武内P「？？………二人は何かを作ったのですか？」

常務「違う。私が聞いたのは二人が恋人関係かどうかということだ」

武内P「え……、恋人……ですか……？」

常務「ああ、私が見た限りあの二人はできている」

武内P「いや……、あれは単に仲がいいだけではないでしょうか？」

常務「君にはあれがそう見えるのか？新田美波の水着写真に関するアナスタシアの反応は過激な写真に対する彼氏そのものだ。君も想像してみるといい。君の彼女の水着写真が世間出回ったらと」

武内P「あ、いや、私には今まで交際という関係になった女性はいないので、何となくとしか想像できないのですが……」

常務「あ…………、すまない。少し感情的になって余計なことまで言ってしまった」

武内P「いえ……、お気になさらず……」

―――――――
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『……ｻﾞｻﾞ……私には…ｻﾞｻﾞ…交際という関係になった女性はいないので……ｻﾞｻﾞ……』


「ふーん……」

常務「まあ、誤解を与えないためにも言っておくが、私は同性愛を嫌っているわけじゃない。私が海外にいたときも、何度もそういう人たちに会った」

常務「ただ、日本ではまだそういう考えがあまり根付いていないように思われる。ましてやアイドルどうしの熱愛などマスコミの格好の餌だ」

常務「美城にスキャンダルは御法度だ。事実はどうであれ、アイドルの恋愛は禁止だと君の方から釘を刺してくれ。当たり前だが、君もアイドルに手を出すなよ」

武内P「は、はい。それはもちろん」



『ふーん………まあ、私が16になるまでプロデューサーに他のアイドルを近づかせない意味ではけっこういいかもね………』

コンコンコンコン

常務「入れ」

武内P「失礼します。常務、今度はどのようなご用件でしょうか？」

常務「……最近、クローネで君のことが話題になっている」

武内P「は、はぁ……」

常務「特に速水奏や鷺沢文香は君のことを好意的に思っているそうだ」


『……………』ｸﾞｼｬ

常務「まさかとは思うが、君はアイドルをたぶらかしているわけではあるまいな？」

武内P「い、いえ！そんなことは！」

常務「だろうな。君みたいな誠実な人間がそんなことをするはずがない」

武内P「はぁ………」

常務「何だ、君の誠実さを褒めただけだぞ。もっと素直に言葉を受けとめたらどうだ」

武内P「…お、お褒めに預かり光栄です……」

常務「……まあいい。スキャンダルの芽は予め摘んでおかなければならないからな。念のため君をここに呼んだ。まあ、問題はまったくなかったわけだが」

武内P「……あんな簡単な問答で良かったのでしょうか？」

常務「何だ、君はもっと尋問されたいというのか？」

武内P「いえ、そんな………」

常務「まあ、君の人柄を評価してのことだ。あまり深く考えなくていい」

武内P「……分かりました」

常務「さて、用件は以上だ。君も業務に戻りたまえ」

武内P「はい、失礼します」





常務「まったく私も何をやっているんだ……。自分からアイドルたちに恋愛禁止を明言すればいいものを……」

『美城プロダクションのアイドルは恋愛を禁ずる』



「恋愛禁止という貼り紙がでてましたね」

「うん、まあ、あたしたちにはあまり関係ない話だけどねー」

「杏は仕事しなくていいならなんでもいいけどねー」

「あー！いたー！！杏ちゃん、次のお仕事に行くにぃー！！」


ｳﾜｧｰｰｰ


―――――――
――――


「うふ………恋愛禁止ですかぁ……」

「お疲れ様です、プロデューサーさん」ｺﾄｯ

武内P「ありがとうございます」

「お仕事、まだ終わらないんですか？」

武内P「ええ、あと少しだけ。今日中に終わらせたいので……」

「もしよかったらお手伝いしましょうか？」

武内P「いえそんな、迷惑をかけるわけには………」

「………………………」

武内P「……では、この書類をまとめるのを手伝ってくれますか？」

「はい！もちろんです！」










「ふーん………」

「私をシンデレラプロジェクトにいれてくれたプロデューサーさん……、私、がんばりますから……必ず、振り向かせてみせますから………」