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トップページCu > 宮本「フラレデリカ」

2: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:43:04.88 ID:GS6pCF9a0

夜の街を歩く。
街の雑踏はとうに途絶え、昼間の喧騒はともかく、絢爛と闇夜に輝く楼閣は一時を過ぎるや途端に姿を消した。

かつて輝いた楼閣は墓碑銘のごとくただ立ちそびえるのみである。
夜の街には無機質な額縁に収まった空が広がる。
だがしかし星々は己の輝きを誇ることはない。

夜の街に星は流れない。


3: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:43:30.68 ID:GS6pCF9a0

風の噂が流れた。
彼がとある人と交際をしている、と。

そりゃもう事務所の中はてんやわんやさ。

彼に真偽のほどを問う者、放心する者、はたまたいつもと変わらない者。
いつもと変わらない者は、そうでないものを慰めていたり、と。

彼女は後者だった。

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4: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:44:08.29 ID:GS6pCF9a0

彼の机の下で丸くなる少女。
少女に声をかけ、彼女はその少女を照らす。

そして、傘の下に隠れる少女のもとへ、と。

電灯は、導線のつながれた先へ先へと、灯りをともしていった。


5: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:44:35.69 ID:GS6pCF9a0

立ち尽くす信号機が明かりを照らす。
歩みを進め、夜の街の谷間を進む。

星々は己の位置を変える、そこには意志はなく、ただ機械的な自転運動によって。
額縁に飾られた絵はただ灰被り。

きっとそこに意味はないのだろう。
ただ、星の光が絶えることもない。


6: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:45:24.02 ID:GS6pCF9a0

三方に壁。
道を照らす明かりもなければ、道もない。

行くあてのない袋小路。
見上げた空は、さらに切り取られ、幾分狭くなった。

歩くにつれ彼女が巻き起こす風も、行くあてをなくし、宙に上る。

星の光は大気に散乱し、一筋を描く。


7: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:46:01.03 ID:GS6pCF9a0

「ふんふんふふーん、フラレデリカー」

暗がりに放たれた一筋の光。
紡がれた言葉を伴なって。
頰を伝うその光は天体運動のイレギュラー。

夜の空に星が流れた。


8: ◆5Zs67o7uls 2017/01/22(日) 00:47:20.22 ID:GS6pCF9a0

流れ星は熱を帯び、火を灯し、光る。
そしてその熱は、あたかも氷を溶かすかのように。

来た道を進む。
流れ星は己の道を自ずから照らし、足跡を残す。
そう、見るものを魅了する軌跡。

夜の街に星が流れる。
ただ、己の意思にのみよって。






転載元:宮本「フラレデリカ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485013349/

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