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トップページ四条貴音 > 貴音「明る月」

1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:53:16 ID:6elO9Cs6


貴音「あなた様、こちらにいらしたのですか」

  「ああ、星が綺麗だろう」

貴音「真、月の無い夜もまた、趣があります」

  「ふむ……」




2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:54:05 ID:6elO9Cs6


 月影絶えて空灯り 天に満ちる星明明

 月隠りしや星灯り 天に流るる星麓麓

 人影絶えて空眺め 地に吹きゆ風清清

 人在りしや星眺め 地に点るる星炯炯



3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:54:54 ID:6elO9Cs6


貴音「ふふ、今宵のあなた様は、詩人なのですね」

貴音「私も、あなた様に倣い、戯れましょう」



4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:55:26 ID:6elO9Cs6


 天を満つ 星ひた見入る 影一つ

  至上の光りや いずこにあるらん



5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:55:56 ID:6elO9Cs6


  「胸の内、か?」

貴音「とっぷしぃくれっと、です」

  「そうか」

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6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:56:31 ID:6elO9Cs6


 天に満つ 月ぞ高嶺の きにかかる

  心に映さば ただ影あかる



7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:57:07 ID:6elO9Cs6


貴音「はい、真、良夜にございますね」

  「かなわないな、冷えてきた、そろそろ戻ろう」

貴音「ふふ、いけずなあなた様」



8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:57:42 ID:6elO9Cs6


 星隠す み空の明りも 今は闇

  盈ちてぞ虧けじ 月の色人



9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:58:15 ID:6elO9Cs6


  「どうかしたか?」

貴音「いえ、何でもありません」



あなた様、どうか月の輝きを、永く、末永く――



10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/24(水) 19:58:56 ID:6elO9Cs6

以上です。

テーマは「新月と満月」


11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:56:18 ID:u/2M6mlo

地の文をつけた補完編1
貴音の決意


12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:56:54 ID:u/2M6mlo

私が進むべき道はどこにあるのでしょう。
これまで、はるか高みを目指して歩んできました。
しかし、その高みにあるはずの輝きはとうに失われています。
それでも私は歩まねばなりません。
なれど、その歩んだ先には果たして何があるのか――。

――はて、そういえばここは、どこなのでしょうか。
思いに沈むうちに、道に迷ってしまったのでしょうか。
……いえ、どうやらそうではないようですね。
ここは、よく月を見に訪れる公園の近くのようです。
ふふ、せっかくですから、寄っていきましょう。
今宵は月が出ていませんが、それもまた良いでしょう。


13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:57:28 ID:u/2M6mlo

おや、あそこにいるのは……。
この距離では風体がわかりにくいですが、私が見間違えようはずもありません。

――あなた様、ここにいらしたのですか。

私と共に高みへ至らんとするあなた様。
何故、あなた様がここに?

――ああ、星が綺麗だから。

ふふ、どうやら私と同じ理由のようです。
しかし、私をちらと見ただけで、すぐに天を仰がれるとは。
確かに、この綺羅星の煌きは心奪われるものがありますが。

――真、月のない夜もまた、趣があります。

月の無い闇夜に何を思うか。
それはまるで――。

――ふむ……。

はてさて、いったい何を考えておられるのやら。
私は進むべき道に迷い、懊悩しておりましたが、別のことを考えておられるのでしょう。
仕事一筋のこの方のことです。
いかにして高みに至るのか、その道程についてでしょうか。


14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:58:00 ID:u/2M6mlo


 月影絶えて空灯り 天に満ちる星明明

 月隠りしや星灯り 天に流るる星麓麓

 人影絶えて空眺め 地に吹きゆ風清清

 人在りしや星眺め 地に点るる星炯炯


15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:58:47 ID:u/2M6mlo

ふふ、ふふふ。
まさか詩を考えておられたとは。
意外な一面を垣間見たようです。

――ふふ、今宵のあなた様は詩人なのですね。

星ばかりが輝き、月は暗く。
それはまるで、今の私のよう。
私の見るべき光は一体どこにあるのでしょう。

――私も、あなた様に倣い、戯れましょう。

この心持ちを歌に託しましょう。


16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 19:59:26 ID:u/2M6mlo


 天を満つ 星ひた見入る 影一つ

  至上の光り いずこにあるらん


17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:00:08 ID:u/2M6mlo

私を導く標はどこに……。

――胸の内、か?

ふふ、その返事はもちろん……。

――とっぷしぃくれっと、です。

私は歌に想いを込めました。
この上語る言葉を持ち合わせておりません。

――そうか。

あなた様のその優しさ、嬉しく思います。


18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:00:42 ID:u/2M6mlo


 天に満つ 月ぞ高嶺の きにかかる

  心に映さば ただ影あかる


19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:01:15 ID:u/2M6mlo

あなた様には、私の輝くのが見えているのですね。

――はい、真、良夜にございますね。

ならば私は、あなた様の心の月を、私の心の標としましょう。

――かなわないな。

いいえ、私はあなた様がいなければ、何もできない女。
あなた様が行くところ、私もどこまでも付き従いましょう。

――冷えてきた、そろそろ戻ろう。

思えば随分と眺めていたものです。
ですが、まだ私は――

――ふふ、いけずなあなた様。

私はまだ、あなた様と月を眺めていたいのに。


20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:01:49 ID:u/2M6mlo


 星隠す み空の明りも 今は闇

  盈ちてぞ虧けじ 月の色人


21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:02:53 ID:u/2M6mlo

月はこれより輝くばかり。
空にも、心にも。

――どうかしたか?

私は輝けるでしょうか。

――いえ、何でもありません。

あなた様という光があるならば、私は闇夜を真昼のごとく照らせましょう。
あなた様、どうか月の輝きを、永く、末永く――


22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:04:34 ID:u/2M6mlo

以上、貴音の決意

以下、貴音の恋心


23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:06:04 ID:u/2M6mlo

一体どこへ行ってしまわれたのでしょうか。
二人きりでの旅行だというのに。
私を置いて行ってしまうとは。
おや、彼方に見えるのは――。

――あなた様、ここにいらしたのですか。

全く、私を置いていくとはどういうことなのでしょうか。

――ああ、星が綺麗だから。

確かに今宵は月も無く、星が綺麗です。
しかし私のほうを見もしないとは。
私より星の方がよいのでしょうか。

――真、月のない夜もまた、趣があります。

心奪われるほどに。

――ふむ……。

はあ、本当に心を奪われているようです。
私はしょっくです。


24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:06:38 ID:u/2M6mlo


 月影絶えて空灯り 天に満ちる星明明

 月隠りしや星灯り 天に流るる星麓麓

 人影絶えて空眺め 地に吹きゆ風清清

 人在りしや星眺め 地に点るる星炯炯


25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:08:11 ID:u/2M6mlo

詩を捧げるほどとは。
ますます我慢なりません。

――ふふ、今宵のあなた様は詩人なのですね。

私が心にかけるのは中天にかかる月だけだというのに。
あなた様は星の方が気にかかるのでしょうか。

――私も、あなた様に倣い、戯れましょう。

確かめましょう。
あなた様の心を。


26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:08:46 ID:u/2M6mlo


 天を満つ 星ひた見入る 影一つ

  至上の光り いずこにあるらん


27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:09:19 ID:u/2M6mlo

あなた様の目には、私は写らないのでしょうか。
あなた様の心には、私は映らないのでしょうか。

――胸の内、か?

そのようなこと、確かめるまでもないでしょう。

――とっぷしぃくれっと、です。

ご自分の胸に聞いてくださいませ。

――そうか。

そうですとも。


28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:09:54 ID:u/2M6mlo


 天に満つ 月ぞ高嶺の きにかかる

  心に映さば ただ影あかる


29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:11:52 ID:u/2M6mlo

ふむ、心には常に私がいると。
……まあ、いいでしょう。
この場はこれで手打ちとします。

――はい、真、良夜にございますね。

私の心にも、常にあなた様がおります。
忘れないでくださいませ。

――かなわないな。

あなた様が星ばかりを見ていなければ良いことです。

――冷えてきた、そろそろ戻ろう。

そのようなことを、おっしゃるとは。

――ふふ、いけずなあなた様。

私はまだ、あなた様とこの空を眺めていないのに。


30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:12:28 ID:u/2M6mlo


 星隠す み空の明りも 今は闇

  盈ちてぞ虧けじ 月の色人


31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:13:21 ID:u/2M6mlo

今はまだ、誰にも言えませんが、いつかは――。
いえ、たとえ公にできずとも、私はあなたを想い続けます。
この想いは、終生変わることはないでしょう。

――どうかしたか?

あなた様への想いを、確かめていたところです。

――いえ、何でもありません。

私は、あなた様に捕らえられた月にございます。
もはや、あなた様と離れることなど考えられません。
あなた様、どうか月の輝きを、永く、末永く――


32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/09/29(月) 20:13:59 ID:u/2M6mlo

以上、補完編2
貴音の恋心







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