2: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:47:13.13 ID:9q2x+pA+0
悪魔「突然だが、魂と引き換えに三つだけ願いをかなえてやろう」
ほたる「何でも?」
悪魔「我が力の及ぶ範囲でな」
ほたる「私の不幸に、他の人を巻き込まないようにしたいです」
悪魔「……それは我が力の及ばぬ願いだ。他の願いにするがいい」
ほたる「……そうですか。ごめんなさい。他に願いはありません」
悪魔「いや何も無いってことは無いだろう。金とか力とか恋人とか」
ほたる「……?」
悪魔「……興味なさげだな」
ほたる「はい、あんまり…」
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3: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:48:45.15 ID:9q2x+pA+0
悪魔「そうだ、お前はアイドルになりたいのだろう。俺の力でアイドルにしてやろうじゃないか」
ほたる「……」
悪魔「出すレコード全部大ヒットするような凄いアイドルになりたくないか?」
ほたる(悪魔無視してオーディション要綱熟読中)
悪魔「話聞けよ」
ほたる「ごめんなさい、あの」
悪魔「なんだ」
ほたる「私、誰かを幸せにするためにアイドルになりたいのです」
悪魔「ふむふむ」
ほたる「私の不幸で誰かを苦しめず、幸せにしたい」
悪魔「立派だ」
4: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:50:42.57 ID:9q2x+pA+0
ほたる「私の不幸に人を巻き込まないのが無理なのに、アイドルにだけなっても仕方ないんです。だから、願いません。自分でやります」
悪魔「おいおい」
ほたる「お茶もお出ししないままで、すみませんが……」
悪魔「追い返す気満々かよ。素直にアイドルになりたいって願っとけよ」
ほたる「……」
悪魔「そもそも滅多になれる物じゃないんだ」
ほたる「……」
悪魔「それなのにお前が自力でアイドル?」
ほたる「……」
悪魔「お前の不幸は凄いんだぜ。自力で誰かを幸せにしようなんて無理無理」
ほたる(じわっ)
悪魔(あっ、泣かせた)
5: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:51:21.39 ID:9q2x+pA+0
ほたる「…そんなの解ってます」
悪魔「……」
ほたる「でも、このままじゃダメなんです」
悪魔「……」
ほたる「人を不幸にするだけなら、私、居ないほうがいいじゃないですか」
悪魔「まあな」
ほたる「私も、誰かを幸せにしたい。そのために、全力を尽くしたいんです」
ほたる「だから、誰が無理だと言っても、目指すんです。願いはありません、帰ってください」
悪魔「……仕方ない。今日は帰ろう」
ほたる「…」
悪魔「だがいつかまたお前の願いを聞きに来るぞ。お前の魂は価値があるからな」
ほたる「……」
悪魔「ではさらばだ…ああそれと」
6: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:51:53.48 ID:9q2x+pA+0
ほたる「?」
悪魔「その事務所の社長は悪魔も逃げ出す極悪人だ。オーディションを受けるなら、別のところにしな」
ほたる「あ、ありがとうございます……?」
悪魔「泣かせて悪かったな(硫黄の煙とともに消える)」
ほたる「消えちゃった……」
ほたる「夢、じゃないよね……」
7: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:53:15.30 ID:9q2x+pA+0
<後日、ほたるデビュー後>
悪魔「お前もうちょっと大きいハコでライブしろよ」
悪魔「CDもうちょっと数作ってもいいんじゃねえか」
悪魔「そろそろ新しい衣装作ってもらえよ」
ほたる「なんでちょくちょく来るんですか」
悪魔「お前が素直に願いを言えば、もう来ないさ……あ、チケットくれ俺の分」
ほたる「願いは、言いません」
悪魔「……」
ほたる「だっていま、願いは叶っているところだから」
8: ◆cgcCmk1QIM 2017/08/13(日) 04:53:51.70 ID:9q2x+pA+0
おしまい。
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しかも券ねだるタチの悪さ