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トップページPa > 【デレマス】姫川友紀「始球式の仕事?」

1: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:01:54 ID:QuBb

プロデューサー(以下P)「そ。是非ともユッキにってさ」

ユッキ「やるやるー!で、どことの試合?」
hmkwyk41

P「残念ながらキャッツの主催試合じゃない。大阪でのオリックスとの交流戦だ」

ユッキ「ちぇー」

P「嫌なら断ろうか?東京から大阪行くのしんどいし、俺あんまり野球好きじゃないし」

ユッキ「ちょ、酷いよプロデューサー!ちゃんとやるからー!」

P「冗談や冗談」

ユッキ「よーし、そうと決まればレッスン頑張るぞー!行ってきまーす!」タタタタ

P「3ヶ月ぐらい先やけどなー。行ってらっしゃーい」

ユキハンゴキゲンドスナァ オッハヨーサエチャン!シキューシキノオシゴトキマッタンダー!

P「……大阪ドームでの仕事とかあんま気乗りせんのやがなぁ」ハァ

P「……」カタカタ



2: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:09:40 ID:QuBb

【6月某日 大阪】

P「お疲れさん。ナイスピッチ」

ユッキ「でしょでしょー!まさかあんなズバッといけちゃうなんて思ってもみなかったよー!」ドヤァ

P「140キロ越えるストレート投げるアイドルとかそれはもう化け物なんよ。マジでキャッツに入団しろ」

ユッキ「……ありだね」

P「真剣に考え始めちゃったよこの20歳児」

ユッキ「しっかし汗かいたなぁ……着替えてきていーい?」

P「ほいよー。俺はここで座っとるから」

ユッキ「はーい!」トコトコ

スイマセーン!ビールイッポン!

……


3: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:11:48 ID:QuBb

P「……そういやここやったな、あの日の席。嫌な偶然や」

P「ノリと松坂の最後の対決も、代打で出てきた憲史と吉岡に声からして叫んだのも、星野がライト線にサヨナラタイムリーかまして横の兄ちゃんたちと泣きながらはしゃいだのも、全部覚えとるわ……」

P「でもユッキの年齢なら近鉄は覚えとらんよな……近鉄を知らん人も増えてきてもうた」

P「忘れられていくんやな、こうやって」グスン

ユッキ「たっだいまー!あれ、プロデューサーどうしたの?」

P「ファッ!?……心臓に悪いなぁ、もうちょっとソフトに声かけろ」



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4: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:13:09 ID:QuBb

P「てか珍しいな、キャッツユニじゃない普通の私服持ってたのか」

ユッキ「そりゃーあたしだって持ってるよ!あんま着ないけど!」

ユッキ「で、さっきすごいセンチメンタルな雰囲気出してたけど大丈夫?キャッツの応援する?」

P「いやしないから。別に何でもないから」

ユッキ「んー、ほんとぉー?」ズイッ

P「ホンマやから」アトズサリー

ユッキ「ふーん」

ユッキ「で、何でこんな人気のない高い席なの?外野で応援したかったんだけどー」

P「アイドルなんだから身バレしたらマズイでしょ、文句言わない。それに5階席なんて普段開いてないからむしろ貴重な体験だろ」

ユッキ「けちー」プクーッ

P「何ならユッキの場合飲めたらそれでいいまであるだろ、早速2杯買ってきてるけど飲みすぎるなよほんとに」

ユッキ「けちー」プクプクーッ

P「子供か……ふぁ」

ユッキ「いやーしかし今年もキャッツの打線はいいよねー!坂本の抜けたショートも埋まりそ……ってあれ?プロデューサー?何で寝ちゃってるの?」


5: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:15:22 ID:QuBb

夢を、見ていた。懐かしいような、もう見たくないような夢。2004年9月24日、大阪近鉄バファローズの最後のホームゲームを観に行った時の夢だ。

バックスクリーンの真下まで人間で埋め尽くされた大阪ドーム。内外野席の大半を無料にするという大盤振る舞いをして、ようやく今シーズン初の満員御礼だ。ここにいる何割の人間が、普段から大阪ドームに来ていたのだろう?

最後のラッキーセブンが終わったその直後の攻撃。西武の投手を攻めて作ったワンアウト満塁のチャンス、ウグイス嬢が代打をコールする。

「4番、サード、永池に代わりまして、川口。バッターは、川口。背番号61」

「「「ワアアアアアッ!!!」」」

少し残念そうな、それでも盛り上がっているのが見てとれる大歓声。この年は打撃不振やったっけ。巨人へ行ったローズの穴をバーンズたちと埋めてくれると思っていたんやけどなぁ。

「プロデューサー、良かったじゃん!」

後ろから飛んできた、アルコールの匂いとユッキの声。笑顔を向けて、ちらりと胸元に視線を落とす。Buffaloesの紅いロゴと、水色の61の文字。今でも家の片隅で眠っているはずの、数年前に買った川口のレプリカユニフォームだ。

……え?


6: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:17:21 ID:QuBb

P「ユッキ!?お前、どうやって……」

ユッキ「へへ、来ちゃった!プロデューサー、何だか変な感じがしたからさ」

まあ夢だからな、と心の中で呟く。礒部のユニを着たユッキなんかもし現実にいたら大事件だ。あるいは俺は、ユッキとこうして近鉄の応援をしたかったのかも知れない。

ユッキ「今出てきた人打率悪いね、他の人の方がいいんじゃないの?」

P「いやいや憲史の方がええわ、今年は確かに調子良くないけど憲史は長打力あるし最近良くなってきてるから一発に賭けた方が絶対にええからな、外野フライで十分なんやから切り札の星野とか使う必要無いわ」ペラペラ

P「それに今日が最後なんやしここで2001年の優勝の立役者使って流れ作らんでいつ作るんや、まぁ吉岡の方がええかも知れんのは分かるが吉岡は病み上がりやし今日おるだけ奇跡やろ」ペラペラ

ユッキ「ねーねー、応援しないの?満塁だよ?」

P「聞いてきたの誰やねん……まぁええわ。ほい、タオル」

ユッキ「?」

やや間延びして聞こえるトランペットの前奏。いそいそとタオルを広げ出した6割ぐらいのー熱心な本物のー近鉄ファンを見て、ユッキも察したらしい。前奏が終わったのを確かめ、大きく息を吸って叫ぶ。


7: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:17:46 ID:QuBb

「ワン、ツー、スリー、フォー!」

近鉄名物のタオルダンスだ。オリックスが使っているものとは違う、最後に一周回る振り付けのついた本物のそれを、ユッキは完璧に踊って見せた。


何周目だか忘れた憲史コールが終わった直後、その瞬間はやってきた。バットが速球を弾き返す鋭い音。そう、この犠牲フライで同点にー

ユッキ「ちょ、プロデューサー来てる来てる!危ない!」

P「え?」

ーならなかった。2001年、俺がファンになった頃のような美しい軌道を描いた憲史の打球はぐんぐん伸び、5階席まで伸び、俺の頭を直撃したのだ。


8: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:18:22 ID:QuBb

P「……ハッ!」

ユッキ「わひゃあ!?……あ、プロデューサー起きたぁ。らい丈夫?」

P「いてて……まぁ何とかね。膝枕してくれてるんだな、ありがと」カラダオコシ

ユッキ「ここ最近お疲れだったみたいだからね、これはそのお礼!れもあとでビールおごってね!」

P「ハハハ絶対にダメです。ろれつ回っとらんやんけ何杯飲んだんだよ」

ユッキ「えーっとね……忘れた!」

P「Pパンチ!」コツン

ユッキ「あたっ」

P「少しお酒の量減らさせるようにベテトレさんから言われてるし今日はもう飲むな、肝臓何個あっても足りなくなるぞ」

ユッキ「ちぇー」プクー

P「子供か」


9: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:18:56 ID:QuBb

ユッキ「そーいえばさー」

P「どうした?」

ユッキ「プロデューサーって近鉄ファンだったの?」

P「……えらく唐突だな、どうしたんだ?」

ユッキ「さっき寝言で『今日が最後』とか『大阪ドーム』とかって言ってたからさ」

P「…まぁな。今はどこのファンでも無いけどな」

P「合併の話が出てから毎日のように大阪ドームに通って、学校サボって合併反対デモに参加して、署名を募ったりして、それでもダメやった。ホンマに辛かったな」

P「合併した後のオリックスや、新しく出来た楽天も応援しようとしたことはあった、けどあかんかった。結局『大阪近鉄バファローズ』はそこに無かった」

P「ユッキの年なら近鉄のこと知らん人も多いやろ。皆忘れていってまうし、知らん人もどんどん増えていく。それは時代の流れやからしゃーない所はある、けどそれがホンマに悲しいのも事実やな」ハァ

ユッキ「……」


10: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:19:28 ID:QuBb

ユッキ「…聞かせてよ、近鉄の話」

P「え?」

ユッキ「プロデューサーが見た、大阪近鉄の試合や先週末の話。あたしも知りたいな」

P「ユッキ……」

ユッキ「それに川島さんと飲むときのいいおかずになりそうだからね!」

P「当分禁酒なの忘れてないか?」

ユッキ「ちぇー、いけると思ったのに!」

P「かわいい担当アイドルがアル中になって肝臓壊すのを見せられかねない俺の気持ちにもなってみろ、泣くわ」

ユッキ「なっ……」カアア

P「ピュアか。ほなどこから話そうかな……」

オオサカバファローズ,ラッキーセブン!ドリームアンドパワー!

♪~

P「……嘘やろ」


11: 名無しさん@おーぷん 24/02/26(月) 12:37:54 ID:QuBb

ユッキ「そういえば今日って……」ケンサクケンサク

バファローズのイベント予定サイト「大阪クラシック開催日やで」

P「……こんなん泣いてまうわ」グスン

ユッキ「歌えるよね、プロデューサー!」

「チャンス!手堅くものにしろ 
 ピンチ!堂々と押さえこめ
 勝利の瞬間は 力で奪い取れ 
 ヒート!わきあがるスタンドの 
 シャウト!熱い叫びに込めた 
 あふれるパワーを ガッシリと受けとめて 
 突き進めバファローズ

 バファローズ バファローズ
 ドリーム&パワー バファローズ
 栄光の軌跡を 大きく描きだせ
 バファローズ バファローズ
 ドリーム&パワー バファローズ 
 勝利にむかって 駆け抜けろ バファローズ」


P「何年ぶりやろこれ歌ったん…」ゼーハー

ユッキ「いい曲だね」

P「せやろ……ちょっと久しぶりに応援したくなってきたわ。近鉄の思い出は後に回してええか?」

ユッキ「もっちろん!思いっきり応援してよ!きっと楽しいからさ!」





転載元:姫川友紀「始球式の仕事?」
https://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1708916514/



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