亜利沙「松田亜利沙、全力おまじない」

亜利沙「アイドル松田亜利沙が全力でおまじないをしていたことが明らかになりました」

亜利沙「昨年末から体全体を使い、ガシャで幸運が訪れるようにふしぎなおどりを披露」

亜利沙「悪い結果も良い結果もありましたが、どちらも全力で感情を表現」

亜利沙「音がないのに動きだけでうるさい、とファンの皆さんを喜ばせた模様です」

可憐「え？　う、うるさいって言われたのに？」

亜利沙「わたくしには褒め言葉ですから。普段からリアクションが大きいので、それでよく喜んでいただいてます」

可憐「そうなんですね……」

莉緒「あまり言うと、ドッキリの仕事が来ちゃうかもしれませんよ」

亜利沙「まぁ、この番組でもやられてますし……出来ればやめていただきたいですが。続いてのニュースです。百瀬さん」

莉緒「はい」

莉緒「百瀬莉緒、家電の声になる？」

莉緒「アイドル百瀬莉緒が家電の声の候補に挙がっていることが明らかになりました」

莉緒「これは某社の募集した投票の中間発表でbest10入りしたもので」

莉緒「国民的人気のPカチュウやDラえもんと肩を並べていたとのことです」

莉緒「また、そのメンバーを差し置いてトレンド入りした模様です」

亜利沙「如月千早さんも別の部門で入ってましたが……これ、流石に驚きましたよね」

莉緒「本当にそう！　私のファンのみんなも驚いてたみたいで、じゃあ誰が投票してくれてたの？って」

可憐「そうなんですか？　不思議ですね」

亜利沙「SNSでは少数派の声が大きくなりかねませんから……実際は投票してるファンの方も多いのではないでしょうか」

莉緒「そうかも……あと、美奈子ちゃんや、やよいちゃんみたいな、料理が得意なイメージのある子たちじゃなくて、なんで私？とも思いました」

亜利沙「きっと世の中が求めてるんですよ。わたくしの推理だと、入社すぐの男性が、独り帰った時に百瀬さんの声を聴きたいのではないかと」

莉緒「それは嬉しいけど……でも、そういうことなら、もっとモテても良いんじゃないですか？」

可憐「も、モテてないんですか？」

莉緒「学生時代から誰も寄って来ないんですよ！　おかしくないですか？」

亜利沙「もはや七不思議ですね……続いてのニュースです。篠宮さん」

可憐「はい」

可憐「篠宮可憐、ビビる」

可憐「アイドル篠宮可憐が震えていたことが明らかになりました」

可憐「これは担当プロデューサーが仕事について来られなくなったことから」

可憐「アイドル高山紗代子に、初めての現場で、大御所の方もいて、すごい人気番組だけど多分大丈夫、と脅され」

可憐「一瞬で縮みあがったとのことです」

莉緒「ふふっ、紗代子ちゃんは脅してはないわよ」

可憐「いやっ、で、でも、いきなりあんなに並べられると……一つでも不安になるのに」

莉緒「でも、すぐに立ち直ったじゃない。それに、本番は私みたいな失敗はしなくて良かったでしょ？」

可憐「莉緒さんの励ましのお陰です……本番は、わ、私は大人しくしていたので、何とか乗り切れました」

亜利沙「放送を見ましたけど、百瀬さんも篠宮さんも素晴らしかったですよ。是非また出ていただきたいです」

可憐「ぅぅ……お話があったら頑張ります」

亜利沙「それともう一つ。篠宮さんはまもなくメイン公演がありますよね」

可憐「そうなんですよ……まさか、周年ライブの直前にあるなんて……まだそっちもちゃんと覚え切れてないのに」

莉緒「春香ちゃんが頑張ってくれるはずだし、大丈夫よ」

亜利沙「お二人はよく同時期に公演があったり、同じショットに収まったり……わたくしたちファンの間では、『はるかれん』と言って大変ありがたがっています」

可憐「あ、ありがとう……ございます？」

亜利沙「続いてのニュースです」

亜利沙「北上麗花、変身用葉っぱ？」

亜利沙「アイドル北上麗花がキツネの衣装を身にまとった際」

亜利沙「葉っぱをアイドル周防桃子に手渡ししていたことが明らかになりました」

亜利沙「周防桃子はキツネから連想し、変身用の葉っぱと思い、頭に乗せましたが」

亜利沙「北上麗花はいきなり食べ出したとのことです」

莉緒可憐「え？」

亜利沙「その葉っぱの正体はバジルだったようです」

莉緒「ああ、それならわか……らないわね。バジルってそれだけじゃ食べないわよね？」

亜利沙「そうだと思いますが……『おいしいよ』とのことですね」

可憐「そうだったんですか……」

亜利沙「続いてのニュースです」

亜利沙「エミリースチュアート、誕生日饂飩」

亜利沙「先日誕生日を迎えたアイドルエミリースチュアートが、誕生日饂飩を体験しました」

亜利沙「この饂飩はアイドル最上静香による手打ちで」

亜利沙「ホワイトボードを使って、かけとざるのどちらが良いかを聞いていたとのことです」

亜利沙「これを見たアイドル豊川風花は、丁寧にフォローしていた模様です」

莉緒「あの注釈、風花ちゃんだったんですね。イラストまで描いてくれてましたよね」

可憐「かわいいイラストでしたね。最初は、静香ちゃんが描いたのかと思いました」

亜利沙「最上さんの画力では描けな……いえ、最上さんの画風であのイラストは描かないと思われます」

可憐「た、たしかにそうですね」

莉緒「それにしても、饂飩はおいしかったですよね。あんなにたくさん……将来は饂飩屋さんもいけそうですね」

亜利沙「そういうコラを見て笑った思い出もありますね……続いてのニュースです」

亜利沙「ジュリア、お姫様レッスン」

亜利沙「アイドルジュリアがアイドル徳川まつりのお姫様レッスンを受けていたことが明らかになりました」

亜利沙「これは仕事の予行演習のためで、気乗りしなかったようですが何とか上手くできたとのことです」

亜利沙「なお、王子様を思い浮かべて、というアドバイスには」

亜利沙「ジュリアはなぜか焦っていた模様です」

莉緒「もしかしてジュリアちゃんに好きな人が？」

可憐「ええっ！」

亜利沙「アイドルでそれは不味いですが……ジュリアさんも、それは完全否定してましたね」

莉緒「別に付き合ったりしてなければ良いと思うけど……あっでも、ゆr」

亜利沙「本人はスルーするって決め込みましたから！　ほら、古き良き時代だと、仲の良いお友達の1人です、ってやつです！」

可憐「そ、そうなんですね……」

亜利沙「以上でニュースを終わります。ここまでのお相手は、キャスターの松田亜利沙と」

莉緒「アシスタントの百瀬莉緒と」

可憐「同じくアシスタントの篠宮可憐でした」

亜利沙「それでは皆様、また会う日まで。ご機嫌よう」ﾍﾟｺｯ

…………
ﾊｲ、ｵﾂｶﾚｻﾏﾃﾞｼﾀ

亜利沙莉緒可憐「お疲れ様でした」

亜利沙「お二人ともありがとうございますぅ！　あ、莉緒さん、松葉杖取ってきます！」

莉緒「ごめんね。もう大丈夫なんだけど、念のために、って」

亜利沙「いえいえ、まもなくライブですから、それまで慎重すぎるくらいがちょうど良いですよ」

莉緒「それにしても、この時期に故障するなんて……年末はさっきのニュースがあったり、ガシャで4枚抜きしたり、これ以外は運が良かったのに」

可憐「4枚抜きはすごかったですね」

亜利沙「流石のありさも経験ありません……はい、どうぞ」

莉緒「ありがと」

亜利沙「さぁ、まもなくですね。お二人とも周年ライブ、応援してますよ！　莉緒さんは決して無理しないでくださいね」

莉緒「本当にね、ここまで長引くなんて……エミリーちゃんもだけど、体調や故障には気をつけないとね」

亜利沙「仕方ないですよ。前回は朋花ちゃんも直前に辞退でしたし……気をつけていても、なるときはなっちゃいますから」

莉緒「私だけのことなら良いんだけど、同じ日の子たちには迷惑をかけちゃってるから……」

可憐「だ、大丈夫です！」

莉緒「可憐ちゃん？」

可憐「莉緒さんの分は、わ、私が埋め……るのは無理ですけど、精一杯頑張ります！」

亜利沙「おお！　可憐ちゃん、心強いじゃないですか！」

莉緒「……ふふっ、そうね。安心して任せるから、お願いね」

可憐「は、はぃぃ……」

莉緒「そう言えば、亜利沙ちゃんは海外ロケよね？　いつ出発するの？」

亜利沙「実はあと1時間少々で出発です」

莉緒「ええっ！　ハードスケジュールじゃない」

亜利沙「大丈夫です！　この番組も明日以降なら代理が必要でしたが、配慮していただけたんで」

可憐「良かったね」

亜利沙「はい！」


ジュリア「お疲れ」

亜利沙「ジュリアちゃん、ありがとうございますぅ！」

ジュリア「準備出来てるか？　ちょっと早めだけど、亜利沙さえ良ければ出発して空港でゆっくりするかって、みんなが言ってるんだけど」

亜利沙「あ、じゃあ、10分少々お待ちを！　すぐに済ませてきます！」

ジュリア「焦らなくていいからな」

ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ

ジュリア「ところで莉緒姉、まだ松葉杖つかなきゃいけないのか？」

莉緒「もう大丈夫だけど、念のためよ。心配しないで」

ジュリア「ならいいけど」

莉緒「それに、ライブは可憐ちゃんが頑張ってくれるみたいだから、安心して任せるわ」

可憐「ぅぅ……はい……」

ジュリア「たしかに、カレンがいるなら安心だな」

可憐「えっ、そ、そんな」

ジュリア「あたしも亜利沙も、周年ライブは皆勤だったけど、今回で途切れちゃったしな」

莉緒「1stからだもんね。残念？」

ジュリア「まぁそうだな。仕方ないけど、あたしたちは別の場所で精一杯やるのが大事だ、って琴葉も言ってたし」

莉緒「それはそうね」

ジュリア「だからカレン、ライブの方は任せた」

可憐「は、はいぃぃ……」

ジュリア「今回出られないメンバー、特にあたしと亜利沙の連続記録の分も含めてな。背負ってくれるか？」

可憐「えっ、そ、そ、それは……」

可憐「……や、やっぱり、無理です！」

ジュリア「ははは、冗談だって」

莉緒「もう、あんまりいじめちゃダメよ」

おわり