高森藍子「私、あれから考えてみたんです」

北条加蓮「ん?」

藍子「苦手なことを頑張ったり、慣れないことに挑戦してみたり……そういうこと、アイドルになって慣れたって気はします」
藍子「けれど……私が不慣れでも頑張りたいって思うのは、私がそれをやりたいって思うからで……」
加蓮「アイドルが好きって話?」
藍子「それもありますけれど、それだけじゃなくって……」
藍子「苦手なことを頑張るのは、苦手なことがやりたいことだから」
藍子「じゃあ……それよりもやりたいことがあったら、そっちをやればいいのかな? って」
加蓮「うん、まぁ正論だろうけど……で、その結果が膝枕と」
藍子「はいっ♪」ナデナデ
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藍子「Pさんも、できるだけやってみるって……でも、あの時のPさん、なんだかメラメラ燃えていたから、きっとお任せしても大丈夫です!」
藍子「だからその分、私はこうやって、加蓮ちゃんを撫でてあげていたいなって」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「いい、ですか?」
加蓮「…………わかんない」
加蓮「でも、どっかで考えを変えることになっても……私は、ここにいたいなぁ」
加蓮「藍子の膝の上、気持ちいいもん。ここなら声がしなくても平気だよ。寂しくないから」
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「……♪」
加蓮「えー、どっちよー」
藍子「うーん、どっちも? 両方やるなんて、ちょっぴり贅沢でしょうか」
加蓮「あははー」
藍子「でも……私にできることがあるなら、1つでも多くやってあげたいな……」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
加蓮「……贅沢なのは、きっと私の方だよ」
加蓮「藍子だからこれをやる、Pさんだからこれをやる、とかじゃなくってさ。2人とも……ぜんぶやってほしいな、なんて思うもん。藍子よりずっと贅沢だ」
藍子「ふふ……」ナデナデ
加蓮「だからそのー……私のこと……お願いします、なーんて」
藍子「はい、お願いされちゃいました」ナデナデ
藍子「えー?」
加蓮「……じゃなくて……ええと……」
加蓮「……藍子に任せるよ」
藍子「はぁい」
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「……今日は事務所、静かですね。みんな、お仕事に行っちゃったのかな」
加蓮「珍しいこともあるね。……誰か呼ぶ?」
藍子「いえっ。賑やかなここも好きですけれど、今は……今を、大切にしたいですから」
加蓮「うん、私もだね。誰かが来たら藍子を取られちゃいそうだし」
藍子「えー?」
藍子「そうしたら、場所を移しましょう。今日はもう……朝で予定は終わっちゃいましたから、私は大丈夫です」
加蓮「家にいても暇だから来ただけー」
藍子「じゃあ、今日はゆっくりしちゃいましょうかっ」
加蓮「うん、そうするよ……」
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
加蓮「何か話したいこととかあるー?」
藍子「私は……加蓮ちゃんっぽく言うなら、今日の分の"ネタ"は、さっきのでぜんぶです」
加蓮「ホントに来ただけだもん。藍子がいるって考えてもいなかったし」
加蓮「膝に世話になるなんて考えてなかったし……でもさ、ううん……」
加蓮「……ま、いっか。今日は喧嘩もやめとこっか」
藍子「はいっ」
藍子「…………って、それじゃまるで私と加蓮ちゃんが喧嘩してばっかりみたいになってますっ」
加蓮「あれ、違ったっけ?」
藍子「違いますよ」
加蓮「最近は藍子とカフェに行く度に怒鳴り合ってるイメージが」
藍子「ないですっ」
加蓮「そっかー……」
加蓮「もしかしたら、藍子に突き刺さってないかな? なんて」
藍子「……加蓮ちゃん……?」
加蓮「…………」ジー
藍子「?」
加蓮「……じいって見ても、分かんないことってあるんだね」
藍子「落ち着きませんか?」
加蓮「分かんないなんて怖いだけなのに……でも落ち着いちゃうんだよね。分からなくても大丈夫、なんて思っちゃって」
藍子「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
藍子「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
加蓮「……いや、さすがにじっと見られたら照れるよ?」
藍子「加蓮ちゃんでも照れるんですか?」
加蓮「照れる」
藍子「ふふっ」
加蓮「むぅ」
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「……私は加蓮ちゃんみたいに、聡くありませんから」
加蓮「そう?」
藍子「はい。だから、じいって見ても、瞳の中が揺れているってことしか分かりません」
藍子「大丈夫だって言いたいですけれど、もしかしたら、それだけでは信じてもらえないかもしれないから」
藍子「だから、じいって見れば……加蓮ちゃんの本心に、伝わってるといいな……」ナデナデ
加蓮「私の本心に、か」
藍子「はい。加蓮ちゃんの本心に、です」
加蓮「……あったかいから、伝わってるんじゃないかな?」
藍子「よかった」
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ジー
加蓮「……えーっと、まだ見足りない?」
藍子「えへ」
加蓮「ああうん、まぁ好きに見ればいいんだけど……」
藍子「加蓮ちゃんの目、こんなに近くで見たことありませんでしたから……見てても、ぜんぜん飽きないです。1日中、ずっと見てられそう」
加蓮「遠くから見たら目の形が印象に残るけど、近くで見たら目の中がしっかり分かるんだね」
加蓮「目の中なんて、自分のもじいっと見たことないから……変な感じ。でも藍子の目だっていうことは分かるよ」
藍子「私もです。加蓮ちゃんは、加蓮ちゃんですね」
藍子「綺麗とか、可愛いとか、それよりももっと、加蓮ちゃんだなって思って」
加蓮「ゆるふわガールとか隠れパッションアイドルとか散歩好きの女の子とか……そういうのじゃなくて、藍子だ。藍子がいる」
藍子「分かっちゃいますよね」
加蓮「分かるよねー」
藍子「不思議ですね」
加蓮「変だよね」
藍子「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
藍子「…………」ジー
加蓮「…………」ジー
藍子「…………」ジー
加蓮「……ちょっとタンマっ」フイッ
藍子「えー。もっと見ていたかったのに」
藍子「飛ぶ……?」
加蓮「あんまり見てたら意識がどこかに行ってしまって、帰り道が分からなくなっちゃいそうだったから、今のうちに引き返すっていうか……うん、そんな感じ」
藍子「……帰れそうにないって言うのなら、そのまま続けていたらどこに行っちゃうんでしょう?」
加蓮「さぁ? でもどこかに行くなら、せめて帰れる道がある場所にしようよ」
藍子「そうですね。気にはなるけれど……私、今の場所も大好きですから」
藍子「お散歩だって、帰ってくる場所があるからできるんですっ」
加蓮「だね」
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
加蓮「ね、藍子。ちょっと耳を澄ませてみてよ」
藍子「何か聞こえましたか?」
加蓮「うん。ほら」
藍子「?」ミミニテヲアテ
<…………~~………………♪…………
藍子「あっ、聞こえました! ほんのちょっぴり……誰かが、歌ってるような声……? 誰なのかは、分かりませんけれど……」
加蓮「うん。これ、下の階の……自主練用の部屋かな? 誰かレッスンしてる」
藍子「年越しLIVE用の練習でしょうか?」
加蓮「そうかも。今年も派手にやるもんね。みんなすっごい気合を入れて……もちろん、私も」
藍子「私もですっ」
藍子「……ふふっ、"やりすぎないでください"って言ってほしくなさそうな顔してるっ」プニ
加蓮「むにゅっ」
加蓮「こらー、つつくなー」
加蓮「……先回りするなー。にやけるー」
藍子「えっと……」ガサゴソ
加蓮「はいスマフォ取り出そうとしない」ペチ
藍子「あうっ。むー、Pさんにも見せてあげたかったのに。今の加蓮ちゃんの顔」
加蓮「残念ながら今の加蓮ちゃんスマイルは藍子限定です」
藍子「そうなんですか?」
加蓮「藍子に見せたい顔とPさんに見せたい顔ってあるでしょ? ……藍子にはそういうのないっか」
藍子「?」
加蓮「ごほんっ。――来年の抱負!」
藍子「わー……?」パチパチ
加蓮「来年は!」
藍子「はいっ」
加蓮「来年こそは!」
藍子「はいっ!」
加蓮「……………………とっぷあいどるになりたいです」
加蓮「やだなー藍子ー私はアイドルだもんトップアイドルを目指すのは当たり前のことでしょー」
藍子「ものすっごく棒読みです!」
藍子「……ほら、加蓮ちゃん。今なら誰も聞いていませんし、もし加蓮ちゃんが言うなら誰にもお話しませんから」
加蓮「そういってPさんに横流しする気だ。後で2人で嘲笑うんだ。藍子のことなんてもう信じられない」
藍子「…………」グニニニニニニニ
加蓮「いひゃいいひゃい! まひ(マジ)でいひゃい!」
藍子「……………………」
加蓮「……藍子さん藍子さん? 目がマジすぎて怖いですよ?」
加蓮「えー」
藍子「どうぞっ」ズイ
加蓮「あー、えー、っと……も、もうちょっとだけ心の準備が欲しいなー、なんて」
藍子「この前のカフェの時だって、思い切ったら言えたんですから……今の加蓮ちゃんならいけます!」
加蓮「むぅ」
藍子「それに、言いたいことは言いたいって思った時に口にしましょう。じゃないと、本心からも忘れちゃいますからっ」
加蓮「…………」
藍子「さん、はいっ」
加蓮「……来年は……もう少しだけ、素直になって」
加蓮「もっと……藍子のこととか、Pさんのこととか、あと私のこととか……もっともっと信じられるようになりたいです」
藍子「はい、よくできました♪」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「?」ナデナデ
加蓮「……」
加蓮「……」メヲツブル
加蓮「……♪」
藍子「…………??」ナデナデ
加蓮「んーん。"子供じゃないんだから"って言おうと思ったけど、そればっかりじゃ、なんて思っちゃった」
加蓮「……」
加蓮「……もっと撫でてー♪」
藍子「!?」ビクッ
藍子「わひゃっ」
加蓮「そんなにおかしいか! 私が甘ったるい声を出すのがそんなにおかしいか!」
藍子「ちがっ、そういう訳じゃなくて――」
加蓮「……自分でもおかしいって自覚はしてるわよ悪かったわね!」
藍子「な、なんにも言ってません、言ってませんっ」
加蓮「顔が言ってる!」
藍子「言ってないですっ! ただその、今の加蓮ちゃんすっごく可愛かったって思っただけです!」
藍子「ほらっ、落ち着いてください加蓮ちゃん。頭、膝に乗せてください」ポンポン
加蓮「…………藍子の膝が魔界の入り口か何かに見える……!」
加蓮「言い方までなんかそれっぽく……!」
加蓮「……」
加蓮「…………」チョコン
藍子「……♪」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「?」
加蓮「明後日は、番組の収録……午後からはレコーディング。時間があったら合同レッスン」
加蓮「その次の日はPさんの指示待ちだけど、たぶん収録になるって言ってた」
藍子「売れっ子アイドルさんですね」
加蓮「藍子だってそうでしょー?」
加蓮「年が明けたら……スケジュールがぎっしり、って程じゃないんだけど、またいろんな予定が入ってる」
加蓮「藍子とも、いつものカフェに行かなきゃ。1月の限定メニュー……何だろ?」
藍子「……」クスッ
藍子「1月だから……お餅とかっ」
藍子「お雑煮とかもありそうじゃないですか?」
加蓮「ご飯系だったら……鍋とか。鍋の定食。ガッツリ食べる人用に!」
藍子「もしそれだったら、一緒に食べましょう♪」
加蓮「じゃあお肉は私が食べるから野菜は藍子に」
藍子「えーっ。私もひときれくらい食べたいですっ。ひときれだけでいいのでっ」
加蓮「しょうがないなー」
加蓮「……ずっと、やりたかったんだと思う」
加蓮「こうやって、先のことを話すこと」
藍子「…………はい」
加蓮「今でも……この前のカフェみたいに、口から何か出てきそうなんだ。身体が拒否しているっていうか、叶わない夢を本気で見てる気分」
加蓮「でも、藍子がここにいてくれるから、きっと大丈夫だって……信じる気持ちが生まれてて」
加蓮「それで、分かるんだ。私、ずっと前から勝手に諦めてて、理由とか勝手にこじつけてて」
加蓮「ホントはこういう話、したかったんだろうなー……って」
藍子「……加蓮ちゃん」
加蓮「なんでこんなことができなかったのかな、なんて思っちゃって」
藍子「やってみないと分からないこと、いっぱいありますよね」
加蓮「あるよねー」
藍子「自分には無理だ、なんて思っちゃっても、頑張ればできちゃったり……ううん、やってみるだけでできちゃったり」
加蓮「でもできないことだってある。だから躊躇っちゃうんだよね」
藍子「そんな時はっ」
加蓮「誰かに背中を押してもらいましょう」
藍子「加蓮ちゃんになら、どーんっ! ってぶつかっちゃうくらいでいいかもっ」
加蓮「それじゃ痛いよー」アハハ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
加蓮「温泉? 私、今でもたまにポテトが夢に出てくるんだよ……ぽーてーとー」ジタバタ
藍子「…………」クスッ
藍子「もうっ。加蓮ちゃん、まだ言ってる」
加蓮「だってすっごく悔しかったもん。もう何年だって忘れてやるもんかっ」
加蓮「あとは……一緒にカフェ探しでもやろっか。それとも散歩に行く? 私も連れてってよ……いやまあ、途中でバテて迷惑かけちゃうかもしれないけど」
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「2月は……バレンタインデーかな? ね、Pさん用のチョコ、一緒に作ろっ。揃えてハート型にしてさ、どんな反応するかな~?」
加蓮「3月は花見? ……は、花見って大人組がお酒を飲んでるイメージが……事務所で行くのとは別に、藍子とも行きたいなぁ」
加蓮「4月は……」
加蓮「…………今はこれくらい! もー限界!」オテアゲ
加蓮「うん」
藍子「加蓮ちゃんは、いつも頑張ってます。頑張って、難しいことも、できそうにないことも、ぜんぶ乗り越えてます」
藍子「だから……その、ちょっぴり偉そうになっちゃうかもしれないけれど」
藍子「――よく頑張りました、加蓮ちゃん」ナデ
加蓮「あふ……♪」
藍子「これからも、ゆっくりゆっくり、頑張っていきましょうっ。次は……もっともっと先のお話も、できるように!」
加蓮「うんっ!」
藍子「そ、そうですか? あの……じつは私、少しだけ気になってるんです。もしかして私、加蓮ちゃんに偉そうな言い方になってないかな、って」
加蓮「なーに言ってんの。最近は私を丸め込んでばっかりのくせにっ」
藍子「そんなつもりないですっ! ……それはきっと、加蓮ちゃんが考え過ぎなんですよっ」
加蓮「あははっ」
藍子「あの、それでも……私も、何かできた時に褒めてもらえたら、すっごく嬉しいから……加蓮ちゃんもそうなのかな、なんて思っちゃって」
藍子「喜んでもらえるなら、よかったです♪」
加蓮「ふふっ! ……ねー藍子、撫でてー」
藍子「あ、はいっ!」ナデナデ
加蓮「もっとやわからく」
藍子「こんな感じ……ですか?」ナデナデ
加蓮「うんうん、そうそう」
加蓮「塞ぎこんでてもしょうがないよね。昔の話もいいけど、これからの話をしてる方がずっと楽しいんだし!」
藍子「楽しいお話、いっぱいしちゃいましょうっ。あ、でも、たまには振り返ってみるのもいいと思いますよ。私、加蓮ちゃんのお話、けっこう好きですから!」
加蓮「え、私の話で振り返るって……昔の話? でも暗いのとかイライラするのとかしかないよ?」
藍子「それでもです。傷ついている加蓮ちゃんを見るのは、私も辛いですけれど……私の知らないお話を聞く度に、加蓮ちゃんにちょっとずつ近づけている感じがして」
藍子「あっ、もちろん加蓮ちゃんが嫌ならお話しなくて大丈夫ですから! その……笑って済ませられるお話だけで!」
加蓮「や、やっぱアンタどっか変だよね……」
藍子「はい……何ですか?」
加蓮「藍子さ、私のこと好き?」
藍子「大好きですっ。今は、加蓮ちゃんよりも加蓮ちゃんのことを好きだって自信があります!」
加蓮「む。勝負嫌いとは思えない発言」
藍子「こうしたら、加蓮ちゃんの負けず嫌いな心に火が点いてくれるかな? なんて思っちゃって」
加蓮「じゃあさ、私のどういうとこが好き?」
藍子「そうですね――まずは、加蓮ちゃんだから好きです」
加蓮「……ん??」
藍子「だから、加蓮ちゃんだから好きなんです」
加蓮「…………うん??」
藍子「目の中を見た時、それだけで加蓮ちゃんだって分かるのとおんなじです。こういうところが好き、っていうのは……ううん、もちろんありますよ?」
藍子「頑張り屋さんなところとか、実はとっても優しいところとか、面白いお話をしてくれるところとか」
加蓮「うんうん」
藍子「可愛いところとかっ」
加蓮「……たまに疑問なんだよね。藍子の言う可愛いって絶対、ファンが言ってくれるのと違う気がして」
藍子「でも、それよりも前に、加蓮ちゃんだから好きだって気持ちがあるんです」
藍子「加蓮ちゃんだから、好きなんです」
藍子「じゃあ、加蓮ちゃんが知ってたってことを私は知ってました」
加蓮「む。私が知ってたってことを藍子が知ってたことを私は知ってたよ」
藍子「加蓮ちゃんが知ってたことを私が知ってたってことを加蓮ちゃんが知ってたってことを……え、えっと、合ってますよね?」
加蓮「ねえ藍子。もしかして私の負けず嫌いな部分が伝染ってない?」
藍子「かもしれませんねっ」
加蓮「あははっ。……とにかく……藍子が私のことを好きってことも、どういうところが好きだってことも、半分くらいは知ってたの」
加蓮「ね? 知ってたことをわざわざ言わせるんだよ。ウザいでしょ?」
藍子「…………」ベチ
加蓮「あたっ」
加蓮「……藍子さん藍子さん。その怖い笑顔はあなたには似合わないと思います」
藍子「続けてください、加蓮ちゃん」
加蓮「あ、うん。……知ってるんだけど、藍子の口から聞きたかった。そしたらほっとするんだ。よかった、って」
加蓮「気がついたら生まれてる不安も、それでなくなってくれるから」
加蓮「だからそのー……たまに言ってほしいな、なーんて……うん、ごめん、自分でも分かる。これはウザいよ」
藍子「そんなことないですよ。私、前に何度か言いました。好きの気持ちは、口にするだけで暖かくなるって」
藍子「それを"ウザい"って言っちゃうなんて、加蓮ちゃんはひどいですっ」
加蓮「え? ……あー、そういうつもりはなかったんだけど、そうなっちゃうかぁ」
藍子「加蓮ちゃんが不安に思っている時を、見抜けるようになりたいです」
藍子「だって加蓮ちゃん、もし不安になっても、今みたいに自分を否定して、塞ぎこんじゃう気がして……そういう時に私が見つけてあげたらいいのかな、って」
加蓮「ホント、何もかもお見通しだね」
藍子「ちゃんと見つけられたら、その度に口にしますから。加蓮ちゃんのこと、大好きです……って!」
加蓮「……うん」
加蓮「えっと、私も藍子のこと、大好きです」
藍子「あはっ♪」
加蓮「……んー? 何? またはぐらかして逃げそうだって思ってた? 今の私はそんな中学生みたいなことしないよ。ふっふっふー」
藍子「残念っ。もし逃げちゃったらどうしよっかな? って、ちょっぴり考えてたのにっ」
加蓮「お、久々に藍子に勝ったっ」
藍子「負けちゃいましたっ」
加蓮「ん? さすがに足とか疲れちゃった?」オキアガリ
藍子「ううん、そうじゃありません」ガサゴソ
藍子「今の加蓮ちゃん、すっごくいい表情ですから! ……あははっ、Pさんに見せたいからとかじゃなくて、写真に撮って残しておきたいんです。いいですか?」
加蓮「もー、しょうがないなー。綺麗に撮ってよ?」
藍子「任せてください! はい、チーズっ」ポチ
<ぱしゃっ
藍子「…………♪」
加蓮「……あははっ」
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「…………」ナデナデ
加蓮「…………」ナデラレ
藍子「なにですか?」
加蓮「来年は藍子に負けない。アイドルも、プライベートも」
藍子「勝負なんてしてないのに……」ナデナデ
加蓮「負けず嫌いが伝染ったんじゃなかったの?」
藍子「気のせいですっ」
加蓮「気のせいだったかー」
加蓮「だってさ……ホント、丸め込んでばっかりで、掌の上に乗っけてばっかりで。いつの間に藍子はそんな風になっちゃったの?」
藍子「いつの間にかなっちゃいました。加蓮ちゃんのせいですよー」
加蓮「私のせいかー」
加蓮「うわ、この子これからも私を弄び続ける気だ。こわーい」
藍子「言い方がだんだんひどくなってませんか!? もうっ、じゃあ私だって抱負を1つ追加しちゃいますっ。来年こそ、加蓮ちゃんのそういうひねくれたところを直してみせます!」
加蓮「お、私の悪いところを1つ直せたからって調子乗ってる? ねえ調子乗ってる? 決めた、来年もずっとひねくれちゃろ」
藍子「なんでですかーっ!」
加蓮「だってその方が楽しいし」
藍子「む~~~~! 絶対、達成してみせますから!」
藍子「負けるのはいいですけれど、でもひねくれてるところは直してみせます!」
加蓮「むしろ藍子に私の性格を伝染してやる!」
藍子「嫌ですーっ。私みたいになってもらうんですっ!」
加蓮「藍子みたいになったらタイムスケジュールがメチャクチャだよ。そんなの絶対イヤ!」
藍子「私だって、加蓮ちゃんみたいになったらきっとPさんもみんなも困っちゃいます!」
加蓮「困らせちゃえ!」
藍子「嫌です!」
<ギャーギャー
<ギャーギャー
<…………
<ふふっ
<あははっ
おしまい。読んでいただき、ありがとうございました。
転載元:北条加蓮「藍子と」高森藍子「膝のうえで さんかいめ」
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