ちひろ「とにかくそういうわけでいつまたああいう奇行に走るか解らない以上、皆バレンタインデーにはプロデューサーさんの健康に配慮したものを贈って欲しいわけです。愛情ガン盛りのホールケーキとか領収書とかではなく」

颯「えー。いくらなんでもバレンタインに領収書贈る女の子なんて」

ちひろ「……」

颯「いたの？」

未央「しかしそれでところてんかあ、なるほど」

ちひろ「プロデューサーさんも決してお若くありませんしね。ここ数年でドリンクの売り上げじゃなかったドリンクを飲む数もめっきり減ってしまいましたし」

颯(今売り上げって言った？)

みく（言ったにゃあ）

まゆ「健康に配慮するべきなのは理解しますが、ところてんにはメッセージも書けませんしプレゼントに包むのは難しいです。そもそも全く記念日に贈るものっぽくありません。ところてんバレンタインは不本意です」

未央「まあお出汁で食べるか酢醤油で食べるかぐらいのバリエーションしかないだろうしね」

ちひろ「ところてんは一例です。ローカ口リーでプロデューサーさんの体に負担が軽いものであれば、何でもいいと思いますよ」

颯「領収書とか？」

みく「そりゃローカ口リーだけれども」

未央「ローカ口リーで特別感があってバレンタインらしいものかあ。うーん」

まゆ「ゼリーとかでしょうか。見た目が楽しいし中に入れるものをいろいろ工夫できますし、工夫すればローカ口リーにできます」

颯「さすがまゆちゃん、いいかも！！」

未央「確かに工夫次第でいろいろできるかも」

みく「でもちひろさん、なんで私たちだけにこういう話するにゃあ。なみくたちなんか警戒されてる？」

ちひろ「いえいえまさか（サッ）」

みく「違うなら目を逸らさないで欲しいにゃあ」

ちひろ「１９０人一度に説明しようとしたら謝罪会見みたいになっちゃうでしょう。ほかの方にはお暇な時に来てくださいとお願いしてあります」

未央「話がややこしくならないように少人数ずつ説明してるってことか」

ちひろ「そういうことです。まずみなさんをお呼びしたのはスケジュールが開いてたからで、それ以上の意味はありません。ほんとですよ」

みく「念押しされると疑わしくなるからやめたほうがいいと思う」

颯（勢いで大きなの作りそうな子集めたのかなあ）

未央「でも、プロデューサーの健康のためでしょ。理由を話してゴネたりする子なんて、このプロダクションのアイドルにはいないんじゃないかな」

ちひろ「ええ、まあ」

未央「実際まゆちゃんだってプロデューサーの健康のためにチョコはよそうって話自体には納得してるわけだしね」

まゆ「当然です。プロデューサーさんの健康が第一です」

颯「まゆちゃん偉いなあ……」

まゆ「と、当然の事ですから」

未央「そのあたりはみんな同じでしょ。１９０人集めて説明しても別に変な事にはならないんじゃない？」

ちひろ「そうですね。まあ私も酔っぱらった佐藤さんや片桐さんが居ない限り混乱はしないと思って」

片桐早苗(へべれけ)「（ドアバターン）ごめんね遅くなっちゃったー！！」


佐藤心(へべれけ)「不肖しゅがーはぁと、仕事終わり次第駆けつけたぞ☆」


川島瑞樹(へべれけ)「それで話ってなにかしらひっく」


三船美優(へべれけ)「よってないれふ……」


颯「流れるように来たー！」

未央「なんで昼間から酔っぱらってるの！？」

早苗「それはお姉さんたちが温泉と酒蔵と地酒を紹介するロケの帰りだからよ！」

ちひろ「たしかにそういうお仕事でしたけど軽く呑む程度だったはずですよね？　ぜったいそんなへべれけになるようなお仕事じゃなかったですよね！？」

心「それがさー。そこのお酒がめちゃくちゃ呑みやすくてさー……」

瑞樹「わかるわー。全っ然食事のじゃまをせずにスルスル入るのよね。水かしら。あれ仕込み水が違うのかしら」

早苗「山奥で水もお米も良さそうだったもんねえ。それでつい腰を据えて呑んじゃって」

美優「未央ちゃん、颯ちゃん、まゆちゃん、みくちゃん。おつかれさまれふ。はしたないとこみせてごめんなさい（ぺこぺこ）」

未央「さ、さすが。みゆみゆは酔っぱらっても気配りを忘れないね」

美優「みくちゃん、なんだか縮みまひた？（なでなで）」

みく「でもそれみくたちじゃなくて加湿器だにゃあ」

颯「完全にできあがってるね」

まゆ「教育に悪いからあまり見てはいけませんよお」

瑞樹「というわけではいこれお土産のお酒。ちょっとしっかりしたお食事とも合うと思うわ」

ちひろ「あ、ありがとうございます」

早苗「それで話ってなあに？(ﾌﾟｼｭ)」

ちひろ「流れるように缶開けないでください子供たちも見てるんですよ」

みく「あ、寮では毎晩こんなもんだから」

まゆ「たびたび拝見させていただいてますから今更お気遣いは無用ですよお」

颯「同じく！」

心「だってさ。よかったな☆」

ちひろ「ひとつもよくないですよ！？」

美優「さんとうしんのみくちゃんもかわいいれふね（加湿器をなでなで）」

未央「みゆみゆ。ねえみゆみゆそろそろ帰ってきて？」

～ちひろさん説明中～

早苗「なるほどつまりプロデューサー君の健康に配慮したものを贈りましょうってことね、了解了解」

ちひろ「あれっこの酔っぱらい意外とものわかりがいい」

美優「でも、健康に配慮したローカ口リーな贈り物って、なかなか難しいれふね」

早苗「ふーむ……」

颯「なんでもいいけど、ふわふわふらふらしてる三船さんてなんかかわいい（ひそひそ）」

未央「わかるー」

瑞樹「そんなに難しくもないんじゃないかしら。たとえば身の回りのものや健康食品、ビタミンの錠剤なんて手もあるわよね」

みく「驚くほどまともな意見だにゃあ」

心「まあ愛しのあの人に想いのすべてを込めたチョコレートを贈りたいン☆　って少女の気持ちも解るよな。たとえばチョコなら、量を加減すればいいんじゃないか？」

未央「あ、なるほど」

心「高級なものをちょっとだけってのもオトナって感じで好感度高いと思うぞ。どうよ。はぁと頼りになるだろ？」

まゆ「『贈りたいン☆』のわざとらしい猫なで声が絶妙に気持ち悪かったですね」

心「なにおう☆」

みく「デコレーションや包装をどうするか、工夫の余地はあるよね」

颯「身の回りのものって？」

瑞樹「たとえばハンカチなんか定番よね。品質のいいものでも手が届きやすいお値段で邪魔にならない。プロデューサーは背広のお仕事だからハンカチは必需品だし、色々な柄があって送り手のセンスを見せやすいでしょう」

颯「なるほど。すごくいい気がします」

瑞樹「ふふ。参考になったのならなによりだわ」

颯「はい。はー、次のバレンタインはハンカチ贈ります！」

心「同じようにちゃんとアドバイスしてるのにはぁとの時とこの反応の差はなんなんだよ。ちなみにペン類も定番だぞ」

みく「普段の行いの差じゃないかにゃあ」

心「微塵も否定できない」

ちひろ「ゼリーやローカ口リーのお菓子、チョコにする場合は量を制限。日用品や健康食品、サプリメントを推奨する（メモメモ）こういうリストがあれば皆から協力が得やすいですね。瑞樹さん、心さん、感謝します」

瑞樹「どういたしまして」

心「ちひろちゃんの感謝がはぁとの心に染み渡るなあ。今夜一緒に呑まない？」

ちひろ「お土産のお酒呑んじゃう気でしょういやですよ」

心「ちえー」

未央「でも本当にぱっとアイデア出て、参考になりました」

みく「そうそう」

瑞樹「まあ局にいたころはご高齢の上役にバレンタインの贈り物する機会も多かったから……」

心「あー。なー」

ちひろ「へべれけの酔っぱらいばかりで不安でしたが、杞憂だったみたいですね……ところで早苗さんと美優さんが全然話しに入って来なかったみたいですが」

未央「みゆみゆならそこで加湿器を労ってる」

美優「だからね。未央ちゃんはいつも明るくふるまってくだしゃいますけども（加湿器なでなで）」

颯「早苗さんは話が始まってからずーっと腕組みしてだまったまんま」

早苗「……（目を閉じてむずかしい顔）」

まゆ「どう見ても一番呑んでますし、考え事しながら寝落ちしているんじゃないでしょうか」

早苗「いやあたし考えたんだけどね？（開眼）」

颯「わあっ起きてたぁっ」

未央「酔っぱらい特有の唐突な喋り出し！！」

早苗「いやずっと考えてたのよお。プロデューサー君のバレンタインプレゼント。健康に配慮して、カ口リーが少なくて、でしょ？」

ちひろ「ええまあ」

早苗「つまり『プレゼントはあ・た・し♪』が最強ってことじゃない？」

瑞樹「！」

美優「！」

心「いやダメに決まってるだろ」

ちひろ「そうですよ。というか瑞樹さんも美優さんも何『それだ』って顔してるんですか」

瑞樹「いや、これは一本取られたなと思って。検討の余地があるわね」

ちひろ「ありませんよ落ち着いてくださいさてはめちゃくちゃ酔っぱらってますね」

瑞樹「えー。プレゼントは私なんて幸子ちゃんだってやってたじゃない」

ちひろ「幸子ちゃんと瑞樹さんじゃ生々しさが段違いなんですよ！！！！」

美優「まごころおくるならさいごのプレゼントはじぶんじしん……わすれるところれした」

ちひろ「忘れててください。ダメですからね！？　」

早苗「いや考えてみてよ。特別感があってバレンタインらしくてローカ口リーどころかカ口リーを消費するまであるのよ。最強じゃん（グビー）」

ちひろ「何言ってるんですか私体に負担のないものって言いましたよね？　あと未成年見てるんですよ飲み会ノリの悪のりは控えてくださいね！？」

まゆ「はわわ」

未央「はわわ」

みく（颯の耳を押さえている）

颯「？（聞こえてない）」

ちひろ「ほらぁ！」

早苗「えー。健康にはいいでしょ。『プレゼントはあ・た・し♪』が健康に悪かったら、人類滅んでるわよ」

ちひろ「人類は増えたけど男は死んだってケースも少なくないんじゃないですかね知らないですけど！！」

心「酔っぱらいがこういうノリになると止まらないかんなー。いやはあとも酔っぱらいだけど。ちひろちゃんごめんな（サッ）」

ちひろ「あっ、お土産のお酒」

心「こいつらはぁとが責任もって酔いつぶしてくっから。ほらみんなー。はぁとの部屋で二次会だぞー」

美優「え、二次会？　れすか？（ふらふら）」

瑞樹「二次会？　ああはいみじゅき参加します（ふらふら）」

早苗「日本酒はたっぷり呑んだから今度はビールがいいわねー（ふらふら）」

心「んじゃそういうことで。お騒がせしましたー☆（バタン）」

ちひろ「……」

未央「……」

みく「……」

颯「……」

ちひろ「ええと、まあ、そういうことで。バレンタインはプロデューサーさんの健康を気遣い、女性として品格を忘れずに臨んでいただけると……幸いです……」

４人「「「「はい……」」」」

～バレンタイン当日～


未央「はい、バレンタインのチョコ。食べ過ぎは良くないからプラリネ一粒だけね。でも真心こめて作ったから！」

みく「みくはボールペンにしたにゃあ。普段Ｐチャンが使ってるボールペンと同じリフィルが使えるやつね」

まゆ「まゆはゼリーを。ローカ口リーだけどできるだけ見た目が楽しくなるようにデコレーションを」

颯「ハンカチ。使ってくれたらうれしいな。一生懸命選んだの」

響子「おからを炊きました」

卯月「健康に気遣って欲しいのでビタミン剤を」

ほたる「災害用保存食の缶詰を」

泰葉「人間ドックの予約をとっておきました。脳ドック付きのコースです」

あきら「お父さんがいいって言ってたサメ肝油を」

あかり「りんごは健康食品です」

◇◇◇

ちひろ「どうでしたか今年のバレンタインは」

プロデューサー「めちゃくちゃ健康に気遣われてなんかものすごく歳をとった気分でした」

ちひろ「あはは」

プロデューサー「まあ確かにもう若くはないですが。ちょっとへこむなあ」

ちひろ「……みんな、プロデューサーさんにいつまでも元気でいて欲しいんですよ。私も、そうです」

プロデューサー「ありがとう、解ってます……ところで、川島さんたちはどうしたんですか。今日は朝から姿が見えないようですが」

ちひろ「ああ、片桐さんや川島さんたちなら、あまりにもあんまりだったので滝に打たれて反省してくるといってましたよ」

プロデューサー「？」


　おしまい