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トップページ双海亜美・真美 > 【765プロ】真美「オーダーメイド」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:20:05.17 ID:+K/bZ4s0o

 白い空間の中、いや、暗いのかな

 目が開かないから分からないよ

 ここはどこ?

 あれ、口が無いから喋れないや
 
 口だけじゃなくて鼻も無いから、息もして無い

 無い無いづくしでイヤになるね

 でも苦しくは、無い。





2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:21:12.60 ID:+K/bZ4s0o


 漂ってるのかな

 それとも停滞してるのかな

 それすらも分からない


『─────これで、聞こえるかい?』


 心と身体が一瞬、震える

 響くような何かをキャッチした

 そうか、これが声か。


3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:22:14.25 ID:+K/bZ4s0o


『やぁ、こんにちわ』


 こんにちわ

 あなたは誰?


『そんな些細なことはどうでも良いことさ』


 なんで?


『キミは全てを忘れてしまうから』

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4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:23:10.12 ID:+K/bZ4s0o


 忘れちゃうの?

 ここはどこ?


『それも些細なことさ』


 そっか

 どうせ忘れちゃうもんね。


『まず、未来と過去。どちらか一つを見れるようにしてあげる』


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:24:20.66 ID:+K/bZ4s0o


『どっちがいい?』


 じゃあ、過去かな

 
『そう』

『キミはキミでありたいんだね』


 うん。

 真美は真美で居たい。


『ちゃんと思い出せたみたいで何よりだよ』


6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:25:53.46 ID:+K/bZ4s0o

『それにしても、キミは優しいんだね』


 なんで?


『無意識に思い出を選んだのだから』


 思い出?

 そっか

 これが、思い出か。


『さて、次はキミに身体をあげる』


 ねぇ


『なんだい?』


 やっぱり

 思い出はいらなかったかも


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:26:49.84 ID:+K/bZ4s0o

『ふふっ。ダメだよ。キャンセルは出来ない』


 そっか

 じゃあ、いいや


『その代わり、腕も脚も口も耳も眼も、鼻の穴も二つずつつけてあげる』

『気にしなくていいよ。今日はサービスデーだから』


 んー。便利かも知れないけど


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:27:48.67 ID:+K/bZ4s0o


 口が二つもあったら一人でケンカしちゃうよ

 どうせケンカするなら、他の誰かと

 ううん。大切な人としたい

 そしたらもっと、その人の事を知れるから。


『そうか。じゃあ、そうしよう』


 腕も最初にくれた、このワンセットで良いよ

 いっぱいあったら、真美には手が余っちゃうから。


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:28:55.81 ID:+K/bZ4s0o


 目だって、そんなにいっぱいあっても困っちゃうよ。


『なんで?』


 どこを見て良いか分からなくなるじゃん

 前だけを見れるようにしてくれたら、それだけで良い。

 だから、二つもいらないっぽいよ。


『キミは欲張りと真逆なんだね』


 そうかな?


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:29:32.43 ID:+K/bZ4s0o


『あ、でもさ。一番大事な心臓は、両胸につけてあげるからね』

『このほうがたくさん生きれるし、いいでしょう?』


 えぇっ!?


『そんなに驚くほど嬉しかったのかい?』


 ちっ、違うよ

 この左に胸にある心臓だけで良いよ

 せっかくだけど、ごめんね


11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:30:25.06 ID:+K/bZ4s0o


『ホント、君は欲とは無縁なんだね』

 そうかな?

 ケンカの度に少し離れて、またくっつきたいんだよ

 抱きしめ合うように眠れば

 ちゃんと生きてるって鼓動を感じれるから

 ちゃんとこの心が覚えてるんだよ

 二つの鼓動がコトコトと

 重なった心の音が両側で鳴ると落ち着くって。


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:31:08.38 ID:+K/bZ4s0o


『思い出に縛られるのかい?』

『勿体ないね』


 そんな事無いよ

 あったかいもん


『ふーん。そう言えば最後にもう一つだけ』

『涙もオプションでつけようか?』

『なくても全然支障は無いし、面倒だからってつけない人もいるよ』


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:32:05.71 ID:+K/bZ4s0o


『どうする?』


 確かに、涙って面倒だよね

 でも、真美は知ってる

 涙が大切なものを教えてくれるって。

 悲しい時も、嬉しい時も

 涙の粒が心から溢れてきて

 大切なものを気づかせてくれるんだよ


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:32:50.21 ID:+K/bZ4s0o


 嬉しい時に涙が出るとさ

 世界がキラキラして見えるんだよね

 その綺麗なキラキラした世界が見たいから

 涙だけは絶対に、つけて欲しいな。


15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:33:37.22 ID:+K/bZ4s0o


『涙の味はどうする?』


 それも決めれるの?


『しょっぱいの、すっぱいの、辛いの、甘いの』

『甘いのが一番人気かな』


 ふーん

 じゃあ、うんと、しょっぱくして

 二度と悲しい気持ちにならなくなるように


 ─────あっ。


『望み通り全てが叶えられているでしょう?』


16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:34:37.27 ID:+K/bZ4s0o


 うん。

 ありがとう。


『だから、その顔をちゃんと見せてよ。さぁ』



 ぐすっ。


 これはホント




17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:35:18.98 ID:+K/bZ4s0o



 しょっぱいね


18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:36:08.05 ID:+K/bZ4s0o


『もう、甘くなんか出来ないよ?』


 うん。

 これで、良い


『また、思い出に縛られてるのかい?』


 違うよ

 思い出が、この涙をくれたんだもん

 おかげで一番大切なものを思い出せた


『そう。じゃあこれで、全部終わったよ』


19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:37:08.95 ID:+K/bZ4s0o


 まだ、終わって無いよ


『…………終わったよ』


 一番大切なものを貰ってないもん


『大切なもの?』


 うん。



 まだ、亜美を貰ってない


20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:37:51.91 ID:+K/bZ4s0o


 真美に一番必要なもの

 真美の大切な妹

 左は真美で右は亜美。


 一人だと、どこか欠けてるみたいで寂しいもんね

 きっと、それは亜美だって一緒。

 そう、思い出が教えてくれるんだよ


21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:38:38.29 ID:+K/bZ4s0o


 一人ぼっちで生きていくのはきっと悲しいから。


 全部ひとつで良いから

 亜美と一緒が良い


 はんぶんこでも良いから

 そうやって生きていきたい


22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:39:12.70 ID:+K/bZ4s0o


『…………ふふっ。前言撤回するよ』

『キミは随分と強欲のようだ』

『特別サービスだよ。ここで待ってるといい』

『キミは忘れちゃうけどね』














23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:39:42.24 ID:+K/bZ4s0o








 白い空間の中、いや、暗いのかな

 目が開かないから分からないよ

 ここはどこ?


25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:40:25.12 ID:+K/bZ4s0o


 優しい音が聞こえる。

 波の音かな

 反響するように

 その波間に聞こえるコトコトって音

 海を泳ぐようにワンセットの手を動かすと

 何か温もりが指先に触れた。


26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:40:54.10 ID:+K/bZ4s0o


 お互い確かめ合うように

 何度も触れ合い

 聞いてみる





27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:41:30.01 ID:+K/bZ4s0o


「「どっかでお会いしたことありますか?」」


28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/22(日) 17:42:19.86 ID:+K/bZ4s0o

終了。

ここまで読んでくれたヒト、ありがとうございました


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