高森藍子「お待たせしまし……あ、あれ?」

藍子「いない……」
藍子「でも、店員さん、この席だって教えてくれたのに……」
藍子「……あっ、加蓮ちゃんの荷物」
鞄 < ……
藍子「それに、スマートフォンを置きっぱなしで……あれっ、今、ちょっとだけ音がした?」
スマホ < ツウチガアルヨ
藍子「ランプが点灯してて……モバP(以下「P」)さんからメッセージが来てます?」
藍子「……」
藍子「…………」
藍子「…………」ソロー
北条加蓮「こんにちは、藍子」ヒョイ

藍子「ひゃあああああああああっっっっ!!」
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藍子「い、いえその、急に声をかけられたから――」
加蓮「ええー……よく急に声をかけるなって言われるけど、じゃあどうしたらいいのってならない? 急に出てきた方がびっくりするでしょ」
藍子「そういうことじゃなくてっ、その、タイミングみたい物ですっ!」
加蓮「そう……」
加蓮「ごめんごめん。ちょっとお手洗いにね。あれ、スマホが光ってる」
藍子「あっ、Pさんから通知が来てたみたいですよ」
藍子「トライアドプリムスでのLIVEって、もしかしてけっこう久しぶりですか?」
加蓮「そうかも。ソロが多かったからなー私。ふふっ、藍子、見に来てよ。きっとびっくりさせてみせるから」
藍子「はいっ。加蓮ちゃんのLIVEは、色んな意味で驚かされちゃいますから、私も楽しみです」
加蓮「ありがと。さてと…………んん? 藍子、なんでこの通知がPさんからって知ってんの?」
藍子「あ」
藍子「…………ご、ごめんなさい、その、ちらっと見えちゃって……」アハハ
加蓮「…………」
藍子「ち、ちらっと見ちゃいましたっ! 中身は見てないですっホントです!」
加蓮「正直でよろしい」ペチン
藍子「いたいっ」
加蓮「ふんふん了解っと。よし、これでオッケーっと」
藍子「あうぅ……」オデコスリスリ
藍子「ありがとうございますっ。……カルボナーラ?」
加蓮「最近、食べてるところ見てないなーって。久々に食べたら美味しいんじゃない? こういうの」
藍子「……ごめんなさい、加蓮ちゃん。一昨日、Pさんと別のカフェに行った時に……」
加蓮「げぇ。Pさんに事前調査しておくべきだったか」
藍子「でも、いいんです。ここのはここので美味しいですから♪ ありがとうございます、加蓮ちゃん。いただきますね」ハムッ
藍子「~~~♪」
加蓮「嘘がつけない顔だなぁ……ふふっ。私が顔を作りすぎなだけか」
加蓮「ん? うん、だね。私も食べたことあるけど、食べたことない味だった」
藍子「カフェってふしぎですよね。私たち、色々な物を食べてきている筈なのに、どれも美味しく感じちゃう」
加蓮「グルメレポとか何回やったかな。いかにも食べてないって反応をしてたら気に入られちゃって」
藍子「加蓮ちゃんの番組、よく見ていますよ。……って、あれって演技だったんですか!?」
加蓮「3割演技7割本気。食べたことがない物っていうのは本当のことだからね。それを大げさに見せているっていうか」
藍子「ほっ……。あれがぜんぶ演技だったら、私、加蓮ちゃんのことをちゃんと見てあげているって自信がなくなっちゃってました」
加蓮「演技っていうのは騙される人がいるから意味があるんだよ」
加蓮「うん」
藍子「嫌ですよ……どうせなら、加蓮ちゃんの演技を手伝う方がっ」
加蓮「それはそれでまた適任がいるっていうか、ね……」
藍子「むー……」
加蓮「……前々から気になってたけど、そんなに私に恩を売りたいの?」
加蓮「別に、役に立って欲しいとか、何かして欲しいから一緒にいる訳じゃないんだけど……」
藍子「うーん…………」
藍子「過保護だっていうのは分かっていますし、お節介なのも分かっています」
藍子「でも、私にできることがあるなら……何か、してあげたいな、って」
加蓮「……そこまで言われちゃ悪態もつけないなぁ」
藍子「それに、加蓮ちゃんを見てると……逆に、はっきりと何かして欲しいからって言ってくれた方がいいなって思います」
藍子「だから、私に何でも言っちゃってください!」
加蓮「道具扱いかっ」クスッ
藍子「えへっ」
加蓮「ん……。はっきりと言われないのってホント辛いもんね」
藍子「あはっ。ところで加蓮ちゃん。今、ちょっぴりお腹が空いていたりしませんか? ほらほらっ、遠慮しないではっきり言ってくださいっ♪」
加蓮「…………本音は?」
藍子「…………このカルボナーラ、今の私にはちょっぴり量が多いかも」
加蓮「今日の私は0点だ……」アーン
藍子「ごちそうさまでしたっ」
加蓮「じゃあ、今日は飲み物も食べ物も頼まない感じ?」
藍子「そうですね……今日はいらないです」
加蓮「残念。美味しそうに食べたり飲んだりする藍子を見てるの、けっこう楽しいのに」
藍子「くすっ……ごめんなさい、加蓮ちゃん。また今度、一緒にご飯食べに行きましょう」
加蓮「何が食べたい?」
藍子「うーん……お腹がいっぱいの時に聞かれても、思いつきません」
藍子「あはっ、ありますよね。食べたい物をって言われても思いつかなくて」
加蓮「結局、じゃがいもとか牛肉とか買って、最後にカレールーを手に取る」
藍子「困ったらまずはカレーですよねっ」
加蓮「…………前にさ、カレーならいけるって思ってエプロンをつけてみたんだけど」
藍子「エプロン? …………ああ……」
加蓮「結果を聞く前に顔を手で覆うのやめてよ……」
加蓮「…………こげた」
藍子「やっぱりじゃないですか!」
加蓮「もういい。無理。まな板の上で猫の手をするくらいなら肉球つけてにゃーにゃー歌う方が私には合ってる」
藍子「それはそれで、加蓮ちゃんのイメージがすごいことになりそう……」
加蓮「朝早くに事務所に行って、猫耳と肉球をつけて来る人来る人に『おはにゃー』と挨拶をしていく私」
藍子「きっとみんな、びっくりしちゃいますね」
藍子「そんなことしませんよ。加蓮ちゃんが新しいキャラクターになりたいんだってみんな思って、みんなで応援するんです」
加蓮「黒歴史待ったなし」
藍子「もし救急車を呼ばれちゃったら、猫さんの姿で搬送されちゃうんですよ?」
加蓮「最悪、救急車に乗って来る人の中に知り合いがいるかもしれないんだけど」
藍子「写真を撮って、加蓮ちゃんがお世話になっている病院で配っちゃいましょうっ。そうしたら、病院がもっと平和で優しい雰囲気になると思います」
加蓮「そうしたらもう2度と通院しないからね私」
藍子「加蓮ちゃん、ときどき、ふざけて私の服を着てくるから、そのままでいいかなって」
加蓮「気分転換というか……某きぐるみ系アイドル風に言うなら、藍子の気持ちになってみたかった」
藍子「えーっ、私の気持ちですか? どうでした? どうでしたか?」
加蓮「胸がキツイ」
藍子「……………………………………………………」
加蓮「藍子の目もキツイ」
加蓮「身長が同じだからすぽっと入るんだけど、歩いたり走ったりすると明らかに苦しいんだよね、胸の辺りが」
加蓮「はっ。もしかしてこれって、恋……?」
藍子「……」
加蓮「……」
藍子「………………ごめんなさい、ツッコミの言葉を探してみたんですが思いつきませんでした」
加蓮「やっぱり藍子はボケか」
加蓮「え? 違うの?」
藍子「違いますっ」
藍子「……そうだ。ええと……その、せっかくお話に出たので……」
加蓮「ん?」
藍子「胸……って、どうやったら大きくなるんでしょう……?」
加蓮「…………んー」
藍子「その……だって色々な人が言うんですから気になっちゃいますよどうしても!」
藍子「ご、ごめんなさい」
加蓮「……でも藍子の胸ネタって割とずっと前から言われてない? プロフィールだって最初から公開してるんだし」
藍子「最初の方は、それほど気にはならなくて……ううん、自分の体型も性格もアイドルに向いていないっていうのは分かっていたから、Pさんには迷惑をかけちゃうかなってくらいで――」
藍子「……あっ、ご、ごめんなさいっ」
加蓮「大丈夫大丈夫。続けて?」
藍子「ちょっとずつですけど、応援してくれる方が増えたのはホントのことでしたし」
藍子「だからだんだん、気にならないようになったんです。……だけど」
加蓮「だけど?」
藍子「加蓮ちゃんや、歌鈴ちゃんや、愛梨さんや、夕美さんや……いろいろな人を見て、いろんな人とユニットを組んで、LIVEして」
藍子「アイドルを続けていて……そうしたら、自分も、もっとアイドルらしくなりたいなって」
藍子「もっと有名になりたい、とかじゃなくて……もうちょっとだけ、アイドルになりたいなって欲張っちゃって」アハハ
藍子「そうしたら急に、また気になりだして」
藍子「はい……だから、胸を大きくする方法とか……ないのかなぁ、って……」アウゥ
加蓮「……なるほどねー」
藍子「なっ、なんだか急に恥ずかしくなっちゃいました……!」
加蓮「えー。なんで恥ずかしいの」
藍子「だって、そのっ……む、胸の話なんてっ」
加蓮「女の子同士じゃん。え、何? じゃあ今すぐここにPさんを呼んでこよっか?」
藍子「わーっ!? わーっ!? だめ、だめです加蓮ちゃん、それはだめ!」
藍子「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……ふうっ。……あっ」
<ヒソヒソ...
<ヒソヒソ...
藍子「ご、ごめんなさい!」ペコッペコッ
加蓮「すみません」ペコリ
藍子「…………うぅ」
加蓮「珍しくお客さんが結構いるんだから、今日は静かに、ね?」
藍子「はい……め、珍しくって言ったらかわいそうですよ加蓮ちゃん(小声)」
加蓮「事実じゃん(小声)」
藍子「その、加蓮ちゃん、どうかこのことは内密に……」
加蓮「んー? 何を要求しちゃおっかな」
藍子「えうぅ……。あの、今月はあんまりお金がないから、その、できればお手柔らかに……」
加蓮「じゃあ帰りに缶ジュースでも奢ってよ」
藍子「…………へっ? それだけ?」
加蓮「うん。それだけ」
藍子「……ありがとうございます、加蓮ちゃんっ♪」
加蓮「さて何のことやら」
藍子「え? それは……加蓮ちゃんのことですから…………」
加蓮「私のことだから」
藍子「…………ごくっ」
加蓮「なんで顔を真っ青にして唾を飲み込むのかな? ん?」
藍子「…………かっ、加蓮ちゃんの普段がそうさせるんです!」
加蓮「逆ギレするの!? 普段って何よ! ……………………あぁ」
藍子「あっ、納得した」
藍子「可愛い顔をしてもだめですっ」
加蓮「ほらほら、そんな加蓮ちゃんが缶ジュースだけでいいって言ってるんだよ?」
藍子「ありがとうございます♪」
加蓮「よきにはからえー」
加蓮「んー?」
藍子「ホントは加蓮ちゃん、私にひどいことをする方法なんて、ぜんぜん思いついてないんじゃ?」
加蓮「…………そ、そんなことないわよ? ほら、ほら、私が本気になったら藍子なんて10秒いや5秒で泣くよ?」
藍子「じゃあ試しに言ってみてください。加蓮ちゃんは私に、何をするんですか?」
加蓮「………………」
藍子「………………」ニコニコ
藍子「加蓮ちゃんの方が先にへばっちゃいますよね」
加蓮「………………Pさんの前で………………」
藍子「Pさんの前で?」
加蓮「………………くすぐる」
藍子「でも、前に加蓮ちゃんがそうやって来た後でくすぐり返したら、加蓮ちゃんが先にダウンしましたよね」
加蓮「………………」
藍子「………………」
加蓮「藍子なんて大っっっっっっっっっっ嫌い!!!」
藍子「えーっ。私は加蓮ちゃんのこと、大好きですよ」
加蓮「ばああああああああっか!」
藍子「あははっ」
加蓮「ちっくしょー……絶対に泣かす。絶対にいつか泣かす……」
藍子「はいはいそうですねー、泣かせるんですよねー、わー大変ですー」クスクス
加蓮「…………」ビキビキ
藍子「睨まないでくださいっ。それはちょっぴり恐いです、ホントに」
加蓮「………………はぁ」
加蓮「なんだっけ、胸の話? もういいじゃん、下着だけになってPさんにねっとり絡みついてったらそのうち大きくなるよ」
藍子「ぶーっ!! かかかか加蓮ちゃん!? ええっ、ええ!?」
加蓮「おお、すごいリアクション」
加蓮「想像しちゃった?」
藍子「加蓮ちゃんがさせたんです! それに、そのっ、むっ、胸の話とは関係ないでしょそれ!」
加蓮「あるある。ほら、胸って揉まれると大きくなるって言うじゃん。なら手っ取り早く」
藍子「いくらなんでもハードル高すぎます! それにっ、それって迷信じゃないですか!」
加蓮「え? なんで迷信だって分かるの? さては既に試し」
藍子「わーっ! わーっ! わーっ!!」
加蓮「……あ、やっぱりダメですよね。うん、ごめんなさい」
加蓮「ってことで、ほら、藍子。落ち着きなよ」
藍子「ううぅぅ……。そ、その、できればもっと……ええと……けっ、健全な方法で!」
加蓮「胸を大きくするって話が既に健全じゃないと思うんだけどなぁ」
藍子「じゃあ加蓮ちゃんはできるんですか!? そ、その、Pさんにっ……」
加蓮「別に私、胸に困ったことないし」
藍子「もうっ! ……もうっ!」
加蓮「厭らしい意味だけじゃなくて、ほら、スポーツして身体を鍛えるって感覚で」
加蓮「……っていうのはさすがに開き直り過ぎか。そんな話を病院で聞いたことがあるってくらいだよ」
藍子「……………………む、無理ですっ、やっぱり別の案で!」
加蓮「だよね」
藍子「じ、じゃあ、例えばその、そうやったら体力がつくよって言われたりしたら加蓮ちゃんならできるんですか!?」
加蓮「無理」
藍子「ならなんで私に勧めるんですか!」
藍子「いりません!」
加蓮「前にも言ったけど、私は藍子がPさんとそーいうことシテてもそんなに気にしないから。まあ乱入するけど」
藍子「ううぅぅぅううう…………こっ、この話はおしまいにしましょう! ねっ!」
加蓮「えー」ニヤニヤ
藍子「お願いですから……!」
加蓮「はぁい。うん、これで仕返し終わりってことにしとこ」
藍子「予感はしていましたけど、やっぱりそういうことだったんですね……」ゼェゼェ
藍子「……私は、加蓮ちゃんがなんでそんなに平気な顔で言えるのかが分かりません……」
加蓮「いや、こんな話でいちいち初心に、なんて時期はとっくに過ぎてるっていうか」
加蓮「抵抗なくなるんだよね。こういう話するの」
藍子「それは加蓮ちゃんが特殊なだけです……」
加蓮「あとずっと前、もう本当にずっと前にね。事務所で健康診断を受けた時に……ほら、私ってちょっと念入りにやらないといけなかったみたいで」
加蓮「その時にPさんといざこざがあって事故って、それからはもうほとんど開き直ってるかな」
藍子「ごくっ……」
藍子「!」ブンブンッ
加蓮「ふふっ。残念、すっぽんぽんを見られただけだよ」
藍子「だけって! だけ、じゃないです!」カァー
加蓮「だからもう、着替えを見られるくらいならもうなんとも思わなくてね」
藍子「すごいですね……」
加蓮「……たださ、開き直りすぎると、こうさ、ちょっと……いわゆる勝負をかけてみても、Pさんが笑って済ませてくるんだよねー……」
加蓮「そこだけはちょっぴり後悔」
藍子「自業自得ですっ」プイッ
藍子「一応、その辺ならちょっとは試してみましたけど……」
加蓮「所詮は迷信だったか」
藍子「はい……」
加蓮「……来年くらいにはちょっとは大きくなるよ……とか」
藍子「私、中学生の頃からぜんぜん大きくならなくて……」
加蓮「遺伝ってことは?」
藍子「たぶん、ないと思います。お母さんにも相談したけれど、そういうのはないって」
藍子「1番最初に試しました……少しの間、続けていたんですけれど、その……お母さんに気遣われる目をされて、……あはは…………」ドヨーン
加蓮「ああ、うん……」
加蓮「もう逆に牛乳系アイドルってことで体当たりしてみるとか」
藍子「あの、それ、私が幸せになる未来が見えないんですけど……」
加蓮「いや、牛乳のアピールでもいいんだけどさ。ほら、牛乳をこうやったら美味しく飲めますよーとか、こういうことできますよーとか」
藍子「美味しく飲める……?」
加蓮「……うん。牛乳をどうやったら美味しく飲めるか、そんなキャンペーンはどうかな。実践的だったら新しいファンが増えるよ。お母さん世代みたいなの」
加蓮「お題『子供に牛乳を飲ませる方法』」
藍子「それをアピールしていくんですねっ」
加蓮「基本はココアとコーヒー牛乳から入って」
藍子「フルーツとかも混ぜてみたいです」
加蓮「飲むだけじゃなくて、何かに使えないかな」
藍子「じゃあ、料理のトッピング!」
加蓮「カレーの隠し味」
藍子「おやつの材料!」
藍子「コーンフレークはどうでしょうか!」
加蓮「朝は牛乳です、ってなったらさ、次は朝に起きなきゃいけないじゃん。その為の目覚まし時計に藍子のボイスが入る」
藍子「あっ、それなら私、朝の番組に出てみたいです! 全国の皆さんに、おはようございますっ、って言ってあげるんです」
加蓮「天気予報とかいいんじゃないかな。週一でアイドルが天気予報を伝える」
藍子「ちょっと早口を練習しないとっ」
加蓮「昼でもいいよ。ちょっとお疲れの時に笑顔の藍子がテレビの向こうから牛乳を勧めて来たら誰だって手に取るよ」
藍子「全国で牛乳キャンペーンみたいなのをやってみるとか。ほら、ただの牛乳じゃなくて、その地方の名産品と合わせたりして!」
藍子「学校の給食と言えば、牛乳はやめちゃうってニュースを見たような……」
加蓮「だからこそここで藍子だよ。みんなで牛乳を飲もう! って。そうしたらあら不思議、いつの間にか給食に牛乳が2本ついてくる」
藍子「増えたっ」
加蓮「牛乳嫌いの子供って今でも多いよね……子供が好きそうなのと混ぜる、ううん、セットにして出す。牛乳と合うおやつって何かな」
藍子「やっぱりクッキーでしょうか。パンでもいいかも?」
加蓮「手が空いてる時には学校に行って、一緒に給食を食べてさ」
藍子「そうしたら、みんなも楽しく飲めますよね!」
藍子「お休みの日に一緒に遊べるといいなっ」
加蓮「牛乳は健康的だってイメージも活かして、じゃあ模範ってことで藍子の私生活を密着取材」
藍子「お肉をあんまり食べないで野菜をいっぱい食べるだけでも、それっぽく見えますか?」
加蓮「むしろファンから肉を食えって言われるね。ほら、食べ歩きの企画が来た」
藍子「加蓮ちゃんも一緒に参加しましょうっ。ほら、加蓮ちゃんだって、よく心配されちゃってますから」
加蓮「えー、私? しょうがないなー。美味しい物いっぱい用意してよ?」
藍子「いっぱい下調べしちゃいますっ」
藍子「はいっ。Pさんに相談してみます! あの、加蓮ちゃんも手伝ってください!」
加蓮「完全にスイッチが入ったね」
藍子「だって、お話をしていたらすごく楽しそうに聞こえて!」
加蓮「ふふっ。……貧乳はステータスなんて言うけど、なんていうのかな……そこから発想していくことが大切なんだと思う」
加蓮「もちろん、藍子のことも捨て置いちゃだめなんだけどね」
加蓮「ってかさ、藍子。胸を大きくっていうか、スタイルよくしたいのってアイドルの為だよね?」
藍子「はいっ」
加蓮「Pさんを誘惑したいとかじゃなくて」
藍子「違いますっ!」
加蓮「ホントに?」
藍子「ホントに!」
加蓮「ホントにホント?」
藍子「ほ、ホントにホントですっ」
藍子「そういう理由もちょっぴりありますけどホントにアイドルの為です!!」
加蓮「ちぇ、開き直りおった」
藍子「ぜーっ、ぜーっ……もうっ! もーっ! さっきまで真面目に考えてくれていたのに!」
加蓮「ふざけないと死ぬ病気なんだ、私」
藍子「だったらもう何十回も死んじゃってますよね!?」
加蓮「パッシブで蘇生魔法がついてるから」
藍子「ホントに死んでたってことですか!?」
藍子「小さくても……?」
加蓮「よく言うのは浴衣だよね。貧乳の方が……というか、貧乳でも着こなしやすいって」
藍子「そういえば、よく言いますね」
加蓮「藍子はゆるっとしたイメージがあるし、けっこう大人っぽいから、浴衣を着たらすごく綺麗になると思うよ。秋だって着る機会はあると思うし、なんならこの後にでも見に行ってみる?」
藍子「はいっ。お願いします、加蓮ちゃん」
加蓮「うん。あー、でも私は浴衣なんて着たことないなぁ……和服とはちょっと違うだろうし、うまく選べないかも」
加蓮「ね、こればかりはPさんに頼ろうよ。いろんなアイドルの浴衣を選んできただろうし」
加蓮「胸の件は秘密にして、ね。それならいいでしょ?」
加蓮「私はいい――」
藍子「ね!」
加蓮「……はいはい」オテアゲ
加蓮「言っとくけどね藍子。私が言いたいのは『胸が小さくても映える衣装を選べばいい』って話で、『胸を大きく見せるようにすればいい』ってことじゃないからね?」
藍子「な、なんのお話でしょうか?」メソラシ
藍子「…………あ、あれはPさんが勝手にやったことですもん」
加蓮「お、あのアルバムの時のってホントに詰め物だったんだ」
藍子「あれはPさんが勝手にやったことなんです!」
加蓮「はーい」クスッ
藍子「加蓮ちゃん先生ですね」
加蓮「同僚を容赦なく辞職に追い込んでいくけどね」
藍子「あっ……あ、あはは、えっと、そういうのってなんだかドラマにありそうですね!」
加蓮「お、うまくかわしたね」
藍子「それで、最後には加蓮ちゃんのことを本当に分かってくれる人が現れて、恋愛関係になっちゃうんですっ」
加蓮「藍子とか?」
藍子「私は女の子ですよ?」
藍子「わあぁ……」ドキドキ
加蓮「でもこーいうタイプってたいていバッドエンドで終わるよね。悲恋系っていうか」
藍子「そうですね……私は、みんな幸せになればいいのにっていつも思っちゃいます」
加蓮「まあ、私がやるなら保健室でちょこっと話を聞くくらいだね。ほら、仮病で来た生徒のお悩み相談とか」
藍子「なんだかホントにやっちゃいそうですね」
藍子「そんなことないですよ。加蓮ちゃんは笑わないで聞いてくれるから、なんだか話しやすいんです」
藍子「……その分、それ以外の時にはいつも笑われてばっかりな気がしますけど」
加蓮「ほら、マジになるべきところでマジになる私、マジいい女」
藍子「自分で言いますか……」
加蓮「自分を卑下したらゆるふわ乙女に怒られるから、じゃあもうナルシスト系アイドルで行くしかないじゃん」
藍子「加蓮ちゃんは両極端なんですよっ」
藍子「はいっ。とっても参考になりました! いろいろな考え方があるんですね」
加蓮「あ、そうそう。それでもまだ迷信に頼りたいなら私が揉んであげるよ? 胸」
藍子「…………」
加蓮「…………」
藍子「…………」
藍子「…………」ウーン
加蓮「真剣に悩まないで!?」
藍子「あ、いえ、その……ほら、人にやってもらわないと意味がないっていう説も聞いたことがあるから、それなら――」
加蓮「冗談だって! 真面目に悩まないで!? ……決意に満ちた顔でこっち見ないでぇ!?」
おしまい。
転載元:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「今度は、室内の席」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441101454/
SS速報VIPのSS紹介です。
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