84: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 11:46:24.75 ID:HZkyJaRoo
――――
P「そろそろ時間だな……今日はプロデューサー同行のもと、来るとは伝えられてるが……」
コンコンコン
P「はい!」
ガチャ
P「おはようございます。高峯のあさんですよね?」
高峯のあ「ええ……そうよ」
P「……? お一人ですか?付き添いのプロデューサーさんは……」
のあ「…………」
P「とりあえず、中へどうぞ」スッ
関連スレ
【デレマス】モバP「他のプロダクションのアイドルをスカウトする」1
85: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 11:58:31.19 ID:HZkyJaRoo
P「どうぞ、お掛けください」
のあ「失礼するわ……」
P「あの、プロデューサーさんは急用か何か入ったのでしょうか?」
のあ「……いいえ、私が断ったわ」
P「断った?」
のあ「……彼が居ても意味がないと思ったからよ……さあ、短期移籍の詳細を教えてちょうだい」
P「……そうですね。それでは――」
86: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 12:05:01.02 ID:HZkyJaRoo
P「――と、ここまでで質問はありますでしょうか?」
のあ「特にはないわ……」
P「そうですか……あの、失礼ですが高峯さんはなぜアイドルに……?」
のあ「……」
のあ「……それは貴方に言わなければいけないことかしら」
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87: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 15:31:29.57 ID:HZkyJaRoo
P「……そうですね。私がこのプロダクションでは担当プロデューサーとなりますので、理由と言うのは聞いておきたいかなと……」
のあ「……そう……」
のあ「……私はスカウトされたの。事務所のプロデューサーに」
のあ「私は……何か新しいものが見つかるかも知れない。掴めるかもしれない……そう思って……アイドルになったわ……」
のあ「……これでいいかしら」
P「ありがとうございます……今のところ、なにか掴めましたか?」
のあ「……それは貴方に言う必要はないわ……話が終わりなら、失礼してもいいかしら?」
88: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 15:37:31.81 ID:HZkyJaRoo
P「はい。わざわざありがとうございました」
のあ「それじゃ……」スッ
P「すみません、ひとつだけ」
のあ「……なにかしら」
P「俺がこの一ヶ月間で、貴方の力を引き出してみせますよ」
のあ「……」ピタ
のあ「……」
のあ「………………そう……できればいいわね。失礼するわ」ガチャ
バタン
P「……ふうん……高峯のあ……か」
89: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 15:58:56.30 ID:HZkyJaRoo
ちひろ「なんだか、ミステリアスって聞いてましたけど……」
ちひろ「言い方はあれですが……冷静っていうか、冷めちゃった人って感じがしましたね……」
P「そうですね。彼女の良いところが消えてしまっている気がします」
P「今の高峯のあは、新しいものを見つけることなんて、諦めてるように見えました」
ちひろ「何か、向こうの事務所であったのでしょうか……」
P「わかりません。でも」
P「必ず、また熱くなってもらいますよ。アイドルとしてね」
106: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 22:14:23.55 ID:kSGMf4+4o
――――
P「おはようございます。今日から本格的に活動しますが、私も付き添いで現場に行きますので、よろしくです高峯さん」
のあ「……別に一人でも問題はないわ」
P「そうかもしれませんが、説明の時にも言ったとおり、まずは高峯さんの今の実力を見てみたいので」
のあ「……そう…………」
P「それに、せっかく短期でも移籍したんだから、前のプロダクションと違うことしないと」
のあ「…………」
P「さあ、まずは撮影ですね」
107: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 22:39:19.26 ID:kSGMf4+4o
――撮影中――
P (今回は雑誌の表紙の撮影だが……)
P (これは……)
のあ「……」
カメラマン「うーん……」パシャ
カメラマン「なんていうかなー……のあちゃん、もっとこう……うーん……」
P「すみません、ちょっとお時間頂いてもよろしいですか?」
カメラマン「ああ、いいよ。ちょっと休憩もいれようと思ってたところだし。15分後にまたよろしくね」
P「はい。ありがとうございます」
108: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 23:02:19.23 ID:kSGMf4+4o
のあ「……何故止めたの」
P「高峯さんはミステリアスな雰囲気がありますから、私もそれを強みにしたいとは思っていますが……」
P「それよりまず、アイドル活動を楽しみましょう?」
のあ「…………」
のあ「……そう見えないかしら?」
P「ええ、今のところまったく」
のあ「…………気に入らないわ」
109: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 23:27:42.78 ID:kSGMf4+4o
のあ「……つい最近会った貴方に、私の何がわかるの?」
P「……」
のあ「……」
P「わかりますよ。だって私はプロデューサーですからね」
P「アイドルと、そうじゃない人の違いなんて、すぐわりますよ」
のあ「……貴方! 私がアイドルには見えない、そう言いたいのかしら?」
P「いいえ、そんなことないですよ。ですが高峯さんはどうも掠れて見える」
のあ「……もういい! 撮影を再開してもらいましょう……貴方と話して実りになることなんてないわ!」スタスタ
P「……」
110: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 23:42:47.25 ID:kSGMf4+4o
のあ (アイドルになんて、なるんじゃなかった……)カシャ
のあ (新しい自分なんて、見つかりもしなかった……)
のあ (人間なんて、そんなものね……なにもない。ただ虚偽の自分を演じるだけの人生を生きる……)カシャ
のあ (でも……)
のあ (でも、あのプロデューサーは、気に入らないわ……!)
のあ (この撮影を終わらせて、短期移籍なんて話、なかったことにしましょう……!)キッ
カシャ
111: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 23:46:30.49 ID:kSGMf4+4o
カメラマン「お、今の顔良かったよ! のあちゃん!」
のあ「え……?」
カメラマン「なにを考えたかはわからないけど、顔に迫力があって! 悪い意味じゃないけどね」
カメラマン「さっきまでの無気力な表情よりは、ずっといいよ! これに決めちゃおうかな」
のあ「え、ええ……ありがとうございました……」スッ
のあ「…………顔に、迫力……?」
112: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/12(土) 23:57:08.02 ID:kSGMf4+4o
のあ「……」スタスタ
P「お疲れ様でした。高峯さん」
のあ「……さっきのは、わざとね……」
P「さあて……」
のあ「とぼけなくてもいいわ」
P「今回の雑誌、女の子向けのカッコいいロック系のファッション雑誌ですよね?」
P「高峯さんの容姿はピッタリなんですけど、表情がキリッと決まってた方が表紙、見栄えますから」
P「ちょっと怒ってたほうが、いい顔になるんじゃないかって」
P「ね? 色々考えて撮影するのも、楽しいでしょう?」
のあ「……」
113: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 00:07:17.91 ID:nxdoRBHoo
P「でもやっぱり、嫌に気分になりましたよね。すみませんでした」
のあ「さっき……」
P「はい?」
のあ「……貴方と話して実りにならないと言ったのは撤回するわ」
のあ「なかなか面白いことするわね……貴方」
P「それはそれは。ありがとうございます」
のあ「……ちょっとだけ、見直したわ。感謝する……ありがとう」
P「ええ、どういたしまして。行きましょうか。高峯さん」
のあ「……のあ、そう呼びなさい。貴方には、少し興味が湧いたわ……」
P「そうですか? じゃあのあさん。昼なんでご飯、食べいきますか」
のあ「そうね……フフッ……」
114: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 00:18:34.35 ID:nxdoRBHoo
P「お、笑いましたね! うん、やっぱり笑顔もいいですね。のあさん」
のあ「……久しぶりだわ。誰かと話して笑ったのは……」
P「アイドルは笑顔も大切ですから。いい武器になりますよ。のあさんの笑顔」
のあ「そう……ありがとう」
P「楽しみましょうね。アイドル活動」
のあ「ええ……貴方に本当の私の実力、見せてあげるわ……」
P「それは楽しみだ。さ、ご飯いきましょうか!」
121: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 15:32:28.00 ID:9yTCdWdlo
――レッスン――
トレーナー「ワン、ツー、スリー、フォー……」
のあ「……」タンタン
トレーナー「はい、では少し休憩入れますねー」
のあ「……」
P「うん。体の動かし方は凄いですね! 完璧です」
のあ「当然よ……完璧でなければ意味がないわ」
P「うん。次はそこに表情も入れてみましょうか」
のあ「なかなか……難しいことを言うわ……」
P「簡単ですよ。ファンのことを考えればいい。応援してくれるのは、いつもファンですから」
のあ「……私はまだアイドルになったばかり…………ファンなんて……」
P「俺は勿論のあさんのファンですからね」
のあ「……貴方のことを……考えるのね……」
122: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 15:44:00.97 ID:EbjK1r2Po
――――
のあ「P……仕事にいくわよ」
P「ええ、今日はアイドル雑誌の取材ですね」
のあ「そうよ……さあ」
雫「あ! のあさんー、Pさんも、行く前に牛乳飲んでいきませんかー?」
のあ「……」
P「お、それじゃあ貰おうかな。ね、のあさん」
のあ「雫は太陽ね……」
雫「? どういうことですかー?」
のあ「私とは正反対だけれど……羨ましい明るさ、光があるわ。皆を照らす……」
雫「ありがとうございますー? でものあさんクールでカッコいいですよー!」
P「のあさんは太陽というよりは月だな。太陽とまた違う、暗闇に光を与えるような……」
のあ「ふふ……ありがとう…………では、頂こうかしら……」
123: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 15:51:53.48 ID:EbjK1r2Po
――――
P「だいぶ慣れてきたかな……」カタカタ
のあ「P? 少しいいかしら……」スッ
P「ええ、大丈夫ですよ。どうしました?」
のあ「……」
のあ「貴方には……感謝している…………以前の私には考えられない程、今の活動は充実しているわ……」
P「そうですか。俺ものあさんをプロデュースできて、嬉しいですよ」
のあ「そう…………貴方となら…………」
のあ「…………お茶を淹れたの。飲むでしょう?」
P「のあさんが淹れてくれたんですか? ありがとうございます」ズズッ
P「うん、美味しいです」
のあ「そう…………」
124: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 15:53:03.94 ID:EbjK1r2Po
………………
…………
……
…………
……
125: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 15:55:34.88 ID:EbjK1r2Po
――――
P (一ヶ月間とは、短いものだな。今日で契約が切れる)
P (……高峯のあはおそらく、うちに移籍できるだろう)
P (とりあえず、話にいくか……)
126: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:00:49.75 ID:EbjK1r2Po
P「のあさん」
のあ「……なにかしら」ペラ
P「読書中ですか?」
のあ「ええ……己を鍛えることは、なにも身体を鍛えることだけじゃないわ……」
のあ「……勉学も、とても大切なことよ……」
P「そうですね。アイドルは自己研鑽も大切ですから……」
P「ちょっとお話、よろしいですか?」
のあ「構わないわ……貴方の話はとても貴重なもの…………」パタン
127: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:12:45.27 ID:EbjK1r2Po
のあ「……それで、なにかしら?」
P「のあさん」
P「今日で一応うちでの活動は終了となります。お疲れ様でした」
のあ「……そのことね。勿論知っているわ……」
P「そうですよね……それでなんですが……」
のあ「でも、そのことについては気にする必要はないわ」
129: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:22:29.14 ID:EbjK1r2Po
P「え?」
のあ「……前のプロダクションでは、なし得なかったこと……此所でなら得られると私は思ったわ……」
のあ「……P」
のあ「貴方やちひろ、雫がいるこの場所は……とても有意義な時間を過ごせる…………」
のあ「だから、前のプロダクションは辞めたわ」
P「な、え!? それって……」
のあ「ふふ……貴方の焦る顔は、初めて見れたわね。それだけでも得たものは多いわ……」
のあ「前のプロダクションは……1週間前かしら……辞めたわ」
P「のあさん……」
133: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:46:12.24 ID:EbjK1r2Po
のあ「ねえP……」スッ
ギュッ
のあ「貴方になら……本当の私でいられる……衣装もカラコンもとった、素の私で……」
のあ「それを知るのは……貴方だけ……」
P「ありがとうございます……」
のあ 「今までの私の空白は……貴方が埋める……でも、貴方に足りぬ力は……私が授ける……P、私たちの関係はそういうもの……覚えておいて」
P「ええ、わかってます。のあさんが独りでは行けなかった、高みへ行きましょう。二人で」ギュッ
のあ「ふふ、ありがとう……さすがP……」
135: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:54:28.96 ID:EbjK1r2Po
――――
P「そういえば、ちひろさんは知ってましたか?のあさんの移籍のこと」
ちひろ「ええ……のあさんに言われた時はビックリしましたけど……」
ちひろ「てっきり、Pさんは知ってると思ってました」
P「いえ、さっき知りましたよ……度肝ぬかれました。まさか自主的に……」
のあ「それほど、貴方の影響力は強い、ということよ……誇りに思いなさい」
雫「でも、これからはのあさんもうちの事務所で一緒に活動できるんですね! やりましたー!」
P「そうだな……よし、これからも頑張りましょうね。のあさん!」
のあ「当然よ……貴方の夢、私が叶えてあげるわ」
136: ◆jG7j9/TnTg 2014/04/13(日) 16:56:35.57 ID:EbjK1r2Po
――――
高峯のあ 編 終了
転載元:モバP「他のプロダクションのアイドルをスカウトする」
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