1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:27:16.21 ID:sB15SE9Uo
「いったいどうしてこんなことに……」
両手両足を縛られた彼は呻き声を上げた。
彼の眼前では二人の少女による熾烈な戦いが始まろうとしていた。
それは譲ることの出来ない女の戦い。
「ふふっ、凛ちゃんがまゆに勝とうなんて百年早いんですよぉ」
「そうやって笑っていられるのも今のうちだよ、まゆ」
二人が言葉を交わした次の瞬間、ついに戦いの火蓋が切られる。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:27:58.01 ID:sB15SE9Uo
「いきますよぉ……!」
先に仕掛けたのはまゆだった。
圧倒的な速度で繰り出される斬撃が全てを切り刻む。
「……っ」
一方、まゆに先手を取られた凛も果敢に立ち向かうがその腕はつたなく一筋の血が流れる。
「あらあら、達者なのは口だけなのかしらぁ」
「この程度どうってことない!」
不敵に笑うまゆに声を荒げる凛。
だが二人の実力差は歴然、場数を踏んでいない凛の不利は否めない。
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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:28:35.98 ID:sB15SE9Uo
「なら、これでぇっ!」
彼我の戦力差を認識して尚諦めようとしない凛の心を折るべく、まゆが更に畳み掛ける。
紅い炎が揺らめき場の温度が激変した。
しかしそのまま押し切られる凛ではない。
まゆの隙を突いて反撃に転じる。
「私だって!」
瞬間、蒼い流水が放たれた。
透き通る水によって清められた刃が煌めく。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:29:09.38 ID:sB15SE9Uo
「蒼の剣をおおぉぉおおおおおおおおッ」
(そんな、何て速さですかぁっ……!)
まゆが驚愕に目を見開く中、凛が力強く腕を振り下ろす。
だが既の所で手元が狂い凛の一撃は失敗に終わった。
凛の振るった刃は狙いから外れ、硝子が音を立てて砕け散る。
「おい馬鹿、凛!もうやめろッ!」
プロデューサーが悲痛な叫びを上げるもその声は二人には届かない。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:29:57.01 ID:sB15SE9Uo
「やっぱりまゆに挑戦するのは早かったみたいですねぇ、凛ちゃん」
「五月蝿いっ、まだ終わってない!」
戦いは更に苛烈さを増していく。
切り刻んで、押し潰して、燃やす。
壮絶な応酬の末、満身創痍になりながらも凛は立っていた。
そんな彼女を見ながらまゆは余裕の表情を浮かべて口を開く。
「へえ……ここまで付いて来れるとは、驚きですよぉ」
「……当然、でしょ」
傷だらけの凛も獰猛に笑い返す。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:30:23.59 ID:sB15SE9Uo
「それより、いい加減決着を付けようよ」
「そうですねぇ、それじゃあ決めましょうか……」
顔を見合わせた二人は同時に同じ方向へと顔を向けて言い放った。
「「どっちの料理が美味しいのか!」」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/27(日) 02:31:00.78 ID:sB15SE9Uo
凛「私の料理、『azure curry ~貴方に捧ぐ蒼~』って言うんだ。どう?美味しそうでしょ?」
まゆ「私の『愛情たっぷり真紅のソースの激辛ハンバーグ』の方が美味しいに決まってますよねぇ?」
モバP「お前ら……」
凛「どうしたのプロデューサー?」
まゆ「感激のあまり言葉も出ないんですかぁ?」
モバP「まずは散らかした我が家の台所を掃除して来いっ!」
おわり
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