8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:43:40.25 ID:0d/HxnUVO
「プロデューサーさん、お昼作りに来ましたよ~」
午前10時。玄関を開けると、そこには可愛らしいお客さんが立っていた。
天海春香。今をときめくトップアイドル。そして、俺の自慢の恋人。
「おぉ、春香。いらっしゃい。……それにしても、凄い荷物だな」
「えへへ、家の近くのスーパーで色々買ってきたんです。お昼ご飯、何を作ろうか考えてたんですけど、どうにも決まらなくて……取り敢えず、全部買ってきちゃいました」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:45:03.01 ID:0d/HxnUVO
テヘペロと苦笑いを浮かべる春香だが、流石にレジ袋3つ分は買い込みすぎだ。どう見ても1週間以上持つ量の食材だ。
「まぁいいや。ありがとな春香。そんなに持って重かっただろ?」
「……少しだけ。でも、プロデューサーさんに美味しい物食べて貰いたかったから」
キラキラした笑顔でなんともいじらしい事を言ってくれる。
「それに、私が作りに来なかったらいつまで経っても3食カップラーメン生活なんでしょうし」
ジトーッとした目で俺を見る春香。可愛い。
「失礼な。最近はちゃんとカップ焼きそばも作ってるんだからな」
「もうっ! プロデューサーさんまで千早ちゃんみたいな事言わないでください。カップ焼きそばは作ってる内にはカウントされません」
「でも、ちゃんとトッピングも……」
「プ・ロ・デュー・サー・さん??」
「はい、ごめんなさい。次からはちゃんと自炊するようにします」
ふえぇ……はるるんこわいよぉ……。
「まぁいいや。ありがとな春香。そんなに持って重かっただろ?」
「……少しだけ。でも、プロデューサーさんに美味しい物食べて貰いたかったから」
キラキラした笑顔でなんともいじらしい事を言ってくれる。
「それに、私が作りに来なかったらいつまで経っても3食カップラーメン生活なんでしょうし」
ジトーッとした目で俺を見る春香。可愛い。
「失礼な。最近はちゃんとカップ焼きそばも作ってるんだからな」
「もうっ! プロデューサーさんまで千早ちゃんみたいな事言わないでください。カップ焼きそばは作ってる内にはカウントされません」
「でも、ちゃんとトッピングも……」
「プ・ロ・デュー・サー・さん??」
「はい、ごめんなさい。次からはちゃんと自炊するようにします」
ふえぇ……はるるんこわいよぉ……。
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10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:45:57.50 ID:0d/HxnUVO
「分かればいいんです。お昼ご飯くらいならこうしてたまに作りに来てあげますから、頑張ってくださいね」
「オッス!」
「まったく。返事だけはいいんですから……。」
やれやれと言うように肩を竦める春香さん。
「お前は俺の母ちゃんかよ……」ボソッ
「プロデューサーさん、何か言いました?」
「春香さんマジ天使って言ったの。ほら、荷物は俺が運んでおくから、お前は中で適当に寛いでてくれ」
ブラックな笑みを浮かべる春香さんの手からレジ袋を奪い取ると、俺は逃げるように台所へ引っ込むのだった。
「オッス!」
「まったく。返事だけはいいんですから……。」
やれやれと言うように肩を竦める春香さん。
「お前は俺の母ちゃんかよ……」ボソッ
「プロデューサーさん、何か言いました?」
「春香さんマジ天使って言ったの。ほら、荷物は俺が運んでおくから、お前は中で適当に寛いでてくれ」
ブラックな笑みを浮かべる春香さんの手からレジ袋を奪い取ると、俺は逃げるように台所へ引っ込むのだった。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:47:48.55 ID:0d/HxnUVO
「P大佐、テーブルの上のお菓子を食べてもよろしいでしょうか!」
春香の買ってきた食材達を冷蔵庫に放り込んでいると、リビングの方から春香が走ってきた。
手にはお煎餅が1枚。わざわざ見せに持ってきたのか。
「うむ、好きにしてくれたまえ春香くん。ただし、それで太っても俺は文句は聞かないからな」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:49:10.50 ID:0d/HxnUVO
「プロデューサーさんひっどーい。これでも私、毎日レッスンしてるから大丈夫ですよーっだ」
ぷーっと子供のように頬っぺたを膨らまして不貞腐れる。
「冗談だ。んな事はちゃんと知ってるよ。俺を誰だと思ってやがる! お前の担当プロデューサーだぞ」
「えへへ。そうですね。でも、そこは『俺はお前の恋人だぞ』って言ってくれた方が嬉しかったです」
「馬鹿。そんな恥ずかしい事言えるか。……まぁ、その内。気が向いたら言ってやるよ」
「えー……。絶対ですよ? じゃあ私、向こうで待ってますね」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:50:28.92 ID:0d/HxnUVO
「ん。すぐ行くから。春香。牛乳か麦茶しかないけどどっちがいい?」
「うーん。じゃあ、牛乳がいいです」
「ウィ、了解。あ、やっべ。この牛乳……」
「え、どうしたんですか?」
「い、いや、なんでもねぇよ? 別に消費期限切れてたとかそんな事はないから、向こうで大人しく待ってな」
「……やっぱり私、麦茶でいいです」
「はいよー。あ、やっべ。この麦茶……」
「今度はなんなんですか、もうっ!!」
はっはっはっ。はるるんは面白いなあ。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:51:56.94 ID:0d/HxnUVO
リビングに戻ると春香がテレビを観ながらお煎餅をかじっていた。
「はい、牛乳お待ち。別に腐ってないし消費期限も切れてないから安心しろ」
「信じても、いいんですよね……?」
春香は疑いの眼差しを俺に向ける。
「あのなぁ、どこの世界に可愛い彼女にわざと腐った牛乳を飲ませる彼氏が居るか」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:52:49.34 ID:0d/HxnUVO
「可愛い彼女……え、えへへ。――ハッ! だ、騙されないですよ!!」
「いやいや。なんでそんなに警戒してんだよ。俺ってそんなに信用ない?」
「い、いえ。そういう訳じゃないですけど。でも、この前、冬馬くんがプロデューサーさんの家に遊びに行った時、消費期限の切れた牛乳を飲まされたって言ってたから」
あまとうの野郎、次会ったら殺す。亜美真美のイタズラじゃあるまいし、流石の俺でもそんな事はやらない。
腹痛とか、内臓系の痛みは我慢が出来ない分本当に辛いのだ。
16: 人居ねぇ。時間があれだったかな…… 2012/08/15(水) 18:56:06.37 ID:0d/HxnUVO
「お前もアイツの言うことなんか信じるなよ。アレは消費期限が切れた牛乳を冬馬が勝手に飲んだだけだ。俺は関与していない」
「やっぱり事実なんじゃないですかー!! やだー!!」
「ったく。今日はちゃんと確認したから大丈夫だって。なんならパッケージ見せてやってもいいぞ」
「はぁ……。そこまでしなくてもいいです。そのかわり、嘘だったら怒りますからね」
「はいはい。でも、春香って冬馬と仲良かったのか? お前らがあんまり話してる所とか見たことなかったけど」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:58:35.64 ID:0d/HxnUVO
「うーん。別にそこまで仲が良いって訳じゃないんですけど、収録の休憩中とかによく一緒になるのでその時に結構話したりはしますよ? プロデューサーさんの事とか。後は、お菓子作りの事とか情報交換したりするぐらいです」
「え。アイツ、お菓子作りに興味あんのかよ。案外乙女なんだな」
「そういえば、この前のドラマ撮影の時、クッキー焼いてきてましたよ? プロデューサーさんも何枚か摘まんでましたよね」
えー、あれって冬馬の手作りだったのか。フィギュア集めが趣味だったり、なんかお前を見る目が変わりそうだよ。
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 18:59:55.84 ID:0d/HxnUVO
「俺はてっきり春香が作ったのかと思ってたよ、あのクッキー」
「プロデューサーさんの馬鹿。仮にも彼氏なら、可愛い彼女の手作りクッキーの味くらいは覚えておいてくださいよ」
「悪い悪い。けど、仮にもって、お前も案外酷いこと言うのな」
「ところで、このお煎餅美味しいですね。何処で買ったんですか?」
「華麗に流されたっ! 春香さん酷いっ!」
「ふーんっだ。プロデューサーさんがいっぱいイジワルするから、私もイジワルになっちゃったんですー。悪いのは全部プロデューサーさんなんですから」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:02:19.59 ID:0d/HxnUVO
「なに言ってんだか。あのな、俺が意地悪なのはお前が可愛いからだ。そうだ、春香が可愛すぎるのがいけないんだ。はるるんマジ天使。だから俺は何にも悪くない」
「ちょっ……!! ななな、なんですかその責任転嫁! そ、そんな、いきなり恥ずかしい事言わないでください!! えっと、あの……そうだ、お煎餅っ! お煎餅の話ですよ! このお煎餅何処で買ってきたんですか?」
テンパっちゃうはるるんマジ天使。可愛い。
「あー、それな。この前雪歩が泊まりに来た時、お土産にって持ってきたんだよ。包装紙捨てちゃったからどこのお土産だったかはよく覚えてないけど」
「へ、へー。そうなんですか……ってプロデューサーさんっ! 雪歩ちゃんが泊まったってどういう事ですか! そんなの私聞いてないです!」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:07:47.39 ID:0d/HxnUVO
「まぁ、特に話すような事でもなかったからな」
「意義あり! それは十分話すような事だと思います!! 私という恋人がありながら、なんで泊めちゃうんですか!!」
「えー……けどさぁ、わざわざお泊まりセットまで持ってきたヤツをそのまま追い返せる訳ないだろ」
「うっわー! 開き直りましたね! プロデューサーさん、浮気ですよ! 浮気っ!」
「何を言ってやがる。俺はお前の恋人だぞ」キリッ
「キリッじゃないですよ、プロデューサーさんの馬鹿! それに、そのタイミングでそのセリフを言われても全然嬉しくないです」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:15:33.72 ID:0d/HxnUVO
「えー……」
「えー……っじゃないです! もう知りません! プロデューサーさんのばーか! ばーか! ばーか!!」
お煎餅をバリバリ噛み砕きながら『私、怒ってます』アピールする春香。
「悪かった。悪かったって。けど、別に一緒に寝たとかそういう訳じゃないし、やましい事は何一つしてないぞ」
「泊めた時点で既にましい事なんですよ、この鈍感! だから貴方はプロデューサーなんだ!!」
「い、意味が分からんぜよ……」
「私は怒ってますって事です!!」
「というか、時期的に雪歩が泊まりに来たのってまだお前と付き合い始める前だし。これって、別に浮気じゃなくない?」
「それでも、そうだとしても、そーゆーのはなんか嫌です。プロデューサーさんの家にお泊まりしたのは私が初めてだと思ったのに……」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:18:22.59 ID:0d/HxnUVO
「あー……その、悪かったよ。許してくれ。けど、こういう事するのはお前だけだから」
そう言って、悲しそうな顔でショボくれている春香の唇を奪った。
不意討ちのキス。春香は驚いたように一瞬目を見開いたが、やがて目をそっと閉じ自らも唇を押し付けてきた。
春香の甘い香りが鼻腔に広がりムズムズとした謎の感覚に脳内が侵される。
理性を押し退けて今にも暴れだそうとしている本能を押さえ付けるように春香のさらさらした髪の毛を優しく撫でると、くすぐったそうにもぞもぞと身動ぎした。
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:21:13.45 ID:0d/HxnUVO
暫く春香の柔らかな唇を堪能した後、ゆっくりと顔を離す。
「これじゃ、駄目か?」
「ダメです。許しません。私、本当に悲しかったんですから。こんなキスじゃ、1回だけじゃ……全然足りませんから……んっ」
今のキスでリミッターが外れたのか、春香はすっかり蕩けた顔で甘えるようにフレンチキスを繰り返す。
折れてしまいそうな程細い両腕は俺の背中に回され、もう離しませんと言わんばかりにギュッと絡み付いていた。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:30:13.67 ID:0d/HxnUVO
「プロデューサーさん……好き……大好き……」
うわ言のように好きを呟きながら、同じ数だけ啄むようにキスを繰り返す。
「可愛いよ、春香。俺もお前の事、大好きだから」
「えへへ……嬉しい。優しいプロデューサーさん、大好きです」
「ったく。甘えん坊なヤツだな……」
「私が甘えるのはあなただけです……だからいいんですよーっだ。あ、そう言えばお昼ご飯」
ふと時計を見るといつの間にか針は午後の2時を差していた。
「気にすんな。まだ11時ちょっと過ぎだし、もうちょっとくらいいいだろ……」
俺もスイッチ入っちゃったし、この分だと昼食は夕食と兼用だな。いつもの事だけど。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/15(水) 19:37:46.75 ID:0d/HxnUVO
「あのさ、こんな時にしか言えないけどさ。いつもイジワルばっかりしてごめんな」
春香の背中を優しく撫でながら可愛らしい彼女を見つめた。
「別にいいです。こうやって甘えさせてくれるプロデューサーさんは大好きですし、いつものイジワルなプロデューサーさんも嫌いじゃないですから……」
スリスリとマーキングするように胸板に顔を擦り付ける春香の前髪をかきあげ、おでこにチュッと唇を押し当てる。
「あぁ、もう……可愛いヤツめ」
天海春香。今をときめくトップアイドル。
「えへへ、ずーっと、ずーっと……大好きですからね! プロデューサーさん!」
俺の彼女はこんなにも可愛い。
ー終わりー
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