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トップページその他SS > 【水星の魔女】 エラン5号「ノレア、天下一品に行こう!」 ノレア「・・・・・・は?」:後編

26: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:41:38.69 ID:rd60AkAz0

白銀髪の店員「ありがとうございました!」

食後、会計を終えた2人は店の外に出た。




5号「いやあ、美味しかったねぇ」

ノレア「そうですね」

前スレ
【水星の魔女】 エラン5号「ノレア、天下一品に行こう!」 ノレア「・・・・・・は?」

27: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:42:35.38 ID:rd60AkAz0

ノレア「でも良かったんですか? ご馳走してもらっちゃって」

5号「もちろん。僕が誘ったしね。デート代は払うよ」

ノレア「・・・・・・デートって。私、知ってますからね。あなたがスレッタ・マーキュリーを口説(くど)いたこと」

5号「!? なんで知ってるの!? ・・・・・・って、そうか。そういえば、あの場にはソフィもいたんだっけ・・・・・・」


28: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:45:58.08 ID:rd60AkAz0

ノレア「ええ。『街中で2人で遊んでたら、気持ち悪いやつがスレッタお姉ちゃんを口説いてきた』って
    言ってましたよ。気持ち悪いやつって、あなたのことでしょう?」

5号「・・・・・・え、ちょっと待って。僕、ソフィと普通に面識あるし、何度も話してるよね? 
   ソフィの僕の評価って、そんな感じなの?」

ノレア「あなたの口説く姿が、相当気持ち悪かったんじゃないですか? 
    そんな男にデートと言われた所で、全然嬉しくないですね」

ノレアがジト目で5号を見る。


29: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:47:09.02 ID:rd60AkAz0

5号「いや、あれは出来心だったというか・・・・・・!」

ノレア「へえ。じゃあ教えて下さいよ。なんで出来心を持ったのか」

5号「・・・・・・言わなきゃ駄目?」

ノレア「刺されたいですか?」


30: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:48:24.29 ID:rd60AkAz0

再び鉛筆を取り出そうとするノレアを見て、5号は観念した。

5号「分かったよ・・・・・・ほら、僕達兄弟って、みんな同じ顔してるだろう?」

ノレア「6つ子ですからね」

※このSSでは、オリジナルのエラン様は末っ子(六男)の設定になっています。



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31: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:50:33.33 ID:rd60AkAz0

5号「そうそう。つまり、端からみれば誰が誰だか分からないってわけ」

ノレア「・・・・・・まあ、普通はそうでしょうね」

5号「明確な違いなんて、小物類の身に着け方くらいだろう? だからさ、スレッタ・マーキュリーの前で
   四男の真似をしても、バレないと思ったんだ。それにほら、スレッタ・マーキュリーのほうは
   少なからずアイツ(四男)に気があるみたいだし。それを確かめてみたいなぁって思って・・・・・・」

ノレア「四男のフリして口説いたと」

5号「はい」





ノレア「・・・・・・気持ち悪」


32: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:52:12.92 ID:rd60AkAz0

5号「言わないでくれよ!!」

5号は泣きそうな勢いで言葉を続ける。

5号「頑張ってアイツ(四男)に寄せたのに、スレッタ・マーキュリーには速攻でバレるし、
   ソフィには「少女マンガに出てくる、かませ犬みたい」とか言われたあげく、大爆笑されたんだよ!? 
   口説くフリをしたこと、本気で後悔したよ!」

今にも地面に崩れ落ちそうな5号に対し、ノレアは、

ノレア「・・・・・・一応聞いておくんですが、本当にフリなんですか?」

ほんの一瞬、不安げな表情をして、そう尋ねた。すると、


33: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:53:42.05 ID:rd60AkAz0

5号「え? そりゃそうだよ」

あっけらかんと5号は答えた。

5号「だって、僕が好きなのは・・・・・・」

ノレア「・・・・・・好きなのは?」


34: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:54:28.14 ID:rd60AkAz0


ノレアと5号が見つめ合う形となり、そして・・・・・・。





5号「・・・・・・おっと、そろそろバイトの時間だ」

5号はそう言うと、視線を外した。


35: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:55:11.46 ID:rd60AkAz0

ノレア「・・・・・・下手すぎません?」

5号「何が下手なのか分からないなぁ! というか、危うく個人情報をばらす所だったよ。ノレアは策士だね」

ノレア「あなたが勝手にばらそうとしただけです」

5号「・・・・・・そうとも言えるね」


36: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:56:05.98 ID:rd60AkAz0

ノレア「はあ。変なことばっかり言うからそうなるんですよ」

5号「あはは。でも、バイトがあるのはホントなんだよ。実は、2時間後にバイトが入ってる」

ノレア「・・・・・・そういえばあなた、よくバイトしてますよね。部活も入らずに」

5号「まあね。行きたい場所があるんだ」

ノレア「行きたい場所?」


37: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:57:11.85 ID:rd60AkAz0

5号「ああ。どうしてもそこに行きたい。だからお金を貯めてる」

そう言う5号の顔は、いつになく真剣だった。

ノレア「・・・・・・あなたがそこまで強く言うなんて珍しい。本気なんですね」

5号「ああ、もちろん。・・・・・・だからさ、ノレア。その時は一緒に・・・・・・」

5号が言葉を続けようとした、その時だった。


38: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:58:12.06 ID:rd60AkAz0





ドォォオンッ!!!!!




突如、爆発音が聞こえた。



39: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 19:59:19.46 ID:rd60AkAz0

それと同時に、2人の意識が途切れる。

その時間は一瞬にも思えたし、永遠のようにも思えた。 

いつの間にか地面に膝をついていた2人は、まだ朦朧とした意識の中、辺りを見回す。

すると、現状が理解できた。


40: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:00:19.99 ID:rd60AkAz0


自分たちが歩いていた街道。そこに並ぶように展開された商店の1つから、火の手が上がっていた。
 
勢いを増す炎。逃げまどう人々。崩落する街灯や看板。

小規模ながらも現実に起きた、疑いようのない地獄絵図を見て。


41: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:02:00.33 ID:rd60AkAz0






----- 壊してやろう・・・・・・! 学園ごと、何もかも・・・・・・! -----





ノレアは、知らないはずの記憶を、断片的に思い出した。


42: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:03:22.74 ID:rd60AkAz0

5号「大丈夫か、ノレア!」

爆発は、本当に偶然起きたものだった。

黒幕なんて存在せず、奇跡のような確率で起きてしまった悲劇だった。

ゆえに、それが引き金となる。


43: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:04:12.75 ID:rd60AkAz0




ノレア「触るな! スペーシアンッ!」

5号「っ・・・・・・!」


44: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:05:03.23 ID:rd60AkAz0

ノレア「その反応と表情・・・・・・あなた、”覚えて”ますね?」

5号「!? まさかノレア、思い出したのか?」

5号の問いかけは、「はい」と言っているのと同義だった。ノレアの感情に、怒りが生じる。


45: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:05:56.05 ID:rd60AkAz0

ノレア「本当に・・・・・・いい性格してますね。あなた、何も覚えてない私を見て、裏で笑ってたんでしょう?」

5号「違う! そんなことは・・・・・・!」

ノレア「違わない! このまがい物の世界が何なのかは知りませんが、元の世界で私達は、
仲良しでも何でもなく、使い捨ての道具としての繋がりしかなかった!」


46: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:08:24.09 ID:rd60AkAz0

ノレア「それなのに! この世界で私は、あなたと仲を深めただけじゃなく、
    殺したいほど憎いはずのスペーシアンとも、交流をしていた! これが笑えないはず無いでしょう!?」

ノレアが衣服から鉛筆を取り出し、5号へと向ける。その先端は、5号の首元から数ミリのところまで迫っていた。

いつ刺されてもおかしくない状況の中、

5号「・・・・・・そうだね。元の世界で僕らは別に、仲良しじゃなかった」


47: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:09:37.60 ID:rd60AkAz0

5号「でもさ、仲良くなれる兆(きざ)しはあったよ」

あくまで冷静に、ノレアの瞳を見つめ、5号はそう告げた。

ノレア「・・・・・・あなた、この期に及んでそれって。死にたいんですか?」

5号「いいや? 君も知ってるだろう? 僕は長生きがしたいんだ。死にたくなんてない」

ノレア「だったら! そのふざけた態度は何なんですか!? 本当に刺しますよ!?」


48: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:10:14.13 ID:rd60AkAz0





5号「・・・・・・だって君、ずっと震えてるじゃないか」






49: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:11:23.56 ID:rd60AkAz0

5号「それじゃあ、誰も殺せないよ」

そう言って5号は、ノレアから鉛筆を優しく取り上げた。

ノレア「あっ・・・・・・」

それと同時に、ノレアは崩れ落ちるように膝を地面につける。

しばらく沈黙していたノレアだったが、やがて口を開き、

ノレア「・・・・・なんで、あなたは平気なんですか?」

そう問いかけた。


50: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:12:18.60 ID:rd60AkAz0

ノレア「あなたも私も、ガンダムに乗ってたでしょう? その記憶を思い出して、どうして平気でいられるんですか?」

ノレア「ガンダムに乗るたび、私達は命を削っていました。パーメットスコアが上昇するたび、
    死が間近に近づいてくる。その恐怖を思い出したら、とても正気じゃいられない」

ノレア「この甘ったれた世界に慣れてしまったから・・・・・・尚更です。それに私は、自分の最期も思い出してっ・・・・・・!」

ノレアの瞳から涙がこぼれる。その瞬間、


51: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:14:18.73 ID:rd60AkAz0






5号「忘れよう」

そう言って、5号はノレアを抱きしめた。







52: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:15:03.71 ID:rd60AkAz0

5号「震えて泣くほど怖い記憶なんて、忘れてしまえ」

ノレア「・・・・・・簡単に言わないで下さい」

5号「簡単さ。ほら、こうやって何かに集中すれば、その事以外は希薄になる」

ノレア「それで抱きしめたんですか・・・・・・?」


53: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:16:17.13 ID:rd60AkAz0

5号「うーん。単に抱きしめたかったから、っていうのもあるね」

ノレア「なにそれっ・・・・・・!」

思わずノレアは笑う。


54: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:16:56.16 ID:rd60AkAz0

ノレア「でも、ずっとこうしている訳にもいかないじゃないですか」

5号「あっ。それもそうだね」

そう言うと、5号は片手でスマホを取り出した。


55: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:18:20.91 ID:rd60AkAz0

5号「あ、もしもし、店長? 僕です、僕。今日のバイトなんですけど、ちょーっと都合が悪くなりまして。
   申し訳ないんですがお休みさせていただきます。ああ、ハイ。この埋め合わせは必ず。じゃあまた!」

ノレア「・・・・・・今の何です?」

5号「いやほら、この後バイトがあるって言ったろう? だからキャンセルの電話をしたんだ。
   これでまだこうしていられる」

ノレア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しばらく呆気にとられていたノレアだったが、


56: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:20:35.42 ID:rd60AkAz0







ノレア「・・・・・・あはっ。あはははっ!」

堰を切ったように、爆笑した。






57: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:22:46.72 ID:rd60AkAz0

ノレア「そ、そういう意味で言ったんじゃなく・・・・・・て、あははっ 駄目、笑いが止まらないっ」

ノレアはしばらく笑い続け、その後、言葉を続けた。
 
ノレア「ふふっ。私、これだけ笑ったの、元の世界を含めて初めてですよ」

5号「・・・・・・なんかいまいち釈然としないけど、涙が止まったのなら良かったよ」


58: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:23:52.53 ID:rd60AkAz0

ノレア「まあ、別の意味で震えは止まらないですけどね」

5号「・・・・・・ねえ。君の方がいい性格してると思うんだけど」

ノレア「何か言いました?」

5号「別にぃー」

軽くふてくされた5号を見て、ノレアは再び笑みを浮かべた。


59: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:25:09.02 ID:rd60AkAz0



◇ ◇ ◇


5号「それでどう? もう大丈夫?」

ノレア「ええ。おかげさまで」

5号とノレアは手を繋ぎ、帰路へと向かう。


60: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:27:09.34 ID:rd60AkAz0

5号「また怖い目にあったら言ってよ。いつでも駆けつけるからさ。
   まあ、今回みたいなことはそうそう無いと思うけど」

ノレア「・・・・・・それはどうも。でも、大変じゃないですか?」

5号「約束したからね。隣にいるって」

ノレア「・・・・・・あっ」


61: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:28:05.31 ID:rd60AkAz0






----- 生き方が分からないなら、一緒に探してやる! 怖いなら隣にいてやる! -----






62: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:30:10.88 ID:rd60AkAz0

5号「それとも、僕と一緒にいるのは嫌かい?」

5号がそう問いかけると、ノレアの頬が朱色に染まった。

ノレア「そ、そんなことは、ない、です」

頬の変化を隠すためか、ノレアが顔を背ける。その姿を見て、5号は笑みを浮かべた。


63: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:31:36.15 ID:rd60AkAz0

5号「それは良かった。ただ残念ながら、隣にいるのがどうしても難しい時ってあるからさ。
   これを僕だと思って、お守り代わりに持っててよ」

そう言って5号は、ノレアに品物を渡す。それを受け取ったノレアは、訝しげな表情で問いかけた。

ノレア「・・・・・・・・・・・・何ですか、これ?」


64: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:33:36.79 ID:rd60AkAz0

5号「見ての通り、れんげだよ。天下一品ってキャンペーン期間中、
   スマホのアプリでポイントが貯められるんだけど、その交換商品。実はさっき、店で交換してきたんだ」

ノレア「いや、そういう事じゃなく」

5号「お守りをれんげにした理由ってこと?」

ノレア「はい」

5号「・・・・・・まあ、別にれんげじゃなくても良かったんだけどさ。分かりやすいじゃないか」

ノレア「分かりやすい? 何がです?」


65: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:35:13.82 ID:rd60AkAz0






5号「今日一緒にラーメンを食べたのが、僕らの初デートだったってこと」



5号はいつも通りに振る舞うが、ほんの少しだけ、頬が赤く染まっていた。





66: ◆WLqChR3KymnV 2023/06/25(日) 20:37:08.39 ID:rd60AkAz0


5号「それで、ときどきでいいから『そういえばあの日が初デートだったなあ』って思い返してくれたら、嬉しい」

ノレア「・・・・・・馬鹿なの? あなた」

そう言って呆れながらも、ノレアは微笑んだ。




終わり





転載元:【水星の魔女】 エラン5号「ノレア、天下一品に行こう!」 ノレア「・・・・・・は?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1687262199/



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