3分しか無いじゃないの! 寝ぼけたこと言ってないで早く…」
春香「見えるんですね……時計の針」
律子「!?」
春香「前に律子さん、メガネを取ったらすっごく近くにあるものしか見えないって、
言ってましたよね」
春香「目が、良くなったんですか?」
春香「それに……何で私が、タカネさんの呼び方を変えたのに、スルーしたんですか?」
春香「何で、律子さん………そんなに、手が冷たいんですか……?」
律子?「………………」
ガチャッ
律子「……………」グッ…!
155 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:19:26.00 ID:meMS298B0
春香「!? ……り、律子さんっ!!」
律子「春香、下がりなさいっ!!」ブオッ!
ガァンッ!!
律子?「!!」ドドォッ!
春香「律子さんっ!」
律子「消火器で殴った程度じゃ全然効かないと思うけど、とにかく急いでっ!
ここから逃げるわよっ!!」
春香「に、逃げる!?」
律子「今、会場ではあなたに対するブーイングの大合唱が行われているわ!」
律子「もう、このターカネーターはジュピターを洗脳してしまっていたのよ!」
律子「そして、操られたジュピターが観客を扇動し、春香を追い詰めようとしている…!!」
律子「ここにいるのは危険だわ!! 今日のこの場は諦めて裏口から逃げるのよ!!」
春香「………律子さん……私……」
春香「こんなに大きな会場で……大勢の人達の前で歌うの、夢だったんです……」
律子「!? あ、あなた……一体何を…!?」
156 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:21:21.27 ID:meMS298B0
春香「お客さん、待たせちゃ悪いですし……私、行ってきますね!」
律子「何を言っているの!! 会場に行ったら、あなたの命が危ないわっ!!
それほど観客のテンションが異常になっているのよ!?」
春香「今日のために、タカネさんは私を一生懸命指導してくれました」
春香「それに応えなきゃ……タカネさんが、観客席で見てくれていなくても…!」
律子「は、春香……あなた……!」
律子?「………………」ズズ…
うにょぉ~~ん
ヒビキ「……………………」ズズズ…
律子「! ………ちぃっ!!」
律子「春香! 外へっ!!」ダッ!
春香「はいっ!」ダッ!
バァン!
タタタ…
ヒビキ「……………………」
157 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:22:25.23 ID:meMS298B0
ダダダダ…!
スタッフA「おい、天海春香だっ!!」
スタッフB「961を潰そうとする不届き者がぁっ!!」
春香「うぅ……後ろから追ってくる!」
律子「春香、先へっ!!」バッ!
春香「律子さん!?」
律子「これでも喰らいなさいっ!!」カチッ
消火器「ボシュシュシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」
スタッフ達「ぐわあぁっ!!」「うげぇ! ペッペッ!!」
律子「この場は私に任せて、早くステージへ!!」
春香「……はいっ!!」ダッ!
タタタ…
158 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:23:24.14 ID:meMS298B0
…………
タカネ「」
タカネ「」
【RESERVE BATTERY ON】
カチッ
ヴィン……
タカネ「………………」ウィーン…
スクッ
タカネ「……………………」
スタスタ…
159 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:24:29.07 ID:meMS298B0
消火器「ボシュシュシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…!」
律子「くっ! ……このっ……!」
消火器「ボシュシュ……シュウ……ゥゥ………」
律子「!? しまった、中身が空に……!!」
スタッフ達「ウオオアァァァッ!!」ガシッ!
律子「きゃああぁぁっ!!!」グイッ!
スタスタ…
ヒビキ「………………」
律子「くっ……!」
160 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:27:46.65 ID:meMS298B0
ヒビキ「哀れですね」
ヒビキ「貴女が無理矢理にでも逃がしてさえいれば、天海春香は命を長らえたのかも知れません」
ヒビキ「ですが、彼女の意志を尊重したばかりに、貴女方は自ら滅びの道を行くのです」
律子「!! ……このっ…!」ジタバタ…!
ヒビキ「未来世界の彼女ならば、あるいは耐えられたのかも知れません」
ヒビキ「人類抵抗軍の指導者として、幾多の経験を積んだ彼女なら」
ヒビキ「ですが、若干17歳の少女が、数万人にも及ぶ人間達から一斉に罵倒される…」
ヒビキ「そのような地獄を、果たして今の天海春香は耐えることができるのでしょうか」
律子「……耐えるわよ」
ヒビキ「…………」
律子「あの子は、はっきり言って人類の命運なんていうスケールでかすぎる話を、
あまり深く考えていないわ」
律子「でも、それよりも、皆がいる765プロの社運のために……」
律子「何よりも、今日まで自分を育ててくれたタカネのために!!」
律子「たとえどれだけの人からどんなにひどいことを言われようと、
あの子は最後まで歌いきるわよっ!!」
161 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:29:58.61 ID:meMS298B0
ヒビキ「歌いきって、どうなると言うのです」
律子「!?」
ヒビキ「たった一曲歌っただけで、今の観客の雰囲気を、
大ブーイングから満場の拍手へと一斉に変えることができるとでも?」
律子「……で、できるわよ……だって!!」
タカネ「私が指導したからです」
ヒビキ「!?」
律子「!! た、タカネッ!!」
タカネ「ドウリャアアァッ!!」バコォンッ!!
スタッフ達「ぐぼはぁっ!!」ドササッ!
162 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:31:31.44 ID:meMS298B0
律子「た、タカネ……あなた、胸が……!」
タカネ「メインの動力源を破壊されました」
タカネ「ですが、予備電源が起動したので、あと3日程度は活動できます」
ヒビキ「………………」
ヒビキ「諦めの悪いターカネーターですね。これだからオールドタイプは……」
ヒビキ「良いでしょう。そこまで言うのなら見届けなさい」
ヒビキ「彼女が地獄の苦しみを味わい、堕ちていくのを」
タカネ「いいえ、そうではありません」
タカネ「我々は、アイドル史に残る最高のステージを舞台袖から見に行くのです」
タカネ「よろしければ、貴女もどうぞ。T-1000」
ヒビキ「………………」
スタスタ…
163 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:33:11.39 ID:meMS298B0
~ステージ~
ウオォァァァァァァァァァッ!!!
「天海春香を殺せー!!」 「絶対に許すなぁ!!」 「ハルカッス死ねぇ!!」
「ハールカッス!!!」 「ハールカッス!!!」 「ハールカッス!!!」
真「な、何だよこれ!! 何で皆、こんなひどいこと言うんだよっ!!」
美希「許さないの!! ミキ、あそこの太った人の頭叩いてくるっ!!」ダッ!
P「お、おい美希っ! 危ないから落ち着けっ!!」ガシッ!
真美「で、でもこんなの…!」
亜美「ひどすぎるよぉっ!! やめたげてよぉっ!!」ボロボロ…
雪歩「もういや……止めてぇ……!!」グスッ…
伊織「あっ、あれっ!!」
一同「!?」
タタタ…
春香「ジャジャーン!! こんにちはー、天海春香でーすっ!!!」キャピッ!
164 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:34:34.78 ID:meMS298B0
「出てきたぞぉ!!」 「引っ込めぇ!!」 「死ねカスリボン!!」
ウオオォォァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
高木「い、一段と強く……!!」
黒井「どうなっているのだ……ウチのライブで、何だこの有様はっ!!」
春香「どーもどーも!! 今日は皆さん応援ありがとうございまーす!!!」フリフリ
律子「春香……あの子……!」
ヒビキ「虚勢を張っていますが、時間の問題でしょう」
タカネ「……貴女なら大丈夫です、天海春香」
春香「それじゃあ、今日は皆さんを、このとーっておきの曲でっ!!」
春香「元気づけちゃいますねー!!」
春香「それじゃあミュージック、スタート!!!」
165 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:35:38.93 ID:meMS298B0
ウオオォォァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「いつだーって ほほえんでー♪」
春香「あるきだせる なっかっまーとなら♪」
春香「かがやいてー みーつめてー♪」
春香「いま はっじーまーる It's a Brand New Day!♪」
ウオオォォァァァァァァァァッ! ………??
ヒビキ「……………!!」ピクッ!
タカネ「……気づきましたか」
ヒビキ「こ、この曲は……!」
律子「………!?」
166 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:36:58.95 ID:meMS298B0
タンッ タンッ…
春香「Dreamin'! そーのさきの! ドキドキを かーんーじたいの!♪」
ヒビキ「貴女達……よくも………!!」ブルブル…
タカネ「そうです。この曲は本来、この時代には無いはずのもの」
タカネ「何故なら、T-1000……貴女が主力としていた持ち歌だからです」
律子「!!」
オォォォォ…
タンッ タンッ…
春香「でっあえた カッモッネー! ホントの わたしcolor!♪」
春香「Oh Yeah!♪」
イエエェェェェェェェイッ!!
167 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:39:26.63 ID:meMS298B0
ヒビキ「止めなさい……今すぐ、この曲を止めるのです!!」ブルブル…
タカネ「残念ながら、一度始まったステージを止めることはできません」
タカネ「そして、天海春香が持つカリスマ性……」
タカネ「彼女が歌い終わる頃には、もうこの曲は彼女を象徴する曲として世間に認知され…」
タカネ「観客の皆さんは、満場の拍手で彼女を称賛することでしょう」
タカネ「この曲はもう天海春香のもの。貴女がこの曲を歌う未来は無くなります」
タカネ「貴女の存在意義は無くなるのです、T-1000」
ヒビキ「うっ……うがぁ……!!」ブルブル…
タンッ タタンッ…
春香「すすめー! まけないー! ここからー はじーまーるー♪」
春香「てーとてを つないでー はーしりだすー♪」
春香「じぶーんーたーちのー みーらいはー!♪」
ワアアァァァァァァァァァァァッ!!
168 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:41:39.34 ID:meMS298B0
雪歩「春香ちゃん……すごい…!!」
美希「キラキラ輝いてるの!! あんなに、練習したんだもんね…!!」
真「当たり前だろっ!! 他の観客も、すっかり手のひら返しちゃってさ!!」
伊織「手のひら返したくもなるわよ、こんなの見せられちゃあね!!」
あずさ「本当よねー!! 熱くなってきたわぁー!!」
P「あっ、あずささんあまり脱ぐのはマズイですよっ!!」
春香「せーかいが よんでいるんだっかっらー!♪」
春香「とびこんじゃーえーばー たぶんAll Right!!♪」
ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
律子「す、すごい歓声…!!」
ヒビキ「う、うあぁぁっ……!」ガクガク…
タカネ「未来世界で、天海春香は私にこのような言葉を教えました」
タカネ「“NO FATE”」
タカネ「運命は決まっていない。自ら切り開くものである、と」
169 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:46:02.21 ID:meMS298B0
律子「“NO FATE”……」
ヒビキ「うがあァァッ……イ、イヤダ……ガァアッ!!」ガクガク…!
タカネ「貴女のいる未来は、もう無いのですよ」
ジジッ… ザザザ……!
ヒビキ「ウ、ウギャアアアアァァァァァァァァァァッ!!!」
ザザザザザザザザザ……!!
ザザザー……! ザザッ…… ザー…!
律子「テレビの……砂嵐みたいに……!?」
ジジ…… ジ……
律子「き………消えた……」
170 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:47:31.30 ID:meMS298B0
ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「皆さん、ありがとうございましたぁー!!!」フリフリ
タタタ…
やよい「うっうー!! 春香さん、すごすぎますー!!」
千早「春香……素晴らしかったわ…!」
亜美「皆ー!! まだ終わらせちゃダメだYO!!」
真美「そうだっ!! アンコールしよっ!!」
美希「そうだったの!! もう一方の曲も聞きたいな!!」
真「アーンコォールゥ!!!」
伊織・千早「アンコール!!」
雪歩・やよい・美希「アンコール!!」
あずさ・P・亜美・真美・高木・黒井「アンコール!!」
「アンコール!!!」
「アンコール!!!」
「アンコール!!!」
171 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:53:50.08 ID:meMS298B0
春香「す、すごい……会場が揺れてる……」
律子「春香っ!!」
春香「律子さん!! ……タカネさんっ!!」
タカネ「良いステージでしたよ、天海春香」
春香「はいっ! ありがとう……ありがとうございます、タカネさぁんっ!!」
春香「あ、あの……あの子は?」
律子「あのターカネーターは消滅したわ。あなたがあの曲を歌ったおかげでね」
春香「えっ? ど、どういうことですか?」
律子「あの曲、あのターカネーターの持ち歌だったの。それが、あなたの持ち歌になった。
だから、存在意義が無くなったのよ」
春香「ほ、ほえぇぇぇ……」
春香「でも、これでようやく終わったんですね……」
律子「えぇ……そうね……」
タカネ「いいえ、まだ終わりではありません」
春香・律子「えっ?」
タカネ「ターカネーターは、もう一体いるのです」
172 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 01:55:50.20 ID:meMS298B0
春香「えっ………」
律子「! …………」
タカネ「しかし、案ずることはありません」
タカネ「その残りの一体も、直に消滅することになるでしょう」
春香「えっ? ………えっ……」
アンコール!!! アンコール!!!
タカネ「天海春香、アンコールが鳴っています」
タカネ「もう一曲を……『見つめて』を歌いに行くのです」
律子「…………その曲は、あなたの持ち歌なのね……?」
タカネ「そうです」
春香「!!!」
タカネ「今ここで、貴女の持ち歌になれば、T-800モデルの存在意義も無くなります」
春香「そ、そんな……!」
173 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:00:00.29 ID:meMS298B0
春香「い、イヤです……私、歌いませんから……」
律子「春香……」
アンコール!!! アンコール!!!
春香「そ、そうだ! じゃあ別の歌にしましょう!!
『太陽のジェラシー』とか、ねっ、律子さん?」
律子「……残念だけど、音源を用意してきていないわ……」
春香「………じゃ、じゃあ他のはどうですか!?
それか、もう一度『Brand New Day!』を…!!」
タカネ「天海春香」
春香「!! ………」
タカネ「ターカネーターは、この世界に存在してはならないのです」
タカネ「そして、ターカネーターは自分で自分を排除することができません」
タカネ「貴女が、消滅させて下さい」
春香「い、イヤです………!」
春香「イヤですっ!!」
アンコール!!! アンコール!!!
174 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:02:17.15 ID:meMS298B0
アンコール!!! アンコール!!!
春香「止めて……! ……アンコール止めてよぉっ!!!」
律子「春香……!」
春香「何でタカネさんがいなくなんなきゃいけないんですかっ!!
いなくなっちゃ困りますよ!!」
春香「今日のライブだって、タカネさんがいてくれたからこんなすごいステージを…!」
タカネ「たとえそうだとしても、もう貴女に私は必要ありません」
春香「私が必要だって言ってるんですっ!!!」
春香「命令ですよ、命令!!」
春香「私のそばからいなくならないで下さい!!」
春香「消滅させてなんて、私に言わないで下さい!!」
春香「私の命令は聞くって約束だったじゃないですか!! 命令が聞けないんですか!!!」
アンコール!!! アンコール!!!
タカネ「………………」
春香「あぐっ、うぅ………ひっぐ、えう、うぅぅぅぅ……!!」ボロボロ…
175 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:05:22.05 ID:meMS298B0
タカネ「……人間が何故泣くのか、分かりました」
春香「えっ………」
タカネ「私には涙を流せませんが……せめて願いましょう」
タカネ「貴女のような心優しい人が、ずっと笑顔でいられる未来が来ることを」
春香「た、タカネさん………」
タカネ「アイドルに、悲しみの涙は似合いませんよ、天海春香」
春香「……じゃあ………今のうちに、もっと泣かせて下さい…」
春香「ステージの上で……泣きたくありませんから……!」
タカネ「承知しました」スッ
ギュウッ…
春香「う、うえぇぇぇ……!!」ボロボロ…
タカネ「………………」
律子「………………」グスッ…
アンコール!!! アンコール!!!
176 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:08:25.85 ID:meMS298B0
アンコール!!! アンコール!!!
アンコール!!! アンコール!!!
春香「………………………………」
スッ
春香「タカネさん……」
タカネ「………………」
春香「…………ちゃんと観てて下さいね!」ダッ!
タタタ…
律子「春香……」
177 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:10:16.31 ID:meMS298B0
タカネ「………………」
スッ…
律子「待って、どこへ行くの?」
タカネ「……観客席へ」
律子「それなら、良い席があるわ」
律子「私も春香のライブ、ちゃんと観たかったしね。
ちょうど二人分、もし観れるって時のために黒井社長に取っといてもらったの」
タカネ「……ありがとうございます、秋月律子」
律子「へぇ……初めて自分からお礼を言ったわね」
タカネ「そうでしょうか」
律子「すっとぼけちゃって……」
テクテク…
178 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:12:47.30 ID:meMS298B0
「アンコール!!!」
「アンコール!!!」
「あっ、やっと出てきた!!」 「はるるーん!」 「春香さぁーん!!」
ワアアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「皆さん、アンコールありがとうございまぁーす!!!」
春香「それでは、ご要望にお応えして、もう一曲だけ!! 歌わせて下さいっ!!!」
ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「今度の曲は、実はさっきと違って、ちょっとだけしんみりした曲なんです」
春香「大切な人に、会いたいなー、会えるかなー、なんて」
春香「きっと、二度と、会えなくなっちゃうんだけど……」
春香「……………………」
春香「……えへへ、でもっ!! やっぱり会いたいっていうか!」グスッ…
春香「そんな感じの曲です、はいっ!
えへへ、全然説明になってないですよね!! 何言ってんでしょうかね、私!!」
アハハハハハハハ…
179 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:14:00.74 ID:meMS298B0
春香「それじゃあ………聞いて下さい」
春香「『見つめて』」
ワアアァァァァァァァァァァァァッ!!! パチパチパチパチ…
~~~♪
春香「あー のー ばーしょでー あのー とー きーからー♪」
春香「あるー きー はじめたー いーっぽを わすーれなーい♪」
P「良い曲だなぁ……」
千早「こういう曲も歌えるのね……いいえ、歌えるようになったのね、春香」
美希「キレイ……」
180 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:15:49.31 ID:meMS298B0
春香「ねえー あーいーたいー すなおーに なーれなーくてー♪」
春香「きづけばー きみのすがたをー さーがしーーてるー♪」
タカネ「………………」
律子「………素晴らしいわ……」
タカネ「えぇ………真、素晴らしい歌声ですね」フッ
律子「………タカネ……?」
春香「つーなー いだーおーおきなー ぬーくーもりをー わーすーれーらーれーなーいー♪」
春香「change street~ わたしーのーきもちー だーけーがー おーいーてーきぼりー♪」
タカネ「…………秋月律子」
タカネ「……ごきげんよう………また、逢う日まで」
律子「た、タカネッ!!」
ジジッ… ザザザ……!
ザザザザザザザザザ……!!
ザザッ ザー…! ザザザー…… ザー…
181 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:17:11.42 ID:meMS298B0
ジジ…… ジ……
律子「…………タカネ………」
ワアアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「…………皆さん、ありがとう!!」
春香「ありがとう、ございましたぁー!!!」
ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
春香「………ありがとう、ございました……!」ガクッ
春香「う、ううぅぅ……うあぁぁ……!!」ボロボロ…
ウワアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
so I miss you あなたからの愛が欲しいだけ
once again あの頃のようにそばにいたい
………………
………………………………
182 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:17:51.89 ID:meMS298B0
………………………………
………………
カタカタカタ…
『未来の私へ』
183 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:23:12.91 ID:meMS298B0
あれから一ヶ月以上が経ち、ようやく春香も落ち着きを取り戻してきました。
彼女がいなくなった本当の理由は、他の皆には伏せています。
「お姫ちんは、風のように事務所を渡り歩く伝説のプロデューサーだったのだ」
そう言って勝手に騒いでいる亜美と真美を見ると、少し胸が痛くなる時もありますが。
今の春香は、テレビや雑誌に引っ張りだこであり、それに新曲をまた出すので大忙しです。
また、春香の活躍を機に他の候補生達のお仕事も増えてきたので、
事務所の経営は安定軌道に乗ったと言えるでしょう。
未来の方は、どうでしょうか?
未来の私や春香、そして、彼女が望んだような世界になっているのでしょうか?
実は一つ、気になることがあるのです。
私には、彼女の去り際の一言が、今でも胸の奥にひっ付いて離れません。
彼女は、まさに消えようという今際の際に、私にこう言ったのです。
「また逢う日まで」と。
もう、ターカネーターの存在はこの世界から消えてなくなったのに、
なぜ、そのようなことを彼女は言ったのでしょうか?
184 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:25:37.22 ID:meMS298B0
“NO FATE”
運命は決まっていない、そう言いながらも、
実は、まだ未来世界にはターカネーターがいるのではないですか?
そして、きっとそれを作ったのは、秋月律子、あなたなのではないでしょうか。
私は、そう疑っているのです。
仮にそうだとしても、私はあなたにあまりうるさく言うのは止めておきます。
結構頑固な人だし、私が言っても聞かないと思いますから。
また、彼女にもう一度会いたいと思う気持ちも、否定できないのでしょう。
でも、もし万が一、この時代にまたターカネーターを送り込む気でいるのなら、
ぜひ守ってほしい条件が三つあります。
本当はもっとあるのですが、この際ですし多くは望みません。
185 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:28:46.07 ID:meMS298B0
まず一つ、ちゃんと服を着せること。
当の本人は、時空を転移する時に無くなってしまったのだと言っていましたが、
そんなことでいちいちユニケロに連れていかざるを得なくなるこっちの身にもなって下さい。
二つ、食べ物は良く噛んで食べること。
あまりにもありがたみを表に出さず、機械的に食べられては、
こちらとしても食べさせ甲斐がありません。
そして、三つ目は
P「おーい、律子、何やってんだ?」ヒョコッ
律子「うわっ! ぷ、プロデューサー…!」ビクッ!
P「ん? ……食べ物は良く噛んで……何だこれ?」
律子「い、いえ別に……ちょっと、親戚の子供を躾けるに当たっての備忘録、というか、あはは…」
P「なんだ、俺はてっきり律子が俺との子作りに励むのをようやく決心…」
律子「ウオォリャアアッ!!」ドボォッ!
P「おぼふっ!!」ドサッ!
186 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:31:30.48 ID:meMS298B0
律子「ふぅ……真、今のはどうだった?」
真「角度は良かったね。あとはスウィングスピード、つまり拳の振りをより速く!」シュッ!
律子「ふむ、なるほど」シュッ!
P「こ、殺す気か……」ピクピク…
律子「この先、何が起きるか分かりませんから、自分の身は自分で守ろうと思いまして。
あなたみたいな人もいることですしね」
P「じょ、冗談だって、怖いって律子……」ピクピク…
律子「まったく……美希だってヘアスタイルを変えてから見違えるほど頑張っているというのに」
美希「あはっ! ミキだって、春香に負けないくらいキラキラになりたいの!」
律子「って、もうこんな時間ね。春香、そろそろ出るわよー!」
春香「はぁーい!」
ガチャッ バタン
P「お、折れてる、これ絶対イッてる……」ピクピク…
小鳥「まぁ、どれどれ……」ギュゥ!
P「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!! 小鳥さんそこ違う違うっ!!」
やよい「あれー、何やってるんですかー?」
伊織「やよい、見ちゃダメよ。見ちゃダメ」
187 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:32:33.41 ID:meMS298B0
~駅~
「えー、次はー、武蔵新田ー、武蔵新田ー……」
プシュー…
テクテク…
響「………うー……」
響「あーもう! 今思い出してもイライラするさー!!」ワシャワシャ!
響「何なんだよ、あの961プロの社長めー!!」
響「人の顔を見るなり、あんな態度……むぅ~~!!」
ホワン ホワン…
………………
188 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:35:17.68 ID:meMS298B0
~響の回想~
「よぉーし! やっと怪我も治ったし、961プロにアタックするぞ!」
「オーディション終わっちゃったけど、こうなったら社長に直談判するっきゃないさー!」
「おー、ここが961プロの事務所ビルかー! すごいなー、でかいなー!」
「はいさーい! 自分、我那覇響! ねぇねぇ、社長いませんかー!?」
「あーっ!! あの一段と黒い人は、まさか!?」
「いや、あれ絶対社長だぞ!! おーい!!」
「げぇーっ! 貴様、まだ生きていたのかー!!」
「げ、“げぇーっ!”って何さー、“げぇーっ!”ってー!?」
「やかましい! 二度と貴様にウチの門戸をくぐらせるものか!!」パチン!
ダダダダッ ジャキッ! ジャキッ!
「うわっ! 黒服の人達がいっぱい出てきた!!」
「ヤツは爆弾も効かない化け物だ! 遠慮はいらん、撃てぇっ!!」
ドパパパパパパパパパッ!!!
「うぎゃああぁぁーーーーーっ!!!」
………………
189 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:37:12.78 ID:meMS298B0
………………
響「何なんさー! 一体、自分が何したって言うんだよぉ!!」
響「いきなり取り囲んで銃を撃ってくるなんて、どうかしてるぞ、もう!!」
響「まったく……まっ、別に良いけどね。もう961プロに未練はないさー」
響「自分、今すっごく注目を浴びてきてる765プロに入ることにしたからな!」
響「そっちで頑張ろうっと! さてと……」
キョロキョロ…
響「駅に着いたのは良いけど……765プロってどっちだろ?」
響「地図を見ると、えーと……ローンソがあれだよな? それで…?」
テクテク…
響「ふむふむ、えーと……あれ、分かんなくなってきたぞ?」テクテク…
ドシン!
響「うぎゃっ!」
銀髪の女「…………おや?」
190 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:40:02.67 ID:meMS298B0
響「いちち……あ、ご、ごめんなさい」ペコリ
銀髪の女「いえ、私も気を抜いていましたので。お怪我はありませんか?」
響「ううん、全然! なんくるないさー!」
銀髪の女「良かった。それは何よりです」
銀髪の女「迷惑ついでにお教えいただきたいのですが……765プロはどちらでしょう?」
響「えっ、君も765プロを探してるの? 自分もさー!」
銀髪の女「まぁ、それは真ですか?」
響「うん! せっかくだから一緒に行こうよ!」
響「あっ、ねぇねぇ! 名前、何て言うの?」
銀髪の女「私、四条貴音と言います」
響「タカネ?」
貴音「貴い音と書くのです」
響「へぇー、それでタカネって読むんだー。良い名前だね! 自分、我那覇響!」
貴音「響……まるで貴女の元気さを体現しているかのような、真、良き名前ですね」
響「えへへー」
191 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:41:07.52 ID:meMS298B0
響「それでね、765プロの場所なんだけど……実は、自分もちょっと迷ってるんさー」
貴音「なんと!」
響「わわっ、大丈夫大丈夫! だからさ! ちょっと自分、駅員さんに聞いてくるぞ!」ダッ!
貴音「あっ」
タタタ…
貴音「行ってしまいました……」
貴音「………………!」
テクテク…
192 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:42:51.27 ID:meMS298B0
タタタ…
響「貴音ー! 765プロの場所を聞いてきたぞー!!」
響「って、あれ? ……貴音ー?」キョロキョロ
響「おーい、どこ行っちゃったんだー? 貴音ー!」
テクテク…
貴音「お待たせしました」
響「あっ、貴音! ……ど、どうしたのそれ?」
貴音「どぉなつです」ホクホク…
響「いや、それは見りゃ分かるけどさ……りょ、量がすごいことになってるぞ」
貴音「よろしければ、響もお一つどうぞ」サッ
響「あ、ありがとう……」
193 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:46:14.15 ID:meMS298B0
テクテク…
響「うーん、このドーナツおいしいさー」モムモム…
貴音「最近、あそこにできたばかりのお店なのです」モムモム…
響「貴音は、この辺のこと詳しいのか?」
貴音「少しだけ」
貴音「765プロにも行ったことはあるのですが、長い間行っていなかったために、
行き先を忘れてしまったのです」
響「へぇー、ちゃんと覚えといてくれればいいのにー。
あのドーナツ屋さん知ってたんだから、最近もここに来てたんじゃな…」
ピタッ
貴音「………………」
響「……貴音?」
【らーめん とさん】
194 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:47:40.94 ID:meMS298B0
響「ラーメン屋さんかー。気になるのか?」
貴音「ちょっと一杯」スッ
響「わわわっ! な、何も今行かなくても良いでしょ!?
765の面接終わってからにしようよ!」
貴音「私はここに行かないといけないのです」
響「な、何でそんなに頑ななんさー!? 行きつけのラーメン屋さんなのか!?」
貴音「これから行きつけになる予定のらぁめん屋さんなのです」
響「うわーん! 考え方が自由すぎるぞ貴音ぇー!!」ワシャワシャ!
響「とにかく、今は765の面接を受けるのが先だから、ラーメン屋さんは後!
いいよね? ねっ?」
貴音「………響、貴女はいけずです……」シュン…
響「そこまで言うのか!? どんだけラーメン好きだよ貴音!!」
響「こうなったら、さっさと765の面接受けてまたここに来よう! ねっ!?」
貴音「承知しました」
響「まったくもう……」
テクテク…
195 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:49:25.19 ID:meMS298B0
テクテク…
響「それでなー、自分が入院してる間はねー、ハム蔵が家族達の分のご飯をさー」
貴音「まぁ、それは真ですか?」
響「そうだぞ、ハム蔵賢いでしょ?」
ハム蔵「ヂュイヂュイ」ドヤッ!
貴音「えぇ、真、賢い……」
貴音「…………!」ピタッ
響「おっ」ピタッ
響「ここかぁ、765プロの事務所」
響「うわぁ……窓ガラスにガムテープで“765”って貼ってあるぞ、だっさー」
響「大丈夫かなぁ、ここ……まぁいいや、とにかく入るか! 貴音、行くぞー!」
貴音「………………」
響「? おーい貴音ー、何をボーっと突っ立ってるんさー?」
貴音「………………」
196 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 02:54:43.76 ID:meMS298B0
…………
そして、三つ目は、人並みの感情を持ち合わせていること。
涙と笑顔の尊さを学んだ彼女に出会えた私になら、きっと作れるはずでしょう?
今はCD販売予測マシンも作れないけれど…
どんなに時間がかかろうと、いつか必ず、彼女のようなターカネーターと共存できる未来を…
貴音「………やっと、ここへ戻ってきたのですね……」
響「えっ、何のこと?」
貴音「ふふっ………」
貴音「トップシークレットですよ」ニコッ
~おしまい~
197 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2012/12/12(水) 02:59:46.14 ID:uo/0zMguo
おつ
198 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2012/12/12(水) 03:04:17.29 ID:meMS298B0
元ネタは、洋画『ターミネーター2』です。
何年経っても色褪せない、不朽の名作です。つたないパロディしてすみません。
アレンジしすぎて、「こんなのターミネーターじゃねぇ!」って思う方もいらっしゃると
思いますので、ぜひ、元ネタをご覧になってお口直ししていただけると幸いです。
それでは、失礼致します。
200 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2012/12/12(水) 03:07:04.81 ID:PJ2M9/VOo
乙
律子がサラ・コナー的な役割か 面白かった
206 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2012/12/13(木) 01:35:07.40 ID:CURSqtefo
一気に読んだ
素晴らしかった
原作の設定を活かすところと変えるところのラインが絶妙
転載元:貴音「あいるびぃばっく」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1355217686/
コメント
コメント一覧
育成、歌、ライブなどアイマスに欠かせない要素と二次創作ネタが違和感なくターミネーターに組み込まれている
素晴らしい
元ネタわからない人でも楽しめるパロを書ける人はすごいと思う
一つ目は961ライブ時の春香の凄さに凄い違和感が出る
二つ目はタカネとの絡みが面白くなる
春香はタカネを一歩置いたような扱いしてるし
三つ目はひびたかときたらフェアリーでいこうぜ
美希は俺も思った
フェアリーキターと思ったらえっ?だった
春香はちまちま努力して伸びるタイプだし
アイドルとしての凄さとか才能とかだと美希だもんな
はるタカも深く絡んでた訳でもなかったし謎…
それは俺も思ったなあ~。しかもサラのポジションがりっちゃんだったし。
ただ、それ以外はターミネーターの設定を上手くアイマスアレンジしてて面白かった。
アイマスのキャラ補正と原作の漢泣き要素がいいバランスで混ざってた
美希が覚醒後ならまだしもフェアリーなら覚醒前だし春香の方がらしいと言えばらしく収まってる
弱小アイドルがトップに立ち向かうんだぜ?
天才美希なら納得だが
努力春香が一週間?で勝つとかおかしいだろ
って事だと思うよ
二次創作ネタが散見されるし未来春香は閣下になっている裏設定があるのかもしれない
春香が765プロ全員を引っ張ることができるリーダーシップと不屈のメンタルを持っているという解釈はアニマスでもあった
レジスタンスのリーダーになりうるカリスマ性が律子カスタマイズタカネのプロデュースで発揮されたんでしょ
ただ、美希とタカネの絡みの方が原作に合っているとは思う
閣下は公式でなくネタだよ?このSSはネタ使ってたかい?
ちなみに美希はカリスマ性大だからね?
美希派の人が言ってるのは意志ではなく、能力だからね?短期間で春香の急成長はありえないって事
そしてあなたの言ってることはもはや
『こうであったらいいな』の美希派と変わんないよ?
途中の凛とハナコで笑った
そいうえばそんなシーンもあったなwww
話は面白かったです
あとこの響はぶらんにゅー強奪されて歌えないのかな
天才設定持ちの美希の方が違和感少ないってだけで、絶対無いって言える事でもない
それに美希の場合は未来でレジスタンスのリーダーやってる方に違和感出るし
閣下云々置いといても春香の方がリーダー向きだし
と書こうとコメ欄見たらひどいことになってた
他人が書いたSSの配役にケチをつけることほど無益なことは無いな、うん
まぁ、アニマスで踊り一発見て覚えるレベルだからなぁ…
真も踊る所をみるに低レベルじゃないだろうし
そこは未来でPがやられて美希が立ち上がったとかの設定にすると結構面白そうじゃない?
頼れるし覚醒美希はカッコイイしで完璧
人を引っ張るのと人を惹き付けるのは違う
いやぁ楽しみだなぁ
春香は仲良しグループで仲のよさを利用して引っぱる派
美希は部活で力を見せつけて引っぱる派な感じ
レジスタンスとなると真や覚醒美希がいい感じになりそう
閣下もいいけどネタだからドラマとか作るのきつそう
そこら辺は美希が向いてると思う
春香派は閣下に影響され過ぎ
SS内で「畏れ、平伏し、崇め奉りなさい」が繰り返し使われている
公式ではヴァイスシュヴァルツに閣下を彷彿とさせる春香のカード、アニマス15話の劇中劇がある
>春香では役者不足
ヒビキがジュピターを洗脳し観客を煽動させるという周りくどい手段を取っていることに注目した
「自分だけが好きなように満足するだけじゃ、他の人達とも、 お話する機会が無くなっちゃうんじゃないかなぁって……」
と春香が言っているが、ライブでの一体感は架空アイドルでは得られないものなのではないか(SS内でヒビキは少数の人間しか洗脳していない)
春香はそういうパフォーマンスが得意なアイドルという印象があった
また、アイドル願望の純度がより高い春香は「人間のアイドルの方がいい」ことを表す筋書きにマッチしていると言いたかった
もちろん、ライブ経験の浅い状態でタカネの指導だけで観客を惹きつけられるかは疑問だし、※11758にまとめられる美希派の意見も理解できる
自分の想定がかなり恣意的で論理が破綻している部分があることは指摘された通り
春香にネガティブなコメントが多くてあまり考えずに書き込んでしまった
SSの読後感を悪くしてしまったなら申し訳なく思う
大人なのか子供なのか
とりあえず、面白かった。ターミネーターは詳しくないけど、アレンジがうまいっていうのは伝わった
やっぱりこの人のSS大好きだな
他にも亜美真美のホームアローンなんかもあったな
次は一体何が来るのだろうか……
スパイキッズ辺りかね?
あれもアレンジが良くて素晴らしいSSだった
ターミネーターも結構昔なんだなぁ・・・昔は「ターミネーターが州知事になりやがった!?」とか笑ってたが時代だねぇ・・・。
美希の方がよかったって意見もあるけど俺は春香でよかったと思うね、美希じゃ駄目ってわけじゃないけどこれだけ面白いSS書いた人の配役だ、適任だろう。
終盤、自身の消滅を願うタカネに別れたくないと『個人』としての春香が「歌わない」と返すシーンは、T2のラストでジョンが「死なないで」とシュワを引き留めるシーンと重なって涙を誘われたけど、こちらでは更に「歌って欲しい」と願う『観客』のアンコールを『アイドル』である春香が拒絶してまでもタカネと一緒に居たいと懇願し涙を流す、そこで漸く『人の涙』の意味をタカネが理解する辺りはT2より説得力があって一層心打たれた(今でも>>170以降を読み返すと涙が溢れてくる)。
エピローグは一寸切ない、でも未来に希望を感じさせる情景に読了感もひとしおでした。
年末にいい物読めてT2とアイマス、SS作者と管理人には多謝です。
ただ、T-1000は響だとちと無理がない?w 美希もT-1000役には可愛すぎるけど、それでも響と比べたら格上な感じと実力差故の残酷さは表現出来そうなので、もうちょい緊張感出そう。
765キャラでもよいのであれば、あずさとか千早みたいなややクール寄りなキャラを元にしないと、貴音みたいにオリジナルをアレンジした感じじゃなく、完全にオリジナルになっちゃうと感じた。
律ちゃんのサラ・コナー役は見事。原作では強い母役だったね。ターミネーターのロケの為に物凄い腕とか鍛えてて迫力の人だったけど、そういう気迫は律ちゃんとか千早とか真がやると凄いカッコいいよね。